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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

|LOT MAY 10|4.5 x 36|cigarOne|$71/25|重量:−1|算出:+7|香味:+4(箱)|

 過去一番の大当たりで、辛味も激しいが、はじめからなにかまったりまろやかななめらかな、な行やま行っぽい味がする。ただのサントリープレミアムモルツを飲んでいると、花が咲く頃にはどちらもが牛乳の味がした。この二つは激しく合う。ビールが葉巻のまろやかさを高めて辛味や荒さを流す作用をもっている。牛乳は嫌いだが、炭酸と煙に牛乳臭さも洗われる。洗われているものがぬめりとひらめくのである。実際に牛乳など飲んでしまったらこうはいくまい。
 この葉巻は今までピーナッツの殻と薄皮ばかりであまり中身がなかったのである。そこに牛乳が加わった。草っぽい雑味は時々刺さる。

 これでもうこの箱については書けないので、今回は箱としての点数。この一本も+3だが、9割が+3なら箱では+4になる。
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|LOT MAY 10|4.5 x 36|cigarOne|$71/25|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 正月に贅沢をして、ほぼ一ヶ月ぶりに煙るとやはり素直に美味しい。ピリ辛の雑味が心地好く、花がまろやか。これだけなのである。太長プレミアムに慣れて雑味を嫌う内はこの良さはわからない。わかったところでどうという事もないけれど、一年前の私はフォンセカ特有のこの辛味がどうしても腑に落ちなかったのである。もっとも雑味を雑味と感じさせない秘密がこの香味にはあるのかもしれない。

 残6本しかない。この箱を熟成させようとは思わなかったが、それが気にかかる。熟成で一番気にかかるのは不安ロペスの15年物だけれど。……シガーワンの説明文に15年が良いというような事が書いてあるのだが、確かにあの香味は熟成に向かなそうで向きそうなのである。
|LOT MAY 10|4.5 x 36|cigarOne|$71/25|重量:−1|算出:+1|香味:+1|

 13本目。極めて豚小屋のように臭い。葉巻が臭いというよりも、フォンセカを巻く紙が臭く、葉巻はあまり臭くない。
 学生の部室のような、乾いた汗の芳香、その部室で玉蜀黍を喰っているような味がする。フォンセカに限らず、こういう味がする葉巻はあるのだが、海外の店舗で買って到着した日に燻らせた場合に感じ易い香味であるので、今回のこれはけっこう意外だった。「麦臭い」とか「干草が爆裂している」と言いたくなるのだが、これまでそういうものが非常に疲れた印象を齎していたのは、部活の疲労の所為だったのだと気付く。土っぽさも校庭の土でしかない。ハズレではあったが、発見でもあった。しかし「部活」というものはいつから始まったのだろう。日本文学に限らず訳書でも部活の話など読んだ事がない。文学者がボールを蹴るのはいかにも奇妙だが、「部活」と「文学」とが相反するというわけでもなさそうだし。
 こんなハズレも悪くないハズレで、この箱は今まで買った箱の中で一番全体的な満足度が高い。箱としては+4ぐらいになってしまう。
|LOT MAY 10|4.5 x 36|cigarOne|$71/25|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 到着十日後に早六本目。二〜五本目は少し美味しくなかったのだが、この六本目がなんだかとても美味しいのでメモしてしまう。
 こういうものがあると、悟りを開くも閉じるも、「輸入後一ヶ月休ませる」ような姑息な算段が個体差に比べてあまりにも微妙過ぎる差異に固執しているとしか思えなくなる。長期熟成は別として、湿度を69%から72%に上げたのが即効したとも思えない。
 香味の印象は一本目と大差なく、率直なハバナ葉らしい香りがする。一本目に比べると咽に怨みはあまりなく、花ばかりだったものにバターの旨味が乗っている。そういう風味にも荒さを残し、単純でこそハバナの基調を体現している。似通った価格帯のラファエルゴンサレス・パナテラエクストラとは比べるべくもなさそうなロングフィラーである。
 その後、七本八本と燻らせてみて、大ハズレもないし、アタリが多い。アタっても一本目の印象と大差はないが、どうも濁っていた飛行機雲が沈殿して、切り出したばかりの様な木がはっきりと落ち着いて見えてくる。小ぶりの物らしい辛味に濃い香ばしさが効いている。軽さも湛えているのだが、逆様の世界のようでそんなに軽い物でもない。甘さもまろやかさもある。このサイズの安物として非の打ち所がなく、気負わない、驚きに満ちた、純情なハバナの味がある。シガリロが嫌いなシガリロ好きにはもってこいの逸品だと思う。
 調子に乗って狸の皮を冠って言うのだが、財力があるのにこんな安物を即刻五箱も買うような人がいたらセンスの良さに脱帽してしまう。JFKのアップマン・ペティコロナの逸話が政治家らしいセンスの悪い笑い話にしか思えなくなる。むろん政治家はセンス悪くあらねばならないとは思うけれど。
 何処に煙が立つのかわからないが、JFKは「1000本では足りなかった」と悟った日に殺されたのではなかったか。要するに倍の2000本を用意したサリンジャーの阿諛も虚しく、1000本で足りたのである。煙の中から銃弾が飛び込んでくるというのはよくある事だろう。葉巻は実業家の厭世のものなのだから。私は愛煙家が挙って最近死んだロバイナ翁を偲んでいるらしい時にも追悼なぞしなかった。

