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|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.43g)|算出:+5|香味:+4|
水に潜ったかのように鼻がつんとした。すると塩素臭とともにあるかのように一気に懐かしい感覚が蘇ってくる。葉の味が太い葉巻である。もっと軟弱と思っていたが、硬く引き締まって、すぐにお菓子の甘さが潜み始める。つんとした部分には日焼けの肌のような色合いがある。
しかし次第にいつもの軽々しい木質が浮き始める。と思った途端に木から金木犀である。たいてい金木犀は木から咲く。と思った途端にスパイスを伴う濃い葉が復帰し木を塗り潰そうとする恰好になる。新緑として枯葉が生える様。ここで潜っていたお菓子が浮上し、金木犀にカスタードが塗られる。
ハバナでは非常に珍しく、ダビドフのプーロドーロに少なからず似ているような。ハバナで一番スパイスを感じさせてくれる銘柄はパンチではあるけれど、これほどまでスパイスがピリピリとしたパンチも珍しい。冒頭の日焼けの肌のような、唐辛子に近いような熱い胡椒である。
(滅多に「胡椒」という比喩は用いていないはず、と思って検索してみるとなんと他ならぬパンチでは一度も「胡椒」と書いていない不思議。不思議というか何かの間違いだろう。今、全ての過去を訂正して、昔からパンチが一番胡椒っぽいと思います。きっといつもパンチ=クリーニング屋に気をとられてしまうのだろう。このクリーニング屋にしても、振り返って検索してみると他の銘柄に対してもしばしば使用しており、パンチの特色とは思えないような仕様になっている。今、全ての過去を訂正して、パンチが一番クリーニング屋っぽいと思います。もっと精妙に銘柄別に言葉を選べないものだったか、しかしそんな言葉に落ち着いていられるケムリの幻惑であろうか。尤もこれは胡椒なのであるし、ワインなら「シャブリ=石灰質の土壌」云々といえるところ、葉巻の葉が土壌まで調べられた形跡は知る限りない。なのにパンチはパンチの味がする。一体どうやってパンチをパンチの味にしているのか、誰か知っているのだろうか。「農場」云々という話を聞くのもべガス・ロバイナとベゲロスだけである。いったい、パンチは誰で、ロメオは何処なのだろう。これは幽霊の地縛霊なのだろうか。)
私はロメオとはぐれたジュリエット女史であります。にもかかわらずパンチ男爵なのであります。迷ったパンチ男爵はジュリエット女史を兎に角理不尽に殴った、自分で自分を殴ったのであります。男爵には土地が無いのであり、さまよえる達人なのです。ハバナには土壌などという偉そうな物はありません、西洋に侵蝕された南米全域がそうですが、文豪フエンテスのようにメキシコに回帰する事も無いのです。まったく、土地が土地ではないのです。魚沼を失ったかのような米、米は米、葉巻とはそういうタコス一本のようなものなのであります。強いていえば酢蛸といっても別段強いられたことになる物でもありません。百歩の百分の一である一歩譲ってまあ酢蛸でも良いでしょう。酢蛸に関しては正しい、しかし間違えました。魚沼の米を食べて魚沼の米と指摘するのはパンチをパンチと指摘するよりも難しい。わかることばかりです! わかりたくないことばかり! しかしパンチの土地が何処なのかはやはりわからないのです! 何を書いているかおわかりですか、これは文学とケムリの戦争なのですよ。だから駄目なのです。
それにしても念仏を忘れて初心に返るほどスパイスが美味しい。初めてパンチを吸ってみた時に期待した味わいが此処に実現している気がする。木が戻ると金木犀が再度咲き、木に因り軽くなっても、スパイスだけは段々強くなる。花が溢れカスタードの甘ったるさが再度乗ってもスパイスの効果でスーパードライを維持する。金木犀も凄い。木が基調らしいのに、いずれも軽々しい木を塗り潰してくれる。
こういうスパイシーな物は珈琲に合う。深煎りを濃く淹れた甘露っぽい珈琲に。
