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|NextCigar|$0/1|arr 2019/9/21|
|—|6” x 50|17.74g|香:3.3~4.3 ave3.9|残0|
註:前回に続き、この葉巻は試供品です。「tasting cigar not for sale」と書かれた封シールあり。
2011年の元旦にダビドフ・アニベルサリオ No.3の記録がある。妙な木に鈍重な黄色い金色を感じ、あまり好きになれなかったことを憶えている。元旦の空気が晴れやかでなくなり、正午の白い陽がはやくも黄色に見えたのは葉巻の所為である。
さらに、先日の「バター」は過去を探るとアニベルサリオでなく「Special Short Perfecto」が正解だった。エントレアクトも購入した記憶があるのに、記録は欠落している。他銘柄の葉巻レビューでエントレアクトを引き合いに出すようなところがある(●)のでたぶん記憶違いではないような。
着火すると今日もまた、過去に感じた木の感覚が蘇ってくる。脳髄をつまらない気分にさせる。ただ、あの日ほどの重たるさはない。
松茸というよりトリュフに近い、黒黴にも似た風味が整ってくる。微かな甘さが乗ると黒黴は消えて松茸寄りになる。と、子供の口臭が一息来る。
エントレアクトよりもやや荒く、やや軽く、やや不味い。味が半分ぐらい違う。とりわけあの透明な甘露が無いだけでこちらの存在感は木偶の坊のようにがらりと落ちてしまう。不味いどころか、どちらかといえばかなり美味しい部類であるのに。
えぐみは木ほど強くなく、軽さと膨らみがある。風味はダビドフ典型のものだし、リンゲージの大きさからか花の量はエントレアクトを優に凌ぐ。
どうもアニベルサリオは赤ワインで生気を得るらしい。日本酒からエントレアクト時にも併せたもの(シャトー・グロリア2013)に変えると二段ほど美味しさが増す。ワインの味が少しわかりにくくなっても葉巻の犠牲として仕方がないのだが、ワインもあまり損じられない。
と、九年前の記憶、きつい木が呼び覚まされる。金木犀と共に出てくるらしいのだが、金木犀が霞むほどに「日曜日の夕方のサザエさん」そっくりなつまらなさを出している。サザエさん自体は悪の枢軸ではないのだが、悪の巣窟たる学校に行くのが嫌な人は必ず知っているあの感覚である。
と、異様にクリーミーな何物かが出てくる。正体は花か杏仁に成って飛び立ったのだが(葉巻というものは色々なものが羽を生やして飛ぶ)、幼虫と成虫では性質がまるで違うように、何物かわからない時点では花でも杏仁でもなかった。もっと別の正体をもつクリーミーさだった。クリームそのものという方がまだ当っている。それにしても杏仁金木犀のうまさったらない。正体不明なクリーム感が潜伏しているからかもしれない。それはたとえば、パコデルシア(ギタリスト)のルシア感ではなくパコ感である。生まれて最初に覚えるのがミルクの味だからか、何か異様な親しみと高揚感がある。クリープの粉を舐めるのが好きだったり、高速のインターで売っているミルクケーキ(200円)が好きだったりすることを思い出す。植物にして動物的なものが出たのかもしれない。(この段落では再び日本酒を呑んでいる。)
試供品の方を美味しくするというのは妙手だと思う。通常品がこれと同じ品質だったら、つまらなさが吹き飛ぶ。つまりは日曜日のサザエさんが嫌いになれないのだ。学校には休みの日に会えなかった(おもしろい顔の)友達がいる気がしてくる。
なにか、クリームとは違うものも、時々ふっと出てくる。何であるかを捉えきれないままに花や松茸に紛れてしまう。そのふっと来る瞬間が幾たびも麗しい。
今日の一本にバターという言葉を使っていないが、バター感はあると思う。黴が白黴寄りになり、白黴とバターということであればわかりやすいところでカマンベールチーズを想起する人も多そうである。
また珍しく、終盤で序盤によくある緑の茎っぽい風味が出る。変化率が高くめくるめき、濃くニコチン酔いさせる性質もあるようであるから、感覚として最終盤の訪れが早い。即物的な長さで言えばまだ終盤に突入したばかり。しからば衰えも早く、終盤早々落ち気味になる。雑味の侵入を少しずつ許しながらなかなか持ちこたえるも、もはや以後甘美とか秀麗というには至らず、雑味がついに堰を切って押し寄せる。
|—|6” x 50|17.74g|香:3.3~4.3 ave3.9|残0|
註:前回に続き、この葉巻は試供品です。「tasting cigar not for sale」と書かれた封シールあり。
2011年の元旦にダビドフ・アニベルサリオ No.3の記録がある。妙な木に鈍重な黄色い金色を感じ、あまり好きになれなかったことを憶えている。元旦の空気が晴れやかでなくなり、正午の白い陽がはやくも黄色に見えたのは葉巻の所為である。
さらに、先日の「バター」は過去を探るとアニベルサリオでなく「Special Short Perfecto」が正解だった。エントレアクトも購入した記憶があるのに、記録は欠落している。他銘柄の葉巻レビューでエントレアクトを引き合いに出すようなところがある(●)のでたぶん記憶違いではないような。
着火すると今日もまた、過去に感じた木の感覚が蘇ってくる。脳髄をつまらない気分にさせる。ただ、あの日ほどの重たるさはない。
松茸というよりトリュフに近い、黒黴にも似た風味が整ってくる。微かな甘さが乗ると黒黴は消えて松茸寄りになる。と、子供の口臭が一息来る。
エントレアクトよりもやや荒く、やや軽く、やや不味い。味が半分ぐらい違う。とりわけあの透明な甘露が無いだけでこちらの存在感は木偶の坊のようにがらりと落ちてしまう。不味いどころか、どちらかといえばかなり美味しい部類であるのに。
えぐみは木ほど強くなく、軽さと膨らみがある。風味はダビドフ典型のものだし、リンゲージの大きさからか花の量はエントレアクトを優に凌ぐ。
