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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

|coh-hk|$141.10/25|2012/4/21・arr 4/27|
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|重量:15.80g|香:2.9~3.2 ave3.1|残2|

 十年物。忘れたように長く寝かせられるのは、この葉巻に魅力がないからだとも言える。しかし待ちに待った十年、この葉巻は十年で花開くとされている。箱の中のパラフィンがかなり茶色に染まり、めくると、忘れたとはいえ少しずつ減っており、3本しか残っていない。満タンで寝かせることはできなかったから、味は薄まっているかもしれない。

 カットすると虎柄のように黒い葉が詰まっている。ドローは悪い、ぎりぎり。
 しみじみと優しい木の香り。
 揮発性のエステルの青い果実少し爽やか。
 うっすらと甘やかな景色に変わる。まろやかな水彩画のクレープ。景色ももちろん淡い水彩。
 他に何もなく穏やかに一日が終わる。しみじみと長閑だった。
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|coh-hk|$141.10/25|2012/4/21・arr 4/27|
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|重量:14.62g|香:3.0~3.2 ave3.1|残4|

 11ヶ月ぶり、九年物のフアン・ロペス、目標まであと一年、残4本。

 計量するとロブストとしては重すぎ、カット後に空吸いしてみるとあからさまなドロー難であったが、あえて着火後に掘削機を使用した。
 何回掘り進めただろう、なかなかドローは改善されず、随分掘り続けて大量の葉を排出した。掘削機(PerfecDraw)の鉤に絡め取られた葉脈なども出た。掘削機様様だが、強度のドロー難ではすんなりとはいかない。(下画像は苦戦の結果)


 味はまずまず、九年を経て、依然魅力ある銘柄に化けるでもない。
 掘削機の先端が達していた部分に火種が差し掛かると急激に辛味が爆発した。

 爆薬が落ち着くと、いずれにしてもフアンロペスらしい悲しげな味わいで、ちょうど最近試していたニカラグア物によく似ていると思う。ニカラグアが近づきうるハバナはフアンロペス辺りで、フアンロペスはハバナの端っこに位置している、こういう位置感覚が浮かぶ味わいである。豊穣感のない木質で、更には小便を引っ掛けられる木のイメージ。小便は最近のニカラグアにはなかった特質だが、ハバナの美質とも感じられない。
 掘削機の使用で味わいが変ってしまうらしいのだが、基本的なフアンロペスの味がわからなくなることは多分ないものの、急に辛くなったり、掘削苦戦中には空気が熱くなったり(葉巻を揉むことで解決するとしても、揉めば再度詰まるから、揉んでも詰まらないほどに掘削を進めることでのみ解決する)、安定感に欠けるようにもなり、また変化の妙も失せるらしい。
 着火前の掘削なら弊害は抑えられるかもしれないが、その場合排出されるのは粉だから、掘削に時間もかかるし、粉の処理が大変となる。

 熟成の楽しみは消沈し、掘削機も万能でない、後者の方は何か名案を閃かせる必要がある。使用法としては、掘削機を回転させながら抜き差しする方法と、回転させずに抜き差しする方法の二つが今のところある。
 急に辛くなったりした部分は、よく考えると面白く、葉巻の理解に繋がりそうである。
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(?g)|算出:+7|香味:+4|計11点|