ただ絶顚も八合目で寝泊まりする。
水に潜ったかのように鼻がつんとした。すると塩素臭とともにあるかのように一気に懐かしい感覚が蘇ってくる。葉の味が太い葉巻である。もっと軟弱と思っていたが、硬く引き締まって、すぐにお菓子の甘さが潜み始める。つんとした部分には日焼けの肌のような色合いがある。
しかし次第にいつもの軽々しい木質が浮き始める。と思った途端に木から金木犀である。たいてい金木犀は木から咲く。と思った途端にスパイスを伴う濃い葉が復帰し木を塗り潰そうとする恰好になる。新緑として枯葉が生える様。ここで潜っていたお菓子が浮上し、金木犀にカスタードが塗られる。
ハバナでは非常に珍しく、ダビドフのプーロドーロに少なからず似ているような。ハバナで一番スパイスを感じさせてくれる銘柄はパンチではあるけれど、これほどまでスパイスがピリピリとしたパンチも珍しい。冒頭の日焼けの肌のような、唐辛子に近いような熱い胡椒である。
(滅多に「胡椒」という比喩は用いていないはず、と思って検索してみるとなんと他ならぬパンチでは一度も「胡椒」と書いていない不思議。不思議というか何かの間違いだろう。今、全ての過去を訂正して、昔からパンチが一番胡椒っぽいと思います。きっといつもパンチ=クリーニング屋に気をとられてしまうのだろう。このクリーニング屋にしても、振り返って検索してみると他の銘柄に対してもしばしば使用しており、パンチの特色とは思えないような仕様になっている。今、全ての過去を訂正して、パンチが一番クリーニング屋っぽいと思います。もっと精妙に銘柄別に言葉を選べないものだったか、しかしそんな言葉に落ち着いていられるケムリの幻惑であろうか。尤もこれは胡椒なのであるし、ワインなら「シャブリ=石灰質の土壌」云々といえるところ、葉巻の葉が土壌まで調べられた形跡は知る限りない。なのにパンチはパンチの味がする。一体どうやってパンチをパンチの味にしているのか、誰か知っているのだろうか。「農場」云々という話を聞くのもべガス・ロバイナとベゲロスだけである。いったい、パンチは誰で、ロメオは何処なのだろう。これは幽霊の地縛霊なのだろうか。)
私はロメオとはぐれたジュリエット女史であります。にもかかわらずパンチ男爵なのであります。迷ったパンチ男爵はジュリエット女史を兎に角理不尽に殴った、自分で自分を殴ったのであります。男爵には土地が無いのであり、さまよえる達人なのです。ハバナには土壌などという偉そうな物はありません、西洋に侵蝕された南米全域がそうですが、文豪フエンテスのようにメキシコに回帰する事も無いのです。まったく、土地が土地ではないのです。魚沼を失ったかのような米、米は米、葉巻とはそういうタコス一本のようなものなのであります。強いていえば酢蛸といっても別段強いられたことになる物でもありません。百歩の百分の一である一歩譲ってまあ酢蛸でも良いでしょう。酢蛸に関しては正しい、しかし間違えました。魚沼の米を食べて魚沼の米と指摘するのはパンチをパンチと指摘するよりも難しい。わかることばかりです! わかりたくないことばかり! しかしパンチの土地が何処なのかはやはりわからないのです! 何を書いているかおわかりですか、これは文学とケムリの戦争なのですよ。だから駄目なのです。
それにしても念仏を忘れて初心に返るほどスパイスが美味しい。初めてパンチを吸ってみた時に期待した味わいが此処に実現している気がする。木が戻ると金木犀が再度咲き、木に因り軽くなっても、スパイスだけは段々強くなる。花が溢れカスタードの甘ったるさが再度乗ってもスパイスの効果でスーパードライを維持する。金木犀も凄い。木が基調らしいのに、いずれも軽々しい木を塗り潰してくれる。
こういうスパイシーな物は珈琲に合う。深煎りを濃く淹れた甘露っぽい珈琲に。
ただ絶顚も八合目で寝泊まりする。
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|SAR MAR 12|5 1/2 x 54|cigarOne|$76/5|重量:+1(16.39g)|算出:+5|香味:+4|
