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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

|La Couronne| $92.5/10+$36.84/18=¥1,200|2020/1/30・arr 2/8|
|LGR AGO 19|4.72’ x 50|重量:16.29g?|香:3.3~3.5ave3.4|残0|

10ヶ月で10本が灰になった。
橙のような、その皮の風味と苦味、果肉の酸っぱさがある。爽やかながら、淡いハバナ葉めいた酸化色の深みの中に。この葉巻の特徴は一貫してこの橙にあり、あとは草花やクリームというお馴染みの変化を加え、相まって微妙に姿を揺らがせる比喩の幻影たちを見る人のみ見るというていである。
濃さは薄く、強さは弱い。淡麗だがクリスタルの綺麗さなく、朴訥とした雰囲気というには若干華やか。寂しさが淡く漂う。私小説の「つまらない私」の見る景色のような。
この箱は何だったのだろうかと思うだに、橙に行き着いた。最後に来て、果汁を吸い出すのに困難なドローだった。リングを外す頃、酸化色がずんずん深まってゆく。
積極的に楽しもうと思えば結構楽しめる葉巻だったのかもしれない。

重量がおかしい。確かにドローはカチカチの柑橘だったが、それにしても重い。軽量ミスなのか?
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|La Couronne| $92.5/10+$36.84/18=¥1,200|2020/1/30・arr 2/8|
|LGR AGO 19|4.72’ x 50|重量:10.66g|香:2.9~3.3ave3.1|残9|

赤茶によってコロラドを通り越えマデューロ化したクラロ色のラッパーという、コロラドクラロ色のものである。
木は木でも、強い木。木の風味という感じではなく、かと言って木を頬張るというものでもなく、煙草感の強さとなって現れる。えぐみはあるものの許容範囲内で、辛さ等も同様。雑味という感じはあまりない。
中盤からはっきりと花。

やっぱりパンチはいまいち景色が見えてこない。
味が薄いとかそういうことでなく、幻覚剤不使用の感あり。
終盤はラムネ菓子の風味が膨らみ、そういえばパンチはラムネだったかな、と思い出させるも、個性ひ弱で、パルタガスのプチコロエスなんかよりもたぶんずっと良く出来ているのだけれど、変化もビビッドで濃く美味しくはあるのだけれど、多少美味しいだけで、どうしてかピンとこない。たとえパンチの高級品が出ても、もう食指は動かないかもしれない。
生まれて半年で、現在明らかに強者しか美味しがらない物なのだが、寝かせたとして、はたしてピンとくるかどうか。
久しぶりにパンチ(ひ弱なラムネ)やオヨー(ひ弱な赤十字)などのレギュラー品を色々試してみようと思ったのだが、結局やめておいた方が得なのかもしれない。しかし素直にダビドフのエントレアクトを買うようではつまらない気もする。何しろ日常用はハバナがいい。で結局活躍するのがパルタガスのレギュラー品である。

La Couronne、2回目も梱包がミイラの包帯のようにテープぐるぐる巻きで、開梱の大変さが異常であった。小さいもの3箱買う。
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+1( 17.25g)|算出:+3|香味:+3|計7点|