どうもアニベルサリオは赤ワインで生気を得るらしい。日本酒からエントレアクト時にも併せたもの(シャトー・グロリア2013)に変えると二段ほど美味しさが増す。ワインの味が少しわかりにくくなっても葉巻の犠牲として仕方がないのだが、ワインもあまり損じられない。
と、九年前の記憶、きつい木が呼び覚まされる。金木犀と共に出てくるらしいのだが、金木犀が霞むほどに「日曜日の夕方のサザエさん」そっくりなつまらなさを出している。サザエさん自体は悪の枢軸ではないのだが、悪の巣窟たる学校に行くのが嫌な人は必ず知っているあの感覚である。
と、異様にクリーミーな何物かが出てくる。正体は花か杏仁に成って飛び立ったのだが(葉巻というものは色々なものが羽を生やして飛ぶ)、幼虫と成虫では性質がまるで違うように、何物かわからない時点では花でも杏仁でもなかった。もっと別の正体をもつクリーミーさだった。クリームそのものという方がまだ当っている。それにしても杏仁金木犀のうまさったらない。正体不明なクリーム感が潜伏しているからかもしれない。それはたとえば、パコデルシア(ギタリスト)のルシア感ではなくパコ感である。生まれて最初に覚えるのがミルクの味だからか、何か異様な親しみと高揚感がある。クリープの粉を舐めるのが好きだったり、高速のインターで売っているミルクケーキ(200円)が好きだったりすることを思い出す。植物にして動物的なものが出たのかもしれない。(この段落では再び日本酒を呑んでいる。)
試供品の方を美味しくするというのは妙手だと思う。通常品がこれと同じ品質だったら、つまらなさが吹き飛ぶ。つまりは日曜日のサザエさんが嫌いになれないのだ。学校には休みの日に会えなかった(おもしろい顔の)友達がいる気がしてくる。
なにか、クリームとは違うものも、時々ふっと出てくる。何であるかを捉えきれないままに花や松茸に紛れてしまう。そのふっと来る瞬間が幾たびも麗しい。
今日の一本にバターという言葉を使っていないが、バター感はあると思う。黴が白黴寄りになり、白黴とバターということであればわかりやすいところでカマンベールチーズを想起する人も多そうである。
また珍しく、終盤で序盤によくある緑の茎っぽい風味が出る。変化率が高くめくるめき、濃くニコチン酔いさせる性質もあるようであるから、感覚として最終盤の訪れが早い。即物的な長さで言えばまだ終盤に突入したばかり。しからば衰えも早く、終盤早々落ち気味になる。雑味の侵入を少しずつ許しながらなかなか持ちこたえるも、もはや以後甘美とか秀麗というには至らず、雑味がついに堰を切って押し寄せる。
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|NextCigar|$0/1|arr 2019/9/21|
|—|3.5" x 43|7.77g|香:4.1~4.3 ave4.2|残0|
註:この葉巻は試供品です。「tasting cigar not for sale」と書かれた封シールあり。
典型的なダビドフ香。この香からあの香が出るとは夢にも思わなかったものである。と、初めてダビドフのプレミアムシガーを入手した時の感覚が蘇る。蘇った記憶が正しいかは知らないが、加うるに、いつもより甘いべとつく感覚がある。藁を欺く青草の溌剌の香りもして、青草に乗った露が甘い。
着火すると常よりもの濃味に、また甘い露も蒸発せず焦げもせずに残る。
ダビドフが甘い、これは初めての体験かもしれない。雨後の葉や花が含む露ぐらい(ビーズ玉ぐらい)の量の甘さで、質は水飴、透明感があり、露を拾って口中に広げる。砂糖系の甘さと言って良いみたいだが、香もあるのでステビアかとも思いうる。
香は素朴なクラシックシリーズ寄りでも、それそのままか濃く、かなり甘いし、味に重さがある。松茸等の繊細な風味などよりもあからさまな濃さと甘露を感じる。松茸はあるもののこれは濃縮されないようで、ダビドフ茸とは薄さにのみ宿りうる菌糸なのかもしれない。繊細な風味自体が濃くなると、風味というより旨味となって腑に落ちる。ダビドフ茸の高貴さを維持しつつ「うまい」という言葉が似合う。「うまい」としばしうなり続ける(結局最後までうなり続けた)。
旨味化した茸に花や卵の豊潤さがねっとりと加わる。ダビドフに「ねっとり」という言葉を使うのも初めてかもしれない。ねっとりした次には白胡椒が効き、すると粉挽きの胡椒の浮揚に連れられて花が枝を離れて舞う。ここでも砂糖の透明感は不変である。
ふとエントレアクトだったかショートパーフェクトだったかがバターっぽかったという記憶に当たる。そう思うと今日もバターの通奏低音が効いていた気もする。独特の甘い透明感が、常にバターのしつこさを浮かしていたのかと思い至る。旨味の正体であったバターは依然浮きながら、舞う花が空中でバターにまみれて遊泳する。
それで、さして天国的な香味ではないものの、天国に居たことも無論ある人のような、見事な地上系ダビドフで、地上の穴のひそかな楽園を訪れる。こんなところに池があり、藻で濁らないのはどうしてか、透明度と糖度の高い池がある。池を飲み干したくなる。穴の中は何処からか光が差して明るい。
そういえば昔、水道水から砂糖水が出ると噂される家が近所にあった。
小サイズダビドフはウインストンチャーチルで失敗しているが、今日をもってエントレアクトが箱買い筆頭となった。(試供品と実際の箱物とに品質差がないことを願って)
異様な軽さに異常な芳醇さが宿る『7』のタイプでなく、それよりは重くそれでも少し浮くような軽やかさがある。バターの芳醇さも『7』の桃に比べると基本的な香味のように思えてしまうが、特異な美質である。
終始突出した美味が完璧に貫かれ、変化もコンパクトながら見事だし、名の通り幕間の15分でこれをゆっくり堪能できるのか、急いで15分で堪能して火傷してみるのもありなのかもしれない。美味しい素質の物ならば、30分クラスの物でも15分で焼尽して不味いわけがない。