一口目、懐かしいような香草の香が吹き、二口目から滑らかな土のコクを伴う。忘れてしまった遠い記憶のように美味しいのに、実は記憶に無い筈のそれであり、ありそうでなかった味わいなのかもしれない。
久しぶりに「うんめぇ」という口語ではけっして発さぬ心の声が出た。
香草といってもこれだけが微妙に違う香草で、土というのもこれだけが微妙に違う土、要するにポミタリン草とヒポコリン土の味わい。
「ハバナ感」でもない。ともするとフィリピン産の特級品かとも思えてしまう。フィリピン人はキューバ人よりもおおらかあるね。という声が聞こえる。中国製の偽物のような話だが、これは正真正銘の本物すぎる。緻密さを宿した大らかさ。コイーバに換えればBHK感のあるパルタガスというほどの当り感もさることながら、当らぬまでも基本の香味が凄い。しかもそれが当っている。
まだ1センチ。変化に欠点はなく、ポミリタン草の先から緑色の種がヒンポコリ土に落ち、落ちた瞬間に花が開く、落ちた線香花火を見るような、不思議な急峻のある緑色の種である。花は鼻の奥からじわっと咲くのに、ブワッと咲くようでもあり、ふわっと咲くようでもある。その永久草土に咲く那由他の花は散っても草土と密接である。
強さとともに甘さが出てくる。本来小さいサトウキビの巨木から熟れたミニパパイヤがマンゴーの中身を伴って、実ったり落ちたりするのではなく、樹液のように滲み出している。ヒポコンリ土はサトキウビ木とンポコヒリ土の中間の木(金)土になる。と思えばわんさかと落ちてくる、香木の味の薫るマンゴーが、高木から華やかに。隠れる間もなく隠れ、草は極度に背の低いタンミポリ草となって密やかに生えている。なんとこの間、金木犀は咲いていない。土の強さの所為か、花よりも果肉が匂う。つい最近まで金曜日だった。今日は土曜日で、つい最近まで昨日は木曜日だった。金曜日はない。
序盤は完全なる+5である。
果たしてウキトサビ木とタンリミポ草とポヒコンリ土は最高級のウビキサト木とタポリミン草とヒンコポリ土にまで至るのであろうか。突然全体が味わい深い濃密な軽さから発泡スチロールのようなただの軽さと荒い重さに走り出してしまう。しかし美味なる物の名残は愛情の消えた背中のように残している。背中はそれ見目麗しく、基本的な美味しさまでは消せないようである。
それからピスタチオの緑色の雑味のみを凝縮させて復活しつつある。それにしてもミポンタリ草はどの角度から見て背中が見えるのであろう。突然ンポンポン草でも生えないだろうか。もっともンポンポン草というのは突然生えるものではなく、吃逆のように定期的且つ予測不能で、ン(不味い)だったりポ(惚れた)だったりする媚薬である。草には草としての限界がある。ポンポンポ花がいまやこれにはちょっと足りないのではないだろうか。こうしておもしろい話のようなつまらない話が続く。……
……むしろ最高の+5を超える+6を付けずにいられた事にほっとしている。序盤が更に好調子で膨らんだら、おしっこを漏らしてでも葉巻を吸い続けただろう。トイレが禁煙だとして。それがなんと、リポンミタ草をタリポミン草だのと言っていた微妙な変化が、ンポンポ程度の物に終ってしまったのである。タンリミポ草とポヒコンリ土をタンリミポ土とポヒコンリ草と言い換える準備までしていたというのに。もっとも準備が悪かった。もっと落ち着く5文字を抽出すべきだった。
凄まじい可能性を秘めた葉巻だとしても、おそらく五百本に一本の無欠のアタリがあるかないかだろう。
この程度の葉巻では何も得られるものはない。それで良いのだろう、それ以上であっては如何に選ばれた5文字でもついていけない。大体コンピューターというのは□は変換できても五角は変換できないのである。
五本終了。
一口目、懐かしいような香草の香が吹き、二口目から滑らかな土のコクを伴う。忘れてしまった遠い記憶のように美味しいのに、実は記憶に無い筈のそれであり、ありそうでなかった味わいなのかもしれない。
久しぶりに「うんめぇ」という口語ではけっして発さぬ心の声が出た。
