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  源氏物語「葉」
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|MUR OCT 13|6 2/5 x 54|coh-hk|$156/10|重量:+2(19.25g)|算出:+3|香味:+3|計8点|

 4本目。約1.5gの重量過多か、前3本よりむっしり重く、手強そう。立つ匂いが葉巻の愉悦を保証している。(着火前の匂いで保証できるものかはわからないが、なんだか当りだと思う。)
 一口目からちゃんと葉巻の味がして美味しい。五口も啜ると甘いものが吸い出されて吹き出し、花やカスタード、要するにいつもの、いうも虚しい葉巻の五色がどんどん打ち重なってくる。最近、華やかな旋律に心惹かれないが、派手になっても、初めて葉巻を味わった時に特に感じた風趣が主題のように濃密に提示されている。通奏低音が主題であるという意味不明な旋法が通じる。
 その後、単調である。大きいだけに単調も長い。辛さがだんだん葉巻の胴にも舌の上にも溜ってくるようである。単調で、感動も薄くつづく。
 灰の落ちにくい葉巻が良い葉巻だというのを私は一度も信じた事がないが、これは灰が落ちやすい葉巻である。ぽろぽろと泣くものの、強面の中に気品のある、濃く熟れた、それでいてまだ若々しい、土にまみれて、パルタガスのような土を洗った芋の旨みには乏しいが、草木もあまり生えず、寂寥としたところがあるが、味わい濃く、土にまみれて、花が咲いて、景色が二重写しになっているような面白さがある。
 または後ろ頭に巨大な一本の大輪が咲いているような。
 終盤、急に旋律が一体化して、花の香りの高い紅茶になる。一緒に珈琲を飲んでいる。昔、下北沢で紅茶と珈琲の二層になった飲み物に出会ったのを思い出した。
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|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(11.54g)|算出:+6|香味+4|計10点|

 着火後ほどなく、木から花がふうわり染み出す。どうして「ふうわり」なんてしているのか、花とともにベニヤの木がバニラの木に変るのからか。バニラの実がとととと熟成して香りを高めるに連れ、花もと金のように高く翻る。木だからだろう。この木は根っこのない木で、空中から生えている。天上に根っこが突き刺さっているかもしれない。そうして天下の先っぽ、つまり私の口から天上の気から養った雲を吐き出している。ということは地球が天上じゃないか。そうなのです、私は地球の反対側から見たように逆立ちしています、こうではありません、これはドーナツ型の惑星なのです。ドーナツの内側に立てば、天上も地上もこの惑星なのです。
 バターが浮いてきます。油のように浮いていながら、ぬるま湯のように軽い。
 折角の惑星が、バターだのぬるま湯だの、でもこれは惑星の話ではなく、最初から葉巻の話です。この葉巻は、だんだん、異常さを増してきます。花の数が異常なのです。いったいどこまで濃くなるの。金木犀が桜になったみたい。見た目は桜だらけ、匂いは金木犀です。考えてもみて下さい、ドーナツの惑星の四季とはそういうものです。秋と春が合体します。
 空を仰げばドミニカのダビドフがなかなかくっきり見えています、真天井は確かにハバナです。ドーナツの内側の空には太陽が浮いてない。この葉巻の煙は多分太陽に弱くて、太陽の光には負けてしまうかもしれない。しかし長年の夜にはこの乳白色の肌ざわりの煙が月に映える。月の濃さがある。ほとんど真昼のように明るく、夜の暗さがない。ドーナツ型の惑星では月はドーナツの真ん中にふうわり止まっています。真天井のハバナは月に遮られて見えはしません。月から香ってくるのです。

 このドーナツは今年が食べ頃、ついつい手を伸ばし、もう残一本になった。
最近sigma dp2 merrillというカメラを買って、色の補正に手こずっているのだが(手こずりたくなるようなカメラだと聞き、手こずりたいと思って買って、手こずっている。)、なんだか葉巻のラッパーの色の話に似ているような。やや赤かったり、やや黄色かったり。写真も葉巻のラッパーだと思えば、補正する必要がない。煙たい話。
|5 x 43|seriouscigars|$5.4|重量:−1(9.34g)|算出:+1|香味:+1|計1点|

