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  源氏物語「葉」
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|Neptune Cigar|$35(+¥900/1)|2023/1/5・arr 1/25|
|—|6 3/4 x 54|18.48g|香:2.3~4.1 ave 3.0|残1|

 お代官さまが1位に掲げてらしたので思い切ったものの、一本五千円近くかかってしまった。円換算せずにドルのみで考えたいところ。(後日調べたら1位に輝いたのはロブストデラックスだった……)

   

 トロよりぐんと大きいトロデラックス。エンボスの深いリング、大きさは1枚でトリプル並み(撮影用のガラスブロックの重しをはみ出してしまう)、涅槃図のよう。
 序盤味無し。序盤に味が無いという事はなんの問題にもならない。

 急激にフルーツと花の盛り合わせが来る、一瞬。膨大な香りを蓄えていそうなのだが、たとえばゴールディーやコイーバやダビドフが奏でるような特異さは来ない。それにしても苺が目立つのは巨大な美点で(これまでアシュトン・シンメトリーにしか感じなかった苺だが、同時に唯一無二ではない事になる。というより、苺を別格としても、全体を構成する他の香味が葉巻界にありがちな香味なのだ)、大型スピーカーから噴出する音のように朗朗綽綽と歌いながら、香りなる音像は色濃い。ドローを含め空気感は全くのパーフェクトで、あとは苺を除く香味の魅力がどれぐらい奇天烈に変容するか、苺がどれほどもつか、である。ということでもう、これは藁や麦などを少し靡かせるだけでも減点になってしまう領域に既に到達しているのである。
 木質混じりの土の味わい。藁よりはいいだろう。土なんかは葉巻として絶対に悪くない。土料理なんぞがあるぐらいだ。甘味もごく少ない。苺も酸っぱいままあるいは不細工に変容して地に落ちる。なんだこの変容は。右手に葉巻、左手に珈琲などはいけない、ミルク珈琲ならまだしも、珈琲も葉巻も黒い不味さばかりを引き立て合う。この葉巻のためにもカルヴァドスのような華やかな飲み物をあてがってやりたい。救いようがないほど堕落する、そのまま、味が消えたまま終わる。

 何かものすごい予感がすると同時に、拭えない平凡さをも感じ、ついに平凡さを通り越して堕落する。平凡よりは堕落した方が良いのかもしれない(関係ないけれど、坂口安吾のどこが堕落しているのか長年わからないでいる)。残1本アリ。
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|Neptune Cigar|$230/10(+¥900/1)|2023/1/5・arr 1/25|
|—|6’ x 38|8.16g|香:4.5~4.7 ave 4.6|残8|



 早速2本目。
 ラギート1の時と同じように、今回も早めの2本目にして早くも大当たりが出た。長く休ませる必要はないというのか、ゴールディーは10日程度休ませたあたりが一番美味しいかもしれない。ラギート1にしても5本燻らせて2回目が一番美味しかった(保管の問題なのかもしれない、しかし10日目あたりがこんなに美味しくて保管に問題があると言えるだろうか。私は10日目に一番美味しくなるように保管設備を構築しているのに違いない。)。旅をさせよ。
 一口目からほんのり甘い香水、ほんのり、圧倒的説得力。香水に幻惑されてしまうが、よくよく嗜むと葉巻味の葉巻としての説得力がしっかりしている。ダビドフの最小葉巻、エスキシトスに似ている。ということはラッパーの風味が分厚く立っているという事になるだろうか。細ければ細いほどラッパーの比重が重くなる。
 かと思えばやわらかく美味しい麦に変わり始める。さほど甘美でないはずの麦さえ甘く美味しく食べさせてしまう。ダビドフで言えばクラシックNo.2に寄った形だが、それに比べてしまうとこちらの方がずっと濃くて強い。それでもフルボディにはまったく感じさせない清らかなところがある。清らかさばかりがある。香り自体がもう濃密に清らかさなのである。
 香りはだんだん花の形を取り始めるものの、依然なんの花なのかわからない。緑っぽさが増したのかもしれない。強いて言えば薔薇らしい。ブルガリアンローズの蜂蜜なども思い出させる。
 金木犀の砂。
 40分程経過、天寿全う60分として、急に夭折するも潔い。
|Neptune Cigar|$22.5(+¥900/1)|2023/1/5・arr 1/25|
|—|6 1/2’ x 52|19.28g|香:2.7~3.5 ave 2.9|残1|



