×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
|next cigar|$304/20|2021/2/6・arr 2/14|
|―|5” x 52|13.61g|香:4.1~4.5 ave4.3|残19|
スコッチ樽とはっきり分かるものではないながら、独特の風味あり。同時に意表をついて、優しく爽やかでささやかな果実香あり。その果実香の下にハバナシードを磨いたような(スコッチの染みた)葉があり、その葉こそ樹液のようにも深い樽のようにも思え深遠で、ありがちな藁や畳などを現さない。「藁や畳などを現さない」というのがレイトアワーのスコッチ熟成のポイントかと思う。焦した麦の旨さあり。ここまで、飄々と濃く、花に頼らないのもよくて、誤魔化しのない美味を落ち着きがちに湛えている。スコッチスコッチした厚化粧なく、しかし確実に葉は深みへと昇華あるいは沈下されている。余計な重さはうっすらと、濃いものの、適度に軽い。
次に来るのはたんまりクリームを塗った焼菓子で、上乗せで初期の爽やかな香気を交えてみずみずしく新鮮な苺が乗る。苺ジャムのようなものでない。ケーキに乗った苺の爽やかさ、時に清涼な酸味をも感じる。ここにパティシエの斬新な香草が差挟まれてくる。やはり味は濃いが軽い、ケーキ。
ここでようやく来るのが花なのである。花を無いと思わせながら絶妙な間合いで気配なく突如来る。完璧な変化。金木犀が咲く秋の日のように咲く。依然葉は樽の底で眠って深みを湛えて濃い。眠っていると感じるのは、既に燃えているのに粗さが出てこないからである。
少しして蜜が滴り始め、蜂蜜漬けの甘い何か。花の茎の緑も混ざる。「何か」がわからないまま終わる。
火種が迫って最初のリングを外した時、こんな話は聞いたことがないのだが、酸味がずんずん深まる。酸味が煩いタイプではなく、高級ワインの十五年ぐらいの熟成を思わせる感じ。
全ての変化において別の美味しさに変わり、不味く変わることがない。変化数も多く飽きさせない。また通底する葉の風味が頗る上等で深い。
最後は炭を舐めたように味が抜けて終わる、残4センチ、潔い。微かな麦が残る。
また花が咲く。麦と花。
寝かせるほどにどんどんスコッチ由来の香気が逃げていき、特徴が失われるようでこわいが、どうなのだろう?
|―|5” x 52|13.61g|香:4.1~4.5 ave4.3|残19|
スコッチ樽とはっきり分かるものではないながら、独特の風味あり。同時に意表をついて、優しく爽やかでささやかな果実香あり。その果実香の下にハバナシードを磨いたような(スコッチの染みた)葉があり、その葉こそ樹液のようにも深い樽のようにも思え深遠で、ありがちな藁や畳などを現さない。「藁や畳などを現さない」というのがレイトアワーのスコッチ熟成のポイントかと思う。焦した麦の旨さあり。ここまで、飄々と濃く、花に頼らないのもよくて、誤魔化しのない美味を落ち着きがちに湛えている。スコッチスコッチした厚化粧なく、しかし確実に葉は深みへと昇華あるいは沈下されている。余計な重さはうっすらと、濃いものの、適度に軽い。
次に来るのはたんまりクリームを塗った焼菓子で、上乗せで初期の爽やかな香気を交えてみずみずしく新鮮な苺が乗る。苺ジャムのようなものでない。ケーキに乗った苺の爽やかさ、時に清涼な酸味をも感じる。ここにパティシエの斬新な香草が差挟まれてくる。やはり味は濃いが軽い、ケーキ。
ここでようやく来るのが花なのである。花を無いと思わせながら絶妙な間合いで気配なく突如来る。完璧な変化。金木犀が咲く秋の日のように咲く。依然葉は樽の底で眠って深みを湛えて濃い。眠っていると感じるのは、既に燃えているのに粗さが出てこないからである。
少しして蜜が滴り始め、蜂蜜漬けの甘い何か。花の茎の緑も混ざる。「何か」がわからないまま終わる。
火種が迫って最初のリングを外した時、こんな話は聞いたことがないのだが、酸味がずんずん深まる。酸味が煩いタイプではなく、高級ワインの十五年ぐらいの熟成を思わせる感じ。
全ての変化において別の美味しさに変わり、不味く変わることがない。変化数も多く飽きさせない。また通底する葉の風味が頗る上等で深い。
最後は炭を舐めたように味が抜けて終わる、残4センチ、潔い。微かな麦が残る。
また花が咲く。麦と花。
寝かせるほどにどんどんスコッチ由来の香気が逃げていき、特徴が失われるようでこわいが、どうなのだろう?