 約2年半前に買った物なのに、4年前に買った物のような気がする。一本買いで放置しているとこのような時間感覚になるらしい。
 フィルムに包まれてか、まだ元気に匂っている。古畳というか熟成畳のような、この他に存在しない物の匂い。畳が一畳葉巻だったらどんなに面白いだろう。
 藁か草か、着火すると香はドライになるものだが、ほんのり湿度の高い熟成感をともなう甘さ。熟成と云っても葉巻の場合、ランシオ香を放つとか、自宅の熟成でそういう事は起らない気がするので、出荷時からこのような熟成感のある味わいなのだと思う。今までのオリヴァで一番良いかもしれない、しかし強い。いや、意外と強すぎない。
 甘さは伸びないが、花っぽさは出てくる。花も伸びないが。
 「美味しそうでありながら美味しくない」というのが今までのオリヴァ感(吸ってみると不味いという意味でなく、吸っている最中も美味しそうなのである)なのだが、案外オリヴァも悪くないな、という印象。今までのオリヴァ感を覆す物ではないが、巻きも美しく見えるし、このサイズが丁度良い。やっぱり美味しそう、吸っても、吸わなくても。
ロメオのアネハドスが美味しそうに思えてならない。
 「アネハドス・シリーズは、巻き上げられてから5年以上の熟成がされている葉巻」
とある。
 自宅で5年熟成させるのと大差がなかったらどうしよう。尤も特別に選んだ葉を用い、トルセドールも良い人を選んだのだろう(妄想)。ハバノスは5年も前からこんな物を秘密裏に温めてきたのか。でも単なる5年熟成というだけの物だったらどうしよう。「5年後に最高に美味しい物を発売します」というような宣言が5年前に見つかれば良いのだが、ひょいと出て来て、意味が分からない。
 だって、グランレゼルバも5年物で、同じだもの。だから、グランレゼルバよりも低級品で、自宅で熟成させるのと大差がなく思えもする。でも美味しそう。
|MUR OCT 13|6 2/5 x 54|coh-hk|$156/10|重量:+1(17.77g)|算出:+1|香味:+2|計4点|

 前回17.78gで今回17.77g。偶々にして精妙な重さ。
 約一ヶ月で落ち着いたか知らないが、基本として紅茶寄りの風味だと思う。落ち着いてか、ハバナの荒さを滔々と感じさせ、かえって落ち着いていないような激しさが募る。昔ボリバーに対して「靴屋」「靴屋」と繰り返し言っていた事を思い出すと、思えば靴屋が燻らすような職人の味にも感じられる。それはけっして上品な靴屋ではなく、かといって切れ味の悪い靴でもない。靴屋と刀鍛冶が合体したかのような、火を使うかのような職場の味。店舗に並べられた時の刀や靴の味でなく。紅茶が安かろうが不味かろうが、ハバナとしての説得力がある。が、本当の相貌はなかなか見せそうもない。そもそもそんな相貌は無い、そんな気がし出すわけではなく、どことなく一貫性がある気がするものの、強面が付いて回る気がする。

 これまで箱で買ったものでは、モンテの二番に性格が似ていると思う。香味の特徴は全く違う、というか、半分全く違うけれど。
|MES AGO 11|6.5 × 56|cigarOne|$508/10|重量:+2(21.66g)|算出:+2|香味:+3|計7点|


 高級品だからって、全部当るとは限らない。大ハズレもないけれど。先日の54の巨大化を目論んでいた為に肩透かしも大仰になる。
 先日の54は特別紅茶だったのか、これは紅茶よりも珈琲寄り。するとカフェオレ感も出てきて、ミルクに岩を溶かしたような濃厚な風味になる。だがそうなると酸味も出てきてしまう、経験則だが。フットが膨張して裂けていたし、酸味は重量過多に因るかもしれない。
 煙の出方や変化の仕方は先日の54と驚くほど同じ。
 香味はどうも56が一番レギュラーコイーバに近い気がする。

 残5本。
|MES JUL 11|5.6 × 54|coh-hk|$396/10|重量:+1(17.21g)|算出:+6|香味:+5|計12点|

 紅茶と花が、楚々と馨っている。煙も少ない。
 当初味わった硬い墨の風味は姿を消して、複雑というには綺麗な纏まりに変っている。
 紅茶と花と岩。紅茶に砂糖少々。岩は瑪瑙よりも円く、それとなく全体を覆う。
 杉や荒野といったものは一切見えない。オブラートを挟んで舌の上を浮く滑らかさ(トリニダッド)とはまた違った、オブラートの味わいのようなまろやかさがある。オブラートの上には何も無く、まろやかなまま、雑味が一切出ない。
 変化しなくて良い。現に変化しない。
 驚きの安定度で、灰も落ちず(落ちるけれど)、変化といったら、徐々に煙の量が少しは増すぐらい。2gほど重いようだが、吸い込みが固い感じもあまりしない、しかも徐々に開く。
 花は金木犀のように芬芬とは匂わず、慎ましやかに始終咲いている。紅茶の湯気の中に。

