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  源氏物語「葉」
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|NextCigar|$288/10(¥3,600/1)|arr 2021/11/3|
|—|6” x 52|16.92g|香:2.8~4.0 ave3.2|残8|



 そこはかとない石鹸を上品に松茸で燻ずる、この松茸の香がこれをダビドフワールドだとわからせるが、前回は松茸が今回のようには見えなかった。そのため不思議さは後退するものの、相変わらずオスクーロにまで黒ずんだものが石鹸化してくるというのは面白く、序盤の泡立たぬまでに薄めた石鹸水のごとき軽さは不思議なまま。また前回同様、中盤で密度を増してくる。この変化は序盤が水に似ているため劇的で、不思議さにさらに不思議の輪をかけてくる。石鹸をオスクーロが醸しているかはわからないのだが、どうしてこのような濃い味を潜ませることができるのだろう。残念ながら、今回はこの後に平板化し、前回堪能したオスクーロらしさを出してくれず、渋みを出し続けた。
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|Atlantic Cigar|$13.2/1(+¥770/1)|2021/11/2・arr 11/14|
|—|5 1/2 x 50|重量:11.31g|香:3.1~3.6 ave3.4|残0|

 バンドだけで1g程度あるので葉巻の重量は10gちょっと。

 ロッキーパテルの真髄のような煙で、銀箔を脳に貼られるような麻薬の刺激に始まる。胃の辺りまで悲しくなるような不思議さ。香味は実体が薄い幽霊で、幽邃幽幻に燃え進む、霧の中。枯淡の地で、花や、現世の温かみを帯びた甘い果実も実るが、この世のものでない。香味が何であるかという語彙は考えようとしても抜け落ちてしまい、見えない船頭が舟をつつぅと滑らせていく。おかしいほど速い。ときどき香る舟材の匂いのみが何処か現実を思わせる。

 波長さえ合えばかけがえのない葉巻になりそうな。季節は、梅雨か、十二月中旬の落葉がくすんだ頃。

 他に下の写真のパテルを入手。



|Atlantic Cigar|$12.70/1(+¥770/1)|2021/11/2・arr 11/14|
|—|5 1/4 x 52|重量:14.26g|香:3.1~3.8 ave3.5|残0|

 これも先日のシンメトリーに似てフルーツビネガーのすえた匂い。

 着火するとおこげに黒糖を塗ったような甘い香ばしさ。黒糖を口に含む感覚は深まりつづける。冬温まるココアの感触もあるも、ミルクが薄くて草が浸かっている。香草の類というより、ただの草っぽい。田舎風の皮の厚い黒パン。暖炉に花をくべる人がいる。ほっこりして軽い喫感なのに、花の蜜が濃く、そこのソファで居眠りするように、べったりと甘いミルクティーを錯覚したりもする、ミルクもないのに。あるいはパンにミルクを使用していたのかもしれない。黒糖と一匙の花の蜜が黒パンに塗られて終始安定している。花が濃い蜜を滴らせるわりに派手やかな香はさほど立たずに素朴なのが不思議だった。どこかしらすーっと素通りするような気配がある。「佳い酒は水に似る」というようなものだろうか。どうして昇るはずの香りが蜜となって落ちてくるのだろうか。黒糖と蜜は極上でおそらく記憶に深く刻まれた、香味は変化少なくも安定しているし箱買いするのも良いかもしれない、しかし恍惚界へは誘われない。常に雑草もまた生えていたからかもしれない。あのとき、もしや雑草さえ無ければ……
|montefortuna|$169/10(+¥4600/10)|2021/11/03・arr 11/20|
|MTS NOV 19 (22053/50000)|115mm x 52|重量:11.60g|香:1.0~3.0 ave1.1|残9|

 未だ注文から到着までにかなり時間がかかる。関税等含め1本2400円ぐらい。『LA GLORIA CUBANA serie d no.5 ER Spain 2017』が欲しかったのに、売切ごめんでこれにしてしまった。
 到着日だからなのか、到着日でも美味しい葉巻はよくあるが、これはいいところがひとつしかなかった。巻きが良かった。あとはただ不味い煙がぼうぼうと、全ては換気扇に吸い込まれ、換気扇が空に拡散していった。
 最初の三口ぐらいは、美味しい葉巻の記憶を蘇らせる期待させる風合いだったので、期待は残る。
 今更、初めてのLA FLOR DE CANOでした。


|Atlantic Cigar|$12.75/1(+¥770/1)|2021/11/2・arr 11/14|
|—|5 5/8 x 46|重量:12.86g|香:2.1~3.7 ave2.7|残0|