PR
|next cigar|$172.8/12+¥3100/12=¥1800/1|2021/1/29・arr 2/7|
|―|6” x 52|17.21g|香:3.6~4.0 ave3.8|残11|
以前燻らせて以来ずっと箱を狙っていたものの、年古早く二年半を待ち、恥ずかしながらとうとう時が満ちた。
バレンタイン10%引きでチョコまで付いてきたのも恥ずかしい。
恥ずかしいが安いから最近ダビドフばかり買っている。ハバナが欲しいのに、今回のこれに加えてさらにレイトアワーまで購入してしまった。ダビドフが安いとはどういうことだろう。
開梱すると、エントレアクトとは違って葉巻がしっとり保湿されている。ネクストシガーは高価な物はきちんと保湿する塩梅なのかもしれない。
一口で恥ずかしげな美味しさ。美味しさはいじらしくも膨らまず、なよやかなまま、乾いた恥ずかしい汗のような香り。甘味はずっとあり続けて甘い。
若干キツく恥ずかしさを鼻の奥に感じた途端、キーンと花が漂う。
灰は恥ずかしいほど脆く、2センチで落下する。
珈琲の苦味は珈琲を飲んでいるからだろうか。恥ずかしい。
こってりした甘さがふわふわとして始終つづく、その濃醇の蜜にどのような配合があるのだろう。樹液か茶褐色の蜂蜜のとろみが卵のスポンジにふんだんに染みて、ガトーショコラのごとき重さを思わせつつ、ふわりとしている。ケーキの上にふりかかっている粉は、細かく挽いた藁や少しのパセリで、素朴さと新しさを加えている。そのうえ大きな花で装飾されている。やや菊寄りの百合で、香り華々しくはないけれど、全体を艶やかに恥ずかしく昇華する。
|―|6” x 52|17.21g|香:3.6~4.0 ave3.8|残11|
以前燻らせて以来ずっと箱を狙っていたものの、年古早く二年半を待ち、恥ずかしながらとうとう時が満ちた。
バレンタイン10%引きでチョコまで付いてきたのも恥ずかしい。
恥ずかしいが安いから最近ダビドフばかり買っている。ハバナが欲しいのに、今回のこれに加えてさらにレイトアワーまで購入してしまった。ダビドフが安いとはどういうことだろう。
開梱すると、エントレアクトとは違って葉巻がしっとり保湿されている。ネクストシガーは高価な物はきちんと保湿する塩梅なのかもしれない。
一口で恥ずかしげな美味しさ。美味しさはいじらしくも膨らまず、なよやかなまま、乾いた恥ずかしい汗のような香り。甘味はずっとあり続けて甘い。
若干キツく恥ずかしさを鼻の奥に感じた途端、キーンと花が漂う。
灰は恥ずかしいほど脆く、2センチで落下する。
珈琲の苦味は珈琲を飲んでいるからだろうか。恥ずかしい。
こってりした甘さがふわふわとして始終つづく、その濃醇の蜜にどのような配合があるのだろう。樹液か茶褐色の蜂蜜のとろみが卵のスポンジにふんだんに染みて、ガトーショコラのごとき重さを思わせつつ、ふわりとしている。ケーキの上にふりかかっている粉は、細かく挽いた藁や少しのパセリで、素朴さと新しさを加えている。そのうえ大きな花で装飾されている。やや菊寄りの百合で、香り華々しくはないけれど、全体を艶やかに恥ずかしく昇華する。
|coh-hk|$141.10/25|2012/4/21・arr 4/27|
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|重量:15.80g|香:2.9~3.2 ave3.1|残2|
十年物。忘れたように長く寝かせられるのは、この葉巻に魅力がないからだとも言える。しかし待ちに待った十年、この葉巻は十年で花開くとされている。箱の中のパラフィンがかなり茶色に染まり、めくると、忘れたとはいえ少しずつ減っており、3本しか残っていない。満タンで寝かせることはできなかったから、味は薄まっているかもしれない。
カットすると虎柄のように黒い葉が詰まっている。ドローは悪い、ぎりぎり。
しみじみと優しい木の香り。
揮発性のエステルの青い果実少し爽やか。
うっすらと甘やかな景色に変わる。まろやかな水彩画のクレープ。景色ももちろん淡い水彩。
他に何もなく穏やかに一日が終わる。しみじみと長閑だった。
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|重量:15.80g|香:2.9~3.2 ave3.1|残2|
十年物。忘れたように長く寝かせられるのは、この葉巻に魅力がないからだとも言える。しかし待ちに待った十年、この葉巻は十年で花開くとされている。箱の中のパラフィンがかなり茶色に染まり、めくると、忘れたとはいえ少しずつ減っており、3本しか残っていない。満タンで寝かせることはできなかったから、味は薄まっているかもしれない。
カットすると虎柄のように黒い葉が詰まっている。ドローは悪い、ぎりぎり。
しみじみと優しい木の香り。
揮発性のエステルの青い果実少し爽やか。
うっすらと甘やかな景色に変わる。まろやかな水彩画のクレープ。景色ももちろん淡い水彩。
他に何もなく穏やかに一日が終わる。しみじみと長閑だった。
|next cigar|$118/5+¥2400/10=¥2700/1|2021/1/5・arr 1/17|