 そろそろだ、そろそろ来るのだ。9年も待った。ひたすら待ちつづけた。
 待ちつつ、ちょっとつまんだのか、6本しかない。
 本当は10年待たなければ待ったとは言えない、つまりまたつまんでしまうのである。
 もう一年ちゃんと待ったとき、5本しかないと言えるのか。
 まあ良いさ、ひたすらもう待ったのだから。待ち終えたと言って良い。
 粉に火をつけた。
 これは実に粉のような質感になっている。
 きな粉のように細やかな肌理の完全な木質。明るい白木でありながら軽く煎った風味と、甘味を抜いた黒糖の染みが隠れている。出てきなさいよ、草の中から。
 草の中から草が出てくるのかもしれないし、そもそも草は前景にはないのかもしれない。
 ベルギービール(アルヴィンヌ・ランド・ヴァン・モルターニュ)で甘味を補った途端、花が吹き出す。花と飲み物の因果は不明、ビール抜栓時にしばらく葉巻を放置した為に咲いたのかもしれない。
 染みは安っぽい味噌の染みか何かだし、甘味の不足等で味気ないが、木の質感が全てで麗しい。そこへもってベルギービールが不要とも超絶のマリアージュともいえる味を注ぎ足す。強烈に花も咲いて、それは桜や金木犀のように確固たる花ではなくて雑草どもの花かもしれないが、美事、壮観である。ホップ強烈系(デュベル・トリプルホップなど)のビールに合わせたら雑草感は別種の壮観を呈するかもしれない。
 次第に、花から蜜の甘さが滴ってくるような。
 待った甲斐がある。
 10年待って、無くなって……もう一度一箱買って10年待つというのは、滝行が霞むほどの地獄と見えて、もうこれを箱買いすることはないだろうと思うけれど。
 そうこうつまらない考えを弄するうちに花がポポーのバニラ風味を帯びて舌に嬉々と乗って来る。
 大吟醸以上に吟醸香が炸裂する吟醸酒、安いのか高いのかよくわからないおかしな酒に似ている。いかめしく老ねた枝垂桜を思わせる。
 大切に熟成させた物からは大切な味がする(クーラーボックスに入れていました)。人間だって寝るだけで深みが増す、経験なんて眠りのほかにいるのだろうか。夢しか知らないその人間の夢はどう成長するのか。
 煙は、吸い込んでも紙巻ホープほどの強さもない。それぐらい枯れているのに芳醇さはホープの50倍は軽い。芳醇といえば重い印象もあるのだが、ひたすら軽い。
 七味の味を解析するに、七味が見つかりました。最近買った京都の八味には十品目の原材料が書かれていた。ハバナ葉は結局一品目が見せる夢なのだろう。今日は素朴な夢だった。
 ビールの味は壊されていた気もする。
 9年と思っていたが、未だ8年だった……
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(12.47g)|算出:+5|香味:+3|計8点|

ラムネでも齧っているような風味、幽かな甘さ。
薄く、木とも革とも土ともつかないハバナの風味。藁でもなければ苦しみもなく、寂しさも喜びもなし。金木犀の咲かない時節に金木犀の咲く時節の温気を感じる天気のような、幻覚に満たない現実の風味である。(今年にぴったりで、今年は八月下旬に金木犀の幻の匂いを感じ、九月下旬にはさほど金木犀が咲き誇らなかった。)
ピリピリした心地よい辛みの刺激。
やや緑がかったもやしの味。
ややカスタードクリーム風味。

もやしから花が咲く。最初はもやしの花らしい花が咲き、やがてはおかしな花が咲く。もやし畑が菜の花に。西日に輝く菜の花畑に。西日を背に東へ向かう。
成る程、輝く菜の花よりも、最初のもやしの一輪がおかしいのである。もやしといふものがこの葉巻の畑に寂しげな品格を根深く植えつづけている。寂しくて、寂しくないのか、寂しくなくて、寂しいのか。
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:(--g)|算出:+5|香味:+3|

 これは本当に寂しい葉巻。寂しくない時には寂しく、寂しい時には寂しくなく染みくさい。特別美味しい物ではないけれど、根元まで寂しく、寂しくない。
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(13.28g)|算出:+3|香味:+2|