 最近の新世界葉巻は「安い」という利点を失いつつある。興味を惹く物はとりわけそう。元々興味は高い物へ向くのかもしれないから、自ら利点を捨てているのかもしれない。それにしてもダビドフのクラシックNo.2が1300円で買えた時代と比較すると、だいぶ異なる気もするが、普通酒の蔵元が軒並み吟醸酒に手を染めているようなものか。しかもこれはダビドフにとってのZinoラインのような、フエンテのAshtonライン、この喩えもまた異なる気がする。フエンテはフエンテラインでアシュトンよりずっと安価な品を製造しているし。
 加えて送料がアトランティックシガーは高い。関税やたばこ税を含めて一本あたり770円の加算となった。

 ということで結構な本数のアシュトンを仕入れた。到着はやや遅い、おそらくコロナの影響である。



 他の銘柄を含め22本をバラで買ったうち、ビギナーズラックを狙うように到着日に一本ぐらい着火したいところ、シンメトリー・シリーズを3ビトラ買ったので、その一番軽量な物に着火してしまうのは絶対だろう。しかし絶対の一本からどのようなアホが出てくることやら。2200円のアホが出てくるはずである。

 先ずビニールを剥くとフルーツビネガーがつんと香る。アホだ。
 煙一番、まろやかというか、ふんわりマシュマロの感触。密度感じるも軽やか。ここもアホである。
 そうそうにアホな花の気配。キューバ葉仕様の土っぽい香りなどよりも新世界らしく土台のない華やかさを演出する。要するに鉢の無い盆栽みたいなもので、根っこが裸になっちゃって、アホである。かすかに落としきれない根の土に大量の花が染みて、そこに降り注ぐのはお菓子である。マシュマロがポンポン落ちてくる。
 ふと、意外や土の匂いも濃く立ち上りはじめて、砂糖がべったり染みている。なんだこのアホな盆栽は。
 多くは知らないものの、多くのフエンテよりも強い傾向を次第に表す。その強さは、植物で言えば茎の立派さで、花が咲いてもこうべを垂れず、実際茎の味が強まる。ここはアホじゃないが、ややアホにマシュマロを飲みつづける。
 中盤早々以降、勤勉になる。面白いのは最初の10分程度で、あとは上記の花やマシュマロや土がつまらない顔をして時たま入って来たり居なくなったりするだけである。それにしても、序盤のアホがしっかり開花したら大変アホになりそうな予感がするのである。花がプリプリと開花したがっているのをひしひしと感じた。実際、時折その花ノカはここまで洩れてしまっていた。

Color Colorado
Binder / Filler Dominican Republic / Nicaragua
Wrapper Ecuadorian Habano
|NextCigar|$288/10(¥3,600/1)|arr 2021/11/3|
|—|6” x 52|16.26g|香:(2.8)~4.3~(4.1) ave4.0|残9|



