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|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.22g)|算出:+5|香味:+4|
眉目麗しく暫し見蕩れてしまった。早くもキラキラと金粉が反射している(よく見れば安い葉巻でもキラキラしているかもしれないが)。
シガーワンがERでは珍しく仰々しく謳っているが、高級ローラーというのはやはり居るのだなぁと思う。「上級工場であるラ・コロナ工場の高級トルセドール アーネスト・トレス・アルマにより巻かれた」とある。葉巻の値段の付け方というのはまったく知らないが、三拍子揃っている葉巻であるようなわりには他のERと比較して価格も安い(10%引きで購入して$247)。
しかも着火一番、旨い。洗い立てのシャツに首を通すような、森にいるような悪くない洗剤の芳香である。草や花が早くも微妙に揺蕩しているのだろう。
ドローもぎりぎりの固さにしてソフトな感触があって好ましい。「109」というシェイプで、トルペドよりも若干緩く窄まっている物を、細く切ったので、この後にドローは調節可能なのである。
一口毎に段々とパンチらしいスパイスやハバナ葉らしい味わいや甘味などが小鳥のように寄ってくる、何もかも淡くて上質で、ヴェールを脱ぐかのようにヴェールを重ねる。まぎれもなくパンチの味である(と思う)し、今までのパンチで一番美味しい。(まだ1センチだが。)
ハバナ葉らしさは土を地上の雲に変え、甘さはロメオ風の果物まで実らせようとする。
到着日に一本試すという慣例でほぼ嫌々にして期待を込めて着火したのだけれど、複雑な心境だの気分だのに関係なく美味しいものはやはり美味しいのである。あるいは自分で気付かない美味しい心境があるのかもしれない。
灰も美しくて落ちなさそうだったのでそのままにしていたが4センチ弱でポロリと来た。床をティッシュで拭いた。
若干鬱勃と雑味が出そうだったのでリカットしたが、粘り着くようなドローの調子も味も変わらない。不思議な差し引きである。
あるいは雑味とコクを取り違えたかもしれず、珈琲の風味が乗ってくる。かと思えば軽いフルーツなのである。単純に珈琲程度の雑味という事か。
巨大だが、ひたすら淡い為、大きな変化を見せず、変化というものを尻目にかけるほど美々しく淡い為、飽きるようで飽きない。
残9センチほどで苦みがはっきりしたりするが、更には花に畳まれて、重厚になってもふんわりとしている。実に程好い。
パンチに似つつも、ロバイナのERに似ている。ERというのは全部こう淡く来る物なのか。
これを一箱しか買えないなんて実に不幸。10箱も買ってしまったら400分の1が私の物になってしまう。
「ピノ・ノワールは嫌い」みたいな事を先日書いているのだが、あれからすぐさま認識を改めていて、思えば今日はこの葉巻にピノノワールが良く合っていた。その壜が底をついて、ナパ・ヴァレーのカベルネを開封したが良く合わなかった。
まだ葉巻は7センチも残っている。朧だった花が段々と克明な金木犀に変わりつつある。軽やかな柔らかさは維持しつつ。
眉目麗しく暫し見蕩れてしまった。早くもキラキラと金粉が反射している(よく見れば安い葉巻でもキラキラしているかもしれないが)。
シガーワンがERでは珍しく仰々しく謳っているが、高級ローラーというのはやはり居るのだなぁと思う。「上級工場であるラ・コロナ工場の高級トルセドール アーネスト・トレス・アルマにより巻かれた」とある。葉巻の値段の付け方というのはまったく知らないが、三拍子揃っている葉巻であるようなわりには他のERと比較して価格も安い(10%引きで購入して$247)。
しかも着火一番、旨い。洗い立てのシャツに首を通すような、森にいるような悪くない洗剤の芳香である。草や花が早くも微妙に揺蕩しているのだろう。
ドローもぎりぎりの固さにしてソフトな感触があって好ましい。「109」というシェイプで、トルペドよりも若干緩く窄まっている物を、細く切ったので、この後にドローは調節可能なのである。
一口毎に段々とパンチらしいスパイスやハバナ葉らしい味わいや甘味などが小鳥のように寄ってくる、何もかも淡くて上質で、ヴェールを脱ぐかのようにヴェールを重ねる。まぎれもなくパンチの味である(と思う)し、今までのパンチで一番美味しい。(まだ1センチだが。)
ハバナ葉らしさは土を地上の雲に変え、甘さはロメオ風の果物まで実らせようとする。
到着日に一本試すという慣例でほぼ嫌々にして期待を込めて着火したのだけれど、複雑な心境だの気分だのに関係なく美味しいものはやはり美味しいのである。あるいは自分で気付かない美味しい心境があるのかもしれない。