 草を手前に、遠景に揮発性の木など、粉っぽい。煙なのだから粉っぽいのだが、粉っぽい。白粉のような香りが粉を思わせるのかもしれない。化粧品のような、どぎつくない、優しい、薄い芳香がある。花まではいかない、粉といえば花粉だが。
 どうも奮わない葉巻であることだなぁと思って、早急に吸口を再切断して大口径にする。優しさのみをくゆらせるべき葉巻なのかもしれないけれど、いじらしすぎる。
 しかしリカットしても優しさはそのまま、甘味というものがまるでなくて味気なくも滑らかである。雑味は揮発性の木のみ。木質も柔らかく優しい。
 次第に木のエグさも消えると、書斎の奥、一番柔らかい所に陣取りたくなる。ふつうは窓辺で煙を排出するのが良いのだが、純朴な優しさに酔って陶然としつつあり、妄想上にて優しさが更に拡大されて、部屋に煙がこもることも厭わなくなる。
 更科粉のように微妙な粉挽きの木のコクに花が咲き始め、蕾が点く。花が先で、蕾のほうが後である。粉が幽かにカカオがかっている、非常に薄い水彩画の、塗り始めのような色で、塗り始めは何でも傑作をうかがわせる。
 樹液の染みの風味も出てくるが、痕跡の染みであって、樹液の甘さがない。カカオや樹液というと焦茶色のようだが、味わいは白、緑、黄土色。黄土色に茶色が消えかかっている。白は淡白さのみ。この水気のない水彩画は曖昧なまま、何も形を現しそうにない。そこに絵具そのものの風味が感じられる。
 葡萄酒評論家はしばしば鉛筆の芯などを美味しそうに呑んでいるが、この絵具の香りは少し懐かしさを惹き起すぐらいの効能があるだけである。
 葉を精錬するあまり、一度洗濯機で回したような乾いた味わい。
 中盤に辛味と共にシナモンか胡椒少々が降りかかる。少し良くなるが、相変らず淡さを堪能できる心持ちの人でないと良くはないかもしれないし、そんな心持ちでもこれはそう大したものではないかもしれない。
 と大体中盤で纏めにかかるのだが、激変、しかし激変も穏やかに、長閑な景色に花の靄が立ち込める。真昼の、温かい靄で、もともとぼやけた全景であったから、花だけが靄のようにはっきり見えるのである。靄が遠景を隠さない。辛味はウィルキンソンのような生姜の辛味になりつつある。甘くない桃。この桃がとても美味しい。花が景色に溶けて桃になっている。油絵のように塗り重ねた不思議な水彩画になっている。水彩画はあまり塗り重ねると汚くなるものだと思うのに。
 一口、まだ肺喫煙可能。あくまでも淡いのだからもう心地よい。布石に始まり布石に終る。この意味不明な一文の意味が良くわかるようになる。

 箱終了
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.43g)|算出:+5|香味:+4|

 水に潜ったかのように鼻がつんとした。すると塩素臭とともにあるかのように一気に懐かしい感覚が蘇ってくる。葉の味が太い葉巻である。もっと軟弱と思っていたが、硬く引き締まって、すぐにお菓子の甘さが潜み始める。つんとした部分には日焼けの肌のような色合いがある。
 しかし次第にいつもの軽々しい木質が浮き始める。と思った途端に木から金木犀である。たいてい金木犀は木から咲く。と思った途端にスパイスを伴う濃い葉が復帰し木を塗り潰そうとする恰好になる。新緑として枯葉が生える様。ここで潜っていたお菓子が浮上し、金木犀にカスタードが塗られる。
 ハバナでは非常に珍しく、ダビドフのプーロドーロに少なからず似ているような。ハバナで一番スパイスを感じさせてくれる銘柄はパンチではあるけれど、これほどまでスパイスがピリピリとしたパンチも珍しい。冒頭の日焼けの肌のような、唐辛子に近いような熱い胡椒である。
(滅多に「胡椒」という比喩は用いていないはず、と思って検索してみるとなんと他ならぬパンチでは一度も「胡椒」と書いていない不思議。不思議というか何かの間違いだろう。今、全ての過去を訂正して、昔からパンチが一番胡椒っぽいと思います。きっといつもパンチ=クリーニング屋に気をとられてしまうのだろう。このクリーニング屋にしても、振り返って検索してみると他の銘柄に対してもしばしば使用しており、パンチの特色とは思えないような仕様になっている。今、全ての過去を訂正して、パンチが一番クリーニング屋っぽいと思います。もっと精妙に銘柄別に言葉を選べないものだったか、しかしそんな言葉に落ち着いていられるケムリの幻惑であろうか。尤もこれは胡椒なのであるし、ワインなら「シャブリ=石灰質の土壌」云々といえるところ、葉巻の葉が土壌まで調べられた形跡は知る限りない。なのにパンチはパンチの味がする。一体どうやってパンチをパンチの味にしているのか、誰か知っているのだろうか。「農場」云々という話を聞くのもべガス・ロバイナとベゲロスだけである。いったい、パンチは誰で、ロメオは何処なのだろう。これは幽霊の地縛霊なのだろうか。)
 私はロメオとはぐれたジュリエット女史であります。にもかかわらずパンチ男爵なのであります。迷ったパンチ男爵はジュリエット女史を兎に角理不尽に殴った、自分で自分を殴ったのであります。男爵には土地が無いのであり、さまよえる達人なのです。ハバナには土壌などという偉そうな物はありません、西洋に侵蝕された南米全域がそうですが、文豪フエンテスのようにメキシコに回帰する事も無いのです。まったく、土地が土地ではないのです。魚沼を失ったかのような米、米は米、葉巻とはそういうタコス一本のようなものなのであります。強いていえば酢蛸といっても別段強いられたことになる物でもありません。百歩の百分の一である一歩譲ってまあ酢蛸でも良いでしょう。酢蛸に関しては正しい、しかし間違えました。魚沼の米を食べて魚沼の米と指摘するのはパンチをパンチと指摘するよりも難しい。わかることばかりです! わかりたくないことばかり! しかしパンチの土地が何処なのかはやはりわからないのです! 何を書いているかおわかりですか、これは文学とケムリの戦争なのですよ。だから駄目なのです。
 それにしても念仏を忘れて初心に返るほどスパイスが美味しい。初めてパンチを吸ってみた時に期待した味わいが此処に実現している気がする。木が戻ると金木犀が再度咲き、木に因り軽くなっても、スパイスだけは段々強くなる。花が溢れカスタードの甘ったるさが再度乗ってもスパイスの効果でスーパードライを維持する。金木犀も凄い。木が基調らしいのに、いずれも軽々しい木を塗り潰してくれる。
 こういうスパイシーな物は珈琲に合う。深煎りを濃く淹れた甘露っぽい珈琲に。
 ただ絶顚も八合目で寝泊まりする。
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.24g)|算出:+1|香味:+2|

