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  源氏物語「葉」
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Maduro
|Atlantic Cigar|$20.76/5(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 1/4 x 54|重量:19.57g|香:3.7~3.9 ave3.8|残2|

Natural
|Atlantic Cigar|$20.76/5(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 1/4 x 54|重量:22.84g|香:2.9~3.3 ave3.0|残2|

 今日のお客さん、のっぽで巨大でした。印象深かったですね。その大きさ、その単純さ、深くない淡さ、全くいつも変わらぬ美味しい駄菓子のような方々でした。まず入ってくるなり框に頭をぶつけましてね。それも二人、二人して頭をぶつけましてね、そこに火が点いて、笑ってしまいましたよ。お二人とも安っぽいようでありながら、下ろし立ての小綺麗な身なりで、そっくり双子だったのですが、顔色が好対照でした。お一人は八丁味噌色、お一人はきな粉色で。八丁さんきな粉さんとお呼びしたんです。このご時世、入荷もままなりませんうえに暇に暇を掛けたようでしたから、店主が在庫品にいろいろ手をつけまくってしまって、ストックもどんどん底をついてくる、こういう時に思い出すのが、普段は食指を動かさない新世界葉巻ですね。一応新世界からも厳選して仕入れているのですが、こんな世情でもなければなかなか美味しそうには見えないですね。週に一回の休日なんかですと、ちょっと高い物に火をつけたくなりませんか?
 で、八丁さんにはエクスカリバーのマデューロを、きな粉さんには同じナチュラルをお勧めしました、何しろ二人の風貌そっくりでしたのでそれがうってつけでした。八丁さんは框に因るたんこぶの熱で着火しましたね。一服するや否や非常に綻びました。羽毛でも纏っているような顔になりまして、そのあと、ずっと同じ顔だったのが不気味でした。本当に真っ直ぐ棒のようなお人柄で、シフォンケーキのふわふわで甘い感じ、軽い砂糖醤油、こげ茶色の樫の蜂蜜、朝の森の香り、そんな優しい光景でも空想なさっていたのでしょう、そういうお顔でした。石膏品のように同じ顔をずっと続けられて、こんなに揺れない人も初めてです。一方きな子さんの方も框に因るたんこぶの熱で着火したのですが、こちらは顔を少々顰めてしまい、それでももともと人当たりが良い人のようで、機嫌は悪くもなかったようですね。何か、サラダばかり食べている胃の持ち主のような印象がありましたが、むしろ八丁さんよりも内臓脂肪が溜まって詰まっているようでした、背丈とか同じなんですけれどね。口の悪い芸術家なら、こういう時、うんこの詰まった顔とかいうんでしょうか。お菓子食べたさそうに八丁さんの方を見ていましたっけ、棒のように真顔で。横を向いてはいないです、お二人とも凝っと真っ直ぐを向いている。それでいて首にベアリングを巻いたようにくるくる三百六十度回転するような仕組みなんです。八丁さんの方が顔色はうんこなんですけれど、それは兎も角、大体こういう仕事をしているとお客さんの脳の中身まで見えてくるモノなんですよ。まあ僕の方にも煙が廻ってきますし。そうそう、その前に、僕の方でも提供前に一本は燻らせてみるんです、得体の知れない物をお客様にお出しするわけには参りませんから。で、きな子さんの方にもうんこじゃなくてシフォンケーキが入っていたはずなんですけれどね。
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Natural
|Atlantic Cigar|$20.76/5(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 1/4 x 54|重量:20.64g(-0.23g)|香:2.6~3.2 ave3.1|残4|

Maduro
|Atlantic Cigar|$20.76/5(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 1/4 x 54|重量:20.98g(-0.23g)|香:2.6~3.2 ave3.0|残4|

 先日の税関の話の続きで、エクスカリバーの個包装ビニールを計量すると1.16gある。
 税の過剰はともかくとして、一本あたり500円の加算は少し面白くない。

 ダビドフ7を燻らせた夜のあくる日、エクスカリバーのナチュラルとマデューロを試した。
 昔気に入って、十年弱放っておいた銘柄である。どうしてこうなるかは、この香味が物語るのだと思う。