香草といってもこれだけが微妙に違う香草で、土というのもこれだけが微妙に違う土、要するにポミタリン草とヒポコリン土の味わい。
「ハバナ感」でもない。ともするとフィリピン産の特級品かとも思えてしまう。フィリピン人はキューバ人よりもおおらかあるね。という声が聞こえる。中国製の偽物のような話だが、これは正真正銘の本物すぎる。緻密さを宿した大らかさ。コイーバに換えればBHK感のあるパルタガスというほどの当り感もさることながら、当らぬまでも基本の香味が凄い。しかもそれが当っている。
まだ1センチ。変化に欠点はなく、ポミリタン草の先から緑色の種がヒンポコリ土に落ち、落ちた瞬間に花が開く、落ちた線香花火を見るような、不思議な急峻のある緑色の種である。花は鼻の奥からじわっと咲くのに、ブワッと咲くようでもあり、ふわっと咲くようでもある。その永久草土に咲く那由他の花は散っても草土と密接である。
強さとともに甘さが出てくる。本来小さいサトウキビの巨木から熟れたミニパパイヤがマンゴーの中身を伴って、実ったり落ちたりするのではなく、樹液のように滲み出している。ヒポコンリ土はサトキウビ木とンポコヒリ土の中間の木(金)土になる。と思えばわんさかと落ちてくる、香木の味の薫るマンゴーが、高木から華やかに。隠れる間もなく隠れ、草は極度に背の低いタンミポリ草となって密やかに生えている。なんとこの間、金木犀は咲いていない。土の強さの所為か、花よりも果肉が匂う。つい最近まで金曜日だった。今日は土曜日で、つい最近まで昨日は木曜日だった。金曜日はない。
序盤は完全なる+5である。
果たしてウキトサビ木とタンリミポ草とポヒコンリ土は最高級のウビキサト木とタポリミン草とヒンコポリ土にまで至るのであろうか。突然全体が味わい深い濃密な軽さから発泡スチロールのようなただの軽さと荒い重さに走り出してしまう。しかし美味なる物の名残は愛情の消えた背中のように残している。背中はそれ見目麗しく、基本的な美味しさまでは消せないようである。
それからピスタチオの緑色の雑味のみを凝縮させて復活しつつある。それにしてもミポンタリ草はどの角度から見て背中が見えるのであろう。突然ンポンポン草でも生えないだろうか。もっともンポンポン草というのは突然生えるものではなく、吃逆のように定期的且つ予測不能で、ン(不味い)だったりポ(惚れた)だったりする媚薬である。草には草としての限界がある。ポンポンポ花がいまやこれにはちょっと足りないのではないだろうか。こうしておもしろい話のようなつまらない話が続く。……
……むしろ最高の+5を超える+6を付けずにいられた事にほっとしている。序盤が更に好調子で膨らんだら、おしっこを漏らしてでも葉巻を吸い続けただろう。トイレが禁煙だとして。それがなんと、リポンミタ草をタリポミン草だのと言っていた微妙な変化が、ンポンポ程度の物に終ってしまったのである。タンリミポ草とポヒコンリ土をタンリミポ土とポヒコンリ草と言い換える準備までしていたというのに。もっとも準備が悪かった。もっと落ち着く5文字を抽出すべきだった。
凄まじい可能性を秘めた葉巻だとしても、おそらく五百本に一本の無欠のアタリがあるかないかだろう。
この程度の葉巻では何も得られるものはない。それで良いのだろう、それ以上であっては如何に選ばれた5文字でもついていけない。大体コンピューターというのは□は変換できても五角は変換できないのである。
五本終了。
夏の葉巻はどうも美味しくない。海の潮風に合う葉巻は何かな、と折角思っていたって、海に行ってみると美味しくない物は美味しくない。こういう時はクラブシガリロが良い。というのも毎年夏に庭園美術館を訪れるのだが(最近改装で数年閉鎖中)、その庭園で薫らせたモンテクリストクラブの味が忘れられないのである。夏にクラブがハズレた記憶がない。
ダビドフ・プーロドーロ・ゴルディトスというヒガンテの子分のような物が出ている。フットのみの金バンドのプーロドーロと違い、ヒガンテと同じダブル金ラベルのよう。季節柄ゴルディトスに花火の濃さと儚さを思う。火薬の風味も加えてほしい。
