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  源氏物語「葉」
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|ZTV MAY 05|5.6 x 46|coh-hk|$121.50/15|重量:--(--g)|算出:+4|香味:+3|

 coh-hkが突然ヴィンテージを売り出し、ボックスコードが10種類以上ある中からZTV MAY 05を選ぶ。ZTVがフランスの新幹線(TZV)に似ているという全く香味に関係ない理由であるは兎も角、正月のひとときにアップマンの杉の香味が巧く薫る気がしたのである。No.2とサーウィンストンは別として、普段あまり買う気がしない銘柄なのだが、No.2とサーウィンストンが正月に合う気がしたのではなく、どれかといえばmagnum50が合う気がして、ところが丁度ヴィンテージが売り出され、しかも総額を300ドル強(=10%引き)にするのに頃合いの価格であった(TRINIDADロブストエクストラを先ず買う予定だった為)。あんまり300ドルを越すようだと富豪でもないのに600ドル(=15%引き)買ってしまいたくなる。

 15本入りだったのでチューボが届くのかと思っていたが、三本入り紙パックが五個だった。全パック開封検査されており、安心して躊躇なく全箱を開けると、当然虫喰いなどはなく、破れもない。但し葉巻自体、巻きもラッパーも荒く、色も色々、マデューロ風の斑点のあるものから、全身コロラドのようなものまで雑然としている。小豆色の旧バンドが巻かれている。

 空吸いするだけで杉の香がする、しかもそれで甘い。着火してすぐ火口から懐かしい匂いが来て、火口ほどではないが、口の中も懐かしい味わい、しかし同時に懐かしくない味わいにも満ちている。一口目からなんだか完成していて、また段々辛味を増してくるぐらいだから、枯れた味わいで歳月を偲ばせるというものではまだない。強い。しかし味わい深い……この味わい深さが熟成に因るものなのかまたしてもわからない。
 荒野の夕焼けを思わせる趣向(ケドルセーとレイデルムンドを併せたような)で、アップマン特有の杉はやや弱く、洋菓子風のコクと香を伴う甘さがあるが、甘さ自体はもっと透明でガムシロップを薄めたよう。そこに荒野が覆い被さっている、荒野で食すケーキとはなんて瀟洒なのだろう。砂埃を被ってケーキが雑味だらけで台無しであるところが美味しいのである。
 No.2の濃さとも違うし、magnum50の新鮮な杉でもなく、サーウィンストンの枯淡味もない。過去のアップマンの記事を読み返すと、そういえばConnaisseur No.1に感じていたであろう醤油を少し感じもする。また残念ながら、嘗て一本試したmagnum46に感じていたであろう酸味が此処にもあるのである。

 十年近いヴィンテージモノを買うのは味が抜けているようで躊躇するのだが、七年半でこの元気さなら、十年弱のサーウィンストンを買ってしまおうかとも思う。それにしてもこんな46が人気商品だというのはなかなか腑に落ちそうもない。不味いわけがないが、アップマン特有の魅力のなさがある。

 ところが、終盤になると、アップマン特有の飽きっぽさに飽きっぽくなっていたのに、優良煙草葉の代名詞たる金木犀が、それまで完全に形を潜めていたからこそ鮮やかに現れる。ただ現れるのではなく、まるで綿密に計算されていた脱獄囚のサプライズのように現れるのである。脱獄したからには、あんた、いい人だったんだな。脱獄囚だと気付いた途端、何処かで嗅いだ香水の匂いが芬々としているよ。もう金木犀ではなく、瀟洒なインテリアショップで香っていたアレだよ。まったくあんたが昔使った銃剣から手品で造花が咲いているよ。それにしてもあんた、入獄してから脱獄するまでが酷かったじゃないか。なに、脱獄を手助けしてくれたからには、甘いケーキを焼いてくれるって! うん、これまさにケーキの甘さじゃないか。ああ、わたしゃ荒野から駆けつけたんだよ(涙)。まるで鉄格子がお菓子でできているみたい。
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|6.9 x 47|cigarOne|$24|重量:+1|算出:+3|香味:+3|

