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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

|thecigar|CHF 130.00|2020/3/17・arr 3/25|
|不明|5.12’ × 55|重量:15.87g|香:3.0~3.8 ave3.8|残0|

 時事を抜きにできれば逸楽のお正月ももう四日だ。相応しい煙はないかと考えあぐねて思い当たる。 〈Maravillas 8〉の箱のベロアを脱がし、隙間に一本だけ仕込んでおいた葉巻を取り出す。

 序盤から安定している。何が、といわせることもなく。静かさの調和を乱す何物も雰囲気もない。広大な無風スポットにて、賑やかさが感じられるのは遥か彼方だ。美味しげなものは地中を通ってここの地から染み出してくる。漏斗の中心である。賑やかさのお裾分けというのだろう、だいぶ濾過されて洗練されている。しばらくしてポポーを思い出し始める。これもわりと長く寝かされたものだ。
 柑橘のようでいてバニラのような、形のない果実の香に濃淡あれどほとんど淡く、ますます形を消している。
 終盤を告げる豊富なスパイスの辛味が幻の果実の劇場を閉じようとしている。なぜ豊富なのかわからない。辛味は単純ともいえ、幾百種の豊穣売り場はやはりずっと彼方にある。しかしそばに漂う。
 劇場を閉じることで劇場をあらわし、なお幻を高める技法に不思議な味の濃さを感じた。我に返ると幻の金木犀が立っている。
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|thecigar|48.00CHF/5|2021/12/12・arr 12/30|
|―|129mm × 42|8.97g|香:3.5~4.0 ave3.8|残0|

 はなからガツンとハバナ風味が来て粗野で美味しいが、やはり手に取りやすいラインには高級ラインにないシミ臭さがある。
 それでも美味しい。金木犀が芬々とする様が麗しい。従来抱いていたロメオとは異なり、淡からず、濃く正道を行っている。濃くともほかに飾り気がないのがロメオらしさか。
 木や土より皮とナッツが厚く、あくまでも渋く濃いメレンゲを味わわせる。変化には富むしクリーム等もあるのだが、常に無香味のミネラルの清潔さが宿る。

 この缶シリーズはほか二品も燃焼し尽くした。どれもなかなか良い。
|thecigar|48.00CHF/5|2021/12/12・arr 12/30|
|―|129mm × 42|10.39g|香:3.5~3.8 ave3.6|残4|

 これも皮の厚い香ばしさ。ROMEOのこの缶は「king club」という名称ではあるけれど、PARTAGAS缶は「capitols retro」、UPMANN缶は「regalias retro」でどちらも「retro」の文字が名称にあり、缶シリーズで風味を揃えているかもしれない。皮の厚いような味わいがレトロ調であるのかもしれない。
 ロメオのみには花がぼやけて揺らぐ幻想がある。ロメオのこのパターンはいつも不思議で、没個の旨味なる存在を教えてくれる。嫋嫋としながらどうしてか旨味を欠かず、三強ブランドと他ブランドの紐帯ともなるようで、他より三強に近くも感じられるのである。
 これも昨日のパルタガス同様でドローは芳しくない。
|La Couronne| ($496+$36.84+¥10,700)/8=¥8,700|2020/1/17・arr 1/28|
|ATE SEP 19|6 1/8 x 55|重量:19.46g|香:0.0~3.0 ave0.1|残5|

酸味がかった白木に始まる、いかにもロメオなる軽さと薄み。
ドローが……。
すぐさまドロー問題は顕著となり、延々と煙が来ず、先っぽの火種から風に流れるばかり、根元まで続く。

あまり使いたくないのだけれど、ここまでの詰りになるとパーフェクドローを突っ込むべきだった。しかし、怪しめど着火前に突っ込むには判断力不足で、現に一口目二口目はちょっと啜ることが出来て美味しく感じたものだった。

ドローを完璧に作るトルセドールにこそ名誉を与えて欲しいものだなぁ。
|cigarOne|¥14627/7=¥2090|2018/11/20|
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:15.39g|香:3.6~4.1 ave4.0|残0|