 ゴールディー等の肖像画と異なるスモーキーなラベルが珍しい。
 味は、ドライなゴールディーに比べると、明らかにマデューロ以上の黒さの味で、しっとり甘い方向へ行きたがっていると思える。果たして、大抵のマデューロはそうは問屋が卸さず、乾いた藁がわんさか出てくるような事態に陥りがちである。藁束飛び交う一大珍事をも楽しめる劇場なら良いのだが。
 煮詰まった筑前煮のタレのような旨味が美味しいもののずっと吝嗇で単調で煙少ない。ズバリ藁はタレを吸う麩なので、麩を食べれば美味しいが、麩が吸ったタレは何処へやら、宇宙的な麩が居るのである。ダテに麩は真ん中に穴を開けておらず、その穴から宇宙の別次元へタレを放出していて結果筑前煮全体を乾かしてやまない。
 微かなタレになぜか花や果実も混じってきはする、それでも煙が少ないせいか依然単調に感じる。そもそもドローがキツすぎるのである。宇宙に繋がって息が苦しいのだろう。もしマデューロ殺しの麩が出現しなかったらと考えると大変美味しそうではある、お麩が。スキヤキを生かすも殺すもお麩次第なのであるから。
 スキヤキも筑前煮も焼鳥タレもほぼ鰻のタレに似た話、どうして筑前煮にしたのだろう。どことなく微妙に筑前煮の野菜の旨さを帯びていたのだろうか。違うような。
 パリーナとして高価な部類なのに、この価格帯でもドロー難の物がある、実に良くない知らせである。コラボめいた事をして、自社のプロが巻いてはいないのかもしれない。
『殿堂』ページ()でMONTECRISTO no.5を▲にしたけれど、怪しく落ちて、読み返すとなお高まるなぁ。すごい一口だったのはなんとか思い出しうる。
殿堂ページ()を更新しました。2022年版。
1月から■印が4つも入っている。昨年のお正月は良いお正月だったようだ。7本のうち5本が1月。更新をサボっている期間がありましたが、その間はとくにこれといった物には当たりませんでした。一番の収穫は1月に非ず、La Palina GOLDIE laguito No.1でした。オヨーにはっきりとレモンを認識したり、アシュトン・シンメトリーにストロベリーを認識したり、コイーバやモンテという古株に依然王者感を感じえたり、この辺りは今後も同じ言葉で語ってしまう、そういう脳内整理術に関わる重要な記憶となりました。
|Neptune Cigar|$230/10(+¥900/1)|2023/1/5・arr 1/25|
|—|6 1/2’ x 48|13.80g|香:4.0~4.7 ave 4.5|残9|

 直近のゴールディを3種試した限り、同じ傾向の葉だとわかる。この優しい香水に相応しい形はラギートの2種だと思ってしまうし、併せる飲み物は黒っぽいものよりも色の薄いもの、珈琲より紅茶、紅茶は夏摘よりも春摘、ワインは赤より白、煎茶は深蒸より普通蒸だと思ってしまう。
 昼に普通蒸煎茶を丁寧に淹れながら、昨日到着後一晩しか加湿していないプロミネンテに着火した。茶葉は通常のおよそ2倍を使う。