 外観はエスプレンディドスに酷似しているが、ラッパーがこちらの方がやや丈夫そう。一本買いで熟成年数など不明。吸い込みは若干難い。

 最序盤から風格が違う。杉のようなものが高鳴るのか、金属めいたところもあるのだが、太々しく落ち着いたコクと枯淡らしく達し切った葉の香り。茶色い金属からココアや極細挽きの珈琲の粉が磁場のように発生している。加えてえも言われぬ香りがふとするし、とんでもない達人の様子である。達人が癌で入院しない事を祈る。
 金属に馴れてくると、馴れたか消えたか、響きは収まり、木犀が咲いてくる。木犀が咲くと金属から離れた杉が立つ。静かなコクと枯淡の葉は変わらない。香味は抹茶とは異なるものの、新鮮な滋味と印象は挽きたての抹茶に近い円かさである。苦味や辛味やエグ味が出ても枯淡らしさにどうしても付随する致し方ないもののように捉えてしまう。もう少し吸い込みが通ればこういう事もなかったかもしれない。
 えも言われぬ香りは一口したのみで思い返せば寂しいしつまらなくもあるが、この寂寥にこそハバナの集大成と言いたくなるほどの涅槃めいた味を感じるのである。涅槃というと大袈裟で、それほどのものではないが、家庭の涅槃ではある。
 結局達人はなかなか健康だった。杉の感じにアップマンらしさがあるといえばあるけれど、サー・ウィンストンに限って『別誂』とした方が良さそう。はじめてチャーチルを美味しいと思った。
 甘味をあまり感じなかったからか、赤ワイン(安物)よりも甘いリキュール(シャトードブルイユリキュールオーカルヴァドス)の方が合った。だが飲み物に左右されない太々しさがあり、淡く濃い香味がする。ダビドフのみを吸う人が万が一いたとすれば、トリニダッドではなくこちらの方がよりオススメできるが、そんな人はいないだろう。いたら笑い者だろう。
|5 x 48|cigarOne|$11|算出:0|香味:+1|

 出だしからけっこう辛味がある。若干のハズレに加えて旅の疲れも出てきたか。
 草っぽいナッツを煎ったような苦いコクと微かな雑味がある。ラッパーは昨日一昨日のロメオやオヨに比べると黒く、その色彩どおりの醤油の染みの味がする。パンチ・デルパンチに似た味。デルパンチとの違いはアップマンらしい杉っぽさぐらい。ブランド別に同じ方向性で作ってみました、みたいな感じがしてつまらないのだが、ブレンドの方向がそもそもバラエティ豊かなものではないのかもしれない。そもそもブランドの違いこそがブレンドの違いで、ブランド内での違いは別のブランド内での違いに被るものなのかもしれない。濃いラッパーのものはどうも苦手なブレンドになりやすいらしい。デルパンチとConnaisseur No.1がこぞってニカラグア物のマデューロに媚を売るか諂うかしたような。
 結局消火するまでそう大きくハズレた物ではなかった。美味しいようなのに好きではない、という事か。
|6 1/10 x 52|cigarOne|$12|+2|+2|

 アップマンがローストされたようで、アップマンにさらに香ばしい一味を利かせたような。大変深く香ばしいのに、旨味がなんとも軽やか。かと思えばナッツのようなコクが深い。焦がした杉樽とか、杉を焼いてナッツをローストしたような。コクが香ばしくて、杉がまったく嫌いではなくなってしまう。こうしたことをまだ味わい尽くせない時に、甘く濃い花が密に漂ってくる。森に迷い込んだというか、森を焼いたというか、美味しさのために手段を選ばなかったようなトンでもない自然の美味しさ。森を焼くという荒さが丁寧なのである。
 難しいが、チャイで作ったプリンの干物の薫製を思わせる。ローストによって思わぬ化学変化を起こしているようで、コイーバやモンテに劣らないハバナ感があって、杉臭いだけであるはずのアップマンが特殊さを得ている。アップマンの特徴はそのまま、一級のハバナになったというか。他のアップマンはハバナっぽさが足りなかった気がする。
 始終えぐい辛味が明滅しているのが厭だが、それさえなければ特級の当たりらしかった。
 トルペドはどうも難しい。吸うのも難しいが、それ以前に巻くのも難しいらしい。巻く難しさをクリアせずに難しさに安住して巻いていて、それで余計吸うのが難しくなっている気がしなくない。トルペドで気がねなく扱えるものってキューバモノでは当たったことがない。フィギュラドになると巻くほうも結構気遣うらしく、簡単に吸えるもののほうが多いような。トルペドにしては吸いやすかったのだが、それでも難がある。雑味を形の所為にしているだけかもしれない。
 ふっくらとして軽いようだが、煙は多く、ささくれもあって飲み込んでみるとかなりのフルボディである。後半は味が薄く、煙も少なくなり、また香味自体の魅力も薄まった。消火直前にここぞとばかり序盤の期待を匂わせて終了。+3の勢いだったが、+2に落着した。
|6 1/4 x 50|Cigars of Cuba|$97/10|MOS MAY 09|+2|+2|

