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  源氏物語「葉」
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|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+1( 17.25g)|算出:+3|香味:+3|計7点|

 草を手前に、遠景に揮発性の木など、粉っぽい。煙なのだから粉っぽいのだが、粉っぽい。白粉のような香りが粉を思わせるのかもしれない。化粧品のような、どぎつくない、優しい、薄い芳香がある。花まではいかない、粉といえば花粉だが。
 どうも奮わない葉巻であることだなぁと思って、早急に吸口を再切断して大口径にする。優しさのみをくゆらせるべき葉巻なのかもしれないけれど、いじらしすぎる。
 しかしリカットしても優しさはそのまま、甘味というものがまるでなくて味気なくも滑らかである。雑味は揮発性の木のみ。木質も柔らかく優しい。
 次第に木のエグさも消えると、書斎の奥、一番柔らかい所に陣取りたくなる。ふつうは窓辺で煙を排出するのが良いのだが、純朴な優しさに酔って陶然としつつあり、妄想上にて優しさが更に拡大されて、部屋に煙がこもることも厭わなくなる。
 更科粉のように微妙な粉挽きの木のコクに花が咲き始め、蕾が点く。花が先で、蕾のほうが後である。粉が幽かにカカオがかっている、非常に薄い水彩画の、塗り始めのような色で、塗り始めは何でも傑作をうかがわせる。
 樹液の染みの風味も出てくるが、痕跡の染みであって、樹液の甘さがない。カカオや樹液というと焦茶色のようだが、味わいは白、緑、黄土色。黄土色に茶色が消えかかっている。白は淡白さのみ。この水気のない水彩画は曖昧なまま、何も形を現しそうにない。そこに絵具そのものの風味が感じられる。
 葡萄酒評論家はしばしば鉛筆の芯などを美味しそうに呑んでいるが、この絵具の香りは少し懐かしさを惹き起すぐらいの効能があるだけである。
 葉を精錬するあまり、一度洗濯機で回したような乾いた味わい。
 中盤に辛味と共にシナモンか胡椒少々が降りかかる。少し良くなるが、相変らず淡さを堪能できる心持ちの人でないと良くはないかもしれないし、そんな心持ちでもこれはそう大したものではないかもしれない。
 と大体中盤で纏めにかかるのだが、激変、しかし激変も穏やかに、長閑な景色に花の靄が立ち込める。真昼の、温かい靄で、もともとぼやけた全景であったから、花だけが靄のようにはっきり見えるのである。靄が遠景を隠さない。辛味はウィルキンソンのような生姜の辛味になりつつある。甘くない桃。この桃がとても美味しい。花が景色に溶けて桃になっている。油絵のように塗り重ねた不思議な水彩画になっている。水彩画はあまり塗り重ねると汚くなるものだと思うのに。
 一口、まだ肺喫煙可能。あくまでも淡いのだからもう心地よい。布石に始まり布石に終る。この意味不明な一文の意味が良くわかるようになる。

 箱終了
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