|―|6 1/8 x 53|14.52g|香:3.8~4.1 ave3.9|残4|
ほとんど灰皿の写真を撮っている。
ラッパーはインテンソとそっくりで、そのままオールドミニカンリーフとは思えない芳醇さに始まり、インテンソと同じではないかと思う。
最大口径部分に向かっては、濃さやや薄れ、花匂い立ち、軽さも出てくる。インテンソとは違う。
依然、同様の洋酒の樫樽やシナモン(?)は感じられる。昨日よりややシナモンが明白になっているかもしれない。昨日は濃すぎてかシナモンとは少しも思わなかったので、シナモンは薄さに立ち現れるものなのかもしれない。誉高きところの香りも高く、甘さもあるので、つい何かを食べているかのように錯覚し、フォークに手を伸ばしたくなってしまうが、皿の代わりに灰皿があり、ソーセージの代わりに葉巻がある。そうだ、食事ではなくて煙なのだと気づき、かえって物足りなくなってしまう。
魔女の靴のような灰で、繊細ながら脆くない。
軽さと濃さとのせめぎ合いの剣劇が花散らして続く。ひとえに樫樽の中のスポンジ。または樹皮が樫で幹はケーキのスポンジ。その木に咲く花は黄色味の強い金木犀である。
ダビドフ慣れしてしまった場合、昨日のインテンソの方に強い美味しさを覚えるだろう。そうでない場合はわからない、こちらのほうがふわふわとしたところがあって良いかもしれない、魔女の靴もお洒落だし。ダビドフ慣れしていなくてもインテンソは美味しく感じるだろう。カパ・ドミニカーナはところどころ味が抜けるようにも思える。それは鋤焼における麩のようなものである。花の香りは今日の方が上。ニコチン酔いは昨日の方が上。
今日の軽い感覚から濃密な蜜が滴ると最高なのだが。
|―|6 1/8 x 53|14.52g|香:3.8~4.1 ave3.9|残4|
ほとんど灰皿の写真を撮っている。
ラッパーはインテンソとそっくりで、そのままオールドミニカンリーフとは思えない芳醇さに始まり、インテンソと同じではないかと思う。
最大口径部分に向かっては、濃さやや薄れ、花匂い立ち、軽さも出てくる。インテンソとは違う。
依然、同様の洋酒の樫樽やシナモン(?)は感じられる。昨日よりややシナモンが明白になっているかもしれない。昨日は濃すぎてかシナモンとは少しも思わなかったので、シナモンは薄さに立ち現れるものなのかもしれない。誉高きところの香りも高く、甘さもあるので、つい何かを食べているかのように錯覚し、フォークに手を伸ばしたくなってしまうが、皿の代わりに灰皿があり、ソーセージの代わりに葉巻がある。そうだ、食事ではなくて煙なのだと気づき、かえって物足りなくなってしまう。
魔女の靴のような灰で、繊細ながら脆くない。
軽さと濃さとのせめぎ合いの剣劇が花散らして続く。ひとえに樫樽の中のスポンジ。または樹皮が樫で幹はケーキのスポンジ。その木に咲く花は黄色味の強い金木犀である。
ダビドフ慣れしてしまった場合、昨日のインテンソの方に強い美味しさを覚えるだろう。そうでない場合はわからない、こちらのほうがふわふわとしたところがあって良いかもしれない、魔女の靴もお洒落だし。ダビドフ慣れしていなくてもインテンソは美味しく感じるだろう。カパ・ドミニカーナはところどころ味が抜けるようにも思える。それは鋤焼における麩のようなものである。花の香りは今日の方が上。ニコチン酔いは昨日の方が上。
今日の軽い感覚から濃密な蜜が滴ると最高なのだが。
|next cigar|$118/5+¥2400/10=¥2700/1|2021/1/5・arr 1/17|
|―|5 1/8 x 52|18.01g|香:3.9~4.3 ave4.1|残4|
5本入りが格安で販売されたので即刻カパ・ドミニカーナとともに購入した。
ともに赤みがかったマデューロで、ラッパーはよく似ている。
どちらを先に燃やすか悩みつつ、インテンソから。
ビニールを剥ぐと砂糖醤油を染ませた藁のような濃い匂い。
序盤、何の気なしに燻らせていると、急に何か涼やかなメロディーが舌の上を流れる。分析しても捕まええない水のような何か。樫かな?などと物の列挙のいとまに零れ落ち、純水はより純粋に不純物を濾して遠ざかっていく。ただ甘い花のようなものに気づく。薄緑色の白い花。コニャックにシャルトリューズを混ぜたような複雑さ。樽と甘さ。
強そうなので恐々吸っているものの、妙な軽さが共存していて、実はライトなのではないかと疑うが、鼻の奥に突き刺さる感じは間違いなくヘヴィーである。灰は美しくも脆い。
強烈軽妙なままずんずん強さへと進み、終る。
変化というより、この美味しさは何なのかという疑問を持ったまま、変らず終る。
水のことばかり不明ながら、樫も煮詰めた樫の樹液だったのか定かにならない。
灰皿も購入(ハンガリーから)。平板な縁でなく、左翼と右翼が隆起しています。美しい数学的灰皿。手作り感はなく、素敵な工業製品感がある、珍しい。同じ意匠の小舟も付いてきた。
|―|5 1/8 x 52|18.01g|香:3.9~4.3 ave4.1|残4|
5本入りが格安で販売されたので即刻カパ・ドミニカーナとともに購入した。