葉巻ブログは二、三年で停滞してしまうのがほとんどで、そこにこそ葉巻の秘密が暗に書かれている、という事はないだろうか。またベテランがベテランとして書き始める葉巻ブログは見た事がない。此処も正念場をむかえたのだな。
|ZTV MAY 05|5.6 x 46|coh-hk|$121.50/15|重量:--(--g)|算出:+4|香味:+3|
13本目。
それぞれ色の違う残三本から、赤くもなく、黒くもない、薄い色のものを選ぶ。何故か着火前の香が官能の域に達している。着火すると漢方を仄かに感じる見事な熟成葉の香ばしさで、二口目ですぐに花、間もなく甘味のカスタードも乗ってくる。熟成云々は陰に回り、変化してもハバナ葉特有の香ばしさが突出して衰えない。甘さもアップマンの杉の効果がある所為か煩くない。むしろアップマンは杉嫌いが嫌厭する銘柄だが、杉も煩くない絶妙なバランスで、嫌いかもしれない要素さえ美味しく感じる。穏やかだが濃くて強い。マグナム46はどんなに柔らかくても濃いタイプの葉巻のようである。大当たり。
後半辛味苦味雑味のシケモク味に強大な酸味を加えて一気に衰える。前半+4点、後半+1点。
13本目。
それぞれ色の違う残三本から、赤くもなく、黒くもない、薄い色のものを選ぶ。何故か着火前の香が官能の域に達している。着火すると漢方を仄かに感じる見事な熟成葉の香ばしさで、二口目ですぐに花、間もなく甘味のカスタードも乗ってくる。熟成云々は陰に回り、変化してもハバナ葉特有の香ばしさが突出して衰えない。甘さもアップマンの杉の効果がある所為か煩くない。むしろアップマンは杉嫌いが嫌厭する銘柄だが、杉も煩くない絶妙なバランスで、嫌いかもしれない要素さえ美味しく感じる。穏やかだが濃くて強い。マグナム46はどんなに柔らかくても濃いタイプの葉巻のようである。大当たり。
後半辛味苦味雑味のシケモク味に強大な酸味を加えて一気に衰える。前半+4点、後半+1点。
|MGA NOV 10|4 x 48|puro-express|€97.50/12|重量:10.81g|算出:+6|香味:+4|
出だし好調。澄んだ空に、しっかりとした褐色の葉の味がする。この澄んだ空がいずれリミターダ特有の味の水っぽさに変わり、葉の味わいは良くも悪くも変化の妙味に塗り潰されていくと思うのである。
コレージ・ビッラ・トリプロ・マルトという高額ビール(兎に角泡が多くて吃驚)を呑んでいるのだが、互いに影響しない平行関係を構築している。これは只管葉巻に雑味がないという事かもしれない。
水の所為でこってりとしそうなカスタードが淡いものに感じられる。実際に冒頭の自然香はなくなり、自然な葉っぱなのにカスタードや花が薫っているという驚きに変わる。だが私は驚かず、冒頭が好き。
やはり水のリミターダが+5に届く事はなさそうである。レギュラー品なら届きえても。しかし不味いという事もほぼ絶対にない。
リミターダの特徴を「水」と言い切る人はベニスでこれを薫らせる場面を想像すると良さそう。水ばかりの都ゆえ、消えたはずの土属の風味も対照的に際やかになりそう。まったく硝子細工のような葉巻。……ここで終ればよいのだが、恥ずかしながらそうはならず。美しい言葉を用いればアックア・アルタが起こるのである。だが水の引きは思いのほか早く、作曲家マリピエロによる弦使いの壊れやすい綾に似た霧がオーケストラのように立ち籠める。ちょうどシロッコ(風)のようなシロップの甘味が水に薄まって吹いていた。するとどことなくアイスティーに似た。飲物を麦酒から冷たい冷酒に変えたからかもしれない。矢継ぎ早。
冷酒のパイナップル香と混ざってか、霧の中なのに花がけざやかに香る。飲物を変えると同時に葉巻が終盤に入ったのだろう。実に区切りある葉巻である。後はベニスに死すのみ。
死にそうでなかなか死なず、ますます生き生きとしたりする。呑気な砂浜の香さえ漂う。みながはしゃいでいる砂浜で孤独な者は一人死ぬのである。
