忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

|TEO JUL 17|4.88 x 50|cigarOne|$89/10|重量:0(--g)|算出:+6|香味:+4|計10点|

 

 最後の一本、最後の3センチでポポー現る。ポポーというのは食べたことがないので、空想の果実の一つで、樹氷が凍てつく樹林に、なんの木とも言わず寄生するようにごく稀に実ってーーたいていは一つ見つけても二つは見つからないそうーーその果実のみ氷に覆われておらず、果実自体が若干熱を持つという報告がされている。三十メートルもの高枝鋏でもぎ取って齧ると、なんとも暖かい食感がして前歯がするりと通り、ハバナ葉のロメオ葉にも似た熟成の風味が白雪のようにそこはかとなく暗闇を支配すると、ほとんど同時に、これも薄らとミルクらしき味わいがなんとも優しく膨らむ、文字通り口蓋の雪洞に火が灯ったかのように「ポゥ」っと。そのまろやかな味わいは、ピスタチオ等の種子類と言うよりも、バナナ等の方が近いようであり、果物屋の果物を丸ごと煮詰めたような、大吟醸の酒粕も幽かに近くを浮遊して、それでいて一体化した、というより、そもそも「一体の何か」である。要するにポポーである。
PR
|TEO JUL 17|4.88 x 50|cigarOne|$89/10|重量:0(11.76g)|算出:+4|香味:+3|計7点|

 数日前のこと、夕刻の無風が円やかで、体温よりは低温であるはずだが、その絶妙な温度から、身体と温気とが一体化し、身体が体外へ空に街に広がっていき、車やビルなどをも包み込むような心境を覚えた。
 ロメオに生える緑には、風のように心地よいものと、緑豆もやしでありながらもなにかピスタチオを練った濃厚な白いコクを期待させるものがある。ハバナ葉が均一に揃える風味もここでは風のように薄く、風というのは、気候変動でもなければ滅多に狂わない質の精度と、懐かしさと落ち着きがあって、なにより期待の感覚を齎す。中盤やや盛り上がり、終盤やや濃厚な秋に枯れ、味を欠くというほどでなく十分に美味しいが、風仕舞い。風流なもので、ロメオ一般としてこれで十分。(ダビドフと同じ点数だけれど、こちらの方がずっと好感触でした。蜂蜜不要なのがつまらない。)
 最終盤の猛り方は痩せたボクサーのように甘く、鉄をグローブに隠し、芳醇な木犀が血液のようにほとばしり、甘く感じますた。文字通り、ますたのです。増した、のでなく、増した、のです。増すたのです。さようなら。
|TEO JUL 17|4.88 x 50|cigarOne|$89/10|重量:0(11.84g)|算出:+6|香味:+4|計10点|

さっそく言葉に窮してしまって、官能の脳髄を揺すられている。ダビドフに似ているかなとは思ってみるもののあれ特有の不味さ(埃っぽさ)がない……あれ特有の美味しさのほうはあるのかもしれない。それも最近味わったロイヤルサロモネスの蜜の甘さを伴って、なおロメオだから似てかるい。不味さがない代り、キューバ産独特のナッツの風味が当り前に漂っている。それがほとんど練り上げ磨き抜かれた純朴さに高まってでもいるかのようで、やや白みがかって、乾いた荒野の味はいつのこと、しっとりともして、ときどき春菊などが生えている。花の膨大さといったら、なかなか見ない規模で、やはりまったり白みがかってかるく、ここに白いクリームが加わると何かとてつもない気分になる、未だ嘗て知らなかった、要するに言葉に窮する官能である。何か、花の向こうにまだ見知らぬ花が生えている、そういう気にさせるのである。見たくても見えない花を感じている、勘違いのような気がするが、現に感じているから、匂いだけあって光の存在しないたしかな花である。それが花ではなくハバナ葉だというではないか。葉っぱだと思ってくゆらせれば花、花だと思ってくゆらせれば葉、いずれにしても花をおかしく感じる。
ショートチャーチル、枯れ始めて強さが薄れた時には、セレクションボックスで実ったポポーの再来となるかもしれない。片鱗がチラと見えた。白いクリームの時に。

ロメオは軽いから軽く見られがちのような気がするけれど、究極の香味の一種はやはりロメオにもありと感じる。

cigarOne、注文してメールが来なかったが、現物が届いたからよしとしよう。
|箱不明|5.5 x 52|cigarOne|$14|重量:0(12.82g)|算出:+3|香味:+3|計6点|

