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|TEB NOV 08|4.3 x 50(52?)|coh-hk|$208/25|重量:0(11.50g)|算出:+6|香味:+4|計10|
昼に自宅を出て、自宅傍の公園を横目に歩いていると無性に燻らせたくなって、結局自宅で深夜に燻らせた。最近昼ばかりだったから、深夜は久しぶりだった。いつの間にか葉巻のリズムが変っていた。深夜だと改めてじっくり味わえるようだった。
荒ぶって金属や血なども響くのだが、粉を舐めるようなコク深い落ち着きを併せ持っている。土や革といっても通じそうだが、もう少し趣があり、枯葉の香る秋味を感じ、石臼で肌理細かく挽いた枯葉を土にふんだんに混ぜている。そこへ更に純粋なカカオ少々。荒ぶりが木枯らしで、木枯らしが秋を連想させるのかもしれないが、ほとんど穏やかな無風を感じている。秋でありながら、春風に疲れた後の穏やかな初夏を半ば感じている。
八角とは言い切れないような、バニラの優しさを含む柔らかいお菓子のような、花か白粉のようなものが漂う。どちらかといえば白粉の人は消えて花を残す。花の形も名前も思い出せないけれど、この花が記憶の何処かにあった気がする。葉巻の記憶にこそ合致しそうでも、微妙な配合の妙で、実際にはこんな香りを葉巻に感じたことがない。コク深い落ち着きがこの香りを引き立てているのか、コク深い落ち着きもまた特異らしく、二つが交互に寄せては返すような塩梅である。落ち着く時にふっと撫でる苦味が久方ぶりにコーヒーを嗜んだ時のような新鮮な香ばしさでそそる。葉巻自体久しぶりなので余計に。初葉巻であっても何らかの郷愁を覚えさせるものであろうから尚更余計に。
次第に金木犀が咲きつつあるものの、近づきすぎず、近づけば変幻して醤油キャラメルのような香りを強く放つ。それでも次第に鮮明になり、醤油キャラメルまでも濃厚になり、その坩堝から将又醤油煎餅や塩キャラメルを裂して見せたり、異次元と言いたくなるような幻影が終盤つづく。幻影が醤油煎餅なのだから笑えもするが、異次元の高品質醤油煎餅であり、美味しければ美味しいほどに幻覚は素朴さを忘れないものらしいのである。
最後の最後にようやく純粋な金木犀が薫ったりする。白粉の人が現れたりもする。
久しぶりの感動作で、ちょうど食べ頃に差し掛かったと思うのだが、これがもう最後の一本であり、二十四本は大したことがなかったが、今更こんな物を巻いた人々の技に驚く。どうして+5にしないのか、自分でもわからないのだが、と書いて、しばらく考えてみたがわからなかった。血など、欠点を挙げても、欠点が良いもののようにも思える。
黄土色の外貌にふんだんな焦茶色を蔵している。といって、黄土色のバリアーに完全に覆われている。バリアーは外側でなく内側を防ぐことになるのだが、そもそも何ら防ぐものとてなく、焦茶色もマデューロみたいな染み臭い風味はしない。完璧な葉巻にしか思えない。これがボリバーの限界ということなのか。
いつも吸っている最中に吸い終えたようなことを書いてしまうのだが(第一段落が最後に書いた部分なのだから尚更ややこしい)、まだ火種は生きている。最後の最後の最後にメロンの苦味。メロンを食べた後に水を飲んだ場合に水が苦くなる感覚であるが、水を飲みつつメロンを食べて、メロンの甘さがちょうど葉巻の最期に当って苦いのである。残2センチだもの。思い返せば全てはこの豊満なメロンに向っていたのかもしれない。このブログで「メロン」の文字を使うのは初めて(かと思ったが、4回目であった。しかも前回のこの葉巻にメロンと書いている。自分でもなかなか不思議)。
芋焼酎を呑んでいたけれど、合わないながら邪魔もしない。即ち芋焼酎は合う。
前回よりはるかに美味しかったが、表記上は同じ点数になっている。今回を+5にすれば良いかというとそうでなく、前回を+3に格下げすべきらしいのである。だってこれがボリバーの限界だもの。
昼に自宅を出て、自宅傍の公園を横目に歩いていると無性に燻らせたくなって、結局自宅で深夜に燻らせた。最近昼ばかりだったから、深夜は久しぶりだった。いつの間にか葉巻のリズムが変っていた。深夜だと改めてじっくり味わえるようだった。