黒ダビドフの味比べをしている場合ではないような。昔はもっと木の質感が五月蝿かったと思うのだが、アニベルサリオの品質は上昇したらしい。となると702やシグネチャーも旧弊な記憶で扱ってはいけなくて、各々試したくなる。
|—|3.5" x 43|7.77g|香:4.1~4.3 ave4.2|残0|
註:この葉巻は試供品です。「tasting cigar not for sale」と書かれた封シールあり。
典型的なダビドフ香。この香からあの香が出るとは夢にも思わなかったものである。と、初めてダビドフのプレミアムシガーを入手した時の感覚が蘇る。蘇った記憶が正しいかは知らないが、加うるに、いつもより甘いべとつく感覚がある。藁を欺く青草の溌剌の香りもして、青草に乗った露が甘い。
着火すると常よりもの濃味に、また甘い露も蒸発せず焦げもせずに残る。
ダビドフが甘い、これは初めての体験かもしれない。雨後の葉や花が含む露ぐらい(ビーズ玉ぐらい)の量の甘さで、質は水飴、透明感があり、露を拾って口中に広げる。砂糖系の甘さと言って良いみたいだが、香もあるのでステビアかとも思いうる。
香は素朴なクラシックシリーズ寄りでも、それそのままか濃く、かなり甘いし、味に重さがある。松茸等の繊細な風味などよりもあからさまな濃さと甘露を感じる。松茸はあるもののこれは濃縮されないようで、ダビドフ茸とは薄さにのみ宿りうる菌糸なのかもしれない。繊細な風味自体が濃くなると、風味というより旨味となって腑に落ちる。ダビドフ茸の高貴さを維持しつつ「うまい」という言葉が似合う。「うまい」としばしうなり続ける(結局最後までうなり続けた)。
旨味化した茸に花や卵の豊潤さがねっとりと加わる。ダビドフに「ねっとり」という言葉を使うのも初めてかもしれない。ねっとりした次には白胡椒が効き、すると粉挽きの胡椒の浮揚に連れられて花が枝を離れて舞う。ここでも砂糖の透明感は不変である。
ふとエントレアクトだったかショートパーフェクトだったかがバターっぽかったという記憶に当たる。そう思うと今日もバターの通奏低音が効いていた気もする。独特の甘い透明感が、常にバターのしつこさを浮かしていたのかと思い至る。旨味の正体であったバターは依然浮きながら、舞う花が空中でバターにまみれて遊泳する。
それで、さして天国的な香味ではないものの、天国に居たことも無論ある人のような、見事な地上系ダビドフで、地上の穴のひそかな楽園を訪れる。こんなところに池があり、藻で濁らないのはどうしてか、透明度と糖度の高い池がある。池を飲み干したくなる。穴の中は何処からか光が差して明るい。
そういえば昔、水道水から砂糖水が出ると噂される家が近所にあった。
小サイズダビドフはウインストンチャーチルで失敗しているが、今日をもってエントレアクトが箱買い筆頭となった。(試供品と実際の箱物とに品質差がないことを願って)
異様な軽さに異常な芳醇さが宿る『7』のタイプでなく、それよりは重くそれでも少し浮くような軽やかさがある。バターの芳醇さも『7』の桃に比べると基本的な香味のように思えてしまうが、特異な美質である。
終始突出した美味が完璧に貫かれ、変化もコンパクトながら見事だし、名の通り幕間の15分でこれをゆっくり堪能できるのか、急いで15分で堪能して火傷してみるのもありなのかもしれない。美味しい素質の物ならば、30分クラスの物でも15分で焼尽して不味いわけがない。
黒ダビドフの味比べをしている場合ではないような。昔はもっと木の質感が五月蝿かったと思うのだが、アニベルサリオの品質は上昇したらしい。となると702やシグネチャーも旧弊な記憶で扱ってはいけなくて、各々試したくなる。
|gestocigars|152CHF/10(24CHF/10+¥2200/10)|arr 2019/9/4|
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|15.61g|香:2.9~3.1 ave3.0|残6|
2本目重量=16.55g
3本目重量=14.45g
4本目重量=15.61g(本日)
もう割とたっぷり寝かせてある物なので、躊躇なくどんどん着火している。
何か「おいしげ」というか「おいしいサラダ」を食するような序盤。つまり緑多く、クセの少ない香草がかろやかにてんこ盛りされ、少しナッツ類やハムも鏤められている。「ハバナの序盤」らしい懐かしさ、慣れえぬ懐かしさがあるのだけれど、それがどうしてか今日は懐かしいというよりも「おいしいサラダ」のようでおいしい。所詮サラダだが。仄かな酸味あるクコの実大の赤い実や、何か色々十種の野菜でも出てきそうなサラダである。サラダサラダと思っていると、観念の悪戯か煙の変幻かトマトジュースまで感じられるようになってきてしまい、大変だなぁと思っていると、ふりかけ程度だったはずのナッツ類が幅をきかせ始めサラダが終るかに見える。
ナッツのキメ細やかさはきな粉なのかなぁと考えていると何かアルコール感が萌してきたので、悪しき「揮発性の木」の出現を恐れる。しかし妙に色気のあるアルコールで、セメダインを通って、シンナーの酩酊ではないものの、幽玄の花を加え、更に濃く花に進めば半ば凡庸というところエステル香に至る。洋酒の風体にしてナッツは樽香もどきへと変り、レモンがひとしずく垂れる。「ハバナの序盤」にも似たキウイのような、分かる人には分かるであろう接触不良音のような味が微かに。それでも「美味しくない」という方向へ針は振られない。反対に此処でついに甘い蜜を抱えた花が咲く。あるいは蜜の中に花が存するような。それでも軽いロメオのこと、加えて寝ぼけ眼の熟成物だから、蜜の濃さも気紛れで、金木犀の満開に寄るか反るか未だ分からないところとなる。と此処で金木犀というより金木犀風味のカスタードの練り感がうっすらと柔らかい姿をとり始めるのである。練れば練るほど形が無くなる。
『此処で森林に浴し、ポポーが実れば正解である。』
ヒノキの香りが漂って、森林で檜風呂に浸かってしまった。露天風呂よりも、ポポーが必要であるのに。しかしながら露天で金木犀が秋の風情を高める。これはこれでさすがに素晴らしい。「金木犀を好むればすべからく葉巻を喫すべし」という阿保な言葉が昔からあるはずのところである。