 けっこうよぼよぼな外観。よぼよぼだけれど熟れたフルーツのように美味しそうに見える。吸い込みが全体的に固かったけれど、大した問題ではなかった。

 十本入りボックスを買って、二年ぐらいかけてじっくり確かめる予定だったのに、もう無くなってしまった。十本を纏めれば「甘い杉」という事になると思う。ほんわかとしたカーペットの温かみを芯にして、カリッとした甘い杉を巻いたような。それから、秋も深まると(6月17日に届いて10月24日に無くしたから秋が深まるのだが)、ロイヤルミルクティーというより、チャイのようなスパイス感がほんのりと香る。もっともミルクティーの味はあまりせず、金木犀が少しミルクティーがかっているぐらい。金木犀にしても寂しいほど穏やかでほんのりとしている。終盤では病院というかミントというか、爽やかといえる香りが、なぜか今頃珈琲の酸味を伴う香ばしさを伴って旨味の周囲に漂う。一本目から十本目まで旨味のある杉だった。旨味はなにか「揮発性のバター」とでもいうような存在しないものへの比喩を感じさせる。「葉巻の杉」はあまり好きではないけれど、偶然なのか、ホット珈琲だとか寂しい金木犀だとか、氷を嫌いつつ好くような、秋の深まりには合うと思う。ここでいう珈琲はマンデリンだとかトラジャのような苦味風のものではなく、あくまでも酸味風のもの。

 以下、一本目から九本目までの間の抜けた意味不明な感想。内容は大体同じ。

一本目
 一口、はじめて食す果物の、一瞬吐き出したくなる感触があり、それとともに杉に囲まれた病院が現れる。葉巻が大きいので既に呑み込まれている。
 結局はキウイが奥歯に沁みる、鼻の奥につんと来る。土や革や木のような葉巻感はあまり感じられない。木が杉でしかない。葉巻界では、木は葉巻だが、杉は木ではないのだ。私はあまり葉巻杉は好きではないのでこれを箱で買ったことは失敗だったかもしれない。煙も少ないし、ボディも軽い。2センチ。
 次第にバターじみてきて杉に浸透してくる。バターは濃厚というよりも白みがかった浮遊感のあるバター。白いバターなんてはじめて想像したが、かなり美味しそう。ミルキーなのかもしれない。杉らしいエグ味はあるものの舌触りはするするとしていて、良くも悪くも粉っぽい感じがない。味は薄い。3センチ。
 正確な位置は特定できないのだが、これはホンジュラスっぽい。キューバといえばモンテやコイーバだと思っているからいけないのだが、これはキューバの中のホンジュラスだろう。どちらかといえばアメリカ市場の味に近い。そんなことを思っているとキューバらしい香味がかえって感じられてくる。そもそもラッパーの質感からしてキューバでしかあり得ず、見たままの旨味がある気がするし、薄くてもやっぱりキューバなのだなぁ。しかしアップマン、ロメオに似ている気がする。パイナップルだとかキウイだとかいった感触は勿論、イガイガしさも。5センチ。
 とつまらなく思っているうちにバターが濃厚になる。こうなると私の浅はかな経験ではクァバやトリニダッドに重なる。アップマンらしさというのは正直感じられない。「杉病院」といえば欠点が特徴になってしまうし、そんな欠点がアップマンであってほしくない。いずれはこれが癖になるのかもしれないけれど。6センチ。
 よぼよぼな外観のとおり、ラッパーが燃え残りやすい。美味しそうな香味であるものの美味しくない、雑味もある。文句ばかり考えていると金木犀が突如狂ったように咲く。刺すように咲く。そんな狂い刺しは金木犀ではないな、別の花だ。これはすぐに収まる。そして花バターになる。酸味はないが、安いカップヨーグルトのような。変化は面白おかしいが、堪能させてくれない。7センチ。
 我慢した甲斐があったか、エグ味の奥から薄荷のような旨味ある白煙が立ちのぼってきた。エグ味が前面に出ている。それでもこの白煙はダビドフエスキシトスに似ている。そこに滑りの良いバターを加えてある。8センチ。
 突如小屋っぽい風情。だんだんハバナらしくなってきた。杉は随分なりを潜めている。小屋だけでは寂しすぎるし、豚のいなくなった豚小屋にもなりかねない。なんとも引っ込み思案な味わい。9センチ。以降、ぼよぼよとしている、というかこんな感想に疲れた。
 もう少し寝かせてアタリに当たればかなり美味しいような気がする。現時点では美味しそうでありながらもまったく美味しくない。残り9本。