荒ぶって金属や血なども響くのだが、粉を舐めるようなコク深い落ち着きを併せ持っている。土や革といっても通じそうだが、もう少し趣があり、枯葉の香る秋味を感じ、石臼で肌理細かく挽いた枯葉を土にふんだんに混ぜている。そこへ更に純粋なカカオ少々。荒ぶりが木枯らしで、木枯らしが秋を連想させるのかもしれないが、ほとんど穏やかな無風を感じている。秋でありながら、春風に疲れた後の穏やかな初夏を半ば感じている。
八角とは言い切れないような、バニラの優しさを含む柔らかいお菓子のような、花か白粉のようなものが漂う。どちらかといえば白粉の人は消えて花を残す。花の形も名前も思い出せないけれど、この花が記憶の何処かにあった気がする。葉巻の記憶にこそ合致しそうでも、微妙な配合の妙で、実際にはこんな香りを葉巻に感じたことがない。コク深い落ち着きがこの香りを引き立てているのか、コク深い落ち着きもまた特異らしく、二つが交互に寄せては返すような塩梅である。落ち着く時にふっと撫でる苦味が久方ぶりにコーヒーを嗜んだ時のような新鮮な香ばしさでそそる。葉巻自体久しぶりなので余計に。初葉巻であっても何らかの郷愁を覚えさせるものであろうから尚更余計に。
次第に金木犀が咲きつつあるものの、近づきすぎず、近づけば変幻して醤油キャラメルのような香りを強く放つ。それでも次第に鮮明になり、醤油キャラメルまでも濃厚になり、その坩堝から将又醤油煎餅や塩キャラメルを裂して見せたり、異次元と言いたくなるような幻影が終盤つづく。幻影が醤油煎餅なのだから笑えもするが、異次元の高品質醤油煎餅であり、美味しければ美味しいほどに幻覚は素朴さを忘れないものらしいのである。
最後の最後にようやく純粋な金木犀が薫ったりする。白粉の人が現れたりもする。
久しぶりの感動作で、ちょうど食べ頃に差し掛かったと思うのだが、これがもう最後の一本であり、二十四本は大したことがなかったが、今更こんな物を巻いた人々の技に驚く。どうして+5にしないのか、自分でもわからないのだが、と書いて、しばらく考えてみたがわからなかった。血など、欠点を挙げても、欠点が良いもののようにも思える。
黄土色の外貌にふんだんな焦茶色を蔵している。といって、黄土色のバリアーに完全に覆われている。バリアーは外側でなく内側を防ぐことになるのだが、そもそも何ら防ぐものとてなく、焦茶色もマデューロみたいな染み臭い風味はしない。完璧な葉巻にしか思えない。これがボリバーの限界ということなのか。
いつも吸っている最中に吸い終えたようなことを書いてしまうのだが(第一段落が最後に書いた部分なのだから尚更ややこしい)、まだ火種は生きている。最後の最後の最後にメロンの苦味。メロンを食べた後に水を飲んだ場合に水が苦くなる感覚であるが、水を飲みつつメロンを食べて、メロンの甘さがちょうど葉巻の最期に当って苦いのである。残2センチだもの。思い返せば全てはこの豊満なメロンに向っていたのかもしれない。このブログで「メロン」の文字を使うのは初めて(かと思ったが、4回目であった。しかも前回のこの葉巻にメロンと書いている。自分でもなかなか不思議)。
芋焼酎を呑んでいたけれど、合わないながら邪魔もしない。即ち芋焼酎は合う。
前回よりはるかに美味しかったが、表記上は同じ点数になっている。今回を+5にすれば良いかというとそうでなく、前回を+3に格下げすべきらしいのである。だってこれがボリバーの限界だもの。
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|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+1( 17.25g)|算出:+3|香味:+3|計7点|
草を手前に、遠景に揮発性の木など、粉っぽい。煙なのだから粉っぽいのだが、粉っぽい。白粉のような香りが粉を思わせるのかもしれない。化粧品のような、どぎつくない、優しい、薄い芳香がある。花まではいかない、粉といえば花粉だが。
どうも奮わない葉巻であることだなぁと思って、早急に吸口を再切断して大口径にする。優しさのみをくゆらせるべき葉巻なのかもしれないけれど、いじらしすぎる。