灰も美しくて落ちなさそうだったのでそのままにしていたが4センチ弱でポロリと来た。床をティッシュで拭いた。
若干鬱勃と雑味が出そうだったのでリカットしたが、粘り着くようなドローの調子も味も変わらない。不思議な差し引きである。
あるいは雑味とコクを取り違えたかもしれず、珈琲の風味が乗ってくる。かと思えば軽いフルーツなのである。単純に珈琲程度の雑味という事か。
巨大だが、ひたすら淡い為、大きな変化を見せず、変化というものを尻目にかけるほど美々しく淡い為、飽きるようで飽きない。
残9センチほどで苦みがはっきりしたりするが、更には花に畳まれて、重厚になってもふんわりとしている。実に程好い。
パンチに似つつも、ロバイナのERに似ている。ERというのは全部こう淡く来る物なのか。
これを一箱しか買えないなんて実に不幸。10箱も買ってしまったら400分の1が私の物になってしまう。
「ピノ・ノワールは嫌い」みたいな事を先日書いているのだが、あれからすぐさま認識を改めていて、思えば今日はこの葉巻にピノノワールが良く合っていた。その壜が底をついて、ナパ・ヴァレーのカベルネを開封したが良く合わなかった。
まだ葉巻は7センチも残っている。朧だった花が段々と克明な金木犀に変わりつつある。軽やかな柔らかさは維持しつつ。
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|BRU SEP 10|6 2/5 x 42|coh-hk|$184.50/25|重量:−1(9.96g)|算出:+6|香味:+4|
9.96gの軽量なのに吸い込みがぎりぎりである。同じ箱で今のところ最大3.6gも個体差がある。目分量でもこれほどずれないだろうに、葉巻好きというのは実に寛容だなと思う。ただのハバナ中毒に許すも許さぬもないか。安定感で阿諛しないのか、しえないのか未だに知らない。
やっぱりこの葉巻には「揮発性の木」があるのだが、それでも不思議な美味しさ。チョコバニラのようなコクが、こっそりと官能を刺激しているらしい。
変化も精妙で、チョコバニラと揮発性の木とのバランスが徐々に入れ替わってきて、ほとんど揮発しなくなり、吸い込みも楽に、煙量も増え、深々しい味なのに苦くない、おかしな膨らみがある。茶色い綿飴のような、空にあれば汚いものも、地上の雲である。地上をそのまま雲の上(天上)に変えてしまう逆説というか強引さが葉巻にはある。木が再び出てきてもハバナの土が豊富であまり目立たない。
バニラというのはチョコを膨らます為だけにあるようで、非バニラに近い。それによってチョコもチョコらしくはないのである。
コクに白い部分もあるというか(「白いコク」というのはロッテの板ガムを口に入れた瞬間のようなあれである)、なんだか軽快な感覚もあって、つい先日の「ロメオ風のラモンアロネス」を思い出す。白くて茶色いというか。この箱の一本目は沈没船のような荒い重厚さだったが、こちらは雲に乗るような単純な美味しさで、単純な方がどうも難しい。木犀が単独で咲かずに、茶色いコクに滲んでいるのは珍しい。色彩感覚を鍛えた画家が品評したら良い。
木が煩くない時に、草が隠し味になって、草が必ず花を揺らしている。
美味しい葉巻に特有の膨らむ類の味の出方で、後半でもライトボディを維持している。
残7センチぐらいでコクが消えてバランスが著しく崩れて雑味が出る。少し持ち直しても、小便を我慢している人のような葉巻になってしまう。そして、同時に漏らしてしまう心地よさがある。実際、後ろめたさもなく、出しては呑み、出しては呑み、煙らしい永劫循環に加えて、残5センチでコクが復帰する。
9.96gの軽量なのに吸い込みがぎりぎりである。同じ箱で今のところ最大3.6gも個体差がある。目分量でもこれほどずれないだろうに、葉巻好きというのは実に寛容だなと思う。ただのハバナ中毒に許すも許さぬもないか。安定感で阿諛しないのか、しえないのか未だに知らない。
やっぱりこの葉巻には「揮発性の木」があるのだが、それでも不思議な美味しさ。チョコバニラのようなコクが、こっそりと官能を刺激しているらしい。
変化も精妙で、チョコバニラと揮発性の木とのバランスが徐々に入れ替わってきて、ほとんど揮発しなくなり、吸い込みも楽に、煙量も増え、深々しい味なのに苦くない、おかしな膨らみがある。茶色い綿飴のような、空にあれば汚いものも、地上の雲である。地上をそのまま雲の上(天上)に変えてしまう逆説というか強引さが葉巻にはある。木が再び出てきてもハバナの土が豊富であまり目立たない。
バニラというのはチョコを膨らます為だけにあるようで、非バニラに近い。それによってチョコもチョコらしくはないのである。