 灰が落ちた、その前に。
 塩の味わいが確実にある。その前に塩というものは結晶となって果実の代わりに実る事は無い。濃い蒸した木の匂い。真夏の松林のような。松林は真夏でも地面に陽が届く。そのまえに広葉樹の葉が天蓋を覆っていないからだろう。目の前の松林は天も風も抜けているのに、あまりにもの湿度の高さがあり、松脂がもだえて枝から氷柱のように滴っている。その前に、松林で拾った葉をその場で丸めて吸っているような、しかし松の葉は丸めるに適さない針型で、この林に他の種の樹木は植わっていない。
 その前に、松脂は表面こそベトついているものの、折ればポキッと折れて、中は乾いている、氷柱が乾きものででもあるかのように。その前に、この林もその前は冬だった。その前に、松林というものは一体に盆栽のようなものでなく、無数の松が凡庸に一律に直立し、赤松の赤が光を蒸して全域が夕焼を待たずに薄赤く染まっている。その前の赤く剥がれた樹皮と赤く枯れた針が地面にも堆積している。その前に、目の前の松林を歩いてもうぐるりと林の中央に立っている。もっとも、中央が何処だかわからないほどの広い松林である。その前からフアンロペスの葉巻はこういう切ないような人工的な自然の景色なのである。その前のと比べると蒸した湿度感と林立具合が違い、時に木が一本しかなかったり、0本だったりする。それぞれハズレではなく、葉巻が何本でも木が何本でもひたすら淋しいのである。その前に赤と錆と淋しいとを掛けたのかもしれない。その前から、赤というより錆朱といった方が色味が正しいかもしれなかった。その前に、風が吹いていないのに風と言ったのは、常に何処かから待つでもなく花が匂ってくるからであった。この前に待つと松とを掛けたのであった。その昔に、藤原定家がこうした待つと松とを掛ける有名な和歌をしたためていた。この前に淋しいは林なので寂しいのではなかった。そしてその前に三水のように涙のように蒸篭で蒸した松脂が蒸して滴ったのである。定家がしたため、松脂が氷柱のように滴ったのである、夏に。
 まさにその前に、着火前のこの葉巻はオーパスⅩに次いで良い匂いで、まるで塩が利いているかのような濃い匂いがする。その前に、次に蒸風呂というか、語感では蒸風呂だが、サウナの香がし、匂いの温度と湿度が高い。その前に、サウナとウナコーワとは似ていて、林にはウナコーワが必須であった。その前に、蚊は松のような針を備えているからである。その前から、まるで塩味までもが匂ってくるような濃さである。その前にこの葉巻は13.29gもあった。その前は13.28gと書いているが。その前に、松葉の針は、13.28gが思わせる吸い込みの悪さへの串刺しの不安であったのかもしれない。不安とフアンとを掛ける計量の前には風呂に入ったのである。風呂の前には死んでいた、という事は無かった。風呂の前にこれは下手な文学ではないからである。計量の後には風呂に入らなかったが。つまりその前に……
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(13.42g)|算出:+3|香味:+2|

 約二週間空けて二本目。
 木が空気に変わるまでに丁寧に挽き続けたコク、土とも空気とも区別がつかない。コクのものとしての苦味が、或いは土のものとしてある。花なども来なくはないが、ミツバチが花に近づくというよりは、花がミツバチに近づくようで、この葉巻特有の群を抜くシンプルな静かさを毛羽立てたりはしない。甘さも、微かなハチミツが遥か昔に土に垂れたものだ。バニラは薫らないが、それのように柔い。カカオがバニラのようなのか。
 ああしかし、これを頻繁に味わうのはいかがなものか。これを忘れるほど毎日欠かさず別の葉巻を手に取るとしても、半年は他の煙とのみ戯れたい。半年は間隔を開けたい気がする。……
 すると一箱無くすのに十二年かかる。これぞ案の定、この葉巻は十年以上の熟成が推奨されていたりする。
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(13.11g)|算出:+5|香味:+3|

 シングル買いで色々物色していた時期に一番気になったのがこのフアン・ロペスのセレクションNo.2だった。「10〜15年熟成すべし」というし、50本入りが欲しかったが、先ず25本入りで様子を見たほうが賢明だと判断した。50本入りで買ってもちょこちょこ蓋を開けていては旨味が逃げてしまう気がする。50本丸ごと10年熟成させ、そこから5年をかけて徐々に失っていくのが最良だろうから。若い者が早速そんなふうに長生きするつもりというのも変だし(私は若者というほど若くないが)、何時死の宣告を受けても不思議ではない齢の人が50本入りを買って10年待つのが似合う気がする。できればそんな人に15年物を裾分けいただきたい。