終盤はパルタガスのように猛然とするが、さすがに伸びず。
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|15.61g|香:2.9~3.1 ave3.0|残6|
2本目重量=16.55g
3本目重量=14.45g
4本目重量=15.61g(本日)
もう割とたっぷり寝かせてある物なので、躊躇なくどんどん着火している。
何か「おいしげ」というか「おいしいサラダ」を食するような序盤。つまり緑多く、クセの少ない香草がかろやかにてんこ盛りされ、少しナッツ類やハムも鏤められている。「ハバナの序盤」らしい懐かしさ、慣れえぬ懐かしさがあるのだけれど、それがどうしてか今日は懐かしいというよりも「おいしいサラダ」のようでおいしい。所詮サラダだが。仄かな酸味あるクコの実大の赤い実や、何か色々十種の野菜でも出てきそうなサラダである。サラダサラダと思っていると、観念の悪戯か煙の変幻かトマトジュースまで感じられるようになってきてしまい、大変だなぁと思っていると、ふりかけ程度だったはずのナッツ類が幅をきかせ始めサラダが終るかに見える。
ナッツのキメ細やかさはきな粉なのかなぁと考えていると何かアルコール感が萌してきたので、悪しき「揮発性の木」の出現を恐れる。しかし妙に色気のあるアルコールで、セメダインを通って、シンナーの酩酊ではないものの、幽玄の花を加え、更に濃く花に進めば半ば凡庸というところエステル香に至る。洋酒の風体にしてナッツは樽香もどきへと変り、レモンがひとしずく垂れる。「ハバナの序盤」にも似たキウイのような、分かる人には分かるであろう接触不良音のような味が微かに。それでも「美味しくない」という方向へ針は振られない。反対に此処でついに甘い蜜を抱えた花が咲く。あるいは蜜の中に花が存するような。それでも軽いロメオのこと、加えて寝ぼけ眼の熟成物だから、蜜の濃さも気紛れで、金木犀の満開に寄るか反るか未だ分からないところとなる。と此処で金木犀というより金木犀風味のカスタードの練り感がうっすらと柔らかい姿をとり始めるのである。練れば練るほど形が無くなる。
『此処で森林に浴し、ポポーが実れば正解である。』
ヒノキの香りが漂って、森林で檜風呂に浸かってしまった。露天風呂よりも、ポポーが必要であるのに。しかしながら露天で金木犀が秋の風情を高める。これはこれでさすがに素晴らしい。「金木犀を好むればすべからく葉巻を喫すべし」という阿保な言葉が昔からあるはずのところである。
終盤はパルタガスのように猛然とするが、さすがに伸びず。
秋のアクセサリーセールにて、灰皿とカッターを購入したオマケで4本入手。
灰皿もカッターもだいぶ値下げしていて購入金額は計133ドルでしかなかったのだが、箱を開けてオマケが太っ腹だったので驚いている。全てダビドフ。
・アニベルサリオ エントレアクト(日本正規1950円)
・エスクリオ グラントルペド(日本正規4800円)
・アニベルサリオ No.3 旧版?(日本正規4000円ぐらい?)
・ニカラグア 丸 トロ (日本正規3800円)
オマケで約14000円分。ただし、すべて封シールに「tasting cigar not for sale」とある。ダビドフから店に無料で送られた試供品らしい。
昔は日本の煙草屋さんでもジノの葉巻を貰えたり(ダビドフの販促グッズを貰えたりも)したものだけれど、最近はすっかりなくなった。
カッターはリンゲージ60対応の物。50時代でも巧く60に対応できていたのでかえって使いこなすのが難しそうです。試しにロブストを切ってみましたが、ピンときました、カッターが大きすぎてまさにロブストが一番苦手らしい。切り口が斜めになってしまう。
透明な黒だと思っていたのですが、光がまるで透けない黒なので△。剥いたリングを透明な灰皿の底に敷いて眺めるのが趣味でした。
しかく裏返して置くと漆箱のようなオブジェにも見えますので黒い不透明な△が◯に上昇します。
灰の落ちる皿部分が深いのは◎で、ここが浅いといちいち灰皿を持ち上げて灰を動かさなければなりません。
レスト部分は溝がけっこう深く、ホールド感が若干強いので、葉巻をつまみ上げ難いです。ここに関しては今のところ拘りがないので◯です。しかしシガリロ並みに細いビトラは埋没してしまい、かなりつまみにくくなる恐れがあります。ロブストでも中盤過ぎればつまみにくいでしょう。
側面のZINOマークは要りません。Davidoffでも要らず、無銘が良いですので△。
左の溝は長い葉巻用、右の溝は短い葉巻用、◯。
実物を見るまで大きすぎたかと思っていましたが、思ったほど大袈裟ではないので大きさは◯。
重いので洗うのが大変そうです。大変どころか、洗っている最中に周囲の食器類を破壊する恐れがあり、またガラス製なので自分が壊れる可能性もあります△。先代のガラス灰皿はラム酒の壜をぶつけて壊れてしまいました。ラム酒の壜が勝ちました。しかしこちらは先代よりも堅牢に見えますし、角の面取りも先代より豊かなのでラム酒の壜に勝つかもしれません◯。
|coh-hk|$194/25|arr 2017/9/27|
|ALO OCT 16|6 1/5 x 47|9.80g|香:3.3~4.3 ave3.8|残1|
土臭い芋が茎に変わり、茎が花に変わり、花が花に変わり、外界からももうすぐ薫るであろう金木犀と全くの同香に終わる。
完全な三楽章構成で、序盤芋旨くも土荒く、二種の花の緩徐楽章を経て、終楽章で外界に連れ出される。
三種類の花と、序盤から終盤に至る完璧な遷移。
序盤を終盤で解決させる形式、間を繋ぎ不穏さを残す二楽章のテクニック。
序盤の芋は中盤にも埋まり続け、終盤でも金木犀の元に埋まって濃い。
序盤と中盤はどちらかといえば淡く、終盤で一気に克明な色が現れる。
匂いが克明で、目には見えないため、夜の散歩道となる。
