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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

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|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(13.11g)|算出:+5|香味:+3|

 シングル買いで色々物色していた時期に一番気になったのがこのフアン・ロペスのセレクションNo.2だった。「10〜15年熟成すべし」というし、50本入りが欲しかったが、先ず25本入りで様子を見たほうが賢明だと判断した。50本入りで買ってもちょこちょこ蓋を開けていては旨味が逃げてしまう気がする。50本丸ごと10年熟成させ、そこから5年をかけて徐々に失っていくのが最良だろうから。若い者が早速そんなふうに長生きするつもりというのも変だし(私は若者というほど若くないが)、何時死の宣告を受けても不思議ではない齢の人が50本入りを買って10年待つのが似合う気がする。できればそんな人に15年物を裾分けいただきたい。

 よぼよぼな外観で、中身はたっぷり詰まり、はっきりと懐かしい匂い。特定のハバナシガーが懐かしいのか、葉巻以前の何かに似ているのか、どことなくフォンセカを懐かしんでいる気もする。素朴な田舎の納屋である。
 火を点けると、納屋に草が生え、去年の花火などが湿気っている。この花火、爆発するのか。
 コイーバのロブストなどを結構吸ってしまったからか、この葉巻をフォンセカクオリティ程度にしか感じない。……それも5ミリまでで、少し辛かったのが、突然クコッとコクが来て、同時に微かな花が来る、と同時に辛みが消えて穏やかになる。以前一本試した物を此処で思い出せた。甘味をほとんど感じないのも同じである。相変わらずモノクロの風景の美しさ。コクだけを残し、あとは風が攫ってしまった痕である。攫われた物の微かな名残が寂しくて、寂しいが風景が静まり返っていて美しい。
 カカオと土のブレンドに苦みが走ることもある。
 木と花が強く思い出されることもある。みんな死んでいなかったのか。
 やはり死んでいたのだな。死んでいた味がするのだから。

 こりゃ旨い!という香味はないが、葉巻の中で一番文学的な馨がする。美味としては+3だが、存在としては+5という感覚。癖になってどうしてもまた吸ってしまうという物らしくはなく、熟成にも向いている。静かで、穏やかで、煩くなく、寂しく、コク深い。花もまん丸でシャボン玉のように消えやすくまろやか。

 時を隔てて二本ともこのようだから、このような物なのだろう。このような物としている人をほかに見ない(甘いと言っている人もいる)が、残24本もこのような物であってほしい。中学生筒井康隆がJ・G・バラードを昭和の日本に置いたような。キューバ人は何を思ってこんなブレンドをするのか。

 このような不思議な物が500円で買えるという不思議。だがcoh-hkは10%の値上げになった。値上げ直前、急いで買う時にこれを選んだのだった。
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