 とにかく巨大で安いので、(税さえなければ)何も文句は出ない。一本4ドルなんて、価格設定を間違えているのではないかとすら思う。極端な美味しさこそないものの、変な味がまるでせず、ドミニカ・ホンジュラス・ニカラグアの葉を使っているが、オリジンはホンジュラスで、ホンジュラスとは最もハバナに近い所なのかとも思ってしまう。フエンテやロッッキーパテルなどよりずっとハバナに近いがハバナでもない。何も加えず、ハバナを薄くしたような感じ。だからコイーバ やモンテクリストのようなハバナ上の個性など見るべくもなく、かえってハバナ全域を見渡すような呼気がある。
 とにかく安くて巨大で雑味があまりないので、この用途と言ったら、夜長であれ昼長であれ長い時間をダラダラと過ごす場合に最高に適している。葉巻に集中させない葉巻というのはなかなかないものである。集中すれば色々なものを嗅ぎとることもできるとしても。

 ナチュラルの方は金木犀を盛んに咲かせようとしている。木はあまり感じないのに、空が花を咲かせようと。
 マデューロの方は鈴虫の音色がする。ダビドフミレニアムを少し。

 灰は脆いので注意が必要。二回ポロリした。太いので灰が短く見えてしまうのかもしれない。

 この葉巻については、できれば何も書きたくない。こう言いたいのか、葉巻がこう言わせるのか、実に両者符号する。
|5 3/4 x 45|Famous Smoke|$7.49|+4|+3|

 ムギムギというお菓子の香りがする。麦というか珈琲というか黒糖というか。ラッパーは藁半紙の風合いの艶消しの厚い葉がカッチリと巻かれている。
 始めから気高くなんだか恍惚としそうなほど美味しいが、フルに近い強さがある。#1より美味しいかもしれない。杉なのにまったく刺すようなところがなく穏やかで深い。徐々に、他にも木はたくさんで、緑や黄色く染みた木は勿論、白木の旨味などもある。甘味は無く、木の旨味がどことなく甘いばかり。ほとんど官能的な木の旨さ。旨いので強さも心地好い。巨木が根を張ったような旨さだが、エクスカリバーにしては随分細く密度感がある。
 序盤も佳境に入ると木が大変まろやかになるとともに甘味が舞う。なんだこれ、1本しか買わなかったが相当旨いぞ。既に次回には少なくとも5本セットを買うつもりになっている。強く旨いが、ふわりとしたバランス。何回旨いといえば気が済むのだろう。若干辛いのがまた嫌な辛さではない。吸い込みも完璧で、このままいくと+4になってしまう。興趣に合うのかもしれない。変化などしなくて良いのでこのまま長引けば良いのだが。
 中盤、ふと、灰味とほんの微かな酸味が感じられないかと疑っていると、シナモンのようにもなる。疑り過ぎかもしれないが、このままだと+3の筆頭程度かもしれない。
 灰味とほんの微かな酸味というより、イガイガしさが増してきた。相変わらずふわりとはしているが、密度も薄れ、結局、+2と+4との中間なのだった。序盤は滅多にないつちのこの風情のようだった。
 と思って、美味しい小屋に引き蘢っているつもりになっていたら、モンテクリストでしか嗅いだことがなかった金木犀の香りがほんのりと出ている。こういう変化なら大歓迎で、やはり限りなく+4に近い。もっともモンテクリストに似て非なる葉巻。ここでまだ終盤に入ったばかりだが、もう気持ち悪くなっている。金木犀に喜ぶあまり口から鼻へと煙を綰ねすぎたのかもしれない。金木犀はやはり貴く醗酵した木の旨さのようだった。
|6 1/8 x 50|Famous Smoke|≒$4.60|−1|0|

 #1に見えた硬い外観はない。随分ラッパーが薄く脆そうに見える。
 味は一応は#1に似ているかもしれない。まろやかで穏やかな葉巻の味。ハバナとは全然違っている。ミルクティーのようでもある。ただ、頭痛までは行かないが、どことなく疲れる風情がある。甘味は薄め、甘味に限らず全体的に薄め。紅茶よりもほうじ茶の方が近いかもしれない。
 どういうわけか結局#1とは全然違っていて「うまい」のうの字も出ない。どこがどう違うのかは忘れてしまった。
 エクスカリバーは#1だけ買っておけば良いという結論に至りそう。あと1本他のが残っているが、もう#1しか買わないと思う。それでまた#1が美味しかったら他のも買ってしまう。なんなのだろう、この#1という餌に釣られるやり方は。
 後半、スパイスが加わって甘味も少し強まりチャイじみてきた。「チャイ」のイの字はうまいのいの字である。エビフライの尻尾だけが好きな人には良いだろう。
 案の定、ラストではラッパーが破けて裸になってしまった、むきエビみたいに。葉巻には尻尾なんて無いのだからね。



|6 1/8 x 50|Famous Smoke|≒$4.60|+1|+1|

 1本目よりラッパーがしっかりしていて少し革っぽい。空気のような美味しさだったので空気よりも良い。甘く円やかな薄い空気が始終気にならない。集中力が必要で且つ片手が空いている作業中に良い。処かまわず屢々いがらが出るのだが、根元まで無言の優しさは保たれ、そう優しさに伺候されてか終わりが惜しくなる頃には美味しさも強まった。
|6 1/8 x 50|Famous Smoke|≒$4.60|−1|0|