ベニス(及びトーマス・マン『ベニスに死す』)を思いついたからか、これは+5に限りなく近づいた。この世にベニスがなければこの葉巻はどうなってしまうのだろう。死んだつもりが杉の助け舟がぽっかり浮かぶのだろうか。
出だし好調。澄んだ空に、しっかりとした褐色の葉の味がする。この澄んだ空がいずれリミターダ特有の味の水っぽさに変わり、葉の味わいは良くも悪くも変化の妙味に塗り潰されていくと思うのである。
コレージ・ビッラ・トリプロ・マルトという高額ビール(兎に角泡が多くて吃驚)を呑んでいるのだが、互いに影響しない平行関係を構築している。これは只管葉巻に雑味がないという事かもしれない。
水の所為でこってりとしそうなカスタードが淡いものに感じられる。実際に冒頭の自然香はなくなり、自然な葉っぱなのにカスタードや花が薫っているという驚きに変わる。だが私は驚かず、冒頭が好き。
やはり水のリミターダが+5に届く事はなさそうである。レギュラー品なら届きえても。しかし不味いという事もほぼ絶対にない。
リミターダの特徴を「水」と言い切る人はベニスでこれを薫らせる場面を想像すると良さそう。水ばかりの都ゆえ、消えたはずの土属の風味も対照的に際やかになりそう。まったく硝子細工のような葉巻。……ここで終ればよいのだが、恥ずかしながらそうはならず。美しい言葉を用いればアックア・アルタが起こるのである。だが水の引きは思いのほか早く、作曲家マリピエロによる弦使いの壊れやすい綾に似た霧がオーケストラのように立ち籠める。ちょうどシロッコ(風)のようなシロップの甘味が水に薄まって吹いていた。するとどことなくアイスティーに似た。飲物を麦酒から冷たい冷酒に変えたからかもしれない。矢継ぎ早。
冷酒のパイナップル香と混ざってか、霧の中なのに花がけざやかに香る。飲物を変えると同時に葉巻が終盤に入ったのだろう。実に区切りある葉巻である。後はベニスに死すのみ。
死にそうでなかなか死なず、ますます生き生きとしたりする。呑気な砂浜の香さえ漂う。みながはしゃいでいる砂浜で孤独な者は一人死ぬのである。
ベニス(及びトーマス・マン『ベニスに死す』)を思いついたからか、これは+5に限りなく近づいた。この世にベニスがなければこの葉巻はどうなってしまうのだろう。死んだつもりが杉の助け舟がぽっかり浮かぶのだろうか。
|LOE JUN 12|4 3/8 × 40|coh-hk|$176/25|重量:-1(--g)|算出:+6|香味:+4|
18本目にして初めてまともなドロー。それでもやや硬い気がしなくない、たぶん勘違いだろう。
そこはかとない緑色のような枯れ色のような辛味のないスパイス。辛味は別に有り、何か「純粋な辛味」とでもいうようなものに感じられる。何ものも辛くなくても、これだけは辛いというような、それだけが純粋というもの。
このチョコ色の葉巻にチョコ味を感じた事はあまりなかったが、これまででもっともチョコっぽい。チョコ味の葉巻というより、葉巻味のチョコに想いを馳せる。そんな毒物みたいなチョコレートは何処のショコラティエも作っていないに決まっているけれど、作りうれば大好評になると思うのである。
シングル買いを二回ほどして、後はこの箱を買っただけだが、今回のこれが最上の一本である。
緑と焦茶とベージュが共演している。私が画家ならベージュよりももっと適切な色言葉を知っているのだが。
つまりベージュ色のパン籠とか、基本的にはこれまでの香味と変わらない。だがこの一本のみ、どの香味も純なハバナ葉の風味を失わないのが兎に角よい。ハバナに対してハバナくさすぎるという人はいないだろう。プレミアムの妙味はありながら、初めて吸ったシガリロのような、要するにそれこそが純な葉巻であるところの「これが葉巻なのかぁ」という感動の風味がずっと持続するのである。プレミアムはこの初歩を偉そうなプレミアム臭で塗り潰してしまいかねない。
若干酸味が出てくるのと、コイーバ独特の岩味が塗り潰されてしまう感覚があるのは欠点ぽいが、「ぽい」なんていう言葉は大して重要ではないぽいのである。こうして欠点を書いている最中に金木犀が焦茶色の土の中から突然甘く咲いたりし、小姑のように煩く重箱の隅を突つかなければこの葉巻はこれにて完璧である。実のところ岩味はずっとあるのだと思う。