 葉巻と音楽とは全く合わないが、「完全にJFKのように死にたい」とjesus and mary chainが歌っている。
|LOT MAY 10|4.5 x 36|cigarOne|$71/25|算出:+3|香味:+2|

 「はじめての葉巻(シガリロ)を思い出す」という高評価要素が葉巻界にはあると思うのだが、これはそういう成分が濃いようだ。シガリロなど今試したらさほど感動しないと思うが、はじめての時が一番「葉巻らしさ」を濃く感じるのは道理で、カデテスはその葉巻の葉巻たる成分が何故か濃いらしい。だがどうも辛味や咽の怨みなども似ているのである。序盤は驚くほど軽いのに、吸い進めると咽にぐっと来る。超初心者の頃は何を吸っても咽が怨むものだけれど、最近はそんな症状はずっと出なかった。単にサイズの問題で、今でもシグロ1やセクレトスなら咽が怨むのかもしれない。シガリロでシガリロを思い出せないのも道理で、小さいプレミアムシガーは追憶の為にあるのかもしれない。「葉巻らしからぬ葉巻」という恍惚の高評価要素には照応しない。
 フォンセカはコイーバなどと比べて特異な香味がしないので、カデテスとなるとただただ追憶の為にのみあるようだ。雑味が雑でなくはなく、しかし雑な雑味が美味しいし、苦さやイガイガしさはないのでこれは雑味とはいわないのかもしれない。ロメオに似ているが、もう少し安っぽく単純で、葉巻らしさと花一本の甘さで押すようなところがある。一輪ではなく、花はばかに濃い。
 我家の葉巻は味が薄くなる傾向にありそうなのだが、本日到着したばかりのスイス蔵出し直後のこれは湿り気が多く味もしっかりしていた。湿度の問題かわからないが、ずっと69%だったから72%ぐらいに上げようかと思う。

 前回のフォンセカから一年も経っている。白髪が減るような恐ろしさ。正月好きの私はもう正月の大吟醸酒を物色したりしているので、本当は10ヶ月のところを1年といっても大袈裟ではないのです。確かに正月にフォンセカを吸った想い出がある。「去年今年(こぞことし) 貫く棒の 如きもの」という虚子の句と毎年対決している。
|5.3 x 42|cigarOne|$9|+4|+3|

 紙を剥ぐとよぼよぼの疲れたような外観。よぼよぼなのだがしっかり巻かれていて指触りはすべすべ。空吸いしているとメープルとコーヒーのニュアンス。
 前回の一本で早くも好きなブランドだと思っているのだが、一口目から不安を吹き飛ばすほどのやさしい香味がある。
 No.1と酷似してはいるが、冷やしたメープルのような甘味が不思議で、やさしくて甘くて美味しい。なのに若干の辛味があるのは同じ。ハバナっぽさは辛味の所為かやや乾いているが純で香ばしい。やさしさが渇きをやさしく押さえている。花が軽い。木にはエグミがなく、木も軽い。軽いが羽毛のようにまとわりつく。クリームは食べるとしつこいが、これは薄く塗ったハンドクリームのようなクリーム。しかしだからこそ手は荒れているのである。こんなにいいものに辛味があるというのは信じたくない。花と甘味はハバナ界でもとりわけ肌理が細かいと思う。モノクロのフアンロペスのような朴訥な妖しさはないけれど、どちらを選ぶか迷えるほどのパステルのような良さがある。草や杉を微かに秘めているらしい。そういう平凡さもやさしさに奥まっている。
|6 3/8 x 44|cigarOne|$8|+4|+3|

 巻紙の匂いが混じっているのか、芳醇で複雑な香りがする。紙パックっぽさとは全然違う。巻紙を剥ぐと乾いた感じのラッパーがお目見えするのかと無意識に思っていたが、湿った感じのものが出てくる。着火せずに銜えていると茶色い蜜の味がほんのりとして美味しい。
 着火するとモンテの何番かにも似た風合いの良い木質で、そこからすぐに優しい花が燻し出される。まだ火種も整っていないのに感動的な変化。甘味もすぐにとろける。花も甘さも独特の優しさがあって、砂糖を温めたような感じがある。基調は木で、薄味らしい小さい刺が立つが、全体が美味しいのかあまり気にならない。
 シンプルなものがほしいときに重宝しそう。単純にハバナらしさがあるし、質の高さも感じるし、芳醇にして薄味のハバナという感じが濃い。
 軽いのでゆっくり燻らせないと物足りなさを感じてしまうし、焦ると繊細らしく雑味も出やすい。なかなか気難しい面があるのかもしれないけれど、強烈にゆっくりしたい時にはその気難しさが絶好かもしれない。終盤は少しスパイシーになる。

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