四本目
 到着して一ヶ月以内に三本も消費してしまい、どれも台無しにしてしまったが、今回は丁度一ヶ月。落ち着いて旨味の乗った杉の香り。葉巻に杉を感じるのはあまり好きではないのだが、老練な杉の感じがして悪くはない。食べ頃の杉というか。ほんのりと甘味とスパイスも感じられる。それからまろやかさを加える何か。バターほど濃厚ではない、マーガリンのような何か。味は単純ではないけれど、単純に美味しい。杉を基調に美味しく惑わすのがアップマン流なのかな。恍惚の二三歩手前で旨味に落ち着いている。
 乾いても湿ってもいない。この葉巻は枯れても捨てられた家畜小屋にはならない気がする。糒にはなりそう。土っぽい大地じみた風味も無い。花も無い。不思議な杉の味がする。大袈裟にいうと一本の老木を瓢箪のように逆さにして鱈腹吸っているのである。老木が若々しい。
 もっと上のアタリがありそうだし、寝かせれば美味しくなりそう。もう少し吸い込みがよければ雑味も減りそう。それにしても四本とも吸い込みがよくなかった。変な人が巻いたボックスなのだとしたら一日間だけでも刑務所に入れたいです。
 グレンキンチ−12年がよく合う。雑味を和らげるし、優しさが増した。

七本目
 三ヶ月後。甘い杉にバーストしたパルタガスのような雑味。3ヶ月も経てば良くも悪くも我家の味に落ち着いているだろう。鯣のような芳香が増している。着火して噛むほどの旨味が出れば嬉しいのだが。
 そんなものは出なかった。好みではない杉っぽい風味、これは仕方がない。でも随分美味しくなった気がする。吸い込みが悪い所為か軽いが、芳醇さもあり、爽やかさもある。軽いというよりも軽やかに感じる。杉にスパイスで雑味は皆無。少し煎ったような香ばしさもあるが、茶色くはなく小麦色で、旨味を損なわない。香草をまぶしたバターライス。吸い込みが良ければもっと惹き込む力があると思うのだが、それでもあまり好きではなさそう。恍惚感などではなく、微妙な香味を楽しむ人向けなのかな。
 これで終われば未練がなくて良いのだが、中盤に入ると惹き付ける力が増してくる。旨味が粉っぽくなるというか、浮遊感が増して旨味に吟醸感が出てくる。昨夜のヘニオスはワインにまったく合わなかったけれど、これは悪くない。杉が花混じりになってあまり気にならない。ダビドフめいた洗練具合になってきているのか、しかし土や革をあまり感じず、土や革こそ葉巻っぽさだとすればあまり葉巻らしい愉しさがない。と思っていると少し土寄りの芳香が感じられる。なんだこれ、思った事がそのまま現実になる仕組みか。確かに革っぽくも感じられるようになってきている。でも何かが足りない。
 ホヨーやアップマンはきっとトリニダッド寄りなのだろう。モンテやパルタガスがコイーバ寄りだとして。私の区分けでは前者が葉巻らしくなく後者が葉巻らしいという事になっているらしい。ダビドフは後者に位置している。他にレイデルムンドとグロリアクバーナやボリバーを含む田舎臭いグループと、パンチとラモンアロネスのグループと、ベガスロバイナやベゲロスやサンクリストバルなどの狼っぽいグループと、クァバやロメオのような非グループとがある。グループなんてどうでもよいけれど、比喩の効力は無視できない気がする。

 優しいというべきか、旨味が過剰に濃くなりそうなところを杉が引き締めている。よくできていると思わずにいられないのだけれど。早くも七本消費してしまったのだが、いくら寝かせても根本は変わらない気がする。グレンキンチーが合うのは驚くほどだったけれど、パイナップル系の吟醸酒もけっこう合う。サケが単独でおいしいだけかもしれない。
 最終盤でのバーストが、辛味を伴いつつもそれまでの優しさの所為か心地好く感じられた。

 あまり好みではないはずなのだがこれだけ大きいものを数回以上吸っていると早くも愛着がわく。これぞハバナだという気にもなるし、相変わらず吸い込みが悪いのだが、邪魔臭い杉の彼方から、非常に近くまで、ナッツのこうばしさと旨味が近づいてくる。未だ発揮していない本領を発揮したらどうなることかと期待させるぐらいの旨味はある。
 しかしやっぱり好きではないのだった。これが少しパンチと似た雰囲気を醸した瞬間にわかった。パンチを吸いたくなってしまったのだった。