 ERでも一筋縄にはいかない。サンクリストバル(またはべガスロバイナ)によくあるような、揮発性の木のエグミが出た。こういうエグミは寝かせて消えるものなのだろうか。十年もあれば消えそうな気がする。十年など無いに等しいが、クローゼットの中を調べたら九年寝かせた『十年熟成麦酒』が出てきた。
|7.6 x 49|cigarOne|$96/5|重量:+1(16.00g)|算出:+3|香味:+3|

 これで我が家のダブルコロナは全て無くなった。パンチとオヨとサンルイレイとルシタニアスとオーパスⅩを5本並べて悦に入ったのも束の間。
 このパンチのダブルコロナは5本購入し、今日15ヶ月で5本目。

 最近はクラシコスを三連発したから厳しいが、クラシックラインでしか得られない魅力もあるはずという優しい考えである。それに久しぶりにブルームの目立つ一本である。
 それが、着火するとクラシコスにそっくりであった。だがもっと、ぐっと来る懐かしさがある。これはいい。トンデモ理論によれば、葉巻なんて、温度や湿度よりも、「いかに懐かしさを多く作れるか」が肝なのである。ERばかり食べる事によって、たとえER自体が美味しくなくても(美味しくても)、懐かしさへの窓が一つ増える。それでこうやってクラシックラインに戻ってくるだけで窓が開く。……本当だろうか。たまたまこのダブルコロナがアタリだっただけではないのか。
 優しい濃さがずっと続いている。私にとってパンチは「クリーニング屋」とか「丸刈りのように円いスパイス」で、このパンチ特有の印象か、ほんのりと甘い優しさが濃い。けっしてカスタードクリームなどを供さずにクリーニング屋に留まるところも良い。微かにピリリとしてきたりするのは愛嬌の良さである。
 これはまぎれもなくハバナ葉というよりパンチ葉である。
 以上が序盤で、このまま変化しないで終ってくれても良い。変化したってろくな事にはならない。金木犀が咲いて、結局カスタードクリームのようになってしまいかねない。大体葉巻が金木犀に似ている所為で外で金木犀が咲いても毎年この時期があまり懐かしくなくなってしまったのである。
 実際にそのようなものが濃くなりつつあるのだが、此処で丸刈りのスパイスが功を奏するのである。「元気でいてね」と別れて、十年後に会った友が何ら変わっていなかった、そういう感動に近い。現実にそんな感動を得た事はないが。友は確かに凛々しく変わっているのだ、だが未だに丸刈りを持しているのである。というにはあまりにもネガとポジのように(?)反転している。もはや丸刈りではないのだ、だが丸刈りなのである。
 後半減衰。
 優しかった人が皺苦茶になり青い歯茎を現す。
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.43g)|算出:+3|香味:+3|

