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  源氏物語「葉」
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|SMO JUN 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$258.40/25|重量:0(12.23g)|算出:+2|香味:+2|

 とうとうコイーバのロブストに着火する日が来た! 結局昨日に引き続き今日も濡れそぼったままだけれど、金木犀が昨日、今年初めて香ったのだからね。(購入後約二年でこの箱の22本目(1年前前回の記事から7本目)だけれど、無理矢理初心に返る。なにしろコイーバのロブストといったら生涯一本吸えれば幸運というほどの代物である。)
 初めから甘く金木犀が香る。カフェオレのようなマイルドな珈琲の香ばしい味わいも初めからある。そんなポタージュに無数の香草の微粉が混ぜられている。香味の分子のひとつぶひとつぶが顔じゅうを転げ回っているようだ。珍しくスパイスの辛味がぴんぴんして目に刺さってくるようだ。すると目玉がくるっと裏返り、痛みを防ぐと同時に自分の内側に何もない事を視て、も一度くるりと表に返る。するとすかさずお菓子のカスタードがテーブルに用意されているのです。なんとも美味しい胡椒入りのカスタードです。そのエクレアがなんとも岩のようにごつごつでおいしい。カフェオレと一緒によく合います。嗚呼、ちょうど外から金木犀が吹いてきました。それが実は家の中の事で、外には何もないのです。外で咲いている筈ですが、家の中までは香ってきません。だからといって全くどうという事もないのが悔しいのです。
 葉巻に着火した瞬間に、実際に天変地異でも起こらないものか。しかし天変地異といったら奇怪で危険なものばかりですが、奇怪さは兎も角心地良い天変地異もありそうなものでしょう。それがじつはないのです。それが無いから葉巻なんぞがあるのです。葉巻を吸っている人は、結局天変地異を望んでいるようですな。それが危険一色とも知らずにか。吸っている最中に「貴方は癌です」といわれたら、それは天変地異の美味しさではなかろうか。生死の分かれる天変地異よりも多く死の決まった美味しさがなかろうか。大体、死の1秒前まで死にたくなかった人も、死の渺秒前には死にたいと思うものかもしれません。死は苦しいですから、死んでも良いので苦しみから逃れたいと思う。それがなんと、死にたいと思うほどの味わいは訪れませんでした。まったくもう。死にたいとは思いませんが、まったくもうです。もう、牛です。最後は焼き畑農法で何故か牧草を喰っているだけになります。結局牛ではないので美味しくもないんですね。死んでも死に切れない、渺秒前でも死に切れず、これで死んだらわたくしは化けて出るでしょう。
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|6 x 56|seriouscigars|$8.70|重量:+2(20.51g)|算出:+2|香味:+2|

 銀紙にくるまれて中身が見えないこれをtatuajeとばかり思っていて、開ければ出てきたのはillusioneであった。まるで雪国へ向かうトンネルのようで、開けてみれば包まれていたわりに匂いは薄い。臭みは落ち着いて甘い匂いを醸し出している。mj12にはナチュラルとマデューロがあり、ナチュラルを買った筈なのにマデューロにしか見えない。
 空吸いするとやはり藁っぽさが奥まってではあるがある。それが不思議な甘さに包まれている。
 着火すると一息に焼いた藁に緑色が萌し、これもしかし不思議な甘さに包まれている。ただ煙は鑢のように粗い。最初から極端に強く、強者であれ紙巻の如く吸い込めば咳き込むに違いない。
 追々ただの甘い煙草という感じだが、この甘さにえも言われぬ深みがある。この葉巻の美味成分が全部甘さに溶けてしまって、あとは強烈な煙草感が只管ある。しかも甘口ではないので甘さが奥床しい。
 2センチを過ぎる頃に変化が来る。花かな。花が甘さを持っていってしまわないか。……持っていった。花が途端に増え、ココナッツ入りの杏仁豆腐が煙と空に消えて行方不明になってしまう。身に染み込む奥床しい甘味ではなくなる。以降は、この、良いような悪いような右にも左にも振れやすい差し引きが続く。
 なんだかこれがイリュージョンなのか他の銘柄の物なのか、どうでもよくなってしまう。何処と無くどうでもよいという感覚は一体何処からくるのだろう。おそらく単に「ハバナではない」という感覚なのだが。
コイーバが甘かった事はない。一言云いたかった。甘くてもコイーバの甘さはけっしてケーキではない栗の如き微かな甘さにとどまる。まるで重要な事のように一言云わずにおれなかった。
 なんだかランセロを久しぶりに吸ってみたい。甘くない事を裏切ってくれるとしたらきっとコロナエスペシャルかランセロで。
|URG JUN 10|5 3/4 × 52|Cigars of Cuba|$164/10|重量:+1( 15.16g)|算出:+5|香味:+4|