序盤淡くも強く、また強くも淡く衰えているようでありながら終盤に衰亡の兆しは見えない。
淡かったりするから、それが懐かしさを高め、芋や土を懐かしむかと思いきや、外界の一年ぶりの金木犀を懐かしむのと完璧に同じ懐かしさ。
三種の花の、金木犀は完璧に金木犀と同一だった。
最初は菊か何か、次も菊か何か、この二番目の花は菊にしては甘さが乗り、金木犀の芳香は鋭く甘い。
中盤ではカスタード等の風味が甘いというには控えめすぎる甘さをもつ。
金木犀にはカスタードの甘さも土中に混じるが、ひたすら金木犀が目立つ。
一楽章と二楽章は渋く、三楽章は華やかながら控えめな孤独な夜。
三楽章は短い。根元付近に始まり、根元付近に終わる。
終盤の短さが渋さを受け継ぐ。
--
パルタガスの基礎を完全再現している。
|ALO OCT 16|6 1/5 x 47|9.80g|香:3.3~4.3 ave3.8|残1|
土臭い芋が茎に変わり、茎が花に変わり、花が花に変わり、外界からももうすぐ薫るであろう金木犀と全くの同香に終わる。
完全な三楽章構成で、序盤芋旨くも土荒く、二種の花の緩徐楽章を経て、終楽章で外界に連れ出される。
三種類の花と、序盤から終盤に至る完璧な遷移。
序盤を終盤で解決させる形式、間を繋ぎ不穏さを残す二楽章のテクニック。
序盤の芋は中盤にも埋まり続け、終盤でも金木犀の元に埋まって濃い。
序盤と中盤はどちらかといえば淡く、終盤で一気に克明な色が現れる。
匂いが克明で、目には見えないため、夜の散歩道となる。
序盤淡くも強く、また強くも淡く衰えているようでありながら終盤に衰亡の兆しは見えない。
淡かったりするから、それが懐かしさを高め、芋や土を懐かしむかと思いきや、外界の一年ぶりの金木犀を懐かしむのと完璧に同じ懐かしさ。
三種の花の、金木犀は完璧に金木犀と同一だった。
最初は菊か何か、次も菊か何か、この二番目の花は菊にしては甘さが乗り、金木犀の芳香は鋭く甘い。
中盤ではカスタード等の風味が甘いというには控えめすぎる甘さをもつ。
金木犀にはカスタードの甘さも土中に混じるが、ひたすら金木犀が目立つ。
一楽章と二楽章は渋く、三楽章は華やかながら控えめな孤独な夜。
三楽章は短い。根元付近に始まり、根元付近に終わる。
終盤の短さが渋さを受け継ぐ。
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パルタガスの基礎を完全再現している。
|NextCigar|$112/10|arr 2018/9/8|
|—|6 3/32超 x 43|12.66g|香:4.0~4.2 ave4.1|残3|
わがダビドフ史上最もクリーミーで、川床の粘土層のすぐ下にクリープ層が薄く均一に下流へ向って広がっている。この層は太古の金木犀が堆積したものだそうで、白っぽくも金色の匂いを幽かに残す。いや、太古の時間的距離を考えれば未だ極めて濃く眩い金色なのだが、金木犀の原種は白いのかもしれない。
粘土層の方はハバナ葉が堆積したものだそうで、通常鼠色であろう粘土が此処では綺麗な薄茶色を呈している。粘土であるから、鼠色の香りはある。この辺り、川沿いに今現在はハバナの木は生えていない。
水上の空気は水上の音楽よりも軽くてふわふわでやわらかく甘さ控えめなのに満足感がある。
破堤か水衝部でクリープ層が破けるかのように胡椒の礫が加わるも、その後も川のせせらぎのままに優しく浮いている。
途中、網戸のような蛇籠に引っ掛かっていると、水だけが煙のように網目を透かして流れていってしまうのが惜しい。向う側に行きたくなる。
蛇籠もろとも下流に進むと川にして松林が並び、ダビドフ種の松茸が盛んに生えている。菌床はほとんど地球の裏側から続いているという。
--
購入後一年未満はおかしかったが、極度という言葉を拒絶するような極度の安定を示し、変化にも優しさがあらわれ、沈潜していた育ちの良さがもうまるまると見えている。始終雑味皆無。
|—|6 3/32超 x 43|12.66g|香:4.0~4.2 ave4.1|残3|
わがダビドフ史上最もクリーミーで、川床の粘土層のすぐ下にクリープ層が薄く均一に下流へ向って広がっている。この層は太古の金木犀が堆積したものだそうで、白っぽくも金色の匂いを幽かに残す。いや、太古の時間的距離を考えれば未だ極めて濃く眩い金色なのだが、金木犀の原種は白いのかもしれない。
粘土層の方はハバナ葉が堆積したものだそうで、通常鼠色であろう粘土が此処では綺麗な薄茶色を呈している。粘土であるから、鼠色の香りはある。この辺り、川沿いに今現在はハバナの木は生えていない。
水上の空気は水上の音楽よりも軽くてふわふわでやわらかく甘さ控えめなのに満足感がある。
破堤か水衝部でクリープ層が破けるかのように胡椒の礫が加わるも、その後も川のせせらぎのままに優しく浮いている。
途中、網戸のような蛇籠に引っ掛かっていると、水だけが煙のように網目を透かして流れていってしまうのが惜しい。向う側に行きたくなる。
蛇籠もろとも下流に進むと川にして松林が並び、ダビドフ種の松茸が盛んに生えている。菌床はほとんど地球の裏側から続いているという。
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購入後一年未満はおかしかったが、極度という言葉を拒絶するような極度の安定を示し、変化にも優しさがあらわれ、沈潜していた育ちの良さがもうまるまると見えている。始終雑味皆無。
|gestocigars|152CHF/10(24CHF/10+¥2200/10)|arr 2019/9/4|
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|16.04g|香:3.0~3.5 ave3.2|残9|
何故か送料無料で発送された。今後課金されるのかもしれない。(後記:初回は断りがあったのですが、2回目だったからか無言で24CHF課金されていました。)タバコ税は156g表記。関税はぎりぎり免れたよう。