 着火前に、大黒寺納豆にそっくりの味がある。焦げとは違う、非常に深い黒い味わい。#1と同じかどうか覚えていないが、ラッパーの質感からして大分違う。こちらは革に似ず、荒く黒みがかった焦茶色のラッパーで艶がない。
 着火後はかえって焦げの苦みが感じられる。しかし大黒寺らしく塩っぱさが感じられる、思い込みではないだろう。甘さもあって、かなり複雑な味わいだが、珍しいものを食している感じはあるものの不調和な感じはない。木の香味もあるが、お香を焚いた寺の匂いに近い。吸い込みの固さにも因るかもしれないが、煙は少なくて、煙の少なさに因るかもしれないが軽い。大体緑色の香草の風味も漂っている。それからニッキが強く香る事がある。
 ちょっとカットに失敗していたので途中で切り直したらドローは改善された。紙のように薄い葉がきっちり重ねられている。吸い込みが改善されたら、大分乾いた印象に変わってしまった。塩気は少し残っているが、大黒寺納豆は消えた。少し渋みが出て、さらに辛くなった。ミディアムボディ。たまたま変化する部分だったのかもしれないが、切り直す前の方が良かった。吸い込みが悪い時に悪い成分と良い成分が生まれて悪い成分だけが残留したのかもしれない。大きさが気に入らないのだが、素直に#1を再購入した方が良かったかもしれない。そもそも#3でも大き過ぎるし。これじゃ木偶の坊だ。
 中盤の終盤で甘味と柔らかさが復活したが、序盤が懐かしい。この葉巻はもう疲れている。砂まみれの髪のようなぼさぼさな味。
|6 1/2 x 52|Famous Smoke|≒$5.80|+3|+2|

 杉珈琲の香り。外観は焦茶で、所々磨いたように黒かったり染みたように黒かったりしている。微かに和毛も生えていて、和毛を撫でているとベトベトする。
 1066シリーズは杉が強いのだろうか、ラッパーの色こそまるで異なるもののGalahadも杉だった。その杉に似ている。ただこちらの方が焦げのお陰か穏やかで、杉が尖っていず、頭痛などはない。珈琲の香味はないが焙煎感が深い。甘味はGalahadより弱い。1センチほど進むと杉が更に翳って木質の旨味が明るく出てくる。非常に良い木で、少しクリーミー。深く杉林に囲われた月下の家に灯ったようだが、淋しくなく、杉よりも高級な木材で出来た美味しい家である。家の材木にはバターの染みが付いているのかもしれない。またはクラムチャウダーなどが出てくる家。ダークナイトというから、もっと、黒馬に跨がるロートレアモンめいた濃密な暗黒を期待していたけれど。
 これから中盤だよとでもいうように丁度良い頃合いに軽くスパイスが出て、同時に甘味が増し、美味しそうになる。美味しかった物が美味しそうになる。これから美味しいクラムチャウダーが出てくるのだろうか。と思ったら、家を出て夜の杉林へ散歩に出たらしい。しばらく歩くと、サンマルク(ケーキの種類)のような、焦がした飴色のお菓子が出た。甘味が深まっただけかもしれない、香ばしさは依然杉のままだから。お菓子ならあんこの方が良かった。暗黒を望むからだろう。
 今頃気付いたが、ライトボディである。味もなんだか明るいので湿り気にも気付かなかった。この軽さはロッキーパテル1992を思い出すのだが、あれほどは湿っていず、終盤では似たスパイス感まであるものの、これにはあまり夢がない。これは十二分に美味しいのに、それで幸福なのか、かえって薄ら寒いのである。十二分に美味しいのに。



|6 1/2 x 52|Famous Smoke|≒$5.80|−1|0|

 なんだか氷が全部溶け切った後のアイスコーヒーにそっくり。ラッパーの亀裂が原因で、亀裂を過ぎると少しマシになったけれど、氷が全部溶け切った後のミルクを入れたアイスコーヒーにそっくり。もう一本吸ってみたら前回のものに戻った。
|6 3/4 x 47|Famous Smoke|≒$3.60|+1|+1|