 始めから終りまで同じ味、高級な味。これほどの味のハバナ葉は他に無いといった感じがずっと続きつづける。要するに今までで一番美しい味がずっと。最々終盤まで肺喫煙可能な軽妙さ、葉巻自体が煙を出し惜しんでいるような、埋蔵金の夢の心地。

 つい八時間前の出来事なのだが、あれは、これは何だったのだろう。

残四本
|OUS OCT 09|6 x 50|cigarOne|$198/12|重量:+1(17.22g)|算出:+3|香味:+3|計7点|

 この箱とももうお別れ。
 葉の風味、突如猛烈ともなりそうな花、現に微かに猛烈となる花、杉。
 煙の口蓋での豊満な膨らみ、舌の上を浮いて辷るような優しさ、軽さ、一切の雑味がない。
 外交用ブランドだったと云う話は聞くけれど、そういえば、葉巻経験がない外賓でも持て余さない優しい味わいにした物なのかもしれない。薄いだけかというと、薄さの中にコイーバにしかないような風味も僅かにある。

 2箱持っている。2011年の箱はどうやら2009年ほどの物ではないようだ。ラッパーの色味も2011年はやや暗く斑がある。外見の相違は二年間の熟成の差ではないだろう。

 胡椒のような刺激が火花のように弾け始める。それは舌に点く。良くも悪くも。
 文字通り風のような風味一辺倒で、甘味などほとんど感じない。しかも無風の風体である。

 序盤は期待にも想い出にも満ちて最上(+5点)だったが、いずれ変化があまり面白くない、悪く変化するというのではなしに。重量過多で若干吸い込みが悪いのも燻りの起因であろうかと思う。燻る煙が燻って何が悪いのかよくわからないが、良くはない。ずっと丁寧で、落ち着いているものの、流石に最終三分間は刺激が増す。

 箱終了。
|箱伝不明|5 1/2 × 52|Cigars of Cuba|$186/10|重量:+1(14.39g)|算出:+5|香味:+4|計10点|

 一口、甘くて旨くて懐かしい。はじめから走っていた、とでもいうような速度の地球に乗っかって、どんどん加わる。分析するとまるで朝食を思わせる「バニラ・草・パン・ジャム」なのだが、一体化した凄味、独特の深みはレシピ不明の夜のフレンチソースとしか言えない。コイーバの岩の深みとマデューロの深みとは言えるのだが、それはそのまま、連想を切断する貌がある。何だか胡散臭くて奇妙で不思議と信頼できる者であると思っていたら、彼は私だった、というような。
 熟成で味がガラリとまで変わる事はなく、濃くもならず、薄く枯れもせず、あるいはこの十本目が一番美味しいかもしれないにしても、ハズレもなく、ずっと同じ葉巻のまま安定した存在でいる。味の構成はセクレトスも一緒だが、やはりこのヘニオスの方が大らかで、面の皮の薄さを感じる。
 微かなミントが利いている。チョコ味は案外全くしないものの、チョコの濃さを爽やかに仕上げる。
 中程も過ぎると、俄に開く花が、「寒夜の月下美人」という存在しない植物として、キューバの昼と日本の大晦日付近の夜とを変梃に繋いでしまう。
 萎れる一輪とてなく咲きつづけ増えつづける。熱くて持てなくなるまで。……といえば大袈裟で、残三センチで死形を現す。死形までも美味しい。

 一箱終了。一本目から四年半、たったの十本なのに、これほど長く持っていた箱ははじめて。それはそう、一年に一本で充分の味、なんだか大晦日付近にのみ相応しい葉巻だった。クリスマスでもなく大晦日でもなくその間。その一週間に満たない時機を逸し、三年ぶりに火を点けたヘニオスだったのかもしれない(見返せば前回の記事が三年前なので)。「薄く枯れもせず」と書いたけれど、どうも軽くはなっているようである。

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