 どこまで純然たりうるものなのでしょう。まるで消毒したプールのようです。かくまで洗練されたマントがあったでしょうか。荒野感皆無、男性用の香水臭さも無いですし、無臭のブティックのようないい匂いです。匂いが無臭を思わせるという藻のない湖です。
 ビショップマンたちが6日連続で来たのですから、違いは瞭然です。



 今日のビショップマンもすぐさま帽子を取りました。どうもこの人は赤衆のなかでも難しいらしいのです、変化は純然たる様を汚すものでしかありませんから。ガラス工芸作家の苦悩に近いものです。葉巻も同じです。
 実際、ものすごい片燃えで雑味が荒ぶります。湖に公害汚染物質が流れ込んでいるのです。
 1分ですんなり片燃えが治りました。どういう技術でしょう。何げない僕の技術だったら嬉しいです。僕は「そこをそう吸って、そうそう、そこをそう吸うといいよ」と言ってあげたのです。

 →1分後→ 

 ああ、また甘やかな湖の中央に戻ってきましたよ。スイス湖畔のブティックを離れてひとり漕ぎいでな。
 水のほかに泡も浮かばないのです、水に浮かんでいる、雲が水に沈んでいる。すべては水に沈む。こうして雑念にかまけていたら、空が無いことに気づきました。すると空側にあったロメオさんも消えていました。

 ビショップマン赤衆の置き土産。



 赤衆ではパルタガスさんとロメオさんが頭抜けているように思えましたけれど、レモン等も面白くはありました。今日は重厚なパルタガスさんとは対極の静かな才能を感じました。どこまで静かになるのでしょうか、静かさを壊さない華やかさとは何か、興味が尽きません。興味が吸い込まれて消えてしまうこともありそうです。

 ビショップマンはそれぞれの一族の精鋭ですが、改めて全ての一族の傾向が掴めた感じが致します。
|La Couronne| ($496+$36.84+¥10,700)/8=¥8,700|2020/1/17・arr 1/28|
|ATE SEP 19|6 1/8 x 55|重量:18.10g|香:3.5~4.2 ave3.8|残6|

 高山植物を思わせる草が甘やか、ズブロッカの壜を見つめるような感覚で、それがやはりクリスタルめいている。ハバナだから勿論ハバナ感はクッキー風味程度にはあるけれど、ロメオらしく希薄で、この希薄さも空気の薄い高山に導くらしい。とはいえ茶褐色に酸化した液体に特有の旨みのようなものがあり、そこに、カフェオレに氷が浮くように丸みを帯びた白いナッツが温かく浮き、マカダミアの旨みのようなものも生じてくる。草は硝子の中で依然ぴんと張り詰めている。
 この葉巻の美味しさは、トリニダッド系といおうか、迫ってこないので、追っていく必要がある。ただ前回見えた異様な甘みは今回は感じられない、それでもなかなか甘い。
 と思ったが、突如歯の裏に水飴がくっついたかのようにまたも異様に甘くなった。歯も唇も水飴でコーティングされていく。無色に澄み渡った爽やかな翠香のある、べったりした透明な甘味。
 この不思議とこってりした清流に杏仁豆腐が流れてくる。その豆腐は石の重みであるのだが、清流の方が比重が重いらしく、軽々と運ばれてくる。いつの間にか、また私は小舟に揺られてしまっているのだ。杏仁豆腐がどんぶらこどんぶらこと舟を掠めてゆく。見た目は軽いが、手を出せば危険で、近づいた時のほのかな香りを楽しむだけで、安穏と手を引っ込めておかなければならない。欲張りは死の元だ。
 すっと景色が消えて、後は無の調子が長い。
|La Couronne| ($496+$36.84+¥10,700)/8=¥8,700|2020/1/17・arr 1/28|
|ATE SEP 19|6 1/8 x 55|重量:17.31g|香:4.1~4.6 ave4.5|残7|

 今年最初の購入品。高かった。
 某葉巻屋のお知らせで正体不明の一目惚れをしてしまい、あまりに高額だったため、安く売る店を探した。レマン湖の畔に二割五分引きの品を見つけたものの、いろいろな加算で結局のところ高額な物は高額である。
 写真で見る華美な箱の中身はチャーチル系に毛が生えた程度の物なのかもしれないと怯えつつ、意外や写真ほど華美に感じなかった箱を開けて着火してみると、美事、最初の千里眼、一口目で甘さ滴る。