 よぼよぼな外観で、中身はたっぷり詰まり、はっきりと懐かしい匂い。特定のハバナシガーが懐かしいのか、葉巻以前の何かに似ているのか、どことなくフォンセカを懐かしんでいる気もする。素朴な田舎の納屋である。
 火を点けると、納屋に草が生え、去年の花火などが湿気っている。この花火、爆発するのか。
 コイーバのロブストなどを結構吸ってしまったからか、この葉巻をフォンセカクオリティ程度にしか感じない。……それも5ミリまでで、少し辛かったのが、突然クコッとコクが来て、同時に微かな花が来る、と同時に辛みが消えて穏やかになる。以前一本試した物を此処で思い出せた。甘味をほとんど感じないのも同じである。相変わらずモノクロの風景の美しさ。コクだけを残し、あとは風が攫ってしまった痕である。攫われた物の微かな名残が寂しくて、寂しいが風景が静まり返っていて美しい。
 カカオと土のブレンドに苦みが走ることもある。
 木と花が強く思い出されることもある。みんな死んでいなかったのか。
 やはり死んでいたのだな。死んでいた味がするのだから。

 こりゃ旨い!という香味はないが、葉巻の中で一番文学的な馨がする。美味としては+3だが、存在としては+5という感覚。癖になってどうしてもまた吸ってしまうという物らしくはなく、熟成にも向いている。静かで、穏やかで、煩くなく、寂しく、コク深い。花もまん丸でシャボン玉のように消えやすくまろやか。

 時を隔てて二本ともこのようだから、このような物なのだろう。このような物としている人をほかに見ない(甘いと言っている人もいる)が、残24本もこのような物であってほしい。中学生筒井康隆がJ・G・バラードを昭和の日本に置いたような。キューバ人は何を思ってこんなブレンドをするのか。

 このような不思議な物が500円で買えるという不思議。だがcoh-hkは10%の値上げになった。値上げ直前、急いで買う時にこれを選んだのだった。
4 4/5 x 50|cigarOne|$9|+4|+3|

 着火せずに吸っているとなんだかトマトの味がする。指触りが良く品質も良さそう。
 ところが序盤は辛いし味気ないし良いところがまったくない。木の香りしかしない。ここまで吸い込みが悪いものも久しぶり。
 それにしてもフアンロペスの中では今までで一番丁寧な味に感じる。木を粉挽したような肌理の細かいコク。コクといっても旨味が無く、甘味は勿論無く、木の香りがするばかりなのだが、土状になった木を食しているような肌理の細かさがある。水蕎麦ほどの旨味も無く、なにか蕎麦露にかわるモノが必要なのに、なんだが丁寧な木の味なのである。
 かなり苦闘して葉を一枚抜いたら吸い込みが改善されて、花の香もひらひらと漂うようになった。旨味や甘味やスパイスなどは依然感じられず、香りとコクが主体のまま、吸い進めるにつれて花が色濃くなってくる。また淡くなったり。濃淡によって花の種類も代わるようなおもしろさがある。味も塩気もないコクがなんだか深い。深いのに穏やかで均したように単一。長谷川潔()の黒を茶に室内を屋外に置き換えたようで、足跡もひと気もない人工的な景色が美しい。軽いはずだが、軽さをまったく感じない。少し湿ったような焦茶色の綺麗なグラウンドから稀に花につられた茎っぽさが香る。
 二年に一度は味わいたいような、花があって棘がない美しい寂しさ。最終盤の木犀と染木も穏やかで懐かしく味わい深い。
5 3/5 x 46|cigarOne|$9|0|+1|

 辛いバターに白木と木犀。序盤辛いばかりだが2センチも進むと随分柔かくなる。それでも辛い。木も凡庸な木で、全体的にロメオと似た印象。オヨっぽくもあるがオヨよりも香ばしい。旨味やコクは薄く、その香ばしさも平凡で辛い。特別外れたという感じもなく、熟成させれば良いという望みもない。中程からバターがややあまやかになって木と木犀が溶け込んだようになるが、刹那っぽい。
 オヨ、ロメオ、ロペスは嫌いなのかもしれない。あるいはトリニダッドまでも。こんなに好き嫌いがはっきりしていてよいのか。それなのにエピキュア2とペティプリンスは美味しかった。セレクション1も本当はエピキュア2ぐらい美味しいのかもしれないけれど、まったく興味がわかない。

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