忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

|5" x 50|seriouscigars|$10.95|重量:0(12.10g)|算出:+2|香味:+2|

 微かにラタキアめいた噎せ返るような香に始まる。すぐさま辛味と甘味が同時に来る。フルボディである。火種が整うまでは荒そうである。ラタキアではなく、花でもなく、黴でもなく、花黴のようなものが香っている。それが段々松茸に纏まってくるようである。微かにビオフェルミンの旨味。ラムネのラムネ(飲物ではなくそれを模した菓子の方)のような爽やかな香がごく僅かに混じる。それから急に焦げのような太い苦味が来る。そこにコクが乗っている。かと思えば優しいコクに早変わりする。色々変わってまだ5ミリ。
 深いカカオのコクがあり、何に似ているかといえばやはり先日のパディラに似ているのだが、こちらの方がダビドフの松茸等、他の銘柄への接近を感じる為に独特さが薄らいでいる。と思うのも束の間で、この葉巻は変化が激しい。変化というより、落ち着きが無くずっと震えているような印象である。落ち着きが出てきても震えの中での落ち着きにすぎない。
 そしてやはりラタキアのような悪臭が微かに来る事がある。これはラムネ菓子と紙一重で不味い。ラムネとラタキアの両者には共通の要素があるらしいのである。思えばソーダ味のガムなどを噛んでラタキアに似た嫌な感じを受ける事が度々だった。私はラタキアが大嫌いなのだが、昔からソーダ味のガムや飴も大嫌いである。ほんの微かなラタキアでも敏感に嫌で、今思えば幼少の頃のあれらは総じてラタキアの不味さだった。正露丸などは好きだが、ラタキアの悪臭は正露丸ではなく、古人形のようなものである。ラタキアは着火前は確かに正露丸であり、つまり着火さえしなければいい匂いなのだが、着火すると腐った家に住んでいるような気がしてしまう。それにしても、ラタキア紙一重でラムネ菓子のほうに落ち着くとこの葉巻は不味くなく美味しい。
 二度目の灰が整う頃になると全体的に軽やかになり金木犀が匂い立つようだ。小刻みな震えも無くなる。そのかわり、色々な味までもが消え、多少味気なくなる。あんまり味が綺麗になるので、不味い大吟醸酒のようにかえってエグミが目立ってしまいもする。しかしどんどん花花しくなり、雑味も消えていく。何らかのコクが強まったのかもしれない。するとまたラタキアが出たりするのである。
 ラタキアが嫌いな人には勧められないが、ラタキアが好きな人に勧められるほどラタキアが濃いのでもない。
 金木犀の咲く頃は美味しかったが、以降、なよなよと終わる。なよなよとしたフルボディである。
PR
|5" x 50|seriouscigars|$11.00|重量:0(17.57g)|算出:+4|香味:+3|

 フルニカラグア。
 白みを帯びた焦茶色の、斑などもない乾いた感じのラッパーが美しい。巻きも綺麗。フィラーには色々な色の葉が混ざっている。
 ロブストで17.57gはスクエアプレスにしても度を超していると思うのだが、むっちりした吸い込みで悪くはない。
 火が点き難いので吸いながら点けると、着火途中で既に甘味を感じる。(この甘味は次第に弱まっていった)
 一口で明らかな高品質で、葉にシルク感がある。強い物だと思ってびびっていたが。
 チョコ風の深い焦茶色のコクに沈んでゆくらしい。ハバナの土壌はまったく感じない。それとは別の葉の種類の時々刻々と濃淡のみを変えるコクに、時々新緑が芽生える。
 このコクに此処一ヶ月で似た物を思い出すとしたらBHK56である。岩や瑪瑙という感覚ではないが、バランスが似ている。
 吸い進めると巻きのキツさが露になってくる。吸っても吸っても進まないし。
 無理矢理葉脈を一本抜いたら金木犀と雑味が出た。
 雑味が落ち着くとコクのような深い苦味に金木犀が加わり、さらにしばらくするとバニラが出てくる。バニラはすぐ消える。
 全体的に特に大きな変化はない。序盤の深い粉のようなコクが好きならずっと好きだと思う。ハバナではパルタガス898にも似ているかもしれない。
 色々面倒もあったが、期待値というか、+3以下にはならない物のよう。
|5 × 50|AtlanticCigar|$6.99|0|+1|

 黒い葉と茶色い葉がぎっちりと詰っている。手触りも堅いのに、吸い込みはスカスカといいたくなるぐらい軽い。着火前は佃煮に似た味がする。
 主調は木だが、優しさはなく黒檀を思わせるほどボディが強い。香味も何か一本の巨木という感じで無愛想に纏まっている。複雑さも柔らかさも無く、甘さも旨味も無い。純朴に一本の木が魅力らしい。だから花も怪しげに咲くのである。木のみの風味は稀に鮮度を新たにし、芽が息吹きはしないが、分厚い樹皮のいかめしさの内ではまだこの植物が生きているのだなとわかる。
 評判は納得できなくないが私には強すぎた。鼻で吹かすのもつらい。
 強すぎたといって終わりにしたいのだが、ここでまだ中盤に入ったばかり。しかも少し美味しいのである。気をつけて吸わない方が美味しいが、気をつけて吸えばなんとかなる。古木にオレンジ色の花のような色がつぶらに見える。
 一時酸味が出たが、その酸味が転化したように黄色い旨味が強くなった。木が土中の養分を吸い上げているようでもある。ここで清酒を呑み始めたからかもしれない。清酒が葉巻を美味しくはしても葉巻が清酒を美味しくはしていない。
 少しスパイシーになるのも樹皮が粉を吹きつつ自然に剥がれ落ちるみたいで面白い。
 厳めしさは終盤に入ると少しずつ和らいできていたのがわかる。こういうものは突然わかるのであって徐々にわかるのではない。突然風邪をひくのと同じ事である。その調子で、樹皮が悉く剥げていずれ丸裸になるのだろうか。私としてはなんだか嬉しいが、木としては格好悪い。
 最後には知らぬ間に裸すら消え、夢の跡のように、巨木が立っていたはずの足下に香りのない花弁だけが散っている。味気なく、そこが森の中だということは薄らとわかるが、α波のようなものはまるで出ていない。それなのに落ちているのにまだ金木犀のようなものが漂っているのであって、寝惚けているのである。
 正直、+1と+2との差が私自身いまいちわからないが、厳しさに肖って+1にした。

-----
 二〜五本目はまったく味が違う。着火前はだだちゃ豆のような香りだし、着火後は香水のようなシャンプーのような(モンテのオープンシリーズでも感じられた)香りが豊富にする。香りは口にすると甘くないが、味はけっこう甘く、香りが甘いようにもなる。何を言っているのかよくわかっていない。強かったと思ったが、二本目以降はいずれもライトミディアムという感じになっている。一本目の時には頭がおかしくなっていたのかもしれない。
 一本目は到着日に消費したので味が違ったのかもしれない。悪くはなくむしろ良いぐらいだったが。でも三ヶ月後に消費した五本目が一番甘くて美味しかった。


忍者ブログ [PR]