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  源氏物語「葉」
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|PUB OCT 07|6.4 x 42|cigarOne|$202/12|重量:0(11.19g)|算出:+3|香味:+3|

 前回8本目と書いているが、頭がおかしかったらしく、今回が8本目だった。前回から2年半以上経過している。何故かこの葉巻の存在を忘れていたのである。存在を忘れさせるような、異様な存在感の葉巻なのである。

 ラッパーはハバナにしてはマデューロ寄りの斑で、葉脈に沿って緑掛っている。忘れていて箱を開け閉てしなかったからか、匂いは保たれている。嚔が出る。

 物凄く葉巻の味わいが濃い。初心に戻されたかのように、いかにも葉巻を吸っているという心地がする。煙は柔らかく軽く……ますます柔らかく軽く、トリニダッド特有の滑らかな煙に、葉巻豆の香ばしさがつづく。柔らかさにバニラがほっそりロンズデール状に膨らみ、菊のような草が少々。甘味も少々。
 草や甘味が消失する。なるほど、これだ、芯に味がない、初日と同じ、五味の消失、香りだけの葉巻となる。消失とともに金木犀が吹き出す。
 不安定な金木犀。
 粘土、黴の風味。複雑怪奇である。
 白いようで黄色い麝香鹿の小水の雲。
 〜後半、味が安定する。薄くもバランスよく、甘味も微かながらに復し、依然葉巻豆が香ばしい。今度は甘味が消えずに、金木犀が芬芬と重なる。
 ただでさえ特別なトリニダッドに更に特別感を出そうとして変テコになったものだろう。滑らかさ軽やかさはいかにもトリニダッドだし、一方香りの濃さは桁外れで……終には脳髄に香の剣山が刺さる。
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