コクに白い部分もあるというか(「白いコク」というのはロッテの板ガムを口に入れた瞬間のようなあれである)、なんだか軽快な感覚もあって、つい先日の「ロメオ風のラモンアロネス」を思い出す。白くて茶色いというか。この箱の一本目は沈没船のような荒い重厚さだったが、こちらは雲に乗るような単純な美味しさで、単純な方がどうも難しい。木犀が単独で咲かずに、茶色いコクに滲んでいるのは珍しい。色彩感覚を鍛えた画家が品評したら良い。
木が煩くない時に、草が隠し味になって、草が必ず花を揺らしている。
美味しい葉巻に特有の膨らむ類の味の出方で、後半でもライトボディを維持している。
残7センチぐらいでコクが消えてバランスが著しく崩れて雑味が出る。少し持ち直しても、小便を我慢している人のような葉巻になってしまう。そして、同時に漏らしてしまう心地よさがある。実際、後ろめたさもなく、出しては呑み、出しては呑み、煙らしい永劫循環に加えて、残5センチでコクが復帰する。
|7 x 49|AtlanticCigar|$22.50|重量:+1(17.85g)|算出:+3|香味:+3|
気のせいかもしれないが、ブルームが増えている。これほどのものは私物では見た事がない。全体が薄らと白色を帯び、薄らと薄らとを重ねて厚く、電灯に翳すと全体が金色に煌めく。
樹皮にシナモンに蜂蜜、いつも通り。着火前も着火後もそれである。
ハバナのEL2011に近い風味を感じるが、こちらがハバナに迫るというよりもハバナがこちらに近づいているのだと思う。
途中一回だけふわっと来て、それから香草と酸味が目立つようになる。
酸味が収まる時には樹皮の苦みが心地よく感じられ、白っぽかったコクに色味が乗る。
明らかにオーパスⅩならではのシナモン味だが、クローブも香る。樹皮とシナモンは保護色のよう。
変化に乏しく、出だし一番が極めて美味しいのみで、後半に入って紅茶のような渋みが出てくる。紅茶を飲んでいるからかもしれないが。
何の根拠もないが、ふともう五年寝かせれば美味しいだろうと予測した。残数0。
気のせいかもしれないが、ブルームが増えている。これほどのものは私物では見た事がない。全体が薄らと白色を帯び、薄らと薄らとを重ねて厚く、電灯に翳すと全体が金色に煌めく。
樹皮にシナモンに蜂蜜、いつも通り。着火前も着火後もそれである。
ハバナのEL2011に近い風味を感じるが、こちらがハバナに迫るというよりもハバナがこちらに近づいているのだと思う。
途中一回だけふわっと来て、それから香草と酸味が目立つようになる。
酸味が収まる時には樹皮の苦みが心地よく感じられ、白っぽかったコクに色味が乗る。
明らかにオーパスⅩならではのシナモン味だが、クローブも香る。樹皮とシナモンは保護色のよう。
変化に乏しく、出だし一番が極めて美味しいのみで、後半に入って紅茶のような渋みが出てくる。紅茶を飲んでいるからかもしれないが。
何の根拠もないが、ふともう五年寝かせれば美味しいだろうと予測した。残数0。
|4 4/5 x 50|cigarOne|$11|重量:0( 11.04g)|算出:+6|香味:+4|
一通り葉巻を吸って、なんだか倦きて、ラモンアロネスのようなブランドが気になってきた。
若干木のような感じと酸味が立っているが、芋ともいえそうな旨味が充実しており、パルタガスを全体的にもう一枚煎ったというか、珈琲の薄皮(の雑味)を足したような物なのかと思う。ラッパーなども見事に薄く、褪せた黒のような、白い、葉巻の死体のような色をしている。単なる苦みがあり、この苦みが木と木から咲く花を引き締めている。
引き締められてなお膨らむ木と花が優しい。男らしいブランドだと思っていたが、又この梅雨に、かえって秋になって日焼けの跡が残る褐色の少女という感じを受ける。嫁は要らないが娘は欲しいというような純粋な男らしさなのである。娘ほど男の中で優しく膨らむものもあるまい。
終盤、カスタードのように甘い草が薫る。この終盤が比類なく美味しかった。ホットケーキの素に卵やミルクやバニラエッセンスを加えて練った、焼く前のホットケーキの味にやや似ている。そこに何か香草が加わっているのである。つまり焼かずに生なのだが、ロメオをこんがり焼いたようなフルーツタルトの浮遊する風味がしなくもない。ホットケーキなのに、煙の効果で、一流パティシエが作ったケーキのように美味しい。消火が迫ってむしろ軽やかでまろやかで、酸味の僅かな痕跡もなく、木がより褐色を帯びて凛々しくなる。最後にちょっと木犀が咲く。
一通り葉巻を吸って、なんだか倦きて、ラモンアロネスのようなブランドが気になってきた。