 和紙を磨いたようなハバナ葉の風味に、和三盆のような甘味の出方をする。障子を軽やかに開けて何者か軽いものが入ってきた風な。弱さを感じさせる静かな強さ。青草に雑草のような花も薄く、よくよく考えるとスポーツドリンクのようでもある。ロメオのイメージ通りの淡白さ。そこへクリーム類が重なる。カスタード一色ではなくて、植物性の生クリームも流れている。淡白だからメレンゲのようでもあるが、乳っぽさが珈琲にミルクを落としたような変化を起している。珈琲の味はしない。
 序盤で辛く感じただけか、どんどん強さが減って、ロメオのイメージなるものを通り越えて、無味というのとは別の、究極の軽さに抜き足忍び足で落ち着いている。やっぱり最後に花のみ濃くなるが、異様な軽さを全く覆さない。これほど軽いハバナシガーは初めてだった。
|箱不明|6.2 x 52|cigarOne|$12|重量:0(11.13g)|算出:+1|香味:+2|計3点|

 無バンドかと思っていたが、巻いてある。ハンターなのに。
 できるだけ寒い日に、日の出ている内に着火しようと思っていた物。
 故意らしく毬栗や渋柿しくて、確かに寒空の下で森のハンターが銜えてしっくりくるような味がする。ハンティング中に全然ハンターらしくない葉巻を銜えるハンターもいるだろうし、長閑な農村の藁っぽさも香るけれど、落葉樹の森に落ちた木実の風味があるよう。剥がれた樹皮や松ぼっくりの殻や団栗の殻などの、あまり食用にしない物の堆積の渋さがある。そこに雪解けの花。あまり綺麗な花でない。
|箱不明|6.2 x 52|cigarOne|$26|重量:+1(14.88g)|算出:+2|香味:+3|計6点|

 モンテアネハのように滑らかに落ち着いたり枯れた感じが出たりはあまりしていないが、辛い荒野の、似た味がする。モンテやロメオという別個の物を同じ条件で寝かせたというより、アネハドスという共通の物を寝かせたような香味。
 ……シナモンや胡椒から香を抜いたような刺激が荒野香と相俟ってなんともアネハドスであるがまましばらく……
 変化があまりないせいか、アネハドスらしさが濃いせいか、最早後半になる。
 リカット。
 もっと早めに、というより初めから吸口を広げた方がよかったようである。ピラミデならではのリカットだけれど、ピラミデの度にいつもそう思う。味はそう変らないが、葉巻から寝不足感が消える。
 終盤で花が色濃く咲いてくると、大吟醸酒(常きげん『常』)の吟醸香がことのほか濃密なマリアージュを呈した。一切れのパイナップルが十切れのパイナップルを重く凝縮したかのように、金木犀の蜜が滴る。この金木犀は不思議で、まるで外気からは匂わず、本当に此処にある蜜のようだった。酒の香が金木犀になり、葉巻の煙がパイナップルの蜜になる。

 ロメオ特有の、特徴を見つけにくい代りに嫌味をも見つけにくい香味だったが、アネハドスブレンドの特徴をばあまり好きになれなかった。あるいは純粋にアネハドスを楽しみたければロメオを選ぶべきというべきか。(そんなブレンドがあるのかはわからないが)
 後になって回想してみるとたまらなく美味しい物だったような気もしてくる。正月のような昼日中に着火しなければもっと毎夜のように落ち着いて楽しめたかとも思う。こういうものこそは浮ついた気分で着火してはいけない。正月は清浄なようでいてやはりどこかが浮かれている。去年今年貫く棒のごときもの
 正月だからこそ回想が美味しげになるのかもしれないが。
|SUB AGO 11|6.1 x 52|coh-hk|($99/6=$16.5)|重量:+1(14.21g)|算出:+5|香味:+4|

 ラッパーの斑に見えるように、けっこう強い。強いのに、他四銘柄と比べると軽いような白味がある。この白さは何なのだろう。軽いというのとも違う、幽霊とも違うような。豆は豆でピスタチオのよう。それでもアーモンドの渋皮のような香ばしさがないでもない。全体ホワイトシチューの晩餐の後には合うのだろう。思えばふとホワイトシチューの香味がよぎりもする、そうかもしれない。ふと懐かしい感じが一口して、捉えきれないで去ってしまっていたが、ホワイトシチューの中の人参という具合の去り方だった。
 全体に塩気がある。
 この葉巻は時々ふと覚え有る味わいの妙な一口がよぎり去る。ホワイトシチューの人参というのは手前味噌にして味噌味もせず言い得て妙だが、妙でなく長閑な甘やかさがふとシンナーに変わったり。
 終盤金木犀が濃くなるとあまり昨夜のモンテクリストとの相違を覚えず。しかし昨夜のモンテクリストの金木犀は違う。何故かこれは、此処で非常なる甘味が鼻に来て、それは大した事ではない大した事なのだが、パルタガスの旨味をも凌ぐ、それでいて芋の旨味ではない非常なる旨味が来る。ポポーの再来かもしれない。それもふと三口の出来事で、ビオフェルミンに収束するようであった。尤も残り香が凄い。
 衰えずに甘やかな金木犀の香が白く優しく金成らずにずっと続くのであった。
 終盤はロメオが一番良い。