 茶の繊細さと煙の繊細さがぶつかり、より分析不能な香水が頭の周りを廻る。ハテナが飛び交う。互いに持つ微かな甘味が甘味を相互補完して、それでもほのかに甘い。
 しかしラギートにない吸いごたえ、爆煙が香水を猛烈化し、もはや旨味の穴が埋まれば寂しいことは何もない。より美しくはないが、ラギートを超える。
 シナモンが! 香水からシナモンとは何事かとめまいを覚える。洗練されている。むしろラギートの方が荒い。シナモンが吟醸されたような高級感を放つ。それから金木犀に至る。
 昨日のラギート2もそうだったけれど、ゴールディーも金木犀に至るものらしい。ラギート1はひたすら香水を続ける。
 辛味や苦味の刺激はシナモンの心地よく細やかなスパイシーさだけ。このシナモンは吟醸によりホワイトペッパーを薫ずる。清酒の吟醸香が漂うのではなくて、ひたすら嫌味なく精製したシナモンの中、ホワイトペッパーがほどほどに炸裂する。
 金木犀の次にクリーム、昨日の変化過程と全く同じ。
 クリームから矢継ぎ早に藁。ここまで藁や小麦といったものを全く感じなかったのは昨日と違う。昨日は藁ではなく小麦やパンではあったものの、藁と小麦は同系で、しかも昨日は延々小麦を感じたものだった白ビールの酵母の美味しさではあったにせよ。となるとこれはやはり、知らぬ間に天上にいて、初めから天上にいたため、今更ようやく地に足ついたということになるようだ。それにしてもなんとふくよかな地上だろう。
 ゴールドラッシュ、金木犀ラッシュが続く。スパイス等も出たり入ったり渾然たる様相で、金木犀は樹皮を剥いだ枝木を現し、地肌が見えても金はまだ掘り尽くされない。春菊、緑が芽生えたのもここが初めて、葉巻に緑など要らないというか、天上に緑は生えなかったのだろう。
 終盤を告げるラッシュが始まってから酣になると、香水の残香を靡かせて徐々に減衰する去り際もまた美しい。
|Neptune Cigar|$230/10(+¥900/1)|2023/1/5・arr 1/25|
|—|6’ x 38|7.90g|香:2.8~3.8 ave 3.6|残9|

 送料・税金がおよそ一本あたり900円、購入時の円安を加え、結局1本4000円以上かかっている。アメリカ人はこれを高い高いと言いながらも日本の感覚で1500円ぐらいの痛手として味わう、こんな残念な勘定は予め無視していたけれど(勘定はごく自動的に行ってしまう)、このゴールディ、どうしてどのビトラも価格が同一なのだろうか。前回入手したラギート1も、今回入手したラギート2もプロミネンテも、どの販売サイトを見ても値引き等がない限り同一の価格を示している。ラギート2に比べたらプロミネンテなどは2倍の重量がある。重量としては軽くてもラギート系は特別扱いで高いのか、それにしてもラギート1と2が同一である事も腑に落ちない。「ゴールディーは全て同一価格」という崇高らしき理由でスッキリはする。ゴールディーは重量で価格を変えるようなチマチマした代物ではないのだろう。そこにも惚れ込んで購入に踏み切ったのであった。なによりもラギート1の超絶香水に惚れ込んで、その馥郁の香をふんだんに手元に仕舞い込んでおきたかっただけだ。

 到着初日だからか落ち着きなく辛さを処方してくる。その中に春摘ダージリンを香らせ、併せてそこはかとない茶葉の旨味を落としてくれるのは紅茶も葉巻もハッパだからだろうか、でも茶葉の旨味とは違う。
 この葉巻は序盤から入念に化粧をし、これから三つ星でディナーという風体だ。未だ家を出ず、にこやかに鏡の前に佇み、本当の楽しみは先にある。本当に先があるのか、というのも、この葉巻の変化の行方はお出掛けのように楽しみだけれど、この葉巻の今を評してそうなので、この葉巻がこれからレストランに連れて行ってくれるはずがない、決してレストランの皿に乗ったあれこれは出てこない。そもそも、くれぐれもレストランに香水をつけて行くなよ、ああ、香水ではなくシャンパーニュの香りか、という風なのだ。実際にこの葉巻をレストランで使うとしたら食後よりもアペリティフに合う気がしはする。
 辛さが収まると白ビールの酵母に似た湯気のような温かい旨味を現し、香りは撫子とも梔子とも木犀ともポンカンともつかない不思議な香水体験に更に近づいていく。
 酵母感は焙煎した麦ムギしさに。なべてパンに。みかんの爽やかな隠し味(どことなくマッタリともした)を効かせたパンなのか、意表を衝いてか、ジャムの代わりに甘い金木犀がぺっとり。
 スカトール由来と思しきこの急に濃くも可愛い金木犀はラギート1の純な香水とは違う、いわば他の葉巻からも頻出するもので珍しさはさほどない。
 麦は収まりつつ、むしろ何物かに変貌している。米のおこげに濃い味の付いた何か。野生味ありつつ、もっと上品な料理。アジアン、メキシコ、スパイス、香草、宮廷、コメならぬ米らしきものに絡みつく。
 皿が変わり、クリーム料理登場。
 結局レストランに来ていたのか……。