若干木のような感じと酸味が立っているが、芋ともいえそうな旨味が充実しており、パルタガスを全体的にもう一枚煎ったというか、珈琲の薄皮(の雑味)を足したような物なのかと思う。ラッパーなども見事に薄く、褪せた黒のような、白い、葉巻の死体のような色をしている。単なる苦みがあり、この苦みが木と木から咲く花を引き締めている。
引き締められてなお膨らむ木と花が優しい。男らしいブランドだと思っていたが、又この梅雨に、かえって秋になって日焼けの跡が残る褐色の少女という感じを受ける。嫁は要らないが娘は欲しいというような純粋な男らしさなのである。娘ほど男の中で優しく膨らむものもあるまい。
終盤、カスタードのように甘い草が薫る。この終盤が比類なく美味しかった。ホットケーキの素に卵やミルクやバニラエッセンスを加えて練った、焼く前のホットケーキの味にやや似ている。そこに何か香草が加わっているのである。つまり焼かずに生なのだが、ロメオをこんがり焼いたようなフルーツタルトの浮遊する風味がしなくもない。ホットケーキなのに、煙の効果で、一流パティシエが作ったケーキのように美味しい。消火が迫ってむしろ軽やかでまろやかで、酸味の僅かな痕跡もなく、木がより褐色を帯びて凛々しくなる。最後にちょっと木犀が咲く。
|5 3/5 x 46|cigarOne|$13|重量:0( 11.39g)|算出:+2|香味:+2|
久しぶりの一本買い。一本買いはなんだか嬉しいが、慣れというのは薄情で躊躇なく着火した。
結局すべての葉巻に同じ言葉を用いざるをえないような(同じ言葉を用いた方がわかりやすいかもしれぬ)微妙な配合のバランスでしかないとは思うが、言葉冥利なのかどうか、言葉冥利であれば言葉に窮するが、やはり各銘柄にこれといった特徴がある感じは否めない。
パンチには何故かラムネとか水鉄砲とかそういうイメージが浮かぶ、懐かしさを伴って。駄菓子という感じではないのだが。大雑把にもほどがあるが、料理でいうとスペイン料理というか、白い壁が合うのかもしれない。それもどうして南のアンダルシアではなく、もっとスペイン北部の感じなのである。一体煙の定点を何処に持って来れば良いのだろう。定点を用いれば、定点は嘘になってしまわないか。
料理も大雑把な料理で、スパイスが不思議である。スパイスなんて世界共通のようなものだけれど、インドとか東南アジアのスパイス中心主義みたいなイメージはまったくない。(あまり関係ないが、ポルトガル料理がパクチーを使いまくるのに困った事がある。旅行者はお気をつけ下さい。)
パンチらしい穏やかな蒲鉾型のバランスはパンチのパンチパンチでも崩れず、革はつや消しの味わいを纏い、甘さもあり、草花がささやく。
中盤で突然薫りの絶頂がやってきて、この絶頂もパンチ的であった。絶頂というのは花の満開の事なのだが、花弁の一枚一枚に春菊が張り付いているのである。パンチ的なスパイスがパクチーの思い出と相俟って春菊に化けたらしい。
パンチパンチにパンチがあるかというと、これまで二本しか知らないが、強烈なストレートやフックやアッパーはなく、おおむね軽快なジャブである。軽く打たれるような小気味好さがある。
パンチパンチや小型拳銃で打たれるようなマグナム46こそは世界的に箱買に適しているだろう当然だろうというある種の憧れを抱く。賢い消費者への憧れだと思う。
アタリではなくむしろどことなくハズレに近かったが好感触ばかりが残る。終盤もピリ辛ながらになぁなぁだったのに。パンチのパンチパンチパンチがいずれ出るだろう。私はイカレポンチやぼんちおさむの方が好きだがね。
久しぶりの一本買い。一本買いはなんだか嬉しいが、慣れというのは薄情で躊躇なく着火した。
結局すべての葉巻に同じ言葉を用いざるをえないような(同じ言葉を用いた方がわかりやすいかもしれぬ)微妙な配合のバランスでしかないとは思うが、言葉冥利なのかどうか、言葉冥利であれば言葉に窮するが、やはり各銘柄にこれといった特徴がある感じは否めない。
パンチには何故かラムネとか水鉄砲とかそういうイメージが浮かぶ、懐かしさを伴って。駄菓子という感じではないのだが。大雑把にもほどがあるが、料理でいうとスペイン料理というか、白い壁が合うのかもしれない。それもどうして南のアンダルシアではなく、もっとスペイン北部の感じなのである。一体煙の定点を何処に持って来れば良いのだろう。定点を用いれば、定点は嘘になってしまわないか。
料理も大雑把な料理で、スパイスが不思議である。スパイスなんて世界共通のようなものだけれど、インドとか東南アジアのスパイス中心主義みたいなイメージはまったくない。(あまり関係ないが、ポルトガル料理がパクチーを使いまくるのに困った事がある。旅行者はお気をつけ下さい。)