九本目
 最近クラブサイズばかり吸っていたのでなんだか美味しく感じられる、さすがプレミアム。はじめて昼に吸ったからかもしれない。今までの美味しくない記憶は全部夜だったような。濃厚さを感じさせるのに優しい旨味がすぅっと入ってくる。杉の香が気になるけれど、まあ好き嫌いは言うまい、という気になる。杉と、珈琲飴のような香ばしさと、それからよくわからないが爽やかな旨味が舌に触れて軽やかに跳ね上がる。
 終盤までほとんど染みた味わいも出てこないし、木犀も咲かない柔らかさを保っている。もっとも終盤から徐々に濃くなるが、緩やかにほんわりと徐して終わった。今日の日時そのままだが、遅い昼から夕方にかけてに適している葉巻なのかもしれない。
 当たり前なのか、九本ともほぼ同じ味だった。
|5.6 x 46|cigarOne|$11|0|+1|

 ゆっくり五秒ぐらいかけて吸い込むと「酸」と「旨味」と「ハバナ砂糖」とがまろやかに煮詰めたスープ状に滑り込んでくる。枯れてこなれた味わいだが、よく考えれば変な味。基本味はハバナだし、変な調味料が加わっているのでもないから、酸辣湯麺を初めて食すときの違和感に近い。
 革や木や土というよりも枯葉そのものの純粋さのようなのだが、味に芳醇さもなければ花の香がするのでもなく、蜜蜂も飛ばず、老境にしては酸が目立つ。枯れてなおフルボディ。煙も豊富。
 最終盤に至るよりたいぶ前に火が消え易くなり、火種を維持しようと逆火急的な速やかさでふかふかしているとラッパーに火の穴が開いた。細い火種がうずもれた葉の中を蛇のように這って春に巣穴を開いたのである。蛇を炙るように万遍なく点火し直したが味は終わっていた。

 蠢動じみた燃え方は多少面白いので良いのだが、枯れた味わいなのか熟成不足なのか休息不足なのかわからない。シガーワンでは三週間の休息を必要としているが、まだ三週間は経っていない、だから環境の変化に耐えられず絶滅したのか。本当に枯れた味わいなのだったらアンチエージングは不可能で、枯淡味を愉しみとするしかない。乾いた味わいだったら過加湿状態で1ヶ月、それから半年ぐらいはかかりそう。なんとなく。しかしどんなに待っても無駄だと思わせるぐらいのものが復活するものなのだろうか。こういうものだったらこういうものなのだが、こういうものでないとしてもあまり好きではないかもしれない。マグナム46の評判からして枯渇味であるはずもないけれど。
4 19/20 × 48|1001|$7.71|+2|+2|

 柔らかい煙と軽い吸い込み。突然甘さが出てくる。へんな話,この葉巻が葉巻の甘味とはこういうことなのだなぁと初めてわからせてくれたのだった。以来、甘くなかった葉巻にも甘味が感じられるようになった。はじめての甘さにいかれてしまったのかもしれなかったが、とにかく初甘味は安心できるというか腑に落ちた。



4 19/20 × 48|1001|$7.71|−3|−1|

 1001で購入したものはなかなか酷いものが多かったので、それでもはじめて葉巻の甘味に気付かせてくれた物に期待して口直し。柔らかい煙と軽い吸い込み。はじめは期待を裏切らず、相変わらず絶妙だった。軽やかで質感のあるミディアム。もう少しで突然甘味が吹き出してくるはずなのだった。
 小便が薄らと染みたような、良い葉巻には付き物の風味がある。ただ、餌っぽい風味も感じられる。灰は緩い、灰皿にそっと置いただけで灰が落ちた、まだ15ミリ程度だったのに。フルーティーさが加わる。次のひと吸いで甘さが来た、が、岡サーファーのようだった。窓の外に綺麗な半月が出ている。半月の方が美しい。自分の舌が甘味を感じられなくなってしまったのだろうか、病院に行った方が良いのだろうか。
 どちらかといえばちょっと不味い。甘味は不発に終わった。微かにある餌っぽさを覆すような濃い風味もまったくない。不味くも美味しくも薄い。どうしてあれほど美味しかった物がこれほど不味くなるのだろう。ヒュミドールに旨味を吸い取る菌でも混入しているのだろうか。だとしたら寝かせるほど不味くなってしまう。葉巻が難しいのか葉巻が気紛れなのか。冬期の所為で摂氏11度前後のことが多かったからかもしれない。葉巻は冷凍しても平気とは聞くけれど、長時間の11度には耐えられないのだろうか。
 二本目は打って変わって酷く不味かった。1001が信用ならないのだろうか。1本目にしても本当は別のプラス味があるはずであった気がする。という健気な印象。こんなに不味かったら私が可哀想。

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