しかしリカットしても優しさはそのまま、甘味というものがまるでなくて味気なくも滑らかである。雑味は揮発性の木のみ。木質も柔らかく優しい。
次第に木のエグさも消えると、書斎の奥、一番柔らかい所に陣取りたくなる。ふつうは窓辺で煙を排出するのが良いのだが、純朴な優しさに酔って陶然としつつあり、妄想上にて優しさが更に拡大されて、部屋に煙がこもることも厭わなくなる。
更科粉のように微妙な粉挽きの木のコクに花が咲き始め、蕾が点く。花が先で、蕾のほうが後である。粉が幽かにカカオがかっている、非常に薄い水彩画の、塗り始めのような色で、塗り始めは何でも傑作をうかがわせる。
樹液の染みの風味も出てくるが、痕跡の染みであって、樹液の甘さがない。カカオや樹液というと焦茶色のようだが、味わいは白、緑、黄土色。黄土色に茶色が消えかかっている。白は淡白さのみ。この水気のない水彩画は曖昧なまま、何も形を現しそうにない。そこに絵具そのものの風味が感じられる。
葡萄酒評論家はしばしば鉛筆の芯などを美味しそうに呑んでいるが、この絵具の香りは少し懐かしさを惹き起すぐらいの効能があるだけである。
葉を精錬するあまり、一度洗濯機で回したような乾いた味わい。
中盤に辛味と共にシナモンか胡椒少々が降りかかる。少し良くなるが、相変らず淡さを堪能できる心持ちの人でないと良くはないかもしれないし、そんな心持ちでもこれはそう大したものではないかもしれない。
と大体中盤で纏めにかかるのだが、激変、しかし激変も穏やかに、長閑な景色に花の靄が立ち込める。真昼の、温かい靄で、もともとぼやけた全景であったから、花だけが靄のようにはっきり見えるのである。靄が遠景を隠さない。辛味はウィルキンソンのような生姜の辛味になりつつある。甘くない桃。この桃がとても美味しい。花が景色に溶けて桃になっている。油絵のように塗り重ねた不思議な水彩画になっている。水彩画はあまり塗り重ねると汚くなるものだと思うのに。
一口、まだ肺喫煙可能。あくまでも淡いのだからもう心地よい。布石に始まり布石に終る。この意味不明な一文の意味が良くわかるようになる。
箱終了
草を手前に、遠景に揮発性の木など、粉っぽい。煙なのだから粉っぽいのだが、粉っぽい。白粉のような香りが粉を思わせるのかもしれない。化粧品のような、どぎつくない、優しい、薄い芳香がある。花まではいかない、粉といえば花粉だが。
どうも奮わない葉巻であることだなぁと思って、早急に吸口を再切断して大口径にする。優しさのみをくゆらせるべき葉巻なのかもしれないけれど、いじらしすぎる。
しかしリカットしても優しさはそのまま、甘味というものがまるでなくて味気なくも滑らかである。雑味は揮発性の木のみ。木質も柔らかく優しい。
次第に木のエグさも消えると、書斎の奥、一番柔らかい所に陣取りたくなる。ふつうは窓辺で煙を排出するのが良いのだが、純朴な優しさに酔って陶然としつつあり、妄想上にて優しさが更に拡大されて、部屋に煙がこもることも厭わなくなる。
更科粉のように微妙な粉挽きの木のコクに花が咲き始め、蕾が点く。花が先で、蕾のほうが後である。粉が幽かにカカオがかっている、非常に薄い水彩画の、塗り始めのような色で、塗り始めは何でも傑作をうかがわせる。
樹液の染みの風味も出てくるが、痕跡の染みであって、樹液の甘さがない。カカオや樹液というと焦茶色のようだが、味わいは白、緑、黄土色。黄土色に茶色が消えかかっている。白は淡白さのみ。この水気のない水彩画は曖昧なまま、何も形を現しそうにない。そこに絵具そのものの風味が感じられる。
葡萄酒評論家はしばしば鉛筆の芯などを美味しそうに呑んでいるが、この絵具の香りは少し懐かしさを惹き起すぐらいの効能があるだけである。
葉を精錬するあまり、一度洗濯機で回したような乾いた味わい。
中盤に辛味と共にシナモンか胡椒少々が降りかかる。少し良くなるが、相変らず淡さを堪能できる心持ちの人でないと良くはないかもしれないし、そんな心持ちでもこれはそう大したものではないかもしれない。