パンチらしい穏やかな蒲鉾型のバランスはパンチのパンチパンチでも崩れず、革はつや消しの味わいを纏い、甘さもあり、草花がささやく。
中盤で突然薫りの絶頂がやってきて、この絶頂もパンチ的であった。絶頂というのは花の満開の事なのだが、花弁の一枚一枚に春菊が張り付いているのである。パンチ的なスパイスがパクチーの思い出と相俟って春菊に化けたらしい。
パンチパンチにパンチがあるかというと、これまで二本しか知らないが、強烈なストレートやフックやアッパーはなく、おおむね軽快なジャブである。軽く打たれるような小気味好さがある。
パンチパンチや小型拳銃で打たれるようなマグナム46こそは世界的に箱買に適しているだろう当然だろうというある種の憧れを抱く。賢い消費者への憧れだと思う。
アタリではなくむしろどことなくハズレに近かったが好感触ばかりが残る。終盤もピリ辛ながらになぁなぁだったのに。パンチのパンチパンチパンチがいずれ出るだろう。私はイカレポンチやぼんちおさむの方が好きだがね。
ゆったり葉巻を燻らせた事がない。いつも何かに追われているというか、真逆で、追われていず、焦らない事に於いては人後に落ちるほど並外れていて、煙なくして煙に巻かれているよう。その煙を実際の煙が形にしているのか。吸うべきなのか吐くべきなのか、無関係に立ちのぼっている。煙の味は吸収しているので、形だけの煙である。
おそらく、私の味のみを残し、私自体は煙の形として消えるのである。舌だけが金魚のように泳いでいるというか。
おそらく、私の味のみを残し、私自体は煙の形として消えるのである。舌だけが金魚のように泳いでいるというか。
|URG JUN 10|5 3/4 × 52|Cigars of Cuba|$164/10|重量:0( 13.37g)|算出:+5|香味:+4|
鉄分が叫ぶが、叫びの背景に鉄分が溶けて叫びは届かず、非常に柔らかいコイーバの箔のある芳香にまみれる。ほぼ間違いなくシグロⅥはコイーバの中で一番柔らかいと思う。8本目だが、過去7本よりもしっかりとコイーバらしさが乗っているのは寝かせたからなのか、多分違う。コイーバの強面の感が沸々としているが水面上は柔らかい。
鉄分がはっきりとした草に変わり、花も咲く。こういう変化は葉巻全体が備えるものなので、むしろ最初のコイーバらしさのみの味わいのままの方が有り難かった気もする。
小姑のようだが、僅かに酸味があるのが煩い。それにしても今回は岩が濃く、岩を石臼で挽いたキメ細かさと夏の海のようなぬるい低温が心地よい。
チョコを噛むと良く合うが、葉巻自体にもカカオに近いコクがありそうで、増幅しあうが、チョコはどこまでいっても穏やかである。
灰が黒ければ味が黒いというものでもないけれど、優しさの影に、なかなか喉に丹念にこびりつく黒い重厚さがある。黒ずむまでに煎った豆か、珈琲豆か、それら全てが岩香を染み込ませ纏ってもいる。岩に掘った家のような、まるごと岩の燻製なのである。岩を何かで燻製したのか将又何かを岩で燻製したのかはわからない。
最初は変化を嫌ったが、変化が濃くなるにつれ好感に変わる。岩の粉から咲いた花がなんというか岩の妖精のようで蠱惑的メルヘンチックである。
その奥深い花を消し、鮮やかに木犀が見える事がある。鼻につんと来るほど鮮烈に。
このようにして岩が全然関係ない粘土の風味に丸め込まれていくのである。
粘土は衰えではなく、油臭い粘土からまた新緑が芽ぐんだりする。新緑も芽ぐむ前から岩の粉をかぶって、涙ぐんでも粉に吸着されてしまう。
置く暇もなくどんどん吸ってしまうのに、火種が凸になる事もない。強制的に阿吽の呼吸となるようである。(この辺りは13.37gらしさなのかもしれない)
終盤になると赤ワインにミルクを感じる時のようなミルクが絹層雲のように浮遊する。随分身近な雲である。その空に山椒を噛んだような爽快なスパイス。但し爽快なものも爽快ではない。
中盤で優しいままに一旦重厚極まるが、最後は爽やかさも混じって軽くなる。重心は低いのに、綿を踏む感触なのである。木も土も岩の粉に丸め込まれる。
最後に辛みが出るのが本当に最後らしい。辛みが出ても質が衰えない。辛みの対照でビロードの質も再度目立ったのである。その岩のビロードには草花は生えず描かれている。押花のように岩に押し潰したというか。苦みが苦みらしくなったのも心地よい。さらには何故かこれからお出かけのような化粧品のパウダーの芳香を放つのである。この後に何処に出かけよう。
ロブストに比べると草が強く酸味が煩いが、毎日ロブストとシグロ6を交互に吸ったりしないので比較に信憑性もなにもない。そもそもこのシグロ6は今までのそれとは違う。カフェオレ感が希薄で、コイーバ感が濃厚で、あるいは凡庸かもしれない。