ともに赤みがかったマデューロで、ラッパーはよく似ている。
どちらを先に燃やすか悩みつつ、インテンソから。
ビニールを剥ぐと砂糖醤油を染ませた藁のような濃い匂い。
序盤、何の気なしに燻らせていると、急に何か涼やかなメロディーが舌の上を流れる。分析しても捕まええない水のような何か。樫かな?などと物の列挙のいとまに零れ落ち、純水はより純粋に不純物を濾して遠ざかっていく。ただ甘い花のようなものに気づく。薄緑色の白い花。コニャックにシャルトリューズを混ぜたような複雑さ。樽と甘さ。
強そうなので恐々吸っているものの、妙な軽さが共存していて、実はライトなのではないかと疑うが、鼻の奥に突き刺さる感じは間違いなくヘヴィーである。灰は美しくも脆い。
強烈軽妙なままずんずん強さへと進み、終る。
変化というより、この美味しさは何なのかという疑問を持ったまま、変らず終る。
水のことばかり不明ながら、樫も煮詰めた樫の樹液だったのか定かにならない。
灰皿も購入(ハンガリーから)。平板な縁でなく、左翼と右翼が隆起しています。美しい数学的灰皿。手作り感はなく、素敵な工業製品感がある、珍しい。同じ意匠の小舟も付いてきた。
|cigarOne|¥14627/7=¥2090|2018/11/20|
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:15.39g|香:3.6~4.1 ave4.0|残0|
どこまで純然たりうるものなのでしょう。まるで消毒したプールのようです。かくまで洗練されたマントがあったでしょうか。荒野感皆無、男性用の香水臭さも無いですし、無臭のブティックのようないい匂いです。匂いが無臭を思わせるという藻のない湖です。
ビショップマンたちが6日連続で来たのですから、違いは瞭然です。
今日のビショップマンもすぐさま帽子を取りました。どうもこの人は赤衆のなかでも難しいらしいのです、変化は純然たる様を汚すものでしかありませんから。ガラス工芸作家の苦悩に近いものです。葉巻も同じです。
実際、ものすごい片燃えで雑味が荒ぶります。湖に公害汚染物質が流れ込んでいるのです。
1分ですんなり片燃えが治りました。どういう技術でしょう。何げない僕の技術だったら嬉しいです。僕は「そこをそう吸って、そうそう、そこをそう吸うといいよ」と言ってあげたのです。
→1分後→
ああ、また甘やかな湖の中央に戻ってきましたよ。スイス湖畔のブティックを離れてひとり漕ぎいでな。
水のほかに泡も浮かばないのです、水に浮かんでいる、雲が水に沈んでいる。すべては水に沈む。こうして雑念にかまけていたら、空が無いことに気づきました。すると空側にあったロメオさんも消えていました。
ビショップマン赤衆の置き土産。
赤衆ではパルタガスさんとロメオさんが頭抜けているように思えましたけれど、レモン等も面白くはありました。今日は重厚なパルタガスさんとは対極の静かな才能を感じました。どこまで静かになるのでしょうか、静かさを壊さない華やかさとは何か、興味が尽きません。興味が吸い込まれて消えてしまうこともありそうです。
ビショップマンはそれぞれの一族の精鋭ですが、改めて全ての一族の傾向が掴めた感じが致します。
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:15.39g|香:3.6~4.1 ave4.0|残0|
どこまで純然たりうるものなのでしょう。まるで消毒したプールのようです。かくまで洗練されたマントがあったでしょうか。荒野感皆無、男性用の香水臭さも無いですし、無臭のブティックのようないい匂いです。匂いが無臭を思わせるという藻のない湖です。
ビショップマンたちが6日連続で来たのですから、違いは瞭然です。
今日のビショップマンもすぐさま帽子を取りました。どうもこの人は赤衆のなかでも難しいらしいのです、変化は純然たる様を汚すものでしかありませんから。ガラス工芸作家の苦悩に近いものです。葉巻も同じです。
実際、ものすごい片燃えで雑味が荒ぶります。湖に公害汚染物質が流れ込んでいるのです。
1分ですんなり片燃えが治りました。どういう技術でしょう。何げない僕の技術だったら嬉しいです。僕は「そこをそう吸って、そうそう、そこをそう吸うといいよ」と言ってあげたのです。
ああ、また甘やかな湖の中央に戻ってきましたよ。スイス湖畔のブティックを離れてひとり漕ぎいでな。
水のほかに泡も浮かばないのです、水に浮かんでいる、雲が水に沈んでいる。すべては水に沈む。こうして雑念にかまけていたら、空が無いことに気づきました。すると空側にあったロメオさんも消えていました。
ビショップマン赤衆の置き土産。
赤衆ではパルタガスさんとロメオさんが頭抜けているように思えましたけれど、レモン等も面白くはありました。今日は重厚なパルタガスさんとは対極の静かな才能を感じました。どこまで静かになるのでしょうか、静かさを壊さない華やかさとは何か、興味が尽きません。興味が吸い込まれて消えてしまうこともありそうです。
ビショップマンはそれぞれの一族の精鋭ですが、改めて全ての一族の傾向が掴めた感じが致します。