 駆け出しに草が薫り、栗といわれるような味わいがふっくらと有って、それらが奥まったふうであるのは煙の所為か、肌理細やかな、優しい、肌寒さが温かいような味わいに、空を十本の爪で引っ掻いたような雲を眺めていた。ココナッツ(コイーバでは非常に珍しい)が形を整えそうになり、それからはっきりと金木犀が来る。今日は初秋らしい初秋の晴天である。安物のカスタードに非ず、ココナッツは金木犀が加わると杏仁豆腐のようにも姿を変える。
 15.16gとあり、指で抓ると巻きが硬く、灰の断層も彫りが浅くなるほどの硬さである。吸い込みは丁度良い。
 ほろ苦さはあるが、雑味というほどでない。
 ミルクたっぷりのカフェオレという感じではなくなっているのは三年の熟成に因るのだろうか。さびれた感覚も心地よくある。一箱終了。
|GUT JUN 12|6.1 x 52|coh-hk|$102/10|重量:(--g)|算出:−2|香味:0|

 夏の高温熟成を経てこの箱の六本目。一言でいえば不味い。紙巻煙草同等の品質というか、まるで長い紙巻のように吹かしていた。そのままいつの間にか終ってしまった。おそらく高温熟成が悪いのではなく、ただのハズレである。しかし葉巻をこれほど紙巻っぽく自然に吸ったのは初めてである。慣性の葉巻。もしかしたら本当はほんの少し美味しいのかもしれない。しかしそれよりは慣性の方がほんの少し美味しいようではある。老人が平然と恰も一万本目に見える葉巻を吸っていたらそれは美味しそうに見えるだろう。
「14本中14本目で初めて枯れている、この1本は元々他の13本に比べてどのようなものだったのだろう、永久にわからない問題である。」……先日書いた記事()の抜粋にすぎないけれど、これはどう追い詰められるのだろうか。というのも他に追い詰めたような記事をよく目にする。
|TEB DIC 08|6 2/5 x 54|cigarOne|$218/10|重量:+1(17.99g)|算出:+3|香味:+3|

 味の構成は良いけれど、ケムリ少なく、不発に終る。巻き硬く、悪しき揮発性の木がちょろちょろ顔をのぞかせる。その顔は蛇の舌のような火で、吸う人の舌焼を誘う。
 褐色にしてはハバナの葉の味が濃く、ココナッツに合いそうなその褐色の味わいを呈しもし、何故か懐かしいほどモンテクリストの味がする。最近故知れず懐かしい葉巻ばかりだが、この純粋な懐かしさは酷く、二年ぶりに海を見た。着火前の様子からして懐かしかった事を覚えている。二分前の事を覚えている。着火後二分ぐらいで確かにココナッツの懐かしさもが葉巻本体から遊離して口中に馥郁とし始める。海に至るまでの防風林は短い。潮風があるというより、浜辺の賑わいがあり、しかも人けがないのである。ただ結果は冒頭のとおり、美味しそうで美味しくないような状態に終始する。潮風があるというよりも、浜辺の賑わいがあり、しかも人けがない、といったものが美味しいかは兎も角、寂しさを紛らわせるか、これを吸い終えて子供を明日本物の海に連れてってやろうといった気にもなりそうである。「明日海いこうか」「どうしたの急にパパ」「いや、なんだがね」「明日海いくって」「わーい、わーい」……私は孤独の方である。というより後者こそが孤独に因る短絡的な妄想である。家族が大量に居たって、孤独は孤独だろう。舌は交換できないのだから。(私は、耳なら、交換する方法を知っている。)
 波は盛り上がらず、安定したまま夕凪の海。余計な味が一度もしなかったが、海の疲れは最後にしっかり雑味となって加わる。