臭みなく無臭でもない、ほどよくあか抜けた香り。着火前の香りを楽しむ場合の対象はこういう物なのだろうとわかりそうになる。たぶん永久にわからないのだが、イメージがまさにこれで、葉巻を嗜まない人にもわかるような感覚だと思う。妙にそそってくるようなところもなく、ロッキングチェアーにて落ち着いて嗅ぎ続ける人がいる。
吸い込みはリンゲージ55にして堅牢で、難敵らしい。アホみたいに図太い葉脈が何本も入っている。一本ぐらい抜きたいが、ぎちぎちなだけにビクともしない。長時間無駄な格闘をして諦めると、なぜか吸い込みが良くなっている、こんなの初めて。
懐かしい辛さと懐かしい一口目の緊張香がある。余計に懐かしく感じるのは、それらが単に弱まってもいるからだろうか。
それから古典的な佳い味わいを期待させる素直なハバナ香があり、上級ブランドの特異さも下級ブランドの荒さも中級ブランドのどうでもよい特異さもなく、かといって香味チャートの中央に位置するでもなく、無個性の個性というのも憚られ、実の住所は極めて端っこに位置しているのかもしれない。
同じロメオ町内でもときどき強い家があったりまったく弱い家があったりして、へんてこな家が犇く町内だが、すべての家で匂いはどこかしら似ているのかもしれない。いずれにしても『チャーチル系のダブルバンド物』か『エキシビジョン2種』の香味がシンボルなのではないかと思う。
私が探しているのは偏にポポーである。ロメオの熟成物でのみときどき実るらしい。
全体的に薄いが、葉の味わいの品質は素朴にして高そうで、カスタードやキュウリ(キュウリは嫌い)など変化も多彩ときて、薄さを抜きにしても他の葉巻とは味が全然異なる。この調子でいくとポポーへの期待値は無ではない。花咲く。
ポポーの収穫には1年遅かったかもしれない。
ラム酒を舐めたからか、洋酒入りの乾いたパウンドケーキ。薄いので酒が勝っているようである。それから緑色の何か、この緑はケーキあればミントに見え、普段は雑草、甘い金木犀あればキュウリに見える。
ナッツ系の芳ばしさとコクが投じられ、ケーキを濃さと湿りで満たそうとする。ややコイーバを思わせる苦味。この時点でこの葉巻は完全に美味しい。ケーキの色が焦茶系に変じる。ついで金木犀もかなり芬芬とする。
コイーバ香が若くしては出ないのだったら、この熟成はこれで良かったのだが、やはり薄さはある。
終盤に図太い葉脈を一本抜いた。
雑な苦味が増し、優雅な香味もなりを潜めたが、パーフェクドローによる掘削よりも味の乱れ少なく、煙量が増えて味の薄さはけっこう改善された。
最初の格闘のせいで頭に亀裂が入っていて、最後はラッパーがばらけてしまった。
香味を除いた全体の傾向としてつい先日のロバイナに似ている。点数がまったく同じ。
最初の一本で今のところ掴み所がないが、掴むべき棒が何本か生えている気がする。アクロバットが生えているのか。
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|16.04g|香:3.0~3.5 ave3.2|残9|
何故か送料無料で発送された。今後課金されるのかもしれない。(後記:初回は断りがあったのですが、2回目だったからか無言で24CHF課金されていました。)タバコ税は156g表記。関税はぎりぎり免れたよう。
臭みなく無臭でもない、ほどよくあか抜けた香り。着火前の香りを楽しむ場合の対象はこういう物なのだろうとわかりそうになる。たぶん永久にわからないのだが、イメージがまさにこれで、葉巻を嗜まない人にもわかるような感覚だと思う。妙にそそってくるようなところもなく、ロッキングチェアーにて落ち着いて嗅ぎ続ける人がいる。
吸い込みはリンゲージ55にして堅牢で、難敵らしい。アホみたいに図太い葉脈が何本も入っている。一本ぐらい抜きたいが、ぎちぎちなだけにビクともしない。長時間無駄な格闘をして諦めると、なぜか吸い込みが良くなっている、こんなの初めて。
懐かしい辛さと懐かしい一口目の緊張香がある。余計に懐かしく感じるのは、それらが単に弱まってもいるからだろうか。
それから古典的な佳い味わいを期待させる素直なハバナ香があり、上級ブランドの特異さも下級ブランドの荒さも中級ブランドのどうでもよい特異さもなく、かといって香味チャートの中央に位置するでもなく、無個性の個性というのも憚られ、実の住所は極めて端っこに位置しているのかもしれない。
同じロメオ町内でもときどき強い家があったりまったく弱い家があったりして、へんてこな家が犇く町内だが、すべての家で匂いはどこかしら似ているのかもしれない。いずれにしても『チャーチル系のダブルバンド物』か『エキシビジョン2種』の香味がシンボルなのではないかと思う。
私が探しているのは偏にポポーである。ロメオの熟成物でのみときどき実るらしい。
全体的に薄いが、葉の味わいの品質は素朴にして高そうで、カスタードやキュウリ(キュウリは嫌い)など変化も多彩ときて、薄さを抜きにしても他の葉巻とは味が全然異なる。この調子でいくとポポーへの期待値は無ではない。花咲く。
ポポーの収穫には1年遅かったかもしれない。
ラム酒を舐めたからか、洋酒入りの乾いたパウンドケーキ。薄いので酒が勝っているようである。それから緑色の何か、この緑はケーキあればミントに見え、普段は雑草、甘い金木犀あればキュウリに見える。
ナッツ系の芳ばしさとコクが投じられ、ケーキを濃さと湿りで満たそうとする。ややコイーバを思わせる苦味。この時点でこの葉巻は完全に美味しい。ケーキの色が焦茶系に変じる。ついで金木犀もかなり芬芬とする。
コイーバ香が若くしては出ないのだったら、この熟成はこれで良かったのだが、やはり薄さはある。
終盤に図太い葉脈を一本抜いた。
雑な苦味が増し、優雅な香味もなりを潜めたが、パーフェクドローによる掘削よりも味の乱れ少なく、煙量が増えて味の薄さはけっこう改善された。
最初の格闘のせいで頭に亀裂が入っていて、最後はラッパーがばらけてしまった。
香味を除いた全体の傾向としてつい先日のロバイナに似ている。点数がまったく同じ。
