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  源氏物語「葉」
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昨日25時にnextcigarで買物して、今日も25時にnextcigarで買物して、注文番号が12個しか進んでいない。大セール中だというのに。ダビドフ専門店として利用しているけれど、今日は初めてハバナを購入した。ダビドフは圧倒的な安さなのに、ハバナは大セールでも他店に比べてほんの少し安い程度にとどまっている。でもコイーバのエスキシトスを買った。以前COCで偽物を摑まされた経緯を売り手に語りつつ。
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Natural
|Atlantic Cigar|$20.76/5(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 1/4 x 54|重量:20.64g(-0.23g)|香:2.6~3.2 ave3.1|残4|

Maduro
|Atlantic Cigar|$20.76/5(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 1/4 x 54|重量:20.98g(-0.23g)|香:2.6~3.2 ave3.0|残4|

 先日の税関の話の続きで、エクスカリバーの個包装ビニールを計量すると1.16gある。
 税の過剰はともかくとして、一本あたり500円の加算は少し面白くない。

 ダビドフ7を燻らせた夜のあくる日、エクスカリバーのナチュラルとマデューロを試した。
 昔気に入って、十年弱放っておいた銘柄である。どうしてこうなるかは、この香味が物語るのだと思う。

 とにかく巨大で安いので、(税さえなければ)何も文句は出ない。一本4ドルなんて、価格設定を間違えているのではないかとすら思う。極端な美味しさこそないものの、変な味がまるでせず、ドミニカ・ホンジュラス・ニカラグアの葉を使っているが、オリジンはホンジュラスで、ホンジュラスとは最もハバナに近い所なのかとも思ってしまう。フエンテやロッッキーパテルなどよりずっとハバナに近いがハバナでもない。何も加えず、ハバナを薄くしたような感じ。だからコイーバ やモンテクリストのようなハバナ上の個性など見るべくもなく、かえってハバナ全域を見渡すような呼気がある。
 とにかく安くて巨大で雑味があまりないので、この用途と言ったら、夜長であれ昼長であれ長い時間をダラダラと過ごす場合に最高に適している。葉巻に集中させない葉巻というのはなかなかないものである。集中すれば色々なものを嗅ぎとることもできるとしても。

 ナチュラルの方は金木犀を盛んに咲かせようとしている。木はあまり感じないのに、空が花を咲かせようと。
 マデューロの方は鈴虫の音色がする。ダビドフミレニアムを少し。

 灰は脆いので注意が必要。二回ポロリした。太いので灰が短く見えてしまうのかもしれない。

 この葉巻については、できれば何も書きたくない。こう言いたいのか、葉巻がこう言わせるのか、実に両者符号する。
|Atlantic Cigar|$270.75/10(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|5 1/2 x 48|重量:13.13g(-0.16g)|香:2.6~4.8 ave4.2|残9|

 「日本入荷120箱」とあり、個人輸入陣も合せれば日本に1500本は在るのではないかと思います。といいますのは現在davidoffgeneva.jpをみておりますからで、どうして見ているかというと、「ダビドフ ロブスト レアル エスペシャル ≪7≫ リミテッド エディション 2019」(以下「ダビドフ7」)の興味深い正体が書かれているからであります。

「ダビドフを象徴する4つのホワイト リング シリーズである、シグネチャー、グラン クリュ、アニベルサリオ、ミレニアム、にも使われているドミニカ産タバコ葉がすべて使われています。」

とあり、さらにそれら4つの特徴が端的にわかりやすく書かれています。

 中でも興味を持ったのは、『シグネチャー』と『アニベルサリオ』に「シダー」と書かれ、『グランクリュ』と『ミレニアム』に「オーク」と書かれている部分です。葉巻における「シダー」と「オーク」の違い、わかりますか? いつも勝手勝手に解釈していますから、ここでようやくブレンダーの頭を覗く絶好の機会が訪れたような気がしたのです。
 シダーとオークがわかれば、それを樅の木(基礎)として、「大麦」だの「フレッシュスパイス」だのの飾りもはっきりと見え始めるのではないか、香味の構造美を感じることにより、より楽しめるのではないか、などと思いもしたものです。しかし、今からそれら4つを比べるわけではなくて、4つを混ぜた一つのものを燻らせる、これほど反逆的なことがあるでしょうか。頭が楽しい頭になりそうな気がしませんか? 大袈裟なことを言いまして、これ以上の反逆など何処にでも転がっています。と言いたい気持ちもありますが、これより反逆的なことはありません。どうしてかはいずれ墓の中で話しましょう。
 そんなで、ダビドフ7はいつまでもアメリカ上空を空中旋回していましたから、家に届かないのを待ちに待って耐えきれない時、まさしく4つの味の構成を見てしまい、見ながらグランクリュを燻らせてしまいました。