|cigarOne|¥14627/7x2=¥4180|2018/11/20|
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:13.01g|香:4.1~4.6 ave4.4|残0|
金色マントが入店されました。なんと軽やかな足取りでしょう。昨日のズシりとしたビショップマンとは大違いです。この軽さにして最高の技をお持ちなのだとか。
マントは縫目がゴツゴツしています。コイーバ一族の特徴なのだとか。黄金の一族です。
燻らせるや否や、なんと深い岩の、なんで岩が見えたのでしょう、深い巌です。足取りからは想像もつきません。茶色い豆乳のようですが、どんな豆を搾ったらこうなるのでしょう、岩が黄色にも金色にも薄ら輝いて見えもします。茶色い豆乳を固めた岩に黄色の小さな花がびっしりと咲いているのです。岩の大きさは四方2メートルぐらいです。
この豆乳は甘皮も挽き込んでいますね。
重厚な味わいにしてまろやかで心なしか軽やか、強さはありますが、この人の身体には空洞が多い。謎に満ちた空洞です。無が有限を美化するのでしょうか。それともこの無には酸素がいっぱい詰まっているのかもしれません。
コイーバさんが闘える時間は軽いぶん短いそうです。
とくべつ岩が動く事はないようですが、ちょっと岩がレモンめいたようです、花はレモンの黄色とは違いますので、オヨーさんを思い出されたのかもしれません。コーラのグラスの縁で草臥れたレモンの酸味、コーラ自体はもう微炭酸になって氷もすっかり溶けてふやけている、そういう感じです。そういうレモンと微炭酸が豆乳に投ぜられているのです。岩は御神体のようにがんと一貫して置かれています。この岩はゴツゴツとしていながら、丸い鏡面のように磨き抜かれている部分もある。ところどころ禿げた栗の渋皮煮のようです。甘味控えめの渋皮似(煮)です、一体何で煮たのでしょう。やっぱり豆乳で煮たようです。
ふと、岩の下に緑が萌します。春でしょうか。一斉に、岩に蔓延っていた花が宙に伸び始めました。萎れつつレモンの酸味も健在です。レモンが敵で、それと闘っているのかもしれません。レモンと闘う人なんて見たことがありません、レモン強そうです、もう老いぼれのレモンなのに、どうしても若々しい。コイーバさんは深く老人化したがっているのに、対する老人がレモンという溌剌たる若さなのです。おそろしい矛盾です。誰が勝つのでしょうか……。
僕はコイーバさんがレモンを追い払えるように飲み物をせっせと供給します。夢の中で飲み、眠りながら現実でも飲んでいるのですからあっぱれ軽やかです。
荒い大吟醸酒から落ち着いた赤ワインに変えますと、まるで酸っぱくない赤ワインが、酸味を我が物として酸っぱいワインに変化し、酸味を強奪したようです。そこに立ち現れる老人の深さたるや、じつに壮年期を想起させるではありませんか。若い人は若死を妄想しますけれど、老人がする壮年期の妄想はわりと現実的らしいのです。まさに今、壮年期であるにもかかわらず、老人と成り、老人として壮年期を思いながら死ぬかもしれないのです。なんという複雑な話でしょう。同級生も幾人かそういうふうに死んでいます。それにしても今日のコイーバさんを失くすのは惜しい。見事ですよ!コイーバさん!起きてください!と叫びました。
レモンは消えましたから、生死の境が大変美味しかったです。というお顔で目を覚まされて、気楽にすぐ帰っていかれました。是非また来てください。行きは軽々と、帰りは非常に小さな1センチの千鳥足です。こんなに小さな足を見たのは久しぶりです。
左が今日のビショップマンさん。右が弟のピラミデ・エクストラさんです。弟さんは大きいだけで、まだ風格がありません。
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:13.01g|香:4.1~4.6 ave4.4|残0|
金色マントが入店されました。なんと軽やかな足取りでしょう。昨日のズシりとしたビショップマンとは大違いです。この軽さにして最高の技をお持ちなのだとか。
マントは縫目がゴツゴツしています。コイーバ一族の特徴なのだとか。黄金の一族です。
燻らせるや否や、なんと深い岩の、なんで岩が見えたのでしょう、深い巌です。足取りからは想像もつきません。茶色い豆乳のようですが、どんな豆を搾ったらこうなるのでしょう、岩が黄色にも金色にも薄ら輝いて見えもします。茶色い豆乳を固めた岩に黄色の小さな花がびっしりと咲いているのです。岩の大きさは四方2メートルぐらいです。
この豆乳は甘皮も挽き込んでいますね。
重厚な味わいにしてまろやかで心なしか軽やか、強さはありますが、この人の身体には空洞が多い。謎に満ちた空洞です。無が有限を美化するのでしょうか。それともこの無には酸素がいっぱい詰まっているのかもしれません。
コイーバさんが闘える時間は軽いぶん短いそうです。
