忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

|thecigar|115CHF/25|arr 2022/12/20|
|EPO ABR 22|110mm × 35|5.50g|香:--|残24|

あまい草。湿った落ち葉。

一本ではつかみどころがないものの、サーウィンストン系のコク方向へ振れることを期待している。つかみどころを失わせる小ささでもある。やっぱり小さすぎるかな……
PR
|thecigar|47.00CHF/5|2021/12/12・arr 12/30|
|―|129mm × 42|9.22g|香:3.0~3.5 ave3.2|残4|

 雪葉巻、と名のついていない葉巻を雪の中で燻らせつづけるには大変な情緒が要ります。情緒にも体力のようなものがあり、幸い雪の日には寒さをあまり感じない。それでも20分ぐらいでなんとなくベランダから屋内の換気扇の下に移動しました。放っておいたら寒さを感じぬまま凍死するたちなのでしょう。正月気分がおぼおぼとする新年まもない新雪の頃でした。



 なんでしょう、口に広がるこのほっこりした木材は。きな粉棒にしては甘味がなく極端にドライで、口当たりがごく細かい肌理で、木魚並みに穏やかで丸いです。皮の厚い感覚はパルタガス缶とロメオ缶と違って無かったのですが、これもまたレトロな味わいがある不思議。昔の葉巻の再現だとして、昔人も不思議な懐かしさを覚えたような。最近の葉巻は風味に懐かしさがないということか。レトロという名称の本意は不明ですが。
 缶はこれが一番カッコいい。蓋の形が違う。
 それにしても、アップマンに香味の一貫性を感じたことがない。もしかしたらこれはサー・ウィンストンにほんの少し近い感触かもしれない、丁寧な肌理が。最近ではアシュトンのESGに同様の肌理を覚えた。
|cigarOne|¥14627/7=¥2090|2018/11/20|
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:13.04g|香:4.0~4.3 ave4.1|残0|

 明けましておめでとうございます。



 さっそくとなりますが、まだ正月二日だったというのに、マントをつけた今日のお客さん、入店するやいなや挨拶顔も無しに着火されました。セレクション・ピラミデスのアップマンでした。酸味はアップマンにしては少ないようで、コク深い顔に始まりおひとりで頷いていましたっけ。葉巻も顔も結構日焼けしたように浅黒かったです。
 粗野な黄粉、醤油ジャム、草、上空に抜けて花。
 マントをつけている人の頭の中は単純ですので透視も簡単でしたね。空にも花の匂いがあると言います。この人、葉巻と体つきがそっくりで、手強そうな強さがあるが、筋肉のバランスが取れ、というか単純に芳しくて美味しいみたいで、のっけから高そうな品質を誇示して偉そうでした。空を飛ぶためのマントにも同じ匂いが染みていましたよ。アップマン、すべての立居振舞が一皮剥けているというか、顔は浅黒いのですが、洗練されながらも粗野といおうか、いやいや、荒野の民の近未来型の正装で、「洗練された粗野」というほうが当たっています。なにしろマントはハバナ葉で出来ていましたし、アップマン(ヒーロー)が手に持った葉巻の灰の形、灰の下の首元のラッパーの袷まで、顔に見えるのです。そうです、インディオのコケシに見えます。



 そりゃ当たり前に空を飛ぶのですから、白木質の軽やかさを芯に秘めていて、しかし今は椅子に座る時、手に持つ葉巻にしても、吸い出す時には軽いが、口中でぽってりした味わいの重さや香ばしい荒さの名残が連綿とします。それも序盤の終わり頃には滑らか顔なるものになってきました。当店はいい椅子を使っていますので。
 スーパーヒーローですから、他(他人の正義の心)を映じる水めいた純粋な清冽さがありましたが、クリームの滑らかさに変わっていったのです。ヒーローがクリームでいいのですかね? クリームとは庶民じみていませんか? そりゃヒーローこそ庶民です。ヒーローだってパンにも顔にもクリームを塗ります。で、すると上空の花が口元まで降りてきたようです。花を高級店のサラダであるようにパクついているわけで、僕もカウンター越しに高級な花のサラダをお出ししました。お正月ですのでドレッシングに大吟醸酒を使っています。
 腰が非常に安定していました。腹筋がすごいのでしょう。
 中程も終わりに差し掛かる頃、花が牙を剥き、草を食い千切りまくる。ほほう、敵か味方か、これは草食花だったのだ。初夢だ。花のヒーローなにすべき。草まみれの歯を開けた花の吐く息が猛烈に芳しい。
 今日は早仕舞いだったのですが、お客さんの頭の中で急に戦闘が始まったようで、疲れる様子も見せません。腰が衰え過ぎずに衰えたかとも思ったのですが、草花がしおたれつつ生きつづけたうえ、あれはおそらく美味しい塩害で、仕舞いには焼畑の要領で焼き払われ、そのいきれの絶叫に焦げを加えて風味絶佳となったのでしょう。炎が鎮まり燻った煙の奥に立ち現れる一本の金木犀の強さは圧巻です。たった一本で四方1マイルに及び金色の匂いが漂うといいます。