「これがオークかぁ。なるほど。今までのアレがオークだったのだなぁ。ボルドーワインを夢想しながら燻らせると異様に美味いぞ、これは新たな発見だわよねぇ。たしかにミレニアムに近い銀味もあるかもしれないなぁ。するってぇとミレニアムの銀味はリコリスによってより光っているのかなぁ、どちらかといえばダークチョコレートによってだろうかなぁ」などと思ったものです。

 以上のような話ですので、この葉巻にはこの葉巻のみの珍しい葉っぱや特別高級な葉っぱは使われていないのかな、という否定的疑問も湧きます。そこで効果を発揮するのが、かつてこのダビドフ7で「99点」を取ったという、他力本願な宣伝文句です。このダビドフ7と同じ作りの初代ダビドフ7が叩き出した優秀な点数でした。いわばこの7は復刻版なのです。評論家がたまたまアタリを引いただけではないのか、とみなさま思うでしょう。それに、99点の記事を読むと、99点に至るまでにかなりの年月の熟成が必要そうです。

さて、7を計量してみましょう。先日の話もありますので。
一本包みのビニールは0.84g
葉巻はバンド込みで13.13g
予想通り葉っぱは13gを切りました。

 ラッパーの色合いはダビドフとしては濃い方で、着火前の香りはおかしいほど臭みを感じず、畳に百年モノのフィーヌブランデーを零したような、エキスを乾燥によって煮詰めたような、火を用いずに焦がしたような、甘やかで美味しげな深い匂いがします。菜の花の芳香も感じられます。久しぶりに着火前に堪能しました。
※ちょうど昨日、冷蔵便で届いた約二十年モノのフィーヌが常温部屋にてロウキャップを破って噴いてしまいました。暑さでロウも緩んだのかもしれません。コルクが飛び出て、ラベルが噴いた酒で汚れて乾いていました。調べると液面が異様に高く、噴いた後でも壜には空気がほぼ入っていない。あんなに上まで液体を詰めた壜は見たことがありません。乾いた染みを嗅ぐと、まこと今日のダビドフに似た異様にいい匂いでございました。

 サイズは、細めのロブストで、最近の葉巻全般の肥満傾向からすると随分スマートに見えます。ドローは軽すぎず、かつ終盤に至っても絶対に詰まらないような空隙が感じられ、最高です。

 ゴタゴタ言ってないで早く着火しろ、と自分で思いますところ、思うに、ゴタゴタ言っているうちに着火の機会を逃してしまう人が世の中にはいらっしゃるのではないでしょうか。私はというと、たいてい記事の一文字目で既に着火しています。一口目、火種が整わないうちから、懐かしいような懐かしくないような不思議な感覚で、不思議さがひたすら美味しく感じられます。もはや箱で買って良かったと思ってしまっています。辛さと強さと柔らかさと軽さとが「とととと」と見事に同居し拮抗して、懐かしくも真新しい香味を醸し出しています。たとえば最近、電球を懐かしがる人もいるかもしれませんが、電球というのはLEDが出来るまでもなく昔から、エジソンの発明当初から懐かしいものでした。乾いた風味を見いだせば湿った風味が乾きを湿らせてしまうし、薄茶と濃茶が分離しているのに融合している、なになのでしょうか、「4つを混ぜた」みたいな文言に影響されすぎでしょう。何も知らずに吸ったら、「マズイ」とは言わないまでも、こうまで美味しく思ったか、わかりません。難癖の一つも付けていたかと思います。だって、湿るとはいえ、一瞬は乾いた風味が感じられるのですから。乾いた風味というのは、乾いた藁だとか、そういうつまらないモノです。一瞬だけではありません。この葉巻は、思った通りの味になる、乾きに気づいてはいけません、美味しいと思えば美味しく、マズイと思えばマズイ、この葉巻が不思議というより、人間の意識と味覚との関係が少しばかり不思議なのかもしれません。