と大体中盤で纏めにかかるのだが、激変、しかし激変も穏やかに、長閑な景色に花の靄が立ち込める。真昼の、温かい靄で、もともとぼやけた全景であったから、花だけが靄のようにはっきり見えるのである。靄が遠景を隠さない。辛味はウィルキンソンのような生姜の辛味になりつつある。甘くない桃。この桃がとても美味しい。花が景色に溶けて桃になっている。油絵のように塗り重ねた不思議な水彩画になっている。水彩画はあまり塗り重ねると汚くなるものだと思うのに。
一口、まだ肺喫煙可能。あくまでも淡いのだからもう心地よい。布石に始まり布石に終る。この意味不明な一文の意味が良くわかるようになる。
箱終了
|MUR OCT 13|6 2/5 x 54|coh-hk|$156/10|重量:+2(20.44g)|算出:−1|香味:+1|計2点|
不安な味わいに始まるが、おとなしく安定する。
昨日のコイーバは通常よりも軽いバージョンだったが、これは通常よりも重いバージョンで、こわいほどずっしりしている。これからこんな重い物を最後まで吸うのかと思うと憂鬱にもなる。
葉の詰まりすぎか、煙少なく、香味も薄い。昨日が濃すぎ、コイーバと比べてしまうと平凡な風味。重量に面食らったが、序盤の軽さ(窮屈な軽さ)から考えて、終盤で荒れても大丈夫そうである。
木質で、うっすらクリーミーで、どこか春菊のように雑味あるものが安定して続く。揮発系の木のえぐみが一方どこかで薄荷となって爽やかな浮遊感を高めてもいはする。一度灰を落とす頃、このままのものがやや濃くなる。金木犀の花びら3枚だったのが5枚に、という程度の変化である。
到着日の面影はなく、すっかり洗練されて落ち着いているのか知らないが、良い部分が伸びて悪い部分がなりをひそめるというより、全体がなりをひそめて、どういう勘定か、期待の所為か、悪い部分だけが残っているかのような印象に終る。
ほぼ全く変化せずに終る。あまりにも変化しないからか、10gぐらいの小物だったような気がする。
残5本
不安な味わいに始まるが、おとなしく安定する。
昨日のコイーバは通常よりも軽いバージョンだったが、これは通常よりも重いバージョンで、こわいほどずっしりしている。これからこんな重い物を最後まで吸うのかと思うと憂鬱にもなる。
葉の詰まりすぎか、煙少なく、香味も薄い。昨日が濃すぎ、コイーバと比べてしまうと平凡な風味。重量に面食らったが、序盤の軽さ(窮屈な軽さ)から考えて、終盤で荒れても大丈夫そうである。
木質で、うっすらクリーミーで、どこか春菊のように雑味あるものが安定して続く。揮発系の木のえぐみが一方どこかで薄荷となって爽やかな浮遊感を高めてもいはする。一度灰を落とす頃、このままのものがやや濃くなる。金木犀の花びら3枚だったのが5枚に、という程度の変化である。
到着日の面影はなく、すっかり洗練されて落ち着いているのか知らないが、良い部分が伸びて悪い部分がなりをひそめるというより、全体がなりをひそめて、どういう勘定か、期待の所為か、悪い部分だけが残っているかのような印象に終る。
ほぼ全く変化せずに終る。あまりにも変化しないからか、10gぐらいの小物だったような気がする。
残5本
|MES JUL 11|5.6 × 54|coh-hk|$396/10|重量:+1(15.29g)|算出:+6|香味:+5|計12点|
色々な味の飴を5個ぐらい口に放り込んでいるような気になる。煙だからというわけでなく、芳醇にして軽い。苺味の飴が苺ではないように、また何味かわからない飴のように、また飴もない。
ふと薔薇味の飴が口に飛び込んでくる。はっきりと煌びやかに。草と果実の感覚が一時絶妙な融和を見せたものだろう。
カフェオレ感がないのにカフェオレ感があったり、それにより紅茶感がこれまでより希薄かもしれないが、草はマスカテル香かとも思えるし、薔薇は熟れた紅茶のふくよかな甘さを伴う。葉巻から薔薇の花が咲くなんて初めて。香の妖艶な饗宴が嘘のように広がる。
これまでになく甘く、葉巻の主成分である金木犀が出ているにもかかわらず薔薇の香りやフルーツの甘さに塗り潰されている。フルーツなどとは言ってみるものの、薔薇以外に何かの味がしたりせず、何か見知らぬ一体のものになっている。
ナッツやカフェオレに繋がるコイーバ特有の岩味は前半薄いが後半岩の重量を増す。すると金木犀が王座を取り戻すが、香味の量が倍になっただけで、衰えるものがない。雑味がなくて、焦がしキャラメルにも苦味がない。