・・・
コイーバが倍額計算なので、6本入りですが「14627/7=¥2090」となっています。コイーバは¥4180となります。
|箱不明|6.9 x 47|cigarOne|$24|重量:+1(15.02g)|算出:+2|香味:+3|計6点|

 サー・ウィンストンといってもH・アップマン、杉は杉。
 ただ杉に幅がある。苦みとも取れるようなふてぶてしく落ち着いた貫禄がある。苦味のようでありながら苦くないから貫禄なのである。草いきれ、花いきれ、いきれいきれの意味もわからずマイルドな甘味がサンドイッチのハムのように薄く濃く、バターを塗って漂っている。なかなか浮遊感のあるバターである。煙は、強いのか弱いのかよくわからない。強いし、弱い。煙なのに、煙ではないものしか見えていない。花は菊だが、菊と木犀が甘味の抽斗の中で鬩ぎ合っている。この抽斗はほぼ常に閉っている。開けば草が強くて菊が勝利を収めがちである。ただこの草は花が咲く時にしか生えない。バターなどもそうである。美味しさが菊の花に集中し、その菊を菊でなくして見せようとする。貫禄はなかなか凄いが、登場人物がポリフォニックに現れるでもなく、部長一人が残業しているようで寂しい。
|箱不明|6.1 x 52|cigarOne|$15|重量:+1(14.06g)|算出:+3|香味:+3|計7点|

 吸い込みが良い、ピラミデなのに。ピラミデはスカスカぐらいで丁度良いと思うけれど、スカスカでもない。リカットしなかった。
 金属の響きがあり、それが強さや辛さと共鳴するが、それを上澄みに過ぎないと見上げるように、下では甘く柔らかい杉の芳香が果実のように熟れている。杉に茜が差している。上澄みはカラメルではないが、下はプリンの卵、美味しき鬆が入って、濃くも軽やか。まるで矛盾めいたブレンドの妙で、熟れたような茜が寂しいようで、染みのようでもある。
 花はやや菊っぽいが、ふんわりバニラをともない、ところどころで吹いては静まる。空無な豆のような風味がその前後に出る。不味ければ緑豆モヤシというが、そんな時に適度な荒野感が出たりもして、するとハバナ葉の存在感が膨らんで、この葉巻は美味しくなってしまう。
 秒針や分針の変化は刻刻と繰り返しあるものの、時針の大きな変化はない。最初と最後では味が全然違うだろうけれど、途中でしばし花期になったりだとか、そういう変化がない。
 残7センチぐらいであっという間に衰える、なかなか巨大な葉巻だが、線香花火のように終る。

昔の記事の同所転載に過ぎないが、
「 アップマンがローストされたようで、アップマンにさらに香ばしい一味を利かせたような。大変深く香ばしいのに、旨味がなんとも軽やか。かと思えばナッツのようなコクが深い。焦がした杉樽とか、杉を焼いてナッツをローストしたような。コクが香ばしくて、杉がまったく嫌いではなくなってしまう。こうしたことをまだ味わい尽くせない時に、甘く濃い花が密に漂ってくる。森に迷い込んだというか、森を焼いたというか、美味しさのために手段を選ばなかったようなトンでもない自然の美味しさ。森を焼くという荒さが丁寧なのである。
 難しいが、チャイで作ったプリンの干物の薫製を思わせる。ローストによって思わぬ化学変化を起こしているようで、コイーバやモンテに劣らないハバナ感があって、杉臭いだけであるはずのアップマンが特殊さを得ている。アップマンの特徴はそのまま、一級のハバナになったというか。他のアップマンはハバナっぽさが足りなかった気がする。」
とあって、このままのような気もする。葉巻を始めたばかりの時だったから、それなりの大人だったけれど、記述に子供じみた夢が走る。五年前の記事を読む事なく同じプリンを連想したのが不思議といえば不思議だけれど、プリンの味は全くしない。
|箱不明|5.3 x 52|cigarOne|$19|重量:0(13.05g)|算出:+1|香味:+2|計3点|