 若々しい辛さもありながら、甘さも辛さもクリスタルの湖のように純で、果てしなく、小舟の揺れに身を任せつつろくろっ首のように舟縁から顔を覘かせたりしていると、底知れぬ底辺りに花の揺らいだのが見えたりする。湖面が細やかに揺れて花を切る。このままドボンして湖底探検に至るとあれば常套すぎる。
 そのはず、クリスタルの表面は人の侵入を阻害し、甘さ既に湖面上にあって湖面上に金縛る。硬質に切り切りした辛さは沈まず、ハバネロを立てる湖の同じ表面に、葉の形も純で、半永久に凍結しようとする眠たげな落葉が無理に解凍され目覚めた鮮度を感じ、未だ焼けず氷に篭ったままとも見える美しさである。
 辛さが丸く切れると、前後してインカの湖のスパイスが香り、一刹那の間に甘露を吸収して心地よく甘たるいスパイスとなる、と矢継ぎ早に純生クリームが相乗する。
 湖辺から香るのか、木犀は赤みのない黄色で、純生クリームをカスタードに変える卵は黄身が白い。グラス草は窒素冷凍の速さでもとより蜂蜜化とクリスタル化をして饗される。兎に角、ここまで、甜菜糖を焼いて融かしたシロップが、うっすら雪景色のように満遍なく積もったようである。温かみのある雪の甘さが不思議で、焦げを知らないようで、いつまで焼いても只管融けるだけで透明なままの甘さ。湖天は晴れて甘雪。
 この得体の知れない甘雫は次第次第「驚」に変るほど安定しているものとわかり、透明さゆえ不審な点が一切見当らず、なにかで濁るとも、濁りもみな透明な甘さを湛える。濁りも明るく透過し、粉を覚えず、形を崩さず、鮮明で、氷の中のように新鮮である。これは濁りなのか。
 灰は脆く笹くれ落ちて舟底をよごすものの、灰の美しさなどもとより不要なのであったろう。「灰」の美しさというのは、灰ではない物の美しさの喩えなのであったろう。
 もし1ポーションのフレッシュクリームがこの湖に渦巻けば架空のポポーが完全に実りそうである。
 水筒の中身は緑茶。いつもは、緑茶にしても、増して紅茶など、イガイガしさを増やすばかり(ダージリン好みなら尚更)だが。飛魚が舟に跳ね入るわけもなし、肴は疾うに論外として、今日はアルコールもいけない。香味の強い液体を純な湖に垂らせば混ぜるな危険をおかす愚の骨頂となり陶酔に自ら水を差す行為である。水を飲むのは良い。それでも、薄薄危険とは思いつつも、ちょっとした好奇心で美酒を垂らしてしまうものなのである。そろそろ好奇心を消し去っていて良い頃合いに居たのではなかったかと自戒するが、不思議な湖が存する限りまた同じ過ちを犯すだろう。アルコールの物理的な酔いも悪く余計な陶酔をもたげる。しだらない朦朧体より、正気に見る幻影が艶やかである。アルコールはその苦味が白鳥を食う烏のように目立ってしまいもする。
 重い物が浮く幻影なら知っていたが、今日は軽い物が重さを重ねるように感じる。ようやくの湖底探検に至って舟ごと湖底に沈むのか。重さの姿は消えている。
 衰え兆すも船酔いなく景色明媚なまま。
 この馥郁たる甘露は異常世界よりも白昼の妄想によく似ているのである。


 ロメオの持ち味を殺さずに最良化された、ロメオ版のBHKのようだった。ハバナではここまでの高価さを信じて良いらしい。

 思えばレマン湖の畔から取り寄せたのであった。事前にGoogleマップで探索すると、風光明媚な場所にある夢のような店舗で、どうしてもこの店で買いたいと誘われた。路地を挟んで向かいのホテルに泊まりたいとも誘われた。バーコードのところが切り取られていたり、記載悪で税関で箱を開けられたり、箱が大きすぎて緩衝材の処分が大変だったり、誰がやったのか箱がテープでミイラ化されていたため開梱に30分を要したり、数々問題もあるのだが、葉巻の品質には美しい湖を感じるばかりなので、後日さっそく2回目の注文をした。注文番号の差から単純計算すると、毎日かなりの個数を捌いている世界的に人気の店舗らしい。
|gestocigars|152CHF/10(24CHF/10+¥2200/10)|arr 2019/9/4|
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|14.27g |香:3.6~4.4 ave4.2|残5|