 満員電車のように葉が柔らかくも押し込まれて、エクスカリバーらしい微かな吸い込み難がある。エクスカリバーなのでこれは難ではないのだろう。微かにきついぐらいが悲劇の風呂にとっぷりと浸かるぐらいには良いのである。着火前に吸っていると杉の香が占めている。外観は軽く磨いて少しばかり艶を出したようなラッパーで、綺麗に巻かれているが、特別美しくはない。
 着火すると少し頭痛を催すか銀紙を噛むのと同じような鼻を突く杉の抽出味である。微かにしてなかなか甘い。序盤一口ごとに甘くなる。木っぽいが、杉以上に安い木のようである。杉が安い木に高級感を添えている。二本の木が立っている。杉には美味しそうな染みが滲んでくる。屢々小便臭いといってしまう類の美味しい染みである。それにしても染みが抜けたように上質な杉である。野生や植林の杉というより、加工された杉板にグラニュー糖をふりかけたような。
 +1.5にしたいところだが、そんな細かい評価は断腸の思いで四捨五入するのだが、そうするとこれが1.5なのか1.4なのか迷ってしまう。吸い込みは結局のところ絶妙だったし、品質が悪くもないのだが、杉が頭痛のように凛烈すぎたので1.3にした。次第に評価が下がるほどそっくり純な杉なのである。葉巻に杉を求める人にはこれが良いのかもしれない。杉のとなりに一本甘くて安い木が生えているのだが。どうして点数に拘るのだろう、点数に拘らなければ1.6だったかもしれないのに。
 中盤以降、スパイシーになるが、杉ほどスパイシーではない。切れの悪いイガイガしさも出てきている。重さは少し軽いミディアムなのだが、少しばかり紙巻きのように吸い込んでみると咳き込むのではなく咽がなかなかイガイガする。つまらない韻もあって、風邪をひいたような気分になってもう眠ることにした。イガイガがますます増して0.9すなわち1.0に落ち着く。
 ずっと二本の木が立っていたこととは関係ないが、寿命の短い杉だった。熟成させると少しばかり美味しくなりそう。



|6 3/4 x 47|Famous Smoke|≒$3.60|+1|+1|

 二本目を吸ったら同じ味だとしても別の文章になってしまう。酸味とシャンプーがあることを付け加えなければならない、1本目にはなかったはずだが。相変わらず二本の木は立っていて、二本の木という文章は絶妙だった。というと聞こえは良いが、杉の方は存在感が薄らいでいる。杉がシャンプーの酸味に変わってしまったということにしておこう。中盤、化粧水のような炭酸水となり、終盤の直前で死亡する。



|6 3/4 x 47|Famous Smoke|≒$3.60|+5|+3|

 四ヶ月寝かせて最後の五本目を吸ったらシャンプーも杉も落ち着いて何か別の柔らかくて美味しいモノになっている。シナモンを振りかけたバターロールのような。かなりまろやかで優しい。木の芳香も味わい深い。軽いけれど、エクスカリバーは底力があるなぁと思って嬉しくなって箱買いしたくなってしまう。五本目がたまたまアタリだっただけかもしれないが。「軽めのアップマンマグナム50」や「軽めのトリニダッド」という存在しない葉巻が欲しい人には重宝がられる気がする。軽いが、味には膨らみがある。
 中盤に入るとシャンプーや酸味を思い出す味わいに変化するが、嫌味はなく、変化がおもしろいというぐらい。甘さも膨らみの中に感じられる。なんだか木の芳香が、ありがたいことに、ダビドフに似てきている。バターの花が咲きそうで咲かないいじらしさ。それから粘土状の旨味も出てくる。粘土なんて不味いに決まっているのに、スパイスが食欲をそそるらしい。らしいといっても、煙の実感というのはこういうものなのだろう。久しぶりに煙を満喫している。誰もいないところを散歩する時に良いかも知れない。そんな所があるのか疑問だが。風が煙を運んでしまってもそれほど勿体無くないという意地汚い気持ちだろうか。家でじっくり吹かすには少々物足りない。だけど美味しい。物足りなさを埋めるものが屋外にあるのだろう。もっともそれが人であるわけがないのだが。
 最終盤に花が咲いた。こんな文章を書いていて良かったなぁと思うほど絶妙なクライマックスだった。少し茎っぽい花だったけれど強烈に咲いた。
|7 1/4 x 54|Milan Tobacconists|$7.35|+4|+3|

