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  源氏物語「葉」
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|cigarOne|$202/12|arr 2011/1/24|
|PUB OCT 07|6.4 x 42|13.03g|香:3.7~4.2 ave4.0|残1|

 前回()から四年以上経っている。
 トリニダッド全体を白米に見立てると、インへニオスはお焦げの部分に相当する。香ばしさの中に焦げきらない瑞々しさを蓄えている。おしなべてEL物は「水っぽい」と思っている(何度もそう書き続けている)のだが、此処では今やそれが熟成の円やかさと妙に調和して、「単なる優しさ」として現れるようである。透明だった水が柔和な薄茶色を帯びたような。味わいはまさに米粒の旨味を覘くようで薄いながら逞しく、吟醸酒となる芯の部分に木犀などの花が咲いている。
 優しさに荏苒と弛まず、剥いだ籾殻がお焦げに混じってコイーバのエスキシトス並に香るのが面白い。コイーバに居る栗が居ないから、白米との対比で面白い。
 十二年というのは枯れ感を出す年月ではないらしい。至って溌剌として、人間で言えば24歳ぐらい、壮年期、ようやく吸い頃を迎えたという感じがする。
 籾殻やナッツ殻の荒々しさ、無味(かつての無味)を思わせる独特の滑らかさ、かつて同様にこの二つが同時に来るが、荒さはより猛り、滑らかさは水ならず優しい旨味を乗せている。猛るにも、美味しげな香ばしさが猛るのが良い。

 特別おすすめできる物ではなくて(どんどん消費したくなるような美味しい物ではなくて)、ベテランが気長に放っておいて、存在をすっかり忘れた頃に見つけて変化を楽しむ類の、そういう面では極めて面白い逸品であるかもしれない。と、今日気付く。購入当初は損をした気分だったが。こいつのお陰で、今日をもってベテランの仲間入りを果たした、といえなくなくなくなくない。
 あるいは今こそ初心者も皆でシングル買いすべき葉巻である。

 中盤からとても美味しいココナッツミルクが芯の金木犀の養分となる。このミルクめいた芳醇の極みは長くはつづかず、またともすると静かに揺れる水面を思わせる滑らかさを得る。なんかやっぱり奥義を極めた老人みたいだな。時には若者より華やかに装い、乳房すら湛え、顔面、皺の刻が深い。その心知られずとも、いずれにしても変人である。

 終盤、水が騒ぎ、焦げを突く。そのような音の味わいになる。

 ELの向かう先はERの明後日を向いている。元々の香味の特質もメジャーブランドとマイナーブランドで違いがあるので、推し進める方位も元々の香味に左右されてしまうのか。ELはラッパーをダーク化する傾きで、水を得た荒さがときに美しく際立つ、谷底には水。濃いのか薄いのかよくわからない感覚。旨味の欠如とも言えるかもしれない。濃くとも白米程度の旨みになる。ERは逆に明るくぼやけて元々のごつごつした荒野感を細やかに均した平面に多様な水彩画が描かれる、たぶん。
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