 むっしりしてソフトな、完璧な吸い込み。吸い込みの感覚はこれまでの葉巻で一番良い。
 パンチといえばクリーニング屋を思わせる香に始まる。クリーニング屋が料理屋のように美味しく匂う。そこに柔らかいスパイスと甘やかさを伴う旨味が乗ってくる。パンチのスパイスは兎に角柔らかいが、なんと言って良いのかいつもわからない。ウサギのツノのように柔らかい。クラシコスなので輪を掛けて柔らかい。
 エリック・ボルドレのシードルを開封。コルクを焦がしているのか、アンティーク調で恰好好いコルク。発泡が弱く、少しキレが悪く、林檎が拗ねたような、苦くて深い感じ。林檎が老ねて、苦味が拗ねているか。試飲した瞬間葉巻に合いそうと思ったので葉巻を合わせても、淡い葉巻より濃い葉巻のほうが合いそう。これは淡い葉巻なので、合うという感じはないが、互いに邪魔もしない。こういう時は実は合っているのかもしれない。
 花はしばらく無かったが、花もが淡く乗ってくる。その後はなかなか扁平である。扁平であるが荒野ではない、まったく、家の近所に地平線があったとでもいうような感じである。そうやって扁平な近所を散歩していると、時々見慣れない植物、というか無視していた見慣れた植物に気付く。すると突然地平線へ向けて草が一瞬にして真夏となって生き出すのである。この草原には見慣れない花がいくつも生えているだろう。だがそれをこの広大な草にどう探せば良いのか。有無、花のほうからこちらに寄って来る。此処は草も見えない花盛りだ。なんと蜜臭い事か。しかもその蜜がパンに塗ったように柔らかい。そのうち蜜蜂の羽音にびびるのではないかな。蜂もなく花に囲まれるなどありえない。
 いやそもそも、知らぬ間に大量の蜂に刺されていたのである。蜜蜂の針が私に蓄積され、私は薔薇か仙人掌になった。しかも針が逆向きで、人に優しいそれになったのである。
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+1( 17.31g)|算出:+5|香味:+4|

 端から淡さと甘さが来る。とろりと淡く、軽い。この大きさでこの軽さというのは初心に返り「葉巻とはこういうものなのか」と驚くのに適している。「こんな大きいのを吸っていたら死んでしまうよ」と思っていたあの頃である。パンチっぽい円いペッパー入りのスパイスも穏やかに香って銘柄らしい特徴を落とさないでいる。
 着火前に空吸いすると高貴なキャビンの葉の香だったし、着火後も上質な葉の感覚がひたすら続く。と思う。
 一度灰を落とす頃に突如ホクッと芋めかした膨らみが来る。この一撃が大変良いのだが、これ以上は膨らまない。以後、時々、より弱く膨らんだり萎んだりする。そのようにして花の密の甘さが近付いてくる。どのようにして、思えばポリフォニーのよう。もっとも芋までは旋律の感覚がなかったが、花が旋律を誘うらしい。味気なくいえば花が旋律を癒着させるのである。だが葉巻には味がある!
 序盤で円かなスパイスに混じっていた草が終局で目立ち始める。全体の緩徐にあって、この草は刺すもののように漂う。
 更に後、初めて樹木が生え、木と花と草が三つ巴になると勾玉のように丸くなる。こうして足早なワルツになって転ぶのである。転んでは起きる。七転び八起き、七転八倒、7回転ぶのは確かだが、8がどちらなのか、その後も甘く長く続いて片目の達磨に終る。
 心地よい苦味が加わり、香味が先鋭化し、此処にきてカスタードが小気味好いカスタネットのように加わったりと、変化の妙もさることながら、終盤も相当に美味しくなったりする。フルーツなどに至らず、葉の滋味に淡いまま終始するのも良い。通奏低音というか、通奏中音の葉の香り。
 二本中二本が当り、結局は10本中4本は外れる気がするけれど、もう一箱買っておいた方が良い。優等生的なので+5にはならなかったが、優等生が+5になればそら恐ろしい。優等生が当る確率は優等生ではない葉巻が当る確率と同等だろうと思う。優等生だから+5にならないという訳はたぶんないのである。+5の葉巻など普段は+3以下の劣等生なのだから優等生は+7はいくと思う。お前は誰なのだ?
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.22g)|算出:+5|香味:+4|