最初の一本で今のところ掴み所がないが、掴むべき棒が何本か生えている気がする。アクロバットが生えているのか。
|coh-hk|$173/25|arr 2017/11/18|
|SLE JUL 16|5 x 48|--g|香:3.0~3.5 ave3.2|残6|
うら若き山椒活動の名残を曳きつつお菓子学科を経て、この博士、ふんわりした木造船にレモン粕を搾った天日砂をかける、塩づくりのように。博士自身がロバイナ翁であるかのごとくいつもロバイナを銜えて、もう見える景色も煙色のロバイナだけなのだが……ロバイナといえば夜であり、ファモソスといえば朝鮮人参の苦味が効いたサングラスフルボディー、これまでのこうした印象たる経験から最近の木造船はやや離れ、朽ちており、これまで通り暗くも、軽くて、落ち着きなく揮発する木質を顕にしている。木造船がアルコールのように日々揮発し消滅しつつある。どうにかして人参を呼び戻したいと思うのだが、馬の鼻面にぶら下げるようなもので、嘗ての馨しさ無ならずも微妙に遠い。
しかしこの日はようやく望む木片に、まだ遠くも近づいてきた。(コイーバやモンテ並みに)特異なる我がロバイナ香が我が筋肉に細く通っているし、それに力を得て、かすかに人参の土っぽさの落ち着きと苦味も細い筋肉に満ちる。お菓子化や花化もほどほどに抑えられ、我がロバイナ香がやや太い。とはいえお菓子化や花化がそれをより太くするのだったか、この天日干しの木造船のせいでもうあまり覚えていないが、そうだったかもしれない。木造船にも水を差すのが雑草だが、雑草は雑草のわりに急成長しないでくれる。
浜辺をしばし徘徊すると木造船は朝霧に隠れ、全盛期の我がロバイナ農園が復刻される。まだ遠いが、序盤の夜半に期待しながら諦めていた黎明ならぬ逆回転の夜が、自転する地球が、まざまざと期待してよいような路線に変り始める。
お菓子学科のカスタードに甘味なし、苦味が来れば万事良い。甘くなければカスタードは入用で、苦いカスタードというのは、それはそれは甘美だったはずなのである。バニラかもしれない。雑草に紛れてニラの苦味が来ないことを我々は祈る。誰が祈るのか。
祈りはなべて届かぬことを前提にしていることを知っている。それながら祈りは長く根元まで続きえた。根元に特有の苦味と朝鮮人参の苦味とは全く違うのであったが、祈りがはや座礁するより、祈りは長く続く方が良い。
|SLE JUL 16|5 x 48|--g|香:3.0~3.5 ave3.2|残6|
うら若き山椒活動の名残を曳きつつお菓子学科を経て、この博士、ふんわりした木造船にレモン粕を搾った天日砂をかける、塩づくりのように。博士自身がロバイナ翁であるかのごとくいつもロバイナを銜えて、もう見える景色も煙色のロバイナだけなのだが……ロバイナといえば夜であり、ファモソスといえば朝鮮人参の苦味が効いたサングラスフルボディー、これまでのこうした印象たる経験から最近の木造船はやや離れ、朽ちており、これまで通り暗くも、軽くて、落ち着きなく揮発する木質を顕にしている。木造船がアルコールのように日々揮発し消滅しつつある。どうにかして人参を呼び戻したいと思うのだが、馬の鼻面にぶら下げるようなもので、嘗ての馨しさ無ならずも微妙に遠い。
しかしこの日はようやく望む木片に、まだ遠くも近づいてきた。(コイーバやモンテ並みに)特異なる我がロバイナ香が我が筋肉に細く通っているし、それに力を得て、かすかに人参の土っぽさの落ち着きと苦味も細い筋肉に満ちる。お菓子化や花化もほどほどに抑えられ、我がロバイナ香がやや太い。とはいえお菓子化や花化がそれをより太くするのだったか、この天日干しの木造船のせいでもうあまり覚えていないが、そうだったかもしれない。木造船にも水を差すのが雑草だが、雑草は雑草のわりに急成長しないでくれる。
浜辺をしばし徘徊すると木造船は朝霧に隠れ、全盛期の我がロバイナ農園が復刻される。まだ遠いが、序盤の夜半に期待しながら諦めていた黎明ならぬ逆回転の夜が、自転する地球が、まざまざと期待してよいような路線に変り始める。
お菓子学科のカスタードに甘味なし、苦味が来れば万事良い。甘くなければカスタードは入用で、苦いカスタードというのは、それはそれは甘美だったはずなのである。バニラかもしれない。雑草に紛れてニラの苦味が来ないことを我々は祈る。誰が祈るのか。
祈りはなべて届かぬことを前提にしていることを知っている。それながら祈りは長く根元まで続きえた。根元に特有の苦味と朝鮮人参の苦味とは全く違うのであったが、祈りがはや座礁するより、祈りは長く続く方が良い。
|cigarOne|€378.85/12|arr 2018/9/20|
|RAG JUN 18|166mm x 52|15.88g|香:3.6~3.8 ave3.7|残9|
ラッパーは緑色の小さな斑点を残して、それが若布なのか磯の生臭さを漂わせている。匂いに太陽の感覚が有るため屋根の下の魚屋よりも空の下の磯に寄り、思うと塩気まで感じられるようだがたぶん思い込みにすぎない。同日昼に燻らせたフォンドボーに比べて不味そうな匂いであるのに着火すれば魚は天使の羽を生やして完全消失する。やや羽のように軽くて乾いたキューバシガーの香りが始まる。
かすかな酸味を伴う杉あり、ありありした杉の下を舌で過ぎると、杉並木はゆめ長くも雲のように割れるのか杉の間からパウンドケーキが香るか香らないか迷ううちに麦に出くわす。パウンドケーキで挟むはずのカスタードを杉の下駄でサンドすると砂混じりの酸素が酸っぱいカスタードになる。
煙はあまり多くないのにどうしてか火種から立ち昇る細い煙が濃く見える。白く凝縮した煤のようで、浮いているがいまにも垂れ下ってきそう。同日昼は実際に黒い煤が垂れ下がってきた、初めて。
酸味はノイズのように映るのだけれど、全体は最近の葉巻たちと違って安心させる効能ある香りがする。柔らかいハバナと杉、そのほかでない、地元に帰ってきたような。よくよく感じようとしてみると、地元がいつもよりも酸っぱい。誰か死んだか、と気軽に考える。