 臭みのない素朴な葉巻の香り。外観は古びた黄土色で、革に近い風合い。吸い込み良好。
 煙も素朴な味わい。雑味もない。問答無用の美味しさ。問答無用ということは葉巻っぽいということだから葉巻の嫌いな人は問答無用ではない葉巻を買えばいいのだろうか。
 2分後に強い甘味が出てくる。素朴な香りはそのまま、甘い香りではなく甘い味。序盤微かに辛味があるが、ミディアムライトか強めのライトで、香味は十分漲っている。緊張感はなく、へばった八の字。煎った小麦に草のスパイスといった朝食の感じ。煙は少なくはないが悠々と入ってくるのでもの足りない感じはある。優しいが口径が広過ぎるので、#1ほど評判ではないが今度は#2か#3を是非とも買ってみよう。それらは嬉しいことにリング50以下だが、同じ味か、これ以上の味であれば良いけれど。エクスカリバーは非常に美味しい。甘くて気付きにくいがこれは木だ。ハーブでもあったがむしろ木である。と思ったら既に中盤過ぎで、スパイスが出てきている。
 今更だが、始終ほんの微かな渋みがあった。ほんのりとした渋みと言えば聞こえが良いけれど、微かでも渋いものは渋い。渋さは無いにこしたことはない。しかし美味しい。灰はマデューロの時と違って蓋にはなっていない。最終盤では香りにも甘味が乗ってきて、逆にハーブなどは消えて粘土のようになる。草混じりの甘い粘土。
 こちらはダビドフに似ず、どちらかといえば本家ホヨーに近いが、キューバではない味。美しい革の外観にも因るような、外側がかりっとしたものの味がなんとなくする。その質の良い内側だけを頂いているような。
|7 1/4 x 54|Milan Tobacconists|$7.35|+4|+3|

 ざらざらした艶消しの革が固くみっちりと巻いてある。着火前の香りは枯れ草混じりの深いチョコレート。非常に美しいが、細ければもっと美しかったはずだと思う。ちょっとこわいのだが、サイズならではの美味しさがあることと、加えて強すぎないことを祈るばかり。吸い込みが少し難いのもこのサイズでは苦ではなく小心者には頼もしい。
 着火後。煙量が非常に少ない。吸い込みの悪さに因るばかりではなさそう。1センチほど進んで既にシケモクのようなけっこうな苦みがある。序盤2センチ、不味い。
 灰が真白で縞の切れ目が無い。ラッパーが灰になってまで綺麗に空気の流入を塞いでいるのである。こんな灰見た事無い。しばらく進むと灰に一カ所亀裂が入り、少し吸い込みが良くなった。亀裂に近い部分で片燃えしている。灰を落としてみると巨大な火種が現れた。火種が空気に触れないので燃え尽きなかったのだろうか。灰を落としてからは、短くなったこともあってか急激に吸い込みが良くなる。シケモクの苦みが消えた。
 改善されても多少吸い込みの悪さは残り、煙量もだいぶ増えたが依然少ない。革、草、染み、など、いずれも焦茶色に統一されている。ボディは軽いが、味は引き締まっている。煙の量や吸い込みの難を忘れると、ダビドフのマデューロに近いかもしれない。相変わらずラッパーが革製品のようで美しい。どうしてこれが高評価(puff.com参照)なのかと迷ったが、ダビドフ流の高級感に似た高級感があるのである。外観やその美しい利点にともなう欠点もあるものの。全体に物足りなさを感じさせない程度の甘味がある。
 吸い込みの悪さで強く吸引したからか減りが早く、サイズからは想像がつかないほどあっという間に終わりそう。喉もまったく痛くなっていず、身体がケロリとしている。
 今回の評価は低いがまた買ってみたい葉巻。次回の吸い込みの良さに期待するというより、ダビドフに似て非なる魅力に既に嵌っているのかもしれない。これはリアルタイムレビューなのだが、ラストは難点も薄らぎかなり美味しかった。ますますダビドフに似て絵の具まで出てくる。粘土にも似た生花店の風情。序盤が信じられないぐらい雑味もなく。だんだん美味しくなって終わったので結局この段落冒頭の+1から+3に評価を変えた。アメリカから輸入する時にはまたきっと買おうとするはず。

 ちなみにExcaliburは「by HDM(ホヨードゥモントレー)」で、キューバではない方のホヨーの1銘柄のよう。
 puff.comのアベレージプライスが$5.38になっているが、$5.38なら病み付きである。病み付きによって遠離りうるのだが。本家ホヨーとはまったく違っているものの品質が高いことは確か。好みによっては本家より上かもしれない。
 結局、本家と迷うのではなく、ダビドフのマデューロを再度買うかこれを買うかで迷う。これには安いなりの難点があったのだから。しかしダビドフのマデューロはもう買わないはずなので、これを買う。これを再度買ったら、またダビドフのマデューロを買うかもしれない。徒な反復である。

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