 いや、実際に、一時的に不味くなったのだろう。意識がそこまで味を変えるとは思えません。

 2センチも進むと菜の花の本領で、ふくよかで粉っぽいような、やさしい蜜の甘さが膨らみます。しょぼい口の中で膨らみますが、辺り一面菜の花畑の幻覚が見えもするでしょう。金木犀のしつこさはひとまずありませんが、当然その気配濃厚となり、いよいよ初秋濃厚となるも、金木犀を菜の花が優しい餅で包んでいます。ここに杉には無いオークの風味が風格をもって絡まり、あるいは大黒柱となって支えるほどにそのコクを存在させ、なおかつ杉も香るという。
 面白杉る。そのまま高まり、はやくもブレンドの絶頂を見る。高杉晋作の面影が浮かぶ。
 それから始めて草の緑が現れる。ルビンの壺のようなめくるめく怒涛に威を加えるものとして。
 怒涛を治めるのは甘さのみを増し残した菜の花の優しさである。依然、金木犀の餡も優しく、初めて燃やした日のダビドフNo.2を髣髴とさせる、たぶん優にあの日の香味を超える甘美な煙だが、あの日ほどの感動は持ち得ない。葉巻慣れしてしまったので。そのように持ち得ないと思いつつ、思いを覆すようなところがある。寒気がする。
 「これはひさびさにやばい葉巻だ」と思ってしまう。
 No.2の最良の部分のみを色濃くしている。ぞっとする。
 リコリスをそれと知らないが、リコリスらしき風味が現れる。何処からか、微かな酸味が明滅してくすぐられる。リコリスを知っている方が美味しいということもあれば、知らない方が美味しいということもある。いずれにしても味蕾時点での風味は同じはずで、味蕾時点というものがどこまで存在するのか、ほぼ存在しないとは思いながら。
 オロブランコのごとき高級葉を使用しているという情報はないものの、最高級の妙技を見る思いでいっぱいである。
 もう4つは要らない。全ての粋が此処に現れ、なおも数段高い尖塔へ昇華されている。しかし改めて尖塔の基礎部分も凄いのだろうと思う。時事的にいうと、八村累くんのご両親がテレビに出ないようなもので、今日は到着したばかりの一本目であるため、今後の活躍はわからない。

 終盤は著しく失速した。それまでは長くぶれず好調で、絶巓状態が複雑で長かった。もし終盤も伸びれば天国に至る。

 使用葉はドミニカンオールスターでありながら、ラッパーのみエクアドルを使用しているところが嗅ぎ分けのポイントか。

ラッパー:ハバノ エクアドル(エクアドル)
バインダー:オロール セコ(ドミニカ共和国)
フィラー:ピロート セコ、ピロート ヴィスース、サン ヴィセンテ セコ、サン ヴィセンテ ヴィスース、オロール セコ(ドミニカ共和国)
店舗:Atlantic Cigar
日付:2019/6/7
到着:2019/6/19
送料:$56.19 USD

Arturo Fuente Don Carlos Edicion de Aniversario 80th Personal Reserve $15.80 USD
Hoyo De Monterrey Excalibur No. I Maduro (5PK) $20.76 USD
Hoyo De Monterrey Excalibur No. I Natural (5PK) $20.76 USD
La Palina Family Series Pasha Churchill Coffins LE $18.00 USDx2 $36.00 USD
Plasencia Alma Del Campo Guajiro Robusto Gordo $11.88 USD
Plasencia Alma Fuerte Robustus I $13.85 USD
Rocky Patel Hamlet 25th Year Toro $8.04 USD
Rocky Patel Hamlet Tabaquero Robusto $7.59 USD
Rocky Patel Liberation Toro $10.48 USD
Rocky Patel Platinum Limited Edition Toro $10.08 USD