BHKはこれまで煙量が少なかったが、重量が軽いからか煙が豊富に出る。重量がどこまで味を変えるのかわからないが、前回(◉)に増して凄かった。変化というも変化を隠すぐらい濃密で、20gぐらいの大物だったような気がする。終盤三分の一は衰えるが、それまでが長大だった。天上の心地になってしまって、「長大」を「長大な絵巻」などともしや書いても、絵が無いほど美味が押し寄せた、その絵を思い返すだけで笑ってしまう。波に呑まれて顔を出した瞬間にもう一つ波に襲われたら窒息して死んでしまうが、波が逆さの天井吊であった。
残3本
色々な味の飴を5個ぐらい口に放り込んでいるような気になる。煙だからというわけでなく、芳醇にして軽い。苺味の飴が苺ではないように、また何味かわからない飴のように、また飴もない。
ふと薔薇味の飴が口に飛び込んでくる。はっきりと煌びやかに。草と果実の感覚が一時絶妙な融和を見せたものだろう。
カフェオレ感がないのにカフェオレ感があったり、それにより紅茶感がこれまでより希薄かもしれないが、草はマスカテル香かとも思えるし、薔薇は熟れた紅茶のふくよかな甘さを伴う。葉巻から薔薇の花が咲くなんて初めて。香の妖艶な饗宴が嘘のように広がる。
これまでになく甘く、葉巻の主成分である金木犀が出ているにもかかわらず薔薇の香りやフルーツの甘さに塗り潰されている。フルーツなどとは言ってみるものの、薔薇以外に何かの味がしたりせず、何か見知らぬ一体のものになっている。
ナッツやカフェオレに繋がるコイーバ特有の岩味は前半薄いが後半岩の重量を増す。すると金木犀が王座を取り戻すが、香味の量が倍になっただけで、衰えるものがない。雑味がなくて、焦がしキャラメルにも苦味がない。
BHKはこれまで煙量が少なかったが、重量が軽いからか煙が豊富に出る。重量がどこまで味を変えるのかわからないが、前回(◉)に増して凄かった。変化というも変化を隠すぐらい濃密で、20gぐらいの大物だったような気がする。終盤三分の一は衰えるが、それまでが長大だった。天上の心地になってしまって、「長大」を「長大な絵巻」などともしや書いても、絵が無いほど美味が押し寄せた、その絵を思い返すだけで笑ってしまう。波に呑まれて顔を出した瞬間にもう一つ波に襲われたら窒息して死んでしまうが、波が逆さの天井吊であった。
残3本
|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(11.59g)|算出:+4|香味+3|計7点|
たぶんER特有のと言って良いような吟醸感のあるものなのだが、強みが増している。これが最後の一本なので今後がわからないが、ひたすらカシミヤの優しさだったものが辛く毛羽立っている。終りまで。嫌な辛味ではないが、意外だった。
シナモンが微かに香るような杏仁豆腐の旨味。
やや強く、変化は薄く、吟醸感を保ちながらも最後は濃く跳ねる。濃くも吟醸感がある。
軽さの中から濃厚に花が噴き出してくるという今までの魅力がないのは、たぶん意外な強さに圧されて煙から顔を背けがちになったからだと思う。
オレンジ色のリングとERのリングのミテクレに惹かれて買った事を思い出して、リングをつくづく眺めながら箱を終えた。
たぶんER特有のと言って良いような吟醸感のあるものなのだが、強みが増している。これが最後の一本なので今後がわからないが、ひたすらカシミヤの優しさだったものが辛く毛羽立っている。終りまで。嫌な辛味ではないが、意外だった。
シナモンが微かに香るような杏仁豆腐の旨味。
やや強く、変化は薄く、吟醸感を保ちながらも最後は濃く跳ねる。濃くも吟醸感がある。
軽さの中から濃厚に花が噴き出してくるという今までの魅力がないのは、たぶん意外な強さに圧されて煙から顔を背けがちになったからだと思う。
オレンジ色のリングとERのリングのミテクレに惹かれて買った事を思い出して、リングをつくづく眺めながら箱を終えた。
|GUT JUN 12|6.1 x 52|coh-hk|$102/10|重量:+1(15.02g)|算出:+2|香味:+2|計5点|
空吸いしていると湿布のような風味が微かにある。薬箱。
着火しても薬箱の印象からしばし外れないが、次第に熱気を帯びてくる。