甘さは香に乗る程度で、とって付けたような甘味はない。
コイーバでどれを選ぶかといわれたらもっとスマートに美味しいロブストを選ぶし掴み所がない中にも気品を漂わすエスプレンディドスを選ぶが、BHKや1966を選ばないほどこれは美味しい。全部選べば済む話だが。
煙に巻かれても、極彩色にならず、景色全体が葉巻の色だった。徹底的な一色の葉巻である。
結局一本目の『するする」とした奇妙な感覚はなかったが、一本目に近い好感触。
海に行きそうな事を書いているが、鉄分とわかめを掛けたわけではなく、何処かに行きそうで何処へ行くにも中途半端に折り返すような感覚があった。
2010年11月のセールで買ったので今思うと随分割安感がある。コイーバの偽物らしきモノ(そもそもexquisitosには偽物がありそうもないのだが、味は偽物級で、バンドの山吹色(⁂)や橙色(⁂)がオレンジ色(⁂)すぎる)を掴まされて以来使っていない店だが。
鉄分が叫ぶが、叫びの背景に鉄分が溶けて叫びは届かず、非常に柔らかいコイーバの箔のある芳香にまみれる。ほぼ間違いなくシグロⅥはコイーバの中で一番柔らかいと思う。8本目だが、過去7本よりもしっかりとコイーバらしさが乗っているのは寝かせたからなのか、多分違う。コイーバの強面の感が沸々としているが水面上は柔らかい。
鉄分がはっきりとした草に変わり、花も咲く。こういう変化は葉巻全体が備えるものなので、むしろ最初のコイーバらしさのみの味わいのままの方が有り難かった気もする。
小姑のようだが、僅かに酸味があるのが煩い。それにしても今回は岩が濃く、岩を石臼で挽いたキメ細かさと夏の海のようなぬるい低温が心地よい。
チョコを噛むと良く合うが、葉巻自体にもカカオに近いコクがありそうで、増幅しあうが、チョコはどこまでいっても穏やかである。
灰が黒ければ味が黒いというものでもないけれど、優しさの影に、なかなか喉に丹念にこびりつく黒い重厚さがある。黒ずむまでに煎った豆か、珈琲豆か、それら全てが岩香を染み込ませ纏ってもいる。岩に掘った家のような、まるごと岩の燻製なのである。岩を何かで燻製したのか将又何かを岩で燻製したのかはわからない。
最初は変化を嫌ったが、変化が濃くなるにつれ好感に変わる。岩の粉から咲いた花がなんというか岩の妖精のようで蠱惑的メルヘンチックである。
その奥深い花を消し、鮮やかに木犀が見える事がある。鼻につんと来るほど鮮烈に。
このようにして岩が全然関係ない粘土の風味に丸め込まれていくのである。
粘土は衰えではなく、油臭い粘土からまた新緑が芽ぐんだりする。新緑も芽ぐむ前から岩の粉をかぶって、涙ぐんでも粉に吸着されてしまう。
置く暇もなくどんどん吸ってしまうのに、火種が凸になる事もない。強制的に阿吽の呼吸となるようである。(この辺りは13.37gらしさなのかもしれない)
終盤になると赤ワインにミルクを感じる時のようなミルクが絹層雲のように浮遊する。随分身近な雲である。その空に山椒を噛んだような爽快なスパイス。但し爽快なものも爽快ではない。
中盤で優しいままに一旦重厚極まるが、最後は爽やかさも混じって軽くなる。重心は低いのに、綿を踏む感触なのである。木も土も岩の粉に丸め込まれる。
最後に辛みが出るのが本当に最後らしい。辛みが出ても質が衰えない。辛みの対照でビロードの質も再度目立ったのである。その岩のビロードには草花は生えず描かれている。押花のように岩に押し潰したというか。苦みが苦みらしくなったのも心地よい。さらには何故かこれからお出かけのような化粧品のパウダーの芳香を放つのである。この後に何処に出かけよう。
ロブストに比べると草が強く酸味が煩いが、毎日ロブストとシグロ6を交互に吸ったりしないので比較に信憑性もなにもない。そもそもこのシグロ6は今までのそれとは違う。カフェオレ感が希薄で、コイーバ感が濃厚で、あるいは凡庸かもしれない。
甘さは香に乗る程度で、とって付けたような甘味はない。
コイーバでどれを選ぶかといわれたらもっとスマートに美味しいロブストを選ぶし掴み所がない中にも気品を漂わすエスプレンディドスを選ぶが、BHKや1966を選ばないほどこれは美味しい。全部選べば済む話だが。
煙に巻かれても、極彩色にならず、景色全体が葉巻の色だった。徹底的な一色の葉巻である。
結局一本目の『するする」とした奇妙な感覚はなかったが、一本目に近い好感触。
海に行きそうな事を書いているが、鉄分とわかめを掛けたわけではなく、何処かに行きそうで何処へ行くにも中途半端に折り返すような感覚があった。
2010年11月のセールで買ったので今思うと随分割安感がある。コイーバの偽物らしきモノ(そもそもexquisitosには偽物がありそうもないのだが、味は偽物級で、バンドの山吹色(⁂)や橙色(⁂)がオレンジ色(⁂)すぎる)を掴まされて以来使っていない店だが。