一年生にすぎないが、枯れるにしろ豊満化するにしろこのサイズで熟成を嗜むなど大きい箱を小さい箱に入れる(小さい箱で大きい箱を包む)ようなもので、これはエスプレッソの凝縮感に尽きる。実は大も小も同じような変化をするに決まっていて、枯れた物が好きなら大も小も枯れさせた方が良いに決まっている。私の経験ではどの成分が一年で枯れてどの成分が一年で熟れるのかはわからない。ただ今回のこの濃厚さはパナテラの当りを巧く拡大できている。パナテラで当っても物足りなさが残るのに、この葉巻は吸い終えてわりとすっきりしている。ここまで美味しければ、どんなに暇が大きくても、このサイズで十分という事なのだろう。ただ問題は18本中17本がこれほどの物ではないという事である。大体どれも馬鹿みたいに巻きが硬すぎて、緩いものさえ硬いような気がして、晒しを巻く日本女性が窒息している姿が身に沁みる。案外窒息しないものなのである。
18本目にして初めてまともなドロー。それでもやや硬い気がしなくない、たぶん勘違いだろう。
そこはかとない緑色のような枯れ色のような辛味のないスパイス。辛味は別に有り、何か「純粋な辛味」とでもいうようなものに感じられる。何ものも辛くなくても、これだけは辛いというような、それだけが純粋というもの。
このチョコ色の葉巻にチョコ味を感じた事はあまりなかったが、これまででもっともチョコっぽい。チョコ味の葉巻というより、葉巻味のチョコに想いを馳せる。そんな毒物みたいなチョコレートは何処のショコラティエも作っていないに決まっているけれど、作りうれば大好評になると思うのである。
シングル買いを二回ほどして、後はこの箱を買っただけだが、今回のこれが最上の一本である。
緑と焦茶とベージュが共演している。私が画家ならベージュよりももっと適切な色言葉を知っているのだが。
つまりベージュ色のパン籠とか、基本的にはこれまでの香味と変わらない。だがこの一本のみ、どの香味も純なハバナ葉の風味を失わないのが兎に角よい。ハバナに対してハバナくさすぎるという人はいないだろう。プレミアムの妙味はありながら、初めて吸ったシガリロのような、要するにそれこそが純な葉巻であるところの「これが葉巻なのかぁ」という感動の風味がずっと持続するのである。プレミアムはこの初歩を偉そうなプレミアム臭で塗り潰してしまいかねない。
若干酸味が出てくるのと、コイーバ独特の岩味が塗り潰されてしまう感覚があるのは欠点ぽいが、「ぽい」なんていう言葉は大して重要ではないぽいのである。こうして欠点を書いている最中に金木犀が焦茶色の土の中から突然甘く咲いたりし、小姑のように煩く重箱の隅を突つかなければこの葉巻はこれにて完璧である。実のところ岩味はずっとあるのだと思う。
一年生にすぎないが、枯れるにしろ豊満化するにしろこのサイズで熟成を嗜むなど大きい箱を小さい箱に入れる(小さい箱で大きい箱を包む)ようなもので、これはエスプレッソの凝縮感に尽きる。実は大も小も同じような変化をするに決まっていて、枯れた物が好きなら大も小も枯れさせた方が良いに決まっている。私の経験ではどの成分が一年で枯れてどの成分が一年で熟れるのかはわからない。ただ今回のこの濃厚さはパナテラの当りを巧く拡大できている。パナテラで当っても物足りなさが残るのに、この葉巻は吸い終えてわりとすっきりしている。ここまで美味しければ、どんなに暇が大きくても、このサイズで十分という事なのだろう。ただ問題は18本中17本がこれほどの物ではないという事である。大体どれも馬鹿みたいに巻きが硬すぎて、緩いものさえ硬いような気がして、晒しを巻く日本女性が窒息している姿が身に沁みる。案外窒息しないものなのである。
|BRU SEP 10|6 2/5 x 42|coh-hk|$184.50/25|重量:未軽量|算出:−2|香味:+0|