最初甘いかと思ったが、甘味は伸びない。いろいろなものが伸びないが、美味しくなくはない。一瞬、旨味が抜けてペッパー風になると、ペッパーの香気まで抜けているものの、キャラメルなどがやや感じられるようになる。
だがどうもこのモンテクリストは薬箱に閉じ籠りがちになる。薬箱は良い熟成を思わせないでもない趣向なのだが、枯れた感覚に重畳の層を成す場合に限り良いのか、枯れていない場合には単に迫力を欠いたものとなる。
吸い込みが悪いわけではなかったが、リカットしてみると美味しく噴き出す。結局これなのである。初めから深くカットしていれば。トルペドに用いる人は居ないだろうけれど、パンチカッターなど、こうなると全く用途がわからない。堰を切ったように完全なモンテクリストの味が吹く。胡椒キャラメルに青緑色の金木犀、この変幻の粉に甘味が彩られ、甘味が潰されるほど濃密に彩られ、こうして強靱になってなお薬箱の軽やかさ。凄い。薬箱だから木なのだが、土のように凄い。
箱終了。三年寝かせ、深くカットすれば先ず平均点以上にあり残念でない葉巻だと思う。強面ながら芯が弱いような印象はある。no.1のスマートな膨張やno.5の凝縮感に比べるとなんとも無骨で弱々しい。強くあって欲しいと思うほどに。
空吸いしていると湿布のような風味が微かにある。薬箱。
着火しても薬箱の印象からしばし外れないが、次第に熱気を帯びてくる。
最初甘いかと思ったが、甘味は伸びない。いろいろなものが伸びないが、美味しくなくはない。一瞬、旨味が抜けてペッパー風になると、ペッパーの香気まで抜けているものの、キャラメルなどがやや感じられるようになる。
だがどうもこのモンテクリストは薬箱に閉じ籠りがちになる。薬箱は良い熟成を思わせないでもない趣向なのだが、枯れた感覚に重畳の層を成す場合に限り良いのか、枯れていない場合には単に迫力を欠いたものとなる。
吸い込みが悪いわけではなかったが、リカットしてみると美味しく噴き出す。結局これなのである。初めから深くカットしていれば。トルペドに用いる人は居ないだろうけれど、パンチカッターなど、こうなると全く用途がわからない。堰を切ったように完全なモンテクリストの味が吹く。胡椒キャラメルに青緑色の金木犀、この変幻の粉に甘味が彩られ、甘味が潰されるほど濃密に彩られ、こうして強靱になってなお薬箱の軽やかさ。凄い。薬箱だから木なのだが、土のように凄い。
箱終了。三年寝かせ、深くカットすれば先ず平均点以上にあり残念でない葉巻だと思う。強面ながら芯が弱いような印象はある。no.1のスマートな膨張やno.5の凝縮感に比べるとなんとも無骨で弱々しい。強くあって欲しいと思うほどに。
|箱不明|6.9 x 47|cigarOne|$24|重量:+1(15.02g)|算出:+2|香味:+3|計6点|
サー・ウィンストンといってもH・アップマン、杉は杉。
ただ杉に幅がある。苦みとも取れるようなふてぶてしく落ち着いた貫禄がある。苦味のようでありながら苦くないから貫禄なのである。草いきれ、花いきれ、いきれいきれの意味もわからずマイルドな甘味がサンドイッチのハムのように薄く濃く、バターを塗って漂っている。なかなか浮遊感のあるバターである。煙は、強いのか弱いのかよくわからない。強いし、弱い。煙なのに、煙ではないものしか見えていない。花は菊だが、菊と木犀が甘味の抽斗の中で鬩ぎ合っている。この抽斗はほぼ常に閉っている。開けば草が強くて菊が勝利を収めがちである。ただこの草は花が咲く時にしか生えない。バターなどもそうである。美味しさが菊の花に集中し、その菊を菊でなくして見せようとする。貫禄はなかなか凄いが、登場人物がポリフォニックに現れるでもなく、部長一人が残業しているようで寂しい。
サー・ウィンストンといってもH・アップマン、杉は杉。
ただ杉に幅がある。苦みとも取れるようなふてぶてしく落ち着いた貫禄がある。苦味のようでありながら苦くないから貫禄なのである。草いきれ、花いきれ、いきれいきれの意味もわからずマイルドな甘味がサンドイッチのハムのように薄く濃く、バターを塗って漂っている。なかなか浮遊感のあるバターである。煙は、強いのか弱いのかよくわからない。強いし、弱い。煙なのに、煙ではないものしか見えていない。花は菊だが、菊と木犀が甘味の抽斗の中で鬩ぎ合っている。この抽斗はほぼ常に閉っている。開けば草が強くて菊が勝利を収めがちである。ただこの草は花が咲く時にしか生えない。バターなどもそうである。美味しさが菊の花に集中し、その菊を菊でなくして見せようとする。貫禄はなかなか凄いが、登場人物がポリフォニックに現れるでもなく、部長一人が残業しているようで寂しい。