 この熟成葉巻は購入当初からもう力強さが乏しいが、今日は力強さが改めて湧いて出てくるようなところがある。中盤で微かにその力強さを感じた途端、金木犀が噴き出し、金木犀は以後まったく枯れぬまま、金木犀に何らかの甘美を差したり引いたりし、金木犀主体として続く。力強い辛味がまた現れたり(辛味はキレが良く、いつも瞬時に消える)、洋酒や上出来な醸造酒のエステル香にも通じるアルコールを髣髴とさせる芳香が現れたり、カスタード状の滑らかさが湖底に透かし見えたり、雑味はすっかり洗い落とされ、延々美味しいものである。どことなく静けさを纏い続けているのも熟成物らしいというよりロメオらしい。そのうち湖底にポポーが実るかもしれないが、現在この葉巻に森や緑の感覚があるかというと皆無に等しい。思えば藁などの風味も感じ難く、土や木の風味こそ戦ぐものの、ひたすら静かで華やかである。絵画でいえば全面モネの花っぽく思われ優しさで覆われ、同じく顔に泥を塗るような隠れた刺激を持ち合わせている。
 この一本でまざまざと現れた「金木犀と辛味との関係」に興味が湧いてくる。焼いて甘味を増す葱のような関係があるのかもしれない。兎も角味覚上、素晴らしい煙で、辛味は終盤で頻出し間断なく連続するようになり、葱や大根に通じる辛味が黄色の花々で塗り込められ、最終盤に至ってなお抜群に美味しい(辛い大根おろしを食べた後の紙巻煙草の美味しさにも近しい)。終盤で吸い急がせるようなところもなく、忘れ得ぬ一本となりそうである。

 全然関係ないけれど、ハンマースホイの展覧会が来年年初にある。忘れないように此処にも記す。
|gestocigars|152CHF/10(24CHF/10+¥2200/10)|arr 2019/9/4|
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|15.61g|香:2.9~3.1 ave3.0|残6|

2本目重量=16.55g
3本目重量=14.45g
4本目重量=15.61g(本日)

 もう割とたっぷり寝かせてある物なので、躊躇なくどんどん着火している。
 何か「おいしげ」というか「おいしいサラダ」を食するような序盤。つまり緑多く、クセの少ない香草がかろやかにてんこ盛りされ、少しナッツ類やハムも鏤められている。「ハバナの序盤」らしい懐かしさ、慣れえぬ懐かしさがあるのだけれど、それがどうしてか今日は懐かしいというよりも「おいしいサラダ」のようでおいしい。所詮サラダだが。仄かな酸味あるクコの実大の赤い実や、何か色々十種の野菜でも出てきそうなサラダである。サラダサラダと思っていると、観念の悪戯か煙の変幻かトマトジュースまで感じられるようになってきてしまい、大変だなぁと思っていると、ふりかけ程度だったはずのナッツ類が幅をきかせ始めサラダが終るかに見える。
 ナッツのキメ細やかさはきな粉なのかなぁと考えていると何かアルコール感が萌してきたので、悪しき「揮発性の木」の出現を恐れる。しかし妙に色気のあるアルコールで、セメダインを通って、シンナーの酩酊ではないものの、幽玄の花を加え、更に濃く花に進めば半ば凡庸というところエステル香に至る。洋酒の風体にしてナッツは樽香もどきへと変り、レモンがひとしずく垂れる。「ハバナの序盤」にも似たキウイのような、分かる人には分かるであろう接触不良音のような味が微かに。それでも「美味しくない」という方向へ針は振られない。反対に此処でついに甘い蜜を抱えた花が咲く。あるいは蜜の中に花が存するような。それでも軽いロメオのこと、加えて寝ぼけ眼の熟成物だから、蜜の濃さも気紛れで、金木犀の満開に寄るか反るか未だ分からないところとなる。と此処で金木犀というより金木犀風味のカスタードの練り感がうっすらと柔らかい姿をとり始めるのである。練れば練るほど形が無くなる。