とくべつ岩が動く事はないようですが、ちょっと岩がレモンめいたようです、花はレモンの黄色とは違いますので、オヨーさんを思い出されたのかもしれません。コーラのグラスの縁で草臥れたレモンの酸味、コーラ自体はもう微炭酸になって氷もすっかり溶けてふやけている、そういう感じです。そういうレモンと微炭酸が豆乳に投ぜられているのです。岩は御神体のようにがんと一貫して置かれています。この岩はゴツゴツとしていながら、丸い鏡面のように磨き抜かれている部分もある。ところどころ禿げた栗の渋皮煮のようです。甘味控えめの渋皮似(煮)です、一体何で煮たのでしょう。やっぱり豆乳で煮たようです。
ふと、岩の下に緑が萌します。春でしょうか。一斉に、岩に蔓延っていた花が宙に伸び始めました。萎れつつレモンの酸味も健在です。レモンが敵で、それと闘っているのかもしれません。レモンと闘う人なんて見たことがありません、レモン強そうです、もう老いぼれのレモンなのに、どうしても若々しい。コイーバさんは深く老人化したがっているのに、対する老人がレモンという溌剌たる若さなのです。おそろしい矛盾です。誰が勝つのでしょうか……。
僕はコイーバさんがレモンを追い払えるように飲み物をせっせと供給します。夢の中で飲み、眠りながら現実でも飲んでいるのですからあっぱれ軽やかです。
荒い大吟醸酒から落ち着いた赤ワインに変えますと、まるで酸っぱくない赤ワインが、酸味を我が物として酸っぱいワインに変化し、酸味を強奪したようです。そこに立ち現れる老人の深さたるや、じつに壮年期を想起させるではありませんか。若い人は若死を妄想しますけれど、老人がする壮年期の妄想はわりと現実的らしいのです。まさに今、壮年期であるにもかかわらず、老人と成り、老人として壮年期を思いながら死ぬかもしれないのです。なんという複雑な話でしょう。同級生も幾人かそういうふうに死んでいます。それにしても今日のコイーバさんを失くすのは惜しい。見事ですよ!コイーバさん!起きてください!と叫びました。
レモンは消えましたから、生死の境が大変美味しかったです。というお顔で目を覚まされて、気楽にすぐ帰っていかれました。是非また来てください。行きは軽々と、帰りは非常に小さな1センチの千鳥足です。こんなに小さな足を見たのは久しぶりです。
左が今日のビショップマンさん。右が弟のピラミデ・エクストラさんです。弟さんは大きいだけで、まだ風格がありません。
|cigarOne|¥14627/7=¥2090|2018/11/20|
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:19.58g|香:3.8~4.1 ave3.9|残0|
今日のビショップマン、重重と入店されまして、みなさん体型が同じなのですけれど、筋肉密度が凄そうでした。身体が鉄で出来ているようで、床板も椅子も軋んでいました。一体どうして同じ体積なのにあんなに重い人がいるでしょうか。
やはりすぐに着火されます。僕はお客の風貌に見合う葉巻をお勧めします、「それそれ」と皆さんおっしゃいます。
薩摩芋のように甘い里芋、といいますか、花が地下の芋の味を表すとして、そのような花の香りがすると言いますか、ずいぶん旨味がどっしりとした花です。ええ、マントの模様が。視覚的にと言いますか、味覚的にと言いますか、非常に美味しそうです。副流煙に感化されました。
この人は煙を食べているのだな、とすぐにわかりました。また、この重い人にも空洞はある、ということもわかりました。体内に空洞がなかったら、ご飯も食べられませんから。ですが一見空洞に鉄が詰まっているように見えます、一見と言いますか、僕の椅子や床たちもそう言います。それがご尊顔にも現れている。おそらく、ビショップマンの中で随一の怪力でしょう。腕の太さは同じなのですが。ああ、赤い人も凄いです。ビショップマンすごいです。みんなすごい。
しかし、最初から最後までニコリとしそうでせず、ずっと同じ表情でした。まさに鉄でした。
しかし、帰り際、荒々しい海鳴りの形相を見せると、「芋掘りに出掛ける」と言って出て行きました。椅子にはなんと置き土産がありまして、まさに里芋だったのです。里芋の花も。
次はもっと筋肉密度を落としてからご来店頂きたいものです。椅子の軸が曲がりましたから。凝縮感ばかり漲って、結局何も広がらないようなヘンテコなお方でありました。無骨なのでしょう。
お客さんが居る間中ずっと、海外の通販サイトでアシュトレイ探しをしていたのですけれど、ご滞在が長く感じられました。買物に集中できました。むしろ時間を短く感じたほどなのです。
ビショップマン、本当に面白い人ばかりですよ。
なにしろ「里芋忘れた」と言って戻ってらして、すでに里芋調理してしまったんで、料理をただでお出ししたら、「辛味が足りねえ」と絶叫してしまって、辛味を追加しましたら、海辺の里芋畑が嵐にまみれてしまう幻覚だったでしょうか、七転八倒後、七転八起してまたずしずしと出て行かれたんです。わけがわかりませんが、本当に根元まで美味しげな人でした。
パルタガス一族の中からビショップマンに選ばれた優秀な方らしいのですが、一族の他の方々と何かが違うような気も致します。一族がみなあれですと良くも悪くも椅子や床にとって良くありませんから。しかし一族の血の粋を感じた気も致しました。本当の闘いを見てみたいものです。