|BME JUL 11|7 1/2 x 38|coh-hk|$215.90/25|重量:0( 12.68g)|算出:−5|香味:−3|
ハズレ。まずもって埃の詰まった掃除機のように吸い込みが悪い。ラギート1で12.68gは完全に没らしい。ダイソンのサイクロン葉巻に想いを馳せるが、しかも次には味が悪い。熟成不足以前の不味い箱を手に入れた気がする。あるいは長期熟成型だと思い込んで、しばらく封印しなければならない。モの味もしないのである。
それにしても葉巻というものにはスノッブさの欠片もない。スノッビーがハズレを許すはずもなく、ハズレと巧く付き合うような人間は極めて貧乏で、ハズレをポンポン捨てるぐらいでなければ大らかな機械とはいえない。
こんな猿の陽根のようなビトラでは串刺しも難しい。陽根なら元から尿道が開いているが、どちらかといえば巻いた人の勃起した尿道に串刺ししたい。不味い葉巻というものは発想まで下品にするようだ。下品にするというか、したくない事をさせるのである。
ハズレ。まずもって埃の詰まった掃除機のように吸い込みが悪い。ラギート1で12.68gは完全に没らしい。ダイソンのサイクロン葉巻に想いを馳せるが、しかも次には味が悪い。熟成不足以前の不味い箱を手に入れた気がする。あるいは長期熟成型だと思い込んで、しばらく封印しなければならない。モの味もしないのである。
それにしても葉巻というものにはスノッブさの欠片もない。スノッビーがハズレを許すはずもなく、ハズレと巧く付き合うような人間は極めて貧乏で、ハズレをポンポン捨てるぐらいでなければ大らかな機械とはいえない。
こんな猿の陽根のようなビトラでは串刺しも難しい。陽根なら元から尿道が開いているが、どちらかといえば巻いた人の勃起した尿道に串刺ししたい。不味い葉巻というものは発想まで下品にするようだ。下品にするというか、したくない事をさせるのである。
|APR SEP 10|5 1/2 x 50|puro-express|€77.25/10|重量:+1(14.86g)|算出:+4|香味:+3|
この葉巻は美味しい。まだ二本目だが、リミターダにあるまじく、良く出来たカレーのようにこなれている。苦み、甘味、旨味が、デザートではなく、料理として纏まっている。若干焦げて揮発性の木を感じるが、ハバナ葉らしい香ばしさも微かなスパイス感も申し分ない。それがデザートに移行するような素振りをも見せ、深い色合いのカレーに明るいヨーグルトを足したかのように、まろやかに甘そうになったりするのである。カレーの味は全然しないが。もっとも林檎蜂蜜なども感じてしまう。
マデューロらしきエグミも時々乗るが、エグミは大人しいし、カレーに大徳寺納豆が利いている。バナナやパイナップルなども混ぜたのか、それにしても焦茶色いコクに溶けて判別がない。
パルタガスの懐の深さを感じる。パルタガスなら、何をやっちゃたって良いのである。全体的に恍惚感のない土着的な銘柄だが。葉巻は音楽と違って土着に恍惚はない。
私はラーメンに興味がない(興味はあるがいつもマイナス点を付ける)のだが、というのも豚骨を十時間も煮込んだり鰹粉を仕上げに掛けたりする行為が悲しいのだが(一本気という店だけは日本料理のようで別格でした)、それと同じぐらい「カレー好き」というのは悲しいけれど、食べ歩きをするならカレーの方が数倍奥深い気がする。
私が開発したラーメンというのはこうである。
<麺をおでんのシラタキのように結ぶ>。
私はおでんではシラタキが一番好きであり、二番は昆布で、三番はない。食材は単独で結ばれていなければならず、結び目の食感と、噛んだ際に結び目から僅かに湧き出すエキスが好きなのである。汁が良く絡む縮れ麺など、結び目には遠く及ばない。ラーメンの麺は「汁をどれだけ煮込むか」にばかり気を取られ結局イタリアンパスタにも及んでいないではないか。パスタには可愛いリボン型まである。「油多め」などは馬鹿である。チャーシューなども渦巻状の油を削いで渦巻状肉と渦巻状肉とを組み合わせて知恵の輪のような形にしたら良い。ラーメン以上に酷いのは葉巻だが、葉巻は愚直なほど真っ直ぐで、かえってクレブラスなどが馬鹿らしいのである。巻いている人自身が馬鹿らしいと思って笑いながら巻いているのである。
+4のはずが、終盤早々著しく減衰したというか、パルタガスの終盤らしく荒々しくなったというか、そのように荒くなったのだが、着替えたいのに着替えられず、袖から頭が、襟から手が出て、どうも変身に失敗したらしい。