 アップマンだからこれも「染」かと思って、要らない「染」をかえって探してしまうのだが、たとえ染といえるところがあってもこれは染臭くない、なんだか美味しいようでもある。
 急峻な変化。黒豆茶のような風味と花が一度機に来るというか、此処で黒豆茶が現れるのは欠点と言って差し支えないかもしれない。香を花が持って行ってしまって、黒豆茶からは香が立たずに茶殻ばかりが生気なく残存しているのである。茶を呑んでいないのに。これほど急峻な変化を久しぶりに体感した。良さと悪さが渾然と一息に来たものだから、七転八起を七転八倒のごとく体感も大仰なのである。一起一転にすぎない。しばらくはこのどっちつかずの状態が二起二転、三起三転とつづく。微妙に香味は変化しているようである。特別美味しくはないが、なんだか面白い。
 染には必ず金木犀が染付いている。かといって金木犀が芬芬と匂ったりはしない。簞笥の木目に染付いた花である。その古びた家具が何故か白木の白さを帯び始めると、金色が煤けた茶色を弾き返して光りだす。かといってまっ白まっ金金にはならず、この白や金と黒や茶の併存に、黒柿材()を少しばかり思い出す。黒柿ほどに白と黒が分離していないのは、黒というより茶色だからか。葉巻なのだから茶色で良いのである。もっとも葉巻としてはこれは黒い方である。
 不気味なほど旨味が薄い時刻が多々あって、この柿材は穴ぼこだらけで使い物にはならない。穴に、柿渋のような茶殻のような雑味も多い。
 最後は雑味を誤魔化すようにして心地よいハーシュノイズが来る。
 なんだか不味くはないけれど、全体に旨味が足りなかった。雑味以外の要素を水割りにしてしまったような。

 モンテのエドムンドと同形。
|箱不明|6 1/4 x 50|cigarOne|$16|重量:+1(16.80g)|算出:+1|香味:+2|吸引:−1|好み:−1|計2点|

 吸い込み難。ピンセットで穿り出すもならず。
 着火、一口で思い出す懐しい杉。葉巻を始めてばかりの頃の記憶なのでここまで杉が再現されるとは思わなかった。
 意外なお菓子の豊潤な甘さ。しかし、当然のようだが、46と似ていると今は思う。甘さというより、なかなか素朴な、地味な、染の味わいが。正月に相応しい白木の杉を想像していたが、杉に染、藁にも染が滲んでくる。
 お菓子は直ぐに消えたか、素朴な染に負けている。染に、十数年前の、つまり「パティシエ」なる者が日本にあまり居ない時代のお菓子の不味さを思う。染は醤油の染とかの類の染で、染抜したくなる。百日紅の花にも染付いて、花も咲き初めから茶色く萎れてしまう。
 吸い込みの所為か雑味えぐみも寄ってくる。
 後半にはこの染にも花が勝るようにはなる。
 灰二つ落ちた頃、中程、中芯に陣取っていた一番太い葉脈をひっこ抜く。吸い込みが良くなるか。
 真ん中ばかりから空気が入って、味が天変と変って、苦いコクが現れる。
 空気の通り道が真ん中に偏らぬよう揉み解す、それでもそのまま、真ん中というのは関係なくて、ひっこ抜く時、燃え滓がヘッドの方に引き摺られ取り残された所為かもしれない。徐々に平時の味わいに紛れるように思う。さるにても落ち着いたココアウッドの風味となって心地よく残る。ココアウッドはカカオの木でなく、この世に存しない金木犀の木でもある。となると46よりもサーウィンストンに似る。それでも、抜きは抜きでも染抜には失敗する。また最後は苦味が苦い雑味に陥ってしまう。依然吸い込みが悪い所為か。
|ZTV MAY 05|5.6 x 46|coh-hk|$121.50/15|重量:−1(9.41g)|算出:+2|香味:+2|