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:19.58g|香:3.8~4.1 ave3.9|残0|
今日のビショップマン、重重と入店されまして、みなさん体型が同じなのですけれど、筋肉密度が凄そうでした。身体が鉄で出来ているようで、床板も椅子も軋んでいました。一体どうして同じ体積なのにあんなに重い人がいるでしょうか。
やはりすぐに着火されます。僕はお客の風貌に見合う葉巻をお勧めします、「それそれ」と皆さんおっしゃいます。
薩摩芋のように甘い里芋、といいますか、花が地下の芋の味を表すとして、そのような花の香りがすると言いますか、ずいぶん旨味がどっしりとした花です。ええ、マントの模様が。視覚的にと言いますか、味覚的にと言いますか、非常に美味しそうです。副流煙に感化されました。
この人は煙を食べているのだな、とすぐにわかりました。また、この重い人にも空洞はある、ということもわかりました。体内に空洞がなかったら、ご飯も食べられませんから。ですが一見空洞に鉄が詰まっているように見えます、一見と言いますか、僕の椅子や床たちもそう言います。それがご尊顔にも現れている。おそらく、ビショップマンの中で随一の怪力でしょう。腕の太さは同じなのですが。ああ、赤い人も凄いです。ビショップマンすごいです。みんなすごい。
しかし、最初から最後までニコリとしそうでせず、ずっと同じ表情でした。まさに鉄でした。
しかし、帰り際、荒々しい海鳴りの形相を見せると、「芋掘りに出掛ける」と言って出て行きました。椅子にはなんと置き土産がありまして、まさに里芋だったのです。里芋の花も。
次はもっと筋肉密度を落としてからご来店頂きたいものです。椅子の軸が曲がりましたから。凝縮感ばかり漲って、結局何も広がらないようなヘンテコなお方でありました。無骨なのでしょう。
お客さんが居る間中ずっと、海外の通販サイトでアシュトレイ探しをしていたのですけれど、ご滞在が長く感じられました。買物に集中できました。むしろ時間を短く感じたほどなのです。
ビショップマン、本当に面白い人ばかりですよ。
なにしろ「里芋忘れた」と言って戻ってらして、すでに里芋調理してしまったんで、料理をただでお出ししたら、「辛味が足りねえ」と絶叫してしまって、辛味を追加しましたら、海辺の里芋畑が嵐にまみれてしまう幻覚だったでしょうか、七転八倒後、七転八起してまたずしずしと出て行かれたんです。わけがわかりませんが、本当に根元まで美味しげな人でした。
パルタガス一族の中からビショップマンに選ばれた優秀な方らしいのですが、一族の他の方々と何かが違うような気も致します。一族がみなあれですと良くも悪くも椅子や床にとって良くありませんから。しかし一族の血の粋を感じた気も致しました。本当の闘いを見てみたいものです。
|cigarOne|¥14627/7=¥2090|2018/11/20|
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:14.67g|香:4.0~4.5 ave4.3|残0|
白粉顔なる人でした。この戦隊の方々は入店早々着火する慣わしのようです。茶色い人が茶色い葉巻を手に取ります。今日は他の戦隊員にはなかったわらしべのような懐かしいような香りが漂い、米ほどの旨味と甘み。初めから群を抜いて香り高いマントの人でした。茶色は赤色で競う者たちとは別の次元へ行っている、と昨日のレモン赤十字さんに教えられました。センターの金色の人の技に近い技の持ち主なのだとか、要するに二番目に偉いらしいのです。ああ、ふつうセンターは赤ですが、赤を四人で競いつつ、でもビショップマンの本物のセンターは金色らしいですよ。茶色のビショップマンも赤より偉いらしいです。
全然違います。ビショップマンとしての共通項も見出せません。黒い味、炭のように無臭化する、イカ墨の味がする、その上にきめ細かな白粉化粧が満遍なくふりかかっている。ほとんど白に見えますが、黒です。いきなり凄みを感じます。こうまで風格が違うものでしょうか。なんだか憧れのお方という感じで、僕は乙女のように固まってしまいました。それがどうでしょう。いきなりポロリしたのです。靴が脱げちゃって、同時に葉巻の灰も灰皿の外に落とされました。我が乙女心の緊張を察せられ、愛嬌を見せられたのかもしれません。
ポロリと和らげられた雰囲気の中、当店自慢のカスタードタルトを口一杯に頬張って、「卵の黄身が濃いようなカスタードだね」と。おお、中に仕込んだ金木犀ジュレにもお気づきです。タルトは焼色を濃く、菓子だけに樫の木を焼いたような香ばしさ。バタも使っていますが、軽くミントの葉で爽やかさを気どります。へへん。
こういう楽しい時、時間が早く過ぎてしまいます。いつの間にか遅くまで居残ってくれる、ということではなくて、帰るまでの小1時間か大1時間が早すぎるのです。ビショップの茶色のモンテさんは朽ち果てます、靴だけではありませんでした。下から、脛、腿ももう消えていました。もう臀部もです。夢で闘う戦隊は、夢を見ぬ人にも夢を見せるのでしょうか?