 昨年のロメオ・セレクション・ロブストには及ばなかったが、セレクションは箱としては+5だと思う。品質は安心以上で、バラ買いする初期の愉しさも一々蘇る。五銘柄各二本で十本入のセレクション・プチ・ロブストスもあるようだが、どうしよう、プチ葉巻にはあまり興味がない。プチなら精選ではない小さい細い物の方が可愛い。たとえばコイーバのパナテラとかモンテのホイタスとか。しかしロブストとピラミデはCOHで売切れた模様、これほど憎い模様も珍しい。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(11.15g)|算出:+7|香味:+5|

モンテ  13.12g
オヨー  13.86g
コイバ  12.06g
パルタ  12.77g
ロメオ  11.15g
 ロメオというブランドはわざと緩く巻いているように思えなくもない。ショートチャーチルを量っても12.00gどころか11.00gを上った事がない。ロブストを巻くのはたぶん中級ローラーだから、中級にそのような芸当ができればだが、初級でもできるかもしれないし、それは馬鹿な事で、そんな馬鹿な事をする人はいないかもしれない。でも、馬鹿ではないと思う。ロメオは吸い込みが軽くなくてはならないのかもしれない。
 ビニールの梱包に因って照ラ照ラした赤褐色のようなラッパーが先ず目を引き、着火すると昨日のパルタガスの嫌な重々しさと似た香味であるのにどことなく軽やかである。1センチも進むと重さは消える。まさにロメオ特有のフルーツの甘さが充実してくるが早いかカスタードが加わると伝説のポポーという果物はこんな味わいかと思う。ポポーと云う果実は最近テレビで知ったのだが、「森のアイスクリーム」とも云われ、昔は八百屋で売っていたそうだが今や売られず、ほぼこのように伝説と化し、食べたい人は自家栽培しなければならない。葉巻は木の葉のようなものでもあるから、ロメオはポポーに近いと思う。
 でもロメオは箱で買うと飽きやすいブランドである。だからこういうセレクションボックスに入っていても一番不味そうで後回しにしてしまったが、一本だと一本以上に美味しく感じるのである。
 食した事なきあまりのポポー感ゆえ、新鮮すぎて、八年の熟成で枯れたなどという感じはまったくせず、むしろ実った、もともと幽かに枯れた味わいのものが今頃実った。マンゴーは香木の味わいがするが、このポポーはそんなに抹香臭くもない。まさに食べ頃なのである。
 ただ、この特殊な果実感をもってしてもコイーバとモンテクリストの双璧には太刀打ちできないようではある。だがここまで結実すると流石の双璧も揺らぐ。終盤近くなると果実に花が揺らぐのである。その揺らぎに双璧が揺らぐ。ハバナでは珍しいダビドフ状の恍惚感である。
 根元まで雑味も荒さもなく、空気を吸っているような底知れぬ安心感で、只管軽やかで充実して美味しかった。これ以上のものは私の想像力ではロメオにはもう期待しえない。
 オヨーもかなり出来が良かったが、双璧を揺らがせるほどではなかった。オヨーよりも双璧の方が出来が悪かったとしても。

 どうも季節外にて半額で購入したボジョレーヴィラージュも気付かないようなポリフォニーの美味を奏しているらしい。
 予想以上に嬉し美味しい小箱だった。売れ残ってくれて有り難い。余裕ができればもうひと箱購入したい。それからピラミデを二箱。こういう小箱は女性的でおもしろい。ロメオが五本でも良いが、五本では不味くなるかもしれず、三本が良い。ロメオ三本、コイーバ一本、モンテ一本。しかし此処にこそパルタガスとオヨーの効力が陰ながら効いてくるのだと思う。そう思うと陰の美味しさも確かに捨て難かった。
 ロメオだけ薬箱のような感じがほとんどなく、幽かにしかなかった。
|UBE SEP 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$62.90/10|重量:0( 10.97g)|算出:+5|香味:+3|