他にダビドフ7を箱で購入

ラ・パリーナとプラセンシアは或るブログ(現存する葉巻ブログでは最も情報量豊富)を熟読した影響下で。しかしパリーナは目的のゴールディーが一本売りしていないので、次善策。
ロッキーパテルは梅雨に愛想が良さそうという理由で、久しぶりに、試したことがない物を選ぶ。
エクスカリバーは「美味しい安物」として、その軽さが濃く記憶されていて、九年越しの再購入。
ドンカルロスは別のアニベルサリオを買いたかったのだが、ゴールディ同様一本売りしていないので、80thへ妥協した。
以上、主目的はダビドフ7で、他は「ついで買い」ではあるのだが、長年&最近燻る興味を半分ぐらい掃いた感がある。興味の範囲が狭まっているけれど、まだ一掃ではない。主たるダビドフにもハバナにも飽き気味という事情も新世界葉巻への開拓心を再び燃やしたのだが、特別真新しい物は買っていないような。パシャと7は皆様もやや気になるところかもしれません。

今一番ぶりぶりぶり返し燻っているのはオーパスXのロストシティであります。昔から欲しいのに全く買っていない。今回も買えなかった。ロストシティというと、記憶はジュリー・クルーズの歌にまで遡ります。おそらくロストハイウェイと混同しており、心地よいので混同したままにしております。

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このように、「一本買い」のカテゴリーを追加しました。

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後記
12日後に到着、過去最遅。

税関で開けられ、計量される。ハガキに電話番号を書いたからかもしれない(いつもは電話番号を書かずにFAXを返している)。
税関から電話がかかってきた。
先ずバラ買い(エクスカリバー含む)の袋(17本分)で410gと出た。
「そんなに重いはずはない。葉巻以外の物が何か入っているのでは?」と訊くと
「何も入っていない。ビニールは軽いので差し引かないで良いでしょう」という。
二度同じ質問をするも同じ答え。
後日到着した荷物を見るとボベダが入っていた。
また、17本全てがビニールで個包装されているからビニールとてそう軽いものではない。バンド分の重量をも引いて、一本あたり1グラム程度は軽くなりそうである。
おそらく390グラム以下だったろう。
大目に見て以上は誤差の範囲とも言える。
問題は木箱入りの葉巻12本(ダビドフ7とパシャ)で、こちらは木箱を開けずに計量してくれたまでは良いのだが、「木箱ごと計量した数値の0.7(?)掛けで計算した」とかで、非常に怪しく思い、「それで、今回の葉巻の重量は全てで何グラムなのか」と訊いた。
「800g」
17本分の410gを引き、12本で390gが計上されたわけである。一本あたり32g以上ということである。
ここで焦って、木箱の物12本については一本15gで計算するよう伝え、総重量590gで決着した。
受話器を置いて冷静になって考えると、こちらも一本あたり2gほど損しているようである。24gの損失である。
合計44g程度、600円程度の損失である。
金額で見ると思ったより軽症なのだが、電話が来なかったら損失はさらに2700円増えたことになる。
電話番号を記したのがいけなかったのか、電話番号を記したから助かったのか、よくわからない。

結局590g分のタバコ税を支払ったところ、44g引いて546gだったら良いかったわけである。
良かったと言って、何が悪かったのかというと、そもそも360gで申告した私が悪いのである。(360gと書かなければ、計量まではされなかったと思う。ハガキが来た時点で、開封は既にされているものと思われる。)私が悪いとわかっているものだから、電話でも引け目が出て、44g分を回収できなかったのである。
一本一本の正確な重量がわかるものでもなし、面倒だし、29本すべてロブスト程度のものと考えて申告した。

待ちに待った荷物が届き、梱包を解いてみると、思いのほか巨大なエクスカリバーがさらに巨大で、真犯人を見た思いがした。今回はそもそも504gで申告すべきだったと悟った。向こうに誤差があれば、こちらにも同程度の誤差があるからである。
504-360=144g
144g分のタバコ税(約2000円)をケチった(?)ばかりに少しだけ酷い目にあった。
※関税に至る購入金額は真面目に計算し申告しました。

まとめると、504gで申告すべきところ、360gで申告したため、590g分の税金を支払い、1200円ほど損をした。
電話番号を記さなかった場合、どうなっていたかは依然不明。