 以下、次の皿が続くようで続かない。皿の上に割れた皿を乗せて饗するようなレストランだ。

 終盤そうそうこの葉巻は死んだ。序盤、微妙に香水を燻らせるあたりはラギート1によく似ていた。落ち着けばどんどん似てくるだろうと思う。ただ、2の方が強さがある気がする。
|thecigar|108CHF/16|arr 2022/12/20|
|—|4.7 x 46|重量:9.82g|香:--|残15|

 昔シングルで8ドルだったから、未だ珍しく安価を保っているのかもしれない。全然記憶にないけれど、ベゲロスのespeciales No.1と2はどこへ消えたのだろう?
 この缶入りのタパドス16本にボックスナンバーはないのか? 見当たらない。わからなくなった事だらけだが、着火すれば安定しているらしき甘い草おいしげに、雑草にあらず。
 緑の草にまじわる乾いた「藁束」にそこはかとなく香るコイーバの如き深みはなんだろう。意外やコイーバに一番近い気がするべゲロなのだよ、そうだろうとも。理由はわからないが、秘密の製法を私に隠している気がする。
 藁は美点でないのに、コイーバとはこの藁束をこそ変化せしめたものだと悟らせる、かもしれない。コイーバのあのおそろしい重厚さはないものの。ベゲロスに関する昔の記事でも同様の事を言っていた気がする。記憶違いでなければ。つまりは全ハバナの中でもっともコイーバに近いと。それは調べず、昔の記事を辿ると、ほぼ記憶にないespeciales No.1と2の記事が出てくる。
|thecigar|145CHF/25|arr 2022/12/20|
|UER JUN 17|125mm x 39|重量:5.66g|香:--|残24|

 これは良いかもしれないと、一口目からハバナの風土がガツンときて、細すぎることがない。リンゲージ38が下限の細さだと思っていたが(先日のアップマンで尚更実感した)、まさに一つ上の吸い心地が通る。シガリロの最高の解を見出した思い。もともとラギート1,2が好きなのでそれを短くしたラギート3のよう。小を大きくせず、大を小さくせずというのがラギートで、大らかな物と窮屈な物の間にまさにスマートに空気のように君臨している。空気のようにとはなんだろう。空気を失えばわかるだろう。空気ほど後味の濃いものはない。空気を失えばわかるだろう。たまたまドローの良いものに当たったのか。この一口目のあとすぐ、二口目にお菓子がフワッと香る。
 でも荒さを隠していない。それは火種を進めるたびに実感する。
 花が咲けば同時に必ず草が花を覆い隠す様、これがなんとも安っぽかったりもするのだが、パルタガス特有の芋の粗野な風味がじくじくして荒さをおいしく楽しめたりもする。
 強力。春菊のべっこう飴。
 あと三年ぐらいの熟成が必要か、改めて調べると意外や既に五年モノ(アップマンの方を五年モノだと勘違いしていた)。逆に強まり出すタイプなのか、パルタガスは熟成で強まるという話をしばしば聞くような。
 39口径の形からか、ペテコロエスやショートよりもやっぱり日常の空気に近く、好感が持てるというか、なくてはならない感じがする。なんだろう、このフィット感。毎朝喫茶店に持ち込みたいような。新聞朝刊の味というのか。そもそもそれに叶う喫茶店がない。(そもそも新聞を読んだことがない)これは未だ私の葉巻ではないということかな……。誰の葉巻なのだろう。
|thecigar|115CHF/25|arr 2022/12/20|
|EPO ABR 22|110mm × 35|5.50g|香:--|残24|

あまい草。湿った落ち葉。

一本ではつかみどころがないものの、サーウィンストン系のコク方向へ振れることを期待している。つかみどころを失わせる小ささでもある。やっぱり小さすぎるかな……

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