新緑が風に散るような甘い葉の香ばしさが、ひっくり返した珍陀の澱のように浮き、液状の甘味も山本山のようにまだ浮き、まだ澱は甘味を邪魔しないのだった。俄に粘土質の粘りつく匂いを嗅ぎ取ると、白地に赤地をかさね文字を白く透かし彫りにしたその文字を蔑ろにし、文字を囲う点綴の金襴に人手で巣を移植された蜜蜂のように目を止まらせ、無花果の果皮と粘りつく果肉と種子を思うのだった。甘味はグリセリンの跡だになく、水に溶いた砂糖よりも純の砂糖のようで、味気ないはずの甘やかさが、さらさらと細波もなく蓮池に舫う廃舟の感情を満たすのである。舟が、あるいはこの感情がどこから池に来たのか知られぬ。池は砂糖水のように淀みなく甘そうに澄明に空を映して静まりかえっている。蓮花が無花果の傾いだ重みにたわみ、眠気を冷ましもし呼びもする雑味を誇って頬のうちに触れる。夢も物語もない、つまりつまらないとりとめのないもの、したがって永久に続くもの、つまらないので続いて欲しからぬもの、すわぶらせ、終わりのあるものを煙は煙たい人に強いたのである。
|UBE SEP 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$62.90/10|重量:0( 10.96g)|算出:+3|香味:+2|

 このサイズの重量は10.96gで好適らしい。好適の内の下限か。吸い込みさえ良ければ上限はないが、10.90〜12.10gぐらいが適当だと思う。
 前回よりも雑味が多いが、大体同じもの。甘さが弱い分、フルーツも充溢しない。葉の感じはあり、ロメオの葉の感じはこれはこれで独特だと思う。薄味なのにしっかりしているというか、けっして醤油が濃くて出汁が薄い関東と出汁が濃くて醤油が薄い関西とに喩えられない。出汁と醤油という二種の比率ではなく、一種の葉がまるで関西風なのである。出汁の味がするという意味でなく。(「出汁」という記述は日本の葉巻レビューでよく見るけれど、私は気分に固執するあまり、葉巻に鰹を見たくないらしい。)こんな括弧事を書いていたら雑味がまるで下手な出汁の雑味のように感じられてきた(出汁を採った後の鰹を噛んだようだ)が、そこを花が救ってくれた。
 関西というのは水々しいという事なのかもしれない。水々しい葉の感じがフルーツ感を増幅するのかもしれない。とはいえ新緑が水々しいのではなく枯葉が水々しいのだからなんとも言葉の選び方に窮するのである。しかもその水々しさは薄さをも意味し、かといって薄くはなくしっかりしている。こうも面倒になると、吉田健一に葉巻の批評をやらせたら良いと思う。死人に口無しだから、偉そうに命令できるが、あの文体は確かに煙い。煙たさの中にしか鮮やかさがない。それよりも、たとえば金沢を葉巻に近づけてしまった吉田健一よりも、葉巻を金沢に近づけてしまった吉田健一を読みたいのである。
 花がフルーツを呼ぶ。木から花が咲くのは納得できるが、花からフルーツが咲くのはなぜか納得できない。生きた植物ならそれこそ納得どころか当然であるのに、葉巻は死物なのか、花からフルーツが納得できず、その納得できない感が美味しい。花がフルーツになる葉巻は実に美味しくて珍か。
 ロメオには旨味がないが、ロメオは旨味の欠如を感じさせない。フルーツだから芋やナッツは不要なのである。こんな事を書いているとミルクっぽい旨味が香る。
 ワイン用の葡萄品種でいうとピノノワールのような物だろうか。何本飲んでもワインをほとんど知らない私は「フルボディ」と書かれたピノノワールに何度騙された事か。ピノノワールは全部「ライトボディ」という表記にしてほしい。騙し屋のピノノワールにしても最近憶えたのである。
 今日も、ピノノワールではないが、それに似たワイン(シャトー・カロン・サンジョルジュ・サンテミリオン 2007)に騙された。フルボディと書かれていたのに、ピノノワール的な軽やかさなのである(ピノノワールとは書かれていなかった)。ロメオに似ているワインがロメオに合うというわけでもない。単体で美味しい物同士を合わせてこその相性なのか。できれば葉巻単独で味わいたいが、雑味がある場合などは特に水では役不足で、美味しければ美味しいほど美味しい飲み物が欲しくなる。

忍者ブログ [PR]