電話番号を記したのは、そもそも360gが少なすぎると自分で感じていたためで、「何かあれば電話して下さい」という意味を込めてであった。こう考えると私はさほど悪人ではないのかもしれない。もっとも税官吏はたまた敷衍するところ国家国民に対しお手数お掛けして申し訳ないと思うべきである。だが瑣末ながらもこれはタバコ税をめぐる戦いではある。「こっちがタバコ税をケチったって何れにしても国家は得をするのだよ。税は金だ、金を貰うのに手間がかかるのは当然だろ。お手数ぐらいかけろ」という話か。つまらんな。おれの負けだ。純粋に、手数は少ない方が良い。どんな理由も純粋さを曲げることはできない。

到着が遅れた原因はアメリカでの荷物の動きが遅かったからで、税関検査に因るものでない。
|cigarOne|¥24190/24|2018/11/11・arr 11/20|
|RAG ABR 18|5 1/4 x 44|重量:??g|香:2.7~3.8 ave3.5(飲物補正あり)|残14|

 鶏舎・牛舎・豚小屋・藁置場というより、おしっこ臭い美味しそうな匂いがかぐわしく、半年余りで変貌を遂げている。用に切り出した杉のおしっこ臭さとほぼ似ていて、トリニダッドらしい杉を着火前にも隠しきれないで、滲み出てしまったものらしい。杉を絞ったような。
 購入し到着後すぐ着火した一本は美味しくて、ついでもう8本燃やしてしまった物はあまり美味しくなかったが、この10本目は何かを期待させる。

 空吸いすると杉のほかにシェリー化した葉のような濃密な酸化のコクが感じられる。

 着火すると、以上から導く予期を裏切らずに、それでも何か名状し難い煙らしい複雑さが加味される。名状し難いというだけでは全く書く意味がないので、何とか書きたいとは思う、というよりそもそも、たとえ書かずとも、物は分析心に訴求してのみ美味しさを高めるのかもしれない。換言すれば、「これは何だ?」という疑問を引き出すことが美味しさの秘訣なのではないかと。
 一口目で、予期していない花も既に少し香った気がした。そういう多様さはさておき、予期通りの味が出るというのがまず珍しい。

 時間を経ても、蔵する香味はあまり変わらず、バランスの動きとして花が出しゃばってくる、と同時に滑らかでないえぐみが口に残るようになる。花は金木犀ではないようで、やや白いような。
 しかし花が黄みを帯び、おしっこが急速に煮詰まってくる。煮詰めているのに、鮮やかな黄の色が失われないことに不思議さを、感じようと思えば感じる。この程度の言語遊戯でさえ、美味しさを高める可能性がある。味が濃くなったのだから煮詰まったのだろう、煮詰まったのだから黄は茶になるだろう、でも見える花は黄のままである、感じる味わいも黄のままである、茶色いといえば葉巻の葉っぱがもともと茶色くて、茶色い味わいも発しているのだから、花の茶色は葉の茶色に吸引されてしまったのかもしれない。
 そうこう考えているうちに黄のカスタード、卵の黄身にバニラに、花の汁を混ぜた強粘性のミルクがトロリと出てくるのである。黄と茶の色相関と似たり寄ったりな勾玉巴だが、トロリとして、極めてドライであるから、トダリとしている。トドはト、ロラはダ、リイはリ、音声学的に言っても、まさに「トダリ」としか言い得ないトリニダッドくさい味わいがする。
 さて、えぐみを消去するに、飲み物を変えるほかない。
 極めてドライな「ジン・生ライム・純ソーダ」から「白シメイ」に変更。白シメイは昔から葉巻に合うビールとして記憶していて、ベルギービールとしては割と気軽に購入できる。
 案の定、煙がソフトな膨らみを増す不思議、この不思議はとくに不思議でない。白シメイは白なのに小麦ビールではない(と思う)のだが、小麦感に優しく包まれる。そうして花の黄色がいっそう鮮明さを増して、不思議と白濁せずに鮮明さを増して、なおココナッツ化もするのである。小麦のうまみのおかげであろう、えぐみも鳴りを潜めて静か。えぐみはもう葉巻にきりりと整ったボディを与える良点にすぎない。
 白シメイに頼るところが今回のこの葉巻のダメなところなのだが、白シメイありきで計算された葉の味だと思えば最初から白シメイを指名しなかったほうがダメなのである。
 それにしても、おしっこを忘れがちにはなるが、段々と美味しさを増す葉巻というのはこれのことで、黄色いのに橙色の金木犀が満開を迎える。その橙色というのが、橙というのか、まさに日本の巷に咲く鮮やかな色で、またはマリーゴールドで、くすみが一切ない。えぐみが虫食うこともない。虫は花でなく葉を喰っている。今の主役は花なのである。かと思えばハバナ葉の風味も濃縮されて提示されてくる。なんとも豆な構成である。まめまめしい奴め、と言って親愛を込めて肩や頭を叩きたくなる。葉巻に肩や頭があればだが。
 白シメイがなかったら、どうなっていたのだろう。ここで白シメイを外す、という度胸はない。なのに白シメイは330mlという頼りない分量で、延命を図り、ちびちび含む。
 だんだん美味しくなったのに、終盤は特に変哲なく、えぐみが際立って思わしくなかったり、かと思えば全盛期を彷彿させたりと、病床のおじいちゃんをまことしやかに体現している。病床のおじいちゃんの具合が悪い時は白シメイも効かない。あとは魂がすうぅっと消えていくんだよ。
 根元に近づいて、熱くなってくると、暑い真夏に乗ったおじいちゃんの車の味がする。その車は、工業の鉄と油と畳の匂いがした。そこに若干の花を載せているのは脚色である。