赤ワインやラムに替えて日本酒を取り出すと酒が似合う。トリニダッドと日本酒の組合せについては従来まじまじと重ね書きしている。杉の香りが紐帯となるのかもしれない。
一度灰が落ちたところから煙がバーストしはじめおかしなお菓子化をしはじめてこれはお菓子かと疑うもがな檸檬入りとも知られずも胚芽が落ちれば花も咲く毬栗落ちずチーズ落ちず地図不明にして日本酒を含むと菊と菜の花が聴こえるようで金木犀らしき芳香には方向足らずタラの臭みなし。
ふつうに美味しいハバナであるのにふつうのハバナより美味しい。凄みもなし、トリニダッドらしくトリニダッド自身への寛容さありか、トリニダッドとしてもいつもより淡々として太い。最後にスパイス出るものの清酒と杉の睦まじさの域を出でず。
根元まで生きていたのが久しぶりの上出来この頃には赤ワインもラムも睦まじい。
日本酒をキューバで売る日は遠いこれは久保田千寿頂き物の夏の常温で、普段自分ではまず買わないものを頂くだにいつも案外具合よく大活躍する銘柄である。煙が消えてもなかなか美味しい。
|RAG JUN 18|166mm x 52|15.88g|香:3.6~3.8 ave3.7|残9|
ラッパーは緑色の小さな斑点を残して、それが若布なのか磯の生臭さを漂わせている。匂いに太陽の感覚が有るため屋根の下の魚屋よりも空の下の磯に寄り、思うと塩気まで感じられるようだがたぶん思い込みにすぎない。同日昼に燻らせたフォンドボーに比べて不味そうな匂いであるのに着火すれば魚は天使の羽を生やして完全消失する。やや羽のように軽くて乾いたキューバシガーの香りが始まる。
かすかな酸味を伴う杉あり、ありありした杉の下を舌で過ぎると、杉並木はゆめ長くも雲のように割れるのか杉の間からパウンドケーキが香るか香らないか迷ううちに麦に出くわす。パウンドケーキで挟むはずのカスタードを杉の下駄でサンドすると砂混じりの酸素が酸っぱいカスタードになる。
煙はあまり多くないのにどうしてか火種から立ち昇る細い煙が濃く見える。白く凝縮した煤のようで、浮いているがいまにも垂れ下ってきそう。同日昼は実際に黒い煤が垂れ下がってきた、初めて。
酸味はノイズのように映るのだけれど、全体は最近の葉巻たちと違って安心させる効能ある香りがする。柔らかいハバナと杉、そのほかでない、地元に帰ってきたような。よくよく感じようとしてみると、地元がいつもよりも酸っぱい。誰か死んだか、と気軽に考える。
赤ワインやラムに替えて日本酒を取り出すと酒が似合う。トリニダッドと日本酒の組合せについては従来まじまじと重ね書きしている。杉の香りが紐帯となるのかもしれない。
一度灰が落ちたところから煙がバーストしはじめおかしなお菓子化をしはじめてこれはお菓子かと疑うもがな檸檬入りとも知られずも胚芽が落ちれば花も咲く毬栗落ちずチーズ落ちず地図不明にして日本酒を含むと菊と菜の花が聴こえるようで金木犀らしき芳香には方向足らずタラの臭みなし。
ふつうに美味しいハバナであるのにふつうのハバナより美味しい。凄みもなし、トリニダッドらしくトリニダッド自身への寛容さありか、トリニダッドとしてもいつもより淡々として太い。最後にスパイス出るものの清酒と杉の睦まじさの域を出でず。
根元まで生きていたのが久しぶりの上出来この頃には赤ワインもラムも睦まじい。
日本酒をキューバで売る日は遠いこれは久保田千寿頂き物の夏の常温で、普段自分ではまず買わないものを頂くだにいつも案外具合よく大活躍する銘柄である。煙が消えてもなかなか美味しい。
|seriouscigars|$12.80|2012/11/23|
|—|6 1/4 x 60|24.79g|香:2.6~3.4 ave3.1|残0|
着火前の香りは旨味が濃く、野菜入の出汁パックのようなフォンドボーを煮詰めたようなコンソメのような
着火して拍子抜けな無味が続き1センチ進む頃に味が乗る
葉らしい味がはっきりしないがそれも経年の賜物らしい複雑な曖昧美に溶けている。草花もお菓子も曖昧
手に負えない強さは枯淡へ和らぎやや草が優勢の香味だが安定の葉巻感と甘いような焼きたてのフィナンシェの美味しさがありそれから着火前ほどではないながらフォンドボーの複雑な旨味が続く
大きな変化なく出涸らしの渋みが増し十センチ近く残して終
片燃えもしていたしパンチカットだったのをフラットカットヘリカットすればいまいち奮わないのが治ったかと気づくがもう時遅し水道で消火した
八年ぐらい寝かせていた気がするも実際六年であり六年は六年で勿体ないことをしたとも思うがはたしてもう二年熟成させたりフラットカットしたりもうちょっと巧く保管したりで更に美味しく変るかは甚だ怪しいもののまた既に潰えたりと雖も希望的観測あり特にこんなフォンドボーはこれまでに味わった記憶がない
|—|6 1/4 x 60|24.79g|香:2.6~3.4 ave3.1|残0|
着火前の香りは旨味が濃く、野菜入の出汁パックのようなフォンドボーを煮詰めたようなコンソメのような
着火して拍子抜けな無味が続き1センチ進む頃に味が乗る
葉らしい味がはっきりしないがそれも経年の賜物らしい複雑な曖昧美に溶けている。草花もお菓子も曖昧
手に負えない強さは枯淡へ和らぎやや草が優勢の香味だが安定の葉巻感と甘いような焼きたてのフィナンシェの美味しさがありそれから着火前ほどではないながらフォンドボーの複雑な旨味が続く
大きな変化なく出涸らしの渋みが増し十センチ近く残して終
片燃えもしていたしパンチカットだったのをフラットカットヘリカットすればいまいち奮わないのが治ったかと気づくがもう時遅し水道で消火した
八年ぐらい寝かせていた気がするも実際六年であり六年は六年で勿体ないことをしたとも思うがはたしてもう二年熟成させたりフラットカットしたりもうちょっと巧く保管したりで更に美味しく変るかは甚だ怪しいもののまた既に潰えたりと雖も希望的観測あり特にこんなフォンドボーはこれまでに味わった記憶がない
銘
囹
月