|箱不明|5.5 x 52|cigarOne|$14|重量:0(12.82g)|算出:+3|香味:+3|計6点|
和紙を磨いたようなハバナ葉の風味に、和三盆のような甘味の出方をする。障子を軽やかに開けて何者か軽いものが入ってきた風な。弱さを感じさせる静かな強さ。青草に雑草のような花も薄く、よくよく考えるとスポーツドリンクのようでもある。ロメオのイメージ通りの淡白さ。そこへクリーム類が重なる。カスタード一色ではなくて、植物性の生クリームも流れている。淡白だからメレンゲのようでもあるが、乳っぽさが珈琲にミルクを落としたような変化を起している。珈琲の味はしない。
序盤で辛く感じただけか、どんどん強さが減って、ロメオのイメージなるものを通り越えて、無味というのとは別の、究極の軽さに抜き足忍び足で落ち着いている。やっぱり最後に花のみ濃くなるが、異様な軽さを全く覆さない。これほど軽いハバナシガーは初めてだった。
和紙を磨いたようなハバナ葉の風味に、和三盆のような甘味の出方をする。障子を軽やかに開けて何者か軽いものが入ってきた風な。弱さを感じさせる静かな強さ。青草に雑草のような花も薄く、よくよく考えるとスポーツドリンクのようでもある。ロメオのイメージ通りの淡白さ。そこへクリーム類が重なる。カスタード一色ではなくて、植物性の生クリームも流れている。淡白だからメレンゲのようでもあるが、乳っぽさが珈琲にミルクを落としたような変化を起している。珈琲の味はしない。
序盤で辛く感じただけか、どんどん強さが減って、ロメオのイメージなるものを通り越えて、無味というのとは別の、究極の軽さに抜き足忍び足で落ち着いている。やっぱり最後に花のみ濃くなるが、異様な軽さを全く覆さない。これほど軽いハバナシガーは初めてだった。
|箱不明|6 1/5 x 47|cigarOne|$13|重量:0(11.54g)|算出:+5|香味:+4|好み:+1|計10点|
一瞬洗剤、すぐにパルタガスの強みが現れる。太く、やや苦いような味わい(ファモソスに似る)。木でも皮でもなく、完全な土。土に土まみれの草を幽かに交えつつ、なんでも土に取り込んでしまうようである。花を窄めた芋の味が始終続きながら、段々蕾が開いてくる。開花するのも芋の花。花が完全に芋から伸び、芋が完全に土に埋まっているところがなんとも自然で、非幻覚のうまさが分厚く粘り強く犇めいている。これも煙だから幻覚なのだが。
根元まで美味しく、根元に至るとひとつまみのサイズになる。ペテコロエス同様完全に好み。
一瞬洗剤、すぐにパルタガスの強みが現れる。太く、やや苦いような味わい(ファモソスに似る)。木でも皮でもなく、完全な土。土に土まみれの草を幽かに交えつつ、なんでも土に取り込んでしまうようである。花を窄めた芋の味が始終続きながら、段々蕾が開いてくる。開花するのも芋の花。花が完全に芋から伸び、芋が完全に土に埋まっているところがなんとも自然で、非幻覚のうまさが分厚く粘り強く犇めいている。これも煙だから幻覚なのだが。
根元まで美味しく、根元に至るとひとつまみのサイズになる。ペテコロエス同様完全に好み。
|箱不明|6.1 x 52|cigarOne|$15|重量:+1(14.06g)|算出:+3|香味:+3|計7点|
吸い込みが良い、ピラミデなのに。ピラミデはスカスカぐらいで丁度良いと思うけれど、スカスカでもない。リカットしなかった。
金属の響きがあり、それが強さや辛さと共鳴するが、それを上澄みに過ぎないと見上げるように、下では甘く柔らかい杉の芳香が果実のように熟れている。杉に茜が差している。上澄みはカラメルではないが、下はプリンの卵、美味しき鬆が入って、濃くも軽やか。まるで矛盾めいたブレンドの妙で、熟れたような茜が寂しいようで、染みのようでもある。