 巻きは良いようでありながら、どことなく蒸し蒸しとつっかえるところもあるような、まあまあ良いものだった。
|NextCigar|$159/10|2017/10/12・arr 10/19|
|—|6" x 54|17.14g(-g) |香:2.0~3.4 ave2.9|残4|

 「こってりこんがり牡丹肉の苺ジャム醤油焼」と「煮詰めた鰹出汁のアンチグラタンオニオンスープ」のような美味しい匂いを放っている。料理であればご法度のような。
 着火すると拍子抜けな乾きと味気なさで、どんな葉巻でもマデューロタイプのものはこうなる。煙の深まりを俟つしかない。
 金木犀が咲き始めると着火前の期待に近い--料理であれば美味しくなさそうなやる気のない「料理名」も煙であれば美味な--煙の濃さが感じられ、また、突如お菓子化して、カスタードがとろけ出す。味わい尽くす間も無く、待った無しにさっさとデザートまで饗するわけで、鰹の樹皮までシナモン化する。
 時々頓悟するところがあるのに、覿面な効果なく、すぐに悟りを閉じ、長持ちせず、伸びない。一口単発ばかり。
 淡白になり、穏やかな白木に樹皮の残り香、菊少し、蜜少し。
 大波の変化に小波の変化が乗り、起伏面白いものの、特別美味しい事はない。
|coh-hk|$193.50/25|2012/2/3・arr 2/8|
|TEB SEP 07|6.8 x 43|13.52g(-g) |香:2.2~4.0 ave2.7|残0|

 12年(購入後7年)近く経ってもドロー難は無変化。月日が解決するものではないらしい、12年程度では。
 火種から立つ煙に懐かしさを覚えるが、ハバナの記憶ではなくて、新世界葉巻の記憶の方である。ジンを舐めた途端にジュニパーがツンとくるような感じ。吸引した方の煙の味は安心のハバナ風味といったところ。これは何を意味しているのだろう。
 染みっぽい草の味、えぐみの効いた太く重い木に、相反して軽い藁や乾いた汗の臭さ、これらを含む全てが化粧パウダーで甘やかに優しく包まれている。
 汗が花を邪魔したり、出しゃばるなといいたくなる場面多々延々。
 12年の枯淡味と古さに関わらない懐かしさがあって支離滅裂な記憶の機微のない饗宴となり、よくわからないが静かに吸い進めるしかない。割と美味しいと思いつつ。
 「燻らす」とか、「香る」とか、そういう恰好はなくて、この固い葉巻は懸命に吸引せねばならなくて、「吸う」という言葉しかない。吸っても吸ってもあんまり出てこない。
 落ち着いた土味もある気がするが、感じにくく、感じようとすると木のえぐみが揮発する。それなのになんだか美味しいのはどういうわけなのだろう。
 「懐かしければ花」という諺か何かだろうか。つまらないワインを熟成させればこんな思わせぶりな物になる。熟成というより、枯淡の誤魔化しで、不味さが薄まったような。