盛んな金木犀と一緒に菊花が香ります。残り香は金木犀を残して菊を消し、白粉を漂わせます。何より、先日の御二方とは花の量が圧倒的に違います。金木犀、周囲1キロどころか、僕が花の元にいるような。
大吟醸酒をお出ししましたら、パイナップルの吐息が金木犀に絡まります。にこっと、最後の笑み? まだ肩までは消えていません。ですが僕はもう少し悲しくなっております。時計を見ると、3時26分だったのを鮮明に憶えています。もう首が消えかかって、菊が強まる気が致しました。
振り絞るのか、モンテさんは相変わらず穏やかな花顔でした。うちに秘めた強さをも感じさせず、それこそ穏やかな。
白粉のお顔の下地のイカ墨が現れてきます。それでも金木犀の。
夢を見せる間に退店なさったのでしょう、靴も消えていましたから。
葉巻が灰皿に3センチほどの尻尾として燃え残っていました。それは依然イカ墨と金木犀に見えました。
|LGR NOV 17|6.1" x 52|重量:14.67g|香:4.0~4.5 ave4.3|残0|
白粉顔なる人でした。この戦隊の方々は入店早々着火する慣わしのようです。茶色い人が茶色い葉巻を手に取ります。今日は他の戦隊員にはなかったわらしべのような懐かしいような香りが漂い、米ほどの旨味と甘み。初めから群を抜いて香り高いマントの人でした。茶色は赤色で競う者たちとは別の次元へ行っている、と昨日のレモン赤十字さんに教えられました。センターの金色の人の技に近い技の持ち主なのだとか、要するに二番目に偉いらしいのです。ああ、ふつうセンターは赤ですが、赤を四人で競いつつ、でもビショップマンの本物のセンターは金色らしいですよ。茶色のビショップマンも赤より偉いらしいです。
全然違います。ビショップマンとしての共通項も見出せません。黒い味、炭のように無臭化する、イカ墨の味がする、その上にきめ細かな白粉化粧が満遍なくふりかかっている。ほとんど白に見えますが、黒です。いきなり凄みを感じます。こうまで風格が違うものでしょうか。なんだか憧れのお方という感じで、僕は乙女のように固まってしまいました。それがどうでしょう。いきなりポロリしたのです。靴が脱げちゃって、同時に葉巻の灰も灰皿の外に落とされました。我が乙女心の緊張を察せられ、愛嬌を見せられたのかもしれません。
ポロリと和らげられた雰囲気の中、当店自慢のカスタードタルトを口一杯に頬張って、「卵の黄身が濃いようなカスタードだね」と。おお、中に仕込んだ金木犀ジュレにもお気づきです。タルトは焼色を濃く、菓子だけに樫の木を焼いたような香ばしさ。バタも使っていますが、軽くミントの葉で爽やかさを気どります。へへん。
こういう楽しい時、時間が早く過ぎてしまいます。いつの間にか遅くまで居残ってくれる、ということではなくて、帰るまでの小1時間か大1時間が早すぎるのです。ビショップの茶色のモンテさんは朽ち果てます、靴だけではありませんでした。下から、脛、腿ももう消えていました。もう臀部もです。夢で闘う戦隊は、夢を見ぬ人にも夢を見せるのでしょうか?
盛んな金木犀と一緒に菊花が香ります。残り香は金木犀を残して菊を消し、白粉を漂わせます。何より、先日の御二方とは花の量が圧倒的に違います。金木犀、周囲1キロどころか、僕が花の元にいるような。
大吟醸酒をお出ししましたら、パイナップルの吐息が金木犀に絡まります。にこっと、最後の笑み? まだ肩までは消えていません。ですが僕はもう少し悲しくなっております。時計を見ると、3時26分だったのを鮮明に憶えています。もう首が消えかかって、菊が強まる気が致しました。
振り絞るのか、モンテさんは相変わらず穏やかな花顔でした。うちに秘めた強さをも感じさせず、それこそ穏やかな。
白粉のお顔の下地のイカ墨が現れてきます。それでも金木犀の。
夢を見せる間に退店なさったのでしょう、靴も消えていましたから。
葉巻が灰皿に3センチほどの尻尾として燃え残っていました。それは依然イカ墨と金木犀に見えました。
銘
囹
月