花はやや菊っぽいが、ふんわりバニラをともない、ところどころで吹いては静まる。空無な豆のような風味がその前後に出る。不味ければ緑豆モヤシというが、そんな時に適度な荒野感が出たりもして、するとハバナ葉の存在感が膨らんで、この葉巻は美味しくなってしまう。
秒針や分針の変化は刻刻と繰り返しあるものの、時針の大きな変化はない。最初と最後では味が全然違うだろうけれど、途中でしばし花期になったりだとか、そういう変化がない。
残7センチぐらいであっという間に衰える、なかなか巨大な葉巻だが、線香花火のように終る。
昔の記事の同所転載に過ぎないが、
「 アップマンがローストされたようで、アップマンにさらに香ばしい一味を利かせたような。大変深く香ばしいのに、旨味がなんとも軽やか。かと思えばナッツのようなコクが深い。焦がした杉樽とか、杉を焼いてナッツをローストしたような。コクが香ばしくて、杉がまったく嫌いではなくなってしまう。こうしたことをまだ味わい尽くせない時に、甘く濃い花が密に漂ってくる。森に迷い込んだというか、森を焼いたというか、美味しさのために手段を選ばなかったようなトンでもない自然の美味しさ。森を焼くという荒さが丁寧なのである。
難しいが、チャイで作ったプリンの干物の薫製を思わせる。ローストによって思わぬ化学変化を起こしているようで、コイーバやモンテに劣らないハバナ感があって、杉臭いだけであるはずのアップマンが特殊さを得ている。アップマンの特徴はそのまま、一級のハバナになったというか。他のアップマンはハバナっぽさが足りなかった気がする。」
とあって、このままのような気もする。葉巻を始めたばかりの時だったから、それなりの大人だったけれど、記述に子供じみた夢が走る。五年前の記事を読む事なく同じプリンを連想したのが不思議といえば不思議だけれど、プリンの味は全くしない。
吸い込みが良い、ピラミデなのに。ピラミデはスカスカぐらいで丁度良いと思うけれど、スカスカでもない。リカットしなかった。
金属の響きがあり、それが強さや辛さと共鳴するが、それを上澄みに過ぎないと見上げるように、下では甘く柔らかい杉の芳香が果実のように熟れている。杉に茜が差している。上澄みはカラメルではないが、下はプリンの卵、美味しき鬆が入って、濃くも軽やか。まるで矛盾めいたブレンドの妙で、熟れたような茜が寂しいようで、染みのようでもある。
花はやや菊っぽいが、ふんわりバニラをともない、ところどころで吹いては静まる。空無な豆のような風味がその前後に出る。不味ければ緑豆モヤシというが、そんな時に適度な荒野感が出たりもして、するとハバナ葉の存在感が膨らんで、この葉巻は美味しくなってしまう。
秒針や分針の変化は刻刻と繰り返しあるものの、時針の大きな変化はない。最初と最後では味が全然違うだろうけれど、途中でしばし花期になったりだとか、そういう変化がない。
残7センチぐらいであっという間に衰える、なかなか巨大な葉巻だが、線香花火のように終る。
昔の記事の同所転載に過ぎないが、
「 アップマンがローストされたようで、アップマンにさらに香ばしい一味を利かせたような。大変深く香ばしいのに、旨味がなんとも軽やか。かと思えばナッツのようなコクが深い。焦がした杉樽とか、杉を焼いてナッツをローストしたような。コクが香ばしくて、杉がまったく嫌いではなくなってしまう。こうしたことをまだ味わい尽くせない時に、甘く濃い花が密に漂ってくる。森に迷い込んだというか、森を焼いたというか、美味しさのために手段を選ばなかったようなトンでもない自然の美味しさ。森を焼くという荒さが丁寧なのである。
難しいが、チャイで作ったプリンの干物の薫製を思わせる。ローストによって思わぬ化学変化を起こしているようで、コイーバやモンテに劣らないハバナ感があって、杉臭いだけであるはずのアップマンが特殊さを得ている。アップマンの特徴はそのまま、一級のハバナになったというか。他のアップマンはハバナっぽさが足りなかった気がする。」
とあって、このままのような気もする。葉巻を始めたばかりの時だったから、それなりの大人だったけれど、記述に子供じみた夢が走る。五年前の記事を読む事なく同じプリンを連想したのが不思議といえば不思議だけれど、プリンの味は全くしない。
銘
囹
月