 不思議なほど木々の見えない高原に、水色の花と清流がつづく。石鹸か何かの懐かしさ、幻の石鹸の爽やかさ。味のない煙が蓬蓬と出ていて巻を怪しむと、それぐらい煙が滑らなのかもしれないとも思う。
 物足りなさが募るぐらい前半永続してスムースなところへ鋭いスパイスが刺さる様、刺激の心地よさに今度はブリオッシュが膨らむ。この辺り、また皮の香ばしさというようなものがないのである。しかしそこから後半矢継ぎ早に胡椒からシナモン、さらに膨らんでパンケーキ、甘くしてカスタード、艶やかに金木犀、パンケーキがサフランのように重厚に湿りだす、等々と渾然押し寄せる。
 舌鼓を連打する間に終にはじめてはっきりオスクーロの黒褐色の染みが滲み出す。
 ダビドフ・マデューロはその加減が微妙であまりマデューロを感じなかった覚えがあり、オスクーロもそこまでわかりやすくないかなと思っていたが、これはわかりやすい。コイーバがマデューロ化した時と同様の変化が認められる。概ね世のマデューロに共通の風味というか、まさにコイーバのマデューロのマデューロの部分の味に酷似している。ラッパーの見てくれも、オスクーロにして、まさにハバナのマデューロと同等の黒さに見える。赤茶けて、斑らに黒い。
 中盤以降の、オスクーロをじっくり堪能させ続けて揺るがないこの葉巻のあり方、醗酵を煙で描く前に描き込んだ背景の静かさと水色の石鹸、醗酵した葉っぱ自体の美味さ、その、今まで何処に隠れていたのか隠れる場所など無いというのに、という不思議さ、感服するも、前半と後半の過渡期の矢継ぎ早の時点が最も官能的ではある。その前後に、それぞれ水色と黒を配置するというのは、やっぱりすごい。前後の方が好きになってしまいそうである。後ろ、依然木や土や皮も見えない土地で、黒の旨味のみを堪能させる。単なる『醬』である。美味しい中華料理の深みにも似る。中華料理にしか存在しなさそうな深み、それでいて中華には存在しなさそうな深み。まさに湿らせ続けた煙草葉の南米の深みである。
 最後は農家の焚火の煙が演出する町中の麗しさ透明な煙たさ懐かしさとともに焼芋の皮をいっぱいに吸う。皮は、この焼芋の皮のみだった。芋の中身はさほどない。
 『冬へ向かう日の、温かみのある秋味』このような文言に惹かれて初めて『スモール・バッチ』ものを購入したのだが、文言に掠る香味は些細な焼芋のほかに一切感じなかった。それにしても素晴らしい。いや、素晴らしいような気がする。ふと購入記録を見て計算し、パルタガスのマデューロよりもずっと高価なことがわかる、さすがシエテオスクーロというところだが、パルタガスの一本か二本はこれを超えてほしい。パルタガスの身になってみると、思いのほかかなりの高壁に感じる。でもパルタガスの全てが偶然集結したら越えられないではない壁であるとも思う。(それぐらい、パルタガスのマデューロ箱には落胆し続けている。お試しで購入した一本を除いて。)
|NextCigar|$740/10|arr 2018/8/9|
|—|5.5” x 55|18.69g|香:3.6~3.9 ave3.8|残6|

 一年八ヶ月ぶりの青ロイヤル、真夏の昼下がりのベランダで着火。気温は高い。
 最高純度のダビドフ、キレの悪さを感じるほどまったりと松茸が絡みつく。他の味はない。
 花に行くかと思いきや菊の影から水泳部が現れる。水泳部が松茸にパクつき無遠慮に平らげていく。まるで松茸が椎茸であるかの如し。
 基調が古風なダビドフで、最近の傾向からすると寂れた感興さえ覚える。ほんの少し味が乗ることがあり、すると寂の下に湛えた気品が汲み取れる。衰退した貴族の売り出された屋敷の匂い。ここにも水泳部の水の足跡が見える。
 中盤に至ると深いコクの息づきが感じられる。古い木材が粉化したようにも、カカオをパウダーのままつまんだようにも思え、砂糖のない味わいが広がる。酸味もないのが深い。花は少し木材に染みている。
 上質感のみあり、感動がない、そこが或いは凄いのかもしれない。
 変化もあまりなく、ある屋敷のようにずっとそこに佇んで、吸い疲れてきた頃に、しつこいような花が染み出す。ここでスモーカーは急激にグロッキー状態に陥るのである
 屋敷の門を閉めて仰ぎ見ると、ブレンダーの見た幻想が少し見え始めた気がする。水泳部さえ現れなければもう少し亢進するところかもしれないが、さて、その幻想を美味しく感じる人はごく少数派である気もまたする。
|next cigar|$441/25|arr 2021/7/26|
|TUE NOV 19|5.12’ x 52|重量:15.26g|香:3.3-3.6 ave3.5|残24|