この葉巻は美味しい。まだ二本目だが、リミターダにあるまじく、良く出来たカレーのようにこなれている。苦み、甘味、旨味が、デザートではなく、料理として纏まっている。若干焦げて揮発性の木を感じるが、ハバナ葉らしい香ばしさも微かなスパイス感も申し分ない。それがデザートに移行するような素振りをも見せ、深い色合いのカレーに明るいヨーグルトを足したかのように、まろやかに甘そうになったりするのである。カレーの味は全然しないが。もっとも林檎蜂蜜なども感じてしまう。
マデューロらしきエグミも時々乗るが、エグミは大人しいし、カレーに大徳寺納豆が利いている。バナナやパイナップルなども混ぜたのか、それにしても焦茶色いコクに溶けて判別がない。
パルタガスの懐の深さを感じる。パルタガスなら、何をやっちゃたって良いのである。全体的に恍惚感のない土着的な銘柄だが。葉巻は音楽と違って土着に恍惚はない。
私はラーメンに興味がない(興味はあるがいつもマイナス点を付ける)のだが、というのも豚骨を十時間も煮込んだり鰹粉を仕上げに掛けたりする行為が悲しいのだが(一本気という店だけは日本料理のようで別格でした)、それと同じぐらい「カレー好き」というのは悲しいけれど、食べ歩きをするならカレーの方が数倍奥深い気がする。
私が開発したラーメンというのはこうである。
<麺をおでんのシラタキのように結ぶ>。
私はおでんではシラタキが一番好きであり、二番は昆布で、三番はない。食材は単独で結ばれていなければならず、結び目の食感と、噛んだ際に結び目から僅かに湧き出すエキスが好きなのである。汁が良く絡む縮れ麺など、結び目には遠く及ばない。ラーメンの麺は「汁をどれだけ煮込むか」にばかり気を取られ結局イタリアンパスタにも及んでいないではないか。パスタには可愛いリボン型まである。「油多め」などは馬鹿である。チャーシューなども渦巻状の油を削いで渦巻状肉と渦巻状肉とを組み合わせて知恵の輪のような形にしたら良い。ラーメン以上に酷いのは葉巻だが、葉巻は愚直なほど真っ直ぐで、かえってクレブラスなどが馬鹿らしいのである。巻いている人自身が馬鹿らしいと思って笑いながら巻いているのである。
+4のはずが、終盤早々著しく減衰したというか、パルタガスの終盤らしく荒々しくなったというか、そのように荒くなったのだが、着替えたいのに着替えられず、袖から頭が、襟から手が出て、どうも変身に失敗したらしい。
|UBE SEP 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$62.90/10|重量:0( 10.97g)|算出:+5|香味:+3|
新緑が風に散るような甘い葉の香ばしさが、ひっくり返した珍陀の澱のように浮き、液状の甘味も山本山のようにまだ浮き、まだ澱は甘味を邪魔しないのだった。俄に粘土質の粘りつく匂いを嗅ぎ取ると、白地に赤地をかさね文字を白く透かし彫りにしたその文字を蔑ろにし、文字を囲う点綴の金襴に人手で巣を移植された蜜蜂のように目を止まらせ、無花果の果皮と粘りつく果肉と種子を思うのだった。甘味はグリセリンの跡だになく、水に溶いた砂糖よりも純の砂糖のようで、味気ないはずの甘やかさが、さらさらと細波もなく蓮池に舫う廃舟の感情を満たすのである。舟が、あるいはこの感情がどこから池に来たのか知られぬ。池は砂糖水のように淀みなく甘そうに澄明に空を映して静まりかえっている。蓮花が無花果の傾いだ重みにたわみ、眠気を冷ましもし呼びもする雑味を誇って頬のうちに触れる。夢も物語もない、つまりつまらないとりとめのないもの、したがって永久に続くもの、つまらないので続いて欲しからぬもの、すわぶらせ、終わりのあるものを煙は煙たい人に強いたのである。
新緑が風に散るような甘い葉の香ばしさが、ひっくり返した珍陀の澱のように浮き、液状の甘味も山本山のようにまだ浮き、まだ澱は甘味を邪魔しないのだった。俄に粘土質の粘りつく匂いを嗅ぎ取ると、白地に赤地をかさね文字を白く透かし彫りにしたその文字を蔑ろにし、文字を囲う点綴の金襴に人手で巣を移植された蜜蜂のように目を止まらせ、無花果の果皮と粘りつく果肉と種子を思うのだった。甘味はグリセリンの跡だになく、水に溶いた砂糖よりも純の砂糖のようで、味気ないはずの甘やかさが、さらさらと細波もなく蓮池に舫う廃舟の感情を満たすのである。舟が、あるいはこの感情がどこから池に来たのか知られぬ。池は砂糖水のように淀みなく甘そうに澄明に空を映して静まりかえっている。蓮花が無花果の傾いだ重みにたわみ、眠気を冷ましもし呼びもする雑味を誇って頬のうちに触れる。夢も物語もない、つまりつまらないとりとめのないもの、したがって永久に続くもの、つまらないので続いて欲しからぬもの、すわぶらせ、終わりのあるものを煙は煙たい人に強いたのである。
銘
囹
月