 ワインという言葉ついでにジョセフ・ドルーアンのA.C.ブルゴーニュを抜栓し、ちょっと口に含んでみた途端に葉巻が華やぐ。前回抜栓した時も同じだったのだが、この高くも安いワインはどうも本当に「葉巻の救世主」と呼びうる代物らしい。葉巻の渋さを覆つつさらに葉巻の美質を高め(とくに花が増える)、ワイン自体も苺の甘やかさが高まって渋みが減る。
 高級生産者のA.C.ブルは二つの意味でいただけないし、高いワインが煙で死ぬのも嫌だから、安定のドルーアンで何も文句はない。なにしろ近所でいつも売っている。単体で飲むと締まりのないワインだが、そのかわり色気は少しある。

 汗味のカスタードがなぜか悪くない。悪くないことばかり起こる。やがてカスタードに代ってココナッツも出るが。
 結論は、インメンサスは特別美味しいものではない。確実にそうなのだが、いや、美味しいのか。
 最後のほうにカレー系のスパイスを感じさせる。
 もし美味しいとすれば、ここに書き残せなかった芯が一本通っていると思うべきである。
 最後、コイーバ級のコクが黒くてまろやかな苦味を伴い現れる、ここが絶巓である。「パルタガスの終盤」というようなものは美味しいのだが、とくべつ終盤フリークでもないから、かくも最終盤に美味しく感じたのは初めてというぐらいの衝撃である。これまでの汗臭さが今や甘美の布石に変じ、記憶の書き換えが起ったかもしれない。当然、熱による薄荷作用がすぐに訪れる。胡椒の花。序盤がこれだったら後はどんなに美味しかったことか。残3センチ以下になればドロー難はもう消失してい
殿堂ページを新設しました。


|coh-hk|$285/10|2012/3/1・arr 3/7|
|MES MAY 11|4.7 x 52|12.49g(-0.18g) |香:3.1~3.7 ave3.4|残2|

 BHKを最後に燃やしたのが図らずもぴったり一年前(一日ずれているかも)、去年は54だった。懐かしいというより、未だに美味しい記憶に席巻される。

 甘いコイーバ。味をたっぷり乗せつつ煙柔らかく、下に垂れる煙であるのに、軽さと膨らみが上る。煙の一粒一粒にポニーテイルのインディオが跨って、数百万頭の煙馬が天翔けるようである。風は南風とも北風ともつかず、空気が左右に揺れるその様、即ち馬をイワシに置き換えてみると、イワシの群れの不規則な規律の渦に巻かれつつ鯨となって一口で呑みこむ、かと思えば鯨の口は遅く渦は噛まれて散っても不死鳥のように再生してきりがない。
 あとは特段何物か美味しさが膨らむこともなく、だんだんと苦味が深まって終る。栗にコーヒーを一滴ずつ滴らしていくようなやり方である。この箱の最初の一本で現れた打出の小槌の如き『花を散らす金の筒』は面影もあまりない。

 出だしが3.7点。
 素性は明らかに極上であるから、あとは保管とか気分とか飲物とか天候とか着火の機運とかに微妙に影響されそうである。
 珈琲は合わない。(アイス・40g抽出・イタリアンロースト・マンデリン)
 ラムは当り前に合う。(トロワリビエール・シングルカスク・1999・オーマン)

 八年前の箱でこの感覚だと、かるく十五年は味を失わずに持ち堪えそう。(キューバン・ダビドフへの夢は持続する)

ーー
疣までそっくり蛙みたいな石、無数の疣から緑色の鉱物が噴出している。糸魚川で拾ったので翡翠かもしれないという物。割ろうと思って拾ったのに、何も出て来ないとつまらないからなかなか割れない。
|Atlantic Cigar|$62.70/20|2018/7/22|
|―|3.62 x 22|1.43g(-0.03g)|香:2.5~2.6 ave2.5|残4|

 昨日の洋酒の続きで、これはどうだろうと試したが、洋酒は出なかった。芳醇というには辛すぎ、甘味非常に少ない。他に、特に何も感じない。ドライシガーに似ている。そう外れる葉巻でもないから、最近の洋酒で一時的に舌が肥えているのかもしれない。

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