 後二本しかないけれど、どうしよう。吸い頃っぽいし、しかしこれはきっと夏に合うので、もう夏は終りなので来年の夏を俟とうか。リミターダとはいえ侮れず、遅ればせながら520は買おうと思う。
|EMA OCT 07 (19444/20000)|5.5 x 50|coh-hk|$198/10|重量:+1(14.03g)|算出:−1|香味:+1|

 八ヶ月ぶり。残二本の内、細い方を選ぶ。前回は三本の色が違うと書いているが、これは太さが全然違う。
 豚小屋というより鳥小屋、紙一重で良い匂いという事もあるけれど、これはそう良い匂いではない。しかし美味そうか不味そうかといったら美味しそうである。
 着火直後はキンキンして、程なく落ち着く。六年の加減らしい、そこから濃さに突入する事がない。一瞬チョコのそよ風がよぎったが、またキンキンした感じが戻ってきさえする。購入当初から淡い物ではあったけれど、これは草が強い。キンキンという金属音からすれば鉄分が豊富そうな味の春菊だが、この草には春菊の癖はなく、思えば草も淡くはある。当初のとろける甘味のような期待感はあまりなく、かろうじて残っている。要するに既に有り、減っている。此処から盛り上がる気がしないほど枯れている。枯れて分かり難いが元は「揮発性の木」という悪しきタイプかもしれない。細い一本にして吸い込みはさほど悪く感じないものの、重量は過多らしいし、吸い込みが悪いと捉えるべきなのかもしれない、微妙。あと一本しかないのにこんなもので終ってしまうのか。
|ZTV MAY 05|5.6 x 46|coh-hk|$121.50/15|重量:−1(9.41g)|算出:+2|香味:+2|

 枯れ切った香ばしさに、辛味。豊潤の名残もあり、それが濃すぎず、甘ったるくなり過ぎたりせずに心地よい。熟成物らしからぬ濃い熟成物は多々ある(この箱の他の物がそうだ)けれど、これは熟成物らしい熟成物である。綺麗に老けたなぁという感動のみで、名前はわからないが、あのショートカットの背筋のピンとした女優さんに似ている。後半は薄味に蓄積する雑味が目立つ。
 14本中14本目で初めて枯れている、この1本は元々他の13本に比べてどのようなものだったのだろう、永久にわからない問題である。残1本。
|MES JUL 11|5.6 × 54|coh-hk|$396/10|重量:+1(15.79g)|算出:+2|香味:+3|

 一時期目が麻痺していたが、久しぶりに手に取るとやはり巻きの美しさは群を抜く。空吸いし、こんな空っぽな風味がどんなになるだろうとしばらく思いに耽る。
 初っぱな草。これも懐かしい。最近懐かしい事ばかり。この手の草から始まるとニカラグアの強さを予期してしまう。
 ……非常に落ち着いたまま、丁寧なコイーバの味が高そうではあるものの、格別美味しいものでもない。
 大分経ち、中盤も終る頃、草っぽい金木犀が吹き出すが、草いきれっぽい。
 それだけ。
 それだけとは何事か。しかし「それだけ」に至るだけでも大変なのですなぁ、と思うような善人が果たして此処で重要であろうか。それでも、これほどの丁寧さはこれ以上望むべくもない。岩も静か。何も喋らない達人が、何も喋らないにもかかわらず時代遅れだったと判明する事があるであろうか。むしろ耄碌味が無く、喋るほどに若い。緘黙した達人の周りで若い奴が勝手に喋っておる。達人は健在なのに、達人より若い輩が達人より耄碌している。この文章こそは既にきっと時代遅れだろう。
 ……美味しいか不味いかといえば総じて普通だった。これほど普通だった物は無い。それなのに普通の普通とは訳が違う。驚きが無いという驚くべき葉巻であるのか、只管穏やかな岩に草が生えている。最終盤で荒れるものの、その荒れが荒れる事もなく、まるで平静に荒れる。
 今が夏だからか、夏を少し忘れさせる物でもあった。昨日のパンチの方が断然良いが、抗いえない不思議な多少の魅力がある。冬にこれならばまた趣が違ったか。夏を忘れさせるほどの冬の魅力なのかもしれない。今日は夏が勝った。結局夏を忘れたくない。なんだか今日は売り物にならない文を書く事に疲れている。売り物になる文を書いて葉巻を買う金を稼ごう。

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