 『此処で森林に浴し、ポポーが実れば正解である。』

 ヒノキの香りが漂って、森林で檜風呂に浸かってしまった。露天風呂よりも、ポポーが必要であるのに。しかしながら露天で金木犀が秋の風情を高める。これはこれでさすがに素晴らしい。「金木犀を好むればすべからく葉巻を喫すべし」という阿保な言葉が昔からあるはずのところである。
 終盤はパルタガスのように猛然とするが、さすがに伸びず。
|gestocigars|152CHF/10(24CHF/10+¥2200/10)|arr 2019/9/4|
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|16.04g|香:3.0~3.5 ave3.2|残9|

 何故か送料無料で発送された。今後課金されるのかもしれない。(後記:初回は断りがあったのですが、2回目だったからか無言で24CHF課金されていました。)タバコ税は156g表記。関税はぎりぎり免れたよう。

 臭みなく無臭でもない、ほどよくあか抜けた香り。着火前の香りを楽しむ場合の対象はこういう物なのだろうとわかりそうになる。たぶん永久にわからないのだが、イメージがまさにこれで、葉巻を嗜まない人にもわかるような感覚だと思う。妙にそそってくるようなところもなく、ロッキングチェアーにて落ち着いて嗅ぎ続ける人がいる。

 吸い込みはリンゲージ55にして堅牢で、難敵らしい。アホみたいに図太い葉脈が何本も入っている。一本ぐらい抜きたいが、ぎちぎちなだけにビクともしない。長時間無駄な格闘をして諦めると、なぜか吸い込みが良くなっている、こんなの初めて。

 懐かしい辛さと懐かしい一口目の緊張香がある。余計に懐かしく感じるのは、それらが単に弱まってもいるからだろうか。
 それから古典的な佳い味わいを期待させる素直なハバナ香があり、上級ブランドの特異さも下級ブランドの荒さも中級ブランドのどうでもよい特異さもなく、かといって香味チャートの中央に位置するでもなく、無個性の個性というのも憚られ、実の住所は極めて端っこに位置しているのかもしれない。
 同じロメオ町内でもときどき強い家があったりまったく弱い家があったりして、へんてこな家が犇く町内だが、すべての家で匂いはどこかしら似ているのかもしれない。いずれにしても『チャーチル系のダブルバンド物』か『エキシビジョン2種』の香味がシンボルなのではないかと思う。

 私が探しているのは偏にポポーである。ロメオの熟成物でのみときどき実るらしい。

 全体的に薄いが、葉の味わいの品質は素朴にして高そうで、カスタードやキュウリ(キュウリは嫌い)など変化も多彩ときて、薄さを抜きにしても他の葉巻とは味が全然異なる。この調子でいくとポポーへの期待値は無ではない。花咲く。

 ポポーの収穫には1年遅かったかもしれない。

 ラム酒を舐めたからか、洋酒入りの乾いたパウンドケーキ。薄いので酒が勝っているようである。それから緑色の何か、この緑はケーキあればミントに見え、普段は雑草、甘い金木犀あればキュウリに見える。

 ナッツ系の芳ばしさとコクが投じられ、ケーキを濃さと湿りで満たそうとする。ややコイーバを思わせる苦味。この時点でこの葉巻は完全に美味しい。ケーキの色が焦茶系に変じる。ついで金木犀もかなり芬芬とする。
 コイーバ香が若くしては出ないのだったら、この熟成はこれで良かったのだが、やはり薄さはある。

 終盤に図太い葉脈を一本抜いた。
 雑な苦味が増し、優雅な香味もなりを潜めたが、パーフェクドローによる掘削よりも味の乱れ少なく、煙量が増えて味の薄さはけっこう改善された。

 最初の格闘のせいで頭に亀裂が入っていて、最後はラッパーがばらけてしまった。

 香味を除いた全体の傾向としてつい先日のロバイナに似ている。点数がまったく同じ。
 最初の一本で今のところ掴み所がないが、掴むべき棒が何本か生えている気がする。アクロバットが生えているのか。

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