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  源氏物語「葉」
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|NextCigar|$288/10(¥3,600/1)|arr 2021/11/3|
|—|6” x 52|16.26g|香:(2.8)~4.3~(4.1) ave4.0|残9|



 不思議なほど木々の見えない高原に、水色の花と清流がつづく。石鹸か何かの懐かしさ、幻の石鹸の爽やかさ。味のない煙が蓬蓬と出ていて巻を怪しむと、それぐらい煙が滑らなのかもしれないとも思う。
 物足りなさが募るぐらい前半永続してスムースなところへ鋭いスパイスが刺さる様、刺激の心地よさに今度はブリオッシュが膨らむ。この辺り、また皮の香ばしさというようなものがないのである。しかしそこから後半矢継ぎ早に胡椒からシナモン、さらに膨らんでパンケーキ、甘くしてカスタード、艶やかに金木犀、パンケーキがサフランのように重厚に湿りだす、等々と渾然押し寄せる。
 舌鼓を連打する間に終にはじめてはっきりオスクーロの黒褐色の染みが滲み出す。
 ダビドフ・マデューロはその加減が微妙であまりマデューロを感じなかった覚えがあり、オスクーロもそこまでわかりやすくないかなと思っていたが、これはわかりやすい。コイーバがマデューロ化した時と同様の変化が認められる。概ね世のマデューロに共通の風味というか、まさにコイーバのマデューロのマデューロの部分の味に酷似している。ラッパーの見てくれも、オスクーロにして、まさにハバナのマデューロと同等の黒さに見える。赤茶けて、斑らに黒い。
 中盤以降の、オスクーロをじっくり堪能させ続けて揺るがないこの葉巻のあり方、醗酵を煙で描く前に描き込んだ背景の静かさと水色の石鹸、醗酵した葉っぱ自体の美味さ、その、今まで何処に隠れていたのか隠れる場所など無いというのに、という不思議さ、感服するも、前半と後半の過渡期の矢継ぎ早の時点が最も官能的ではある。その前後に、それぞれ水色と黒を配置するというのは、やっぱりすごい。前後の方が好きになってしまいそうである。後ろ、依然木や土や皮も見えない土地で、黒の旨味のみを堪能させる。単なる『醬』である。美味しい中華料理の深みにも似る。中華料理にしか存在しなさそうな深み、それでいて中華には存在しなさそうな深み。まさに湿らせ続けた煙草葉の南米の深みである。
 最後は農家の焚火の煙が演出する町中の麗しさ透明な煙たさ懐かしさとともに焼芋の皮をいっぱいに吸う。皮は、この焼芋の皮のみだった。芋の中身はさほどない。
 『冬へ向かう日の、温かみのある秋味』このような文言に惹かれて初めて『スモール・バッチ』ものを購入したのだが、文言に掠る香味は些細な焼芋のほかに一切感じなかった。それにしても素晴らしい。いや、素晴らしいような気がする。ふと購入記録を見て計算し、パルタガスのマデューロよりもずっと高価なことがわかる、さすがシエテオスクーロというところだが、パルタガスの一本か二本はこれを超えてほしい。パルタガスの身になってみると、思いのほかかなりの高壁に感じる。でもパルタガスの全てが偶然集結したら越えられないではない壁であるとも思う。(それぐらい、パルタガスのマデューロ箱には落胆し続けている。お試しで購入した一本を除いて。)
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