 ようやく念願のパルタガス・マデューロの箱を入手、もたもたしているうちに随分高騰してしまった。
 カットすると、密度高くザクッとした感触で、葉は詰まって、切口が乾いている。パッサパサのカリントウが不味いとは限らないけれど、あからさまにまだ加湿を欲している、切口がそう喋る。
何はともあれ一本着火してみないわけにはいかない。
 1センチ過ぎで甘さがグッと押し寄せ、焦がしバターの香りが高まる。イチゴジャムとナッツペーストを混ぜた現実タブー的なものを塗った食パン。ハバナ産のマデューロはどうしても朝食になってしまう。ラッパーカラーの所為か全体的には夜の印象があるのだけれど、ふむふむと嗜むだに朝日が差す。
 後半は落ちた。
 コイーバのマデューロと違って、コイーバ特有の岩・オ・レ(カフェ・オ・レ改)が塗り潰されているというようなことがなく、かといってパルタガス特有の芋風味が立っているわけでもない。「ハバナのマデューロ」という点で両者香味が似通ってはいる。
 遡行して両者のマデューロではない場合の特性を思う。そうするとマデューロの奥のほう、記憶の奥のほうで岩オレや芋がほんのりと光を再現して放つ。なんとも微妙で難しく、美味しいのはコイーバのマデューロかもしれないが、残念なのもコイーバかもしれず、安全なのはパルタガスのマデューロであるような。
|next cigar|$187/10|2021/6/2・arr 6/12|
|―|5 1/8 x 52|17.77g|香:4.1~4.8 ave 4.5|残8|

 甘い熟成シナモンにライムミントフレーバーの水飴がてろりと絡まる。スパイスがピリつく瞬間にはシナモンがパチパチとニッキに変わる。この美味しい状態が非常に長く、十分堪能した後であからさまにココナッツへ変化する。オイルよりもサクサクした果肉のココナッツを思わせる。ここから落ちず、ニッキに戻る。灰も白く端正で美しい。これまでどれだけ葉巻を燃やしたかもう判らないのだが、五本の指に入る美味しさ。



 灰が落ちそうな時点でもう半分になっていて、落とした途端、葉巻っぽい土が巻き起こる。土が竜巻のような形状をなし、段々と立派な樹木の形に整っていく。じっくり吸い込むと、茶褐色の重い木である。
 前回よりおよそ2.4グラム重く、若干のドローの硬さが最後のほうで気になり始めたが、この味を出すのにこの重量が必要ならば仕方がない。絶品。
 前回書いたメンマっぽさは、確かに通底していた。ただ明るい色調の木質が今回はフルシティーローストの暗い色調に変わり、ただでさえ深いメンマをより深め、脳髄に金属が響くこともなかった。金木犀が咲くには咲くが、花控えめで、複雑な経年の重厚感があり、しかも穏やか。とりわけニッキからココナッツへの変化にはひとり驚嘆した。ベランダの椅子からずり落ちそうになるほどである。

 何か予見するものがあったのか、いつもより葉巻が美しく見えて、珍しく着火前に写真を撮っていた。

|coh-hk|$56/10(+¥3600/15)|2019/8/1・arr 8/8|
|―|6 x 52|重量:--g|香:3.7~3.7 ave3.0|残1|

 煙の味、木質だが白木でなく甘く茶褐色に熟している。最初から極めて美味しく感じる。そこからだんだん白いものが膨らむ気配。しかし自動的な肺のように白さが膨らんでは凹むばかりで日常の常態の域を出ない。
 最初から美味しさが非常に安定していて、最初の茶褐色の木がいつまでも甘やかに続き、この変化を受けない基礎の風味がただただ美味しい。
 結果、変化は大きくないものの美味しさが続き、喫感は終始ハバナを髣髴とさせ、パルタガスの土を木に変えたバージョンのような、などと色々なハバナを当て嵌めてみてもどれもちょっとしっくりこず、それでもハバナっぽく、それで途中金木犀がなかなか豪勢になるものの、欠点は全体として極めて変化が少ないことであり、飽きる。大いに飽きる。全体の平均点が平均点を下回るという異常な事態が発生する。

これに関しては、前回の記事と比べると驚くほど似た事を言ってたりして面白い。確かにコイーバにも当て嵌めた、今回も。今回、薄さは感じず、茶褐色の木の甘い味が強かった。それでいて、それはなんとなく、樹液ではなかったのである。

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