約一月前の前回にチョコ風味がほんわかとして美味しかった(未記述)ので三年近くの熟成が必要なのかなと思い馴れ馴れと今回も期待していたが、今回は悪寒が的中して揮発性の木が始終漂う煩い。どうもこの揮発性の木というものは三年弱では消えないらしい。前回たまたま当っただけのようで、この箱は今のところ三年経つまではハズレばかりである。今後永久に揮発性の木が残る気がしてならない。サンクリストバルじみている。
当ればチョコ風味がほんわかとして美味しいのに。一体「揮発性の木」というものは何ものなのだろう。生産者に積極的に消去してもらいたい要素である。
怖いもの見たさで熟成物のサンクリストバルに興味が涌く。
約一月前の前回にチョコ風味がほんわかとして美味しかった(未記述)ので三年近くの熟成が必要なのかなと思い馴れ馴れと今回も期待していたが、今回は悪寒が的中して揮発性の木が始終漂う煩い。どうもこの揮発性の木というものは三年弱では消えないらしい。前回たまたま当っただけのようで、この箱は今のところ三年経つまではハズレばかりである。今後永久に揮発性の木が残る気がしてならない。サンクリストバルじみている。
当ればチョコ風味がほんわかとして美味しいのに。一体「揮発性の木」というものは何ものなのだろう。生産者に積極的に消去してもらいたい要素である。
怖いもの見たさで熟成物のサンクリストバルに興味が涌く。
|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(----g)|算出:+2|香味+2|
着火前に嗅いでいると葉巻的なものではあるが川魚臭を強く意識した。
完全な木質で軽いのは変わらないのだが、購入当初のような、とぼけた味気なさはない。そのかわり変化の凄さも感じ難い。
まだ二ヶ月半しか経たず、もう9本目である。
白ワインは完全に負けて味がわからなくなってしまう。似た味どうしで双方とも魅力が半減するのかもしれない。『ニュートン・ナパ・カウンティ・アンフィルタード・シャルドネ』という、アルコール度が15度もある強くてとても美味しい白ワインなのだが。ただ……葉巻が花に変わってくるとなんともちぐはぐながら共演するようになる。されども依然殺し合いの競演のよう。ワインは単独でけっこう小便くさい樽香があるし、葉巻も木質で花が咲く為に小便に近い。ともに小便を覆してあまりあるほど魅力があるのだが、互いに高級っぽさのみを消去し合うような感じがしてならず、勿体ない。どちらかといえばワインが勿体ない。この葉巻はまだ自宅に10本以上あるし、ワインは同じ物を二度買うなら別の知らないワインを買ってしまう為、希少価値が私の中では段違いにワインの方が上なのである。
始終安定した木質と甘い花があるはずで、ワインを殺す事でのみ雑味を感じるようである。
今回は組み合わせが悪く、別々で愉しみたい。
着火前に嗅いでいると葉巻的なものではあるが川魚臭を強く意識した。
完全な木質で軽いのは変わらないのだが、購入当初のような、とぼけた味気なさはない。そのかわり変化の凄さも感じ難い。
まだ二ヶ月半しか経たず、もう9本目である。
白ワインは完全に負けて味がわからなくなってしまう。似た味どうしで双方とも魅力が半減するのかもしれない。『ニュートン・ナパ・カウンティ・アンフィルタード・シャルドネ』という、アルコール度が15度もある強くてとても美味しい白ワインなのだが。ただ……葉巻が花に変わってくるとなんともちぐはぐながら共演するようになる。されども依然殺し合いの競演のよう。ワインは単独でけっこう小便くさい樽香があるし、葉巻も木質で花が咲く為に小便に近い。ともに小便を覆してあまりあるほど魅力があるのだが、互いに高級っぽさのみを消去し合うような感じがしてならず、勿体ない。どちらかといえばワインが勿体ない。この葉巻はまだ自宅に10本以上あるし、ワインは同じ物を二度買うなら別の知らないワインを買ってしまう為、希少価値が私の中では段違いにワインの方が上なのである。
始終安定した木質と甘い花があるはずで、ワインを殺す事でのみ雑味を感じるようである。
今回は組み合わせが悪く、別々で愉しみたい。
銘
囹
月