 眉目麗しく暫し見蕩れてしまった。早くもキラキラと金粉が反射している(よく見れば安い葉巻でもキラキラしているかもしれないが)。
 シガーワンがERでは珍しく仰々しく謳っているが、高級ローラーというのはやはり居るのだなぁと思う。「上級工場であるラ・コロナ工場の高級トルセドール アーネスト・トレス・アルマにより巻かれた」とある。葉巻の値段の付け方というのはまったく知らないが、三拍子揃っている葉巻であるようなわりには他のERと比較して価格も安い(10%引きで購入して$247)。
 しかも着火一番、旨い。洗い立てのシャツに首を通すような、森にいるような悪くない洗剤の芳香である。草や花が早くも微妙に揺蕩しているのだろう。
 ドローもぎりぎりの固さにしてソフトな感触があって好ましい。「109」というシェイプで、トルペドよりも若干緩く窄まっている物を、細く切ったので、この後にドローは調節可能なのである。
 一口毎に段々とパンチらしいスパイスやハバナ葉らしい味わいや甘味などが小鳥のように寄ってくる、何もかも淡くて上質で、ヴェールを脱ぐかのようにヴェールを重ねる。まぎれもなくパンチの味である(と思う)し、今までのパンチで一番美味しい。(まだ1センチだが。)
 ハバナ葉らしさは土を地上の雲に変え、甘さはロメオ風の果物まで実らせようとする。
 到着日に一本試すという慣例でほぼ嫌々にして期待を込めて着火したのだけれど、複雑な心境だの気分だのに関係なく美味しいものはやはり美味しいのである。あるいは自分で気付かない美味しい心境があるのかもしれない。
 灰も美しくて落ちなさそうだったのでそのままにしていたが4センチ弱でポロリと来た。床をティッシュで拭いた。
 若干鬱勃と雑味が出そうだったのでリカットしたが、粘り着くようなドローの調子も味も変わらない。不思議な差し引きである。
 あるいは雑味とコクを取り違えたかもしれず、珈琲の風味が乗ってくる。かと思えば軽いフルーツなのである。単純に珈琲程度の雑味という事か。
 巨大だが、ひたすら淡い為、大きな変化を見せず、変化というものを尻目にかけるほど美々しく淡い為、飽きるようで飽きない。
 残9センチほどで苦みがはっきりしたりするが、更には花に畳まれて、重厚になってもふんわりとしている。実に程好い。
 パンチに似つつも、ロバイナのERに似ている。ERというのは全部こう淡く来る物なのか。

 これを一箱しか買えないなんて実に不幸。10箱も買ってしまったら400分の1が私の物になってしまう。

 「ピノ・ノワールは嫌い」みたいな事を先日書いているのだが、あれからすぐさま認識を改めていて、思えば今日はこの葉巻にピノノワールが良く合っていた。その壜が底をついて、ナパ・ヴァレーのカベルネを開封したが良く合わなかった。

 まだ葉巻は7センチも残っている。朧だった花が段々と克明な金木犀に変わりつつある。軽やかな柔らかさは維持しつつ。
|5 3/5 x 46|cigarOne|$13|重量:0( 11.39g)|算出:+2|香味:+2|

 久しぶりの一本買い。一本買いはなんだか嬉しいが、慣れというのは薄情で躊躇なく着火した。
 結局すべての葉巻に同じ言葉を用いざるをえないような(同じ言葉を用いた方がわかりやすいかもしれぬ)微妙な配合のバランスでしかないとは思うが、言葉冥利なのかどうか、言葉冥利であれば言葉に窮するが、やはり各銘柄にこれといった特徴がある感じは否めない。
 パンチには何故かラムネとか水鉄砲とかそういうイメージが浮かぶ、懐かしさを伴って。駄菓子という感じではないのだが。大雑把にもほどがあるが、料理でいうとスペイン料理というか、白い壁が合うのかもしれない。それもどうして南のアンダルシアではなく、もっとスペイン北部の感じなのである。一体煙の定点を何処に持って来れば良いのだろう。定点を用いれば、定点は嘘になってしまわないか。
 料理も大雑把な料理で、スパイスが不思議である。スパイスなんて世界共通のようなものだけれど、インドとか東南アジアのスパイス中心主義みたいなイメージはまったくない。(あまり関係ないが、ポルトガル料理がパクチーを使いまくるのに困った事がある。旅行者はお気をつけ下さい。)
 パンチらしい穏やかな蒲鉾型のバランスはパンチのパンチパンチでも崩れず、革はつや消しの味わいを纏い、甘さもあり、草花がささやく。
 中盤で突然薫りの絶頂がやってきて、この絶頂もパンチ的であった。絶頂というのは花の満開の事なのだが、花弁の一枚一枚に春菊が張り付いているのである。パンチ的なスパイスがパクチーの思い出と相俟って春菊に化けたらしい。
 パンチパンチにパンチがあるかというと、これまで二本しか知らないが、強烈なストレートやフックやアッパーはなく、おおむね軽快なジャブである。軽く打たれるような小気味好さがある。
 パンチパンチや小型拳銃で打たれるようなマグナム46こそは世界的に箱買に適しているだろう当然だろうというある種の憧れを抱く。賢い消費者への憧れだと思う。
 アタリではなくむしろどことなくハズレに近かったが好感触ばかりが残る。終盤もピリ辛ながらになぁなぁだったのに。パンチのパンチパンチパンチがいずれ出るだろう。私はイカレポンチやぼんちおさむの方が好きだがね。

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