 枯れ切った香ばしさに、辛味。豊潤の名残もあり、それが濃すぎず、甘ったるくなり過ぎたりせずに心地よい。熟成物らしからぬ濃い熟成物は多々ある(この箱の他の物がそうだ)けれど、これは熟成物らしい熟成物である。綺麗に老けたなぁという感動のみで、名前はわからないが、あのショートカットの背筋のピンとした女優さんに似ている。後半は薄味に蓄積する雑味が目立つ。
 14本中14本目で初めて枯れている、この1本は元々他の13本に比べてどのようなものだったのだろう、永久にわからない問題である。残1本。
|ZTV MAY 05|5.6 x 46|coh-hk|$121.50/15|重量:--(--g)|算出:+4|香味:+3|

 13本目。
 それぞれ色の違う残三本から、赤くもなく、黒くもない、薄い色のものを選ぶ。何故か着火前の香が官能の域に達している。着火すると漢方を仄かに感じる見事な熟成葉の香ばしさで、二口目ですぐに花、間もなく甘味のカスタードも乗ってくる。熟成云々は陰に回り、変化してもハバナ葉特有の香ばしさが突出して衰えない。甘さもアップマンの杉の効果がある所為か煩くない。むしろアップマンは杉嫌いが嫌厭する銘柄だが、杉も煩くない絶妙なバランスで、嫌いかもしれない要素さえ美味しく感じる。穏やかだが濃くて強い。マグナム46はどんなに柔らかくても濃いタイプの葉巻のようである。大当たり。
 後半辛味苦味雑味のシケモク味に強大な酸味を加えて一気に衰える。前半+4点、後半+1点。
|ZTV MAY 05|5.6 x 46|coh-hk|$121.50/15|重量:--(--g)|算出:+4|香味:+3|

 5本目にしてまだハズレない。ハズレないというより、今回は当りだ。ハズレだったはずの物も寝かせて当りに変化するという事なのだろうか。しかし葉巻には即断が必要なのだ。この葉巻はおそらく当初から当りだった物が熟成されたのである。
 「これが葉巻かぁ」とシガリロで驚いていた頃の濃密な葉の味わいがする。木でも土でも皮でもなく、おそらくナッツといわれるもの。木といえば木だし皮といえば皮だし土も同じだが、粗挽ナッツの濃厚な味わい、しかしナッツでもなく、濃厚な葉巻の味わいがする。2センチも進むとそこに蜂蜜がぺっとり垂れてくる。こんなに蜂蜜に似た煙は蜂蜜漬のパイプ煙草でも嗅いだ事がない。草が草として来ずに甘味と混じって同時に来るからだろうか。ナッツに垂れる為に蜂蜜に感じられるのか、そうこう甘い物を考えているうちに花も香る。
 多少高いものを知ってしまったから、これが安そうな味だとはわかる、しかし極めて美味しい。
 若干チクナインを飲む感覚がある。つまり蓄膿症になるのではなく蓄膿症が治る感覚だが、蓄膿症ではない人の蓄膿症が治るのであるから不思議といえば不思議である。実際私は蓄膿症になった事がない(蓄膿症になりかねないと診断された事はある)。これは5本いずれも同じで、シガリロにはこういう事がない。プレミアムの醍醐味を醍醐味と思えず、この葉巻のシガリロっぽさにのみ感動しているのである。今更シガリロを吸ってもこうは感じないと思うが。
 嫌な蓄膿症が時々花の綿飴に変わる。濃厚にして軽く、全く以て当りだ。
 最初の2センチが一番美味しい。後はプレミアムの欠陥が鼻につく。マグナム46は昔はこうだったのか、今もこうなのか、わからないが、プレミアムが鼻水を払拭するにはプレミアムの上のプレミアムでなければならないのか。それでも美味しい。
 問題は、六年半熟成させてどうなるかだが、六年半前にこれを吸ったわけではないので全くわからないのだった。でもたぶん現行の物よりは美味しい。現行の物の六年半後より美味しいかはわからない。
 熟れた果実のような物とも勿論違うし、枯れたような味もほとん感じられなかった。

忍者ブログ [PR]