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  源氏物語「葉」
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|MES AGO 11|6.5 × 56|cigarOne|$508/10|重量:+2(19.03g)|算出:+2|香味:+3|計7点|

 在庫を調べると 56=残5 54=残4 52=残3 記事を遡ると丁度一年間いずれのBHKをも燃していない事態に気づく。これだけでも56に着火する条件は整っている。なお、未だ正月気分は消えていない。
 深い、濃い、渋い、甘い、苦い。土、草、岩。ファンシーな味、炭酸のような。「葉巻の全てが此処に宿る」と言ったら大袈裟だけれど、もう他に何も要らない。「純然たるコイーバ」というのもおかしいけれど、単に綺麗なコイーバにあらず、岩などが円く磨き抜かれているのは当然としても、雑多な苦味や辛味もが磨かれて岩に塗り込められている。辛さは序盤で終るものの、安価な葉巻にもある細かな変化が此処にもあり、此処にあっては葉巻の造りの見事さにしか感じられない。不味いはずの藁もが絶妙に吹いたりする。コイーバを「葉巻の王様」といっては扁平だけれど、これは数多の王の中でも王然としているようである。煙の感触が毛足の長い天鵞絨のようにモフモフとして、香ばしく焼けた完全な甘栗を思い出す。一個一個剥くのが面倒な甘栗の、剥いちゃったものを五個ぐらい頰張る感覚に、嵩は煙の薄さ。
 ただ、恍惚感が全く無い。王然の王でしかない。
 後半、バーストを期待するが、どちらかといえば尻窄む。緑豆もやし感。
 「前半の期待感にのみ了る葉巻」といってしまうのが躊躇われるほどに前半だけでも美味しい前半ではあった。
 終盤、バーストを始める。焦げの苦味、どちらかといえば雑味っぽいが、まだ崩れてはいない。
 崩れつつ持ち直しつつ、次第に花が岩の模様を離れて舞い始める。少ない。
 悠揚迫らないものだが、小気味足りず、この贅沢な口径に無理があるのかもしれない。不味いのか、大吟醸酒が合わない。
 岩味の確かさはエアーズロック級に腰を据えている。これがコイーバであることは、よほどの味音痴でもなければブラインドでもわかる、胡麻と海苔ぐらい違う。しかし海苔は胡麻だとわからないほうが美味しく感じるのかもしれない。
 残5センチで完全に衰える。かと思ったがやっぱり衰えず、これは思わせぶりがしつこいだけである。……結局思わせたり思わせなかったりが、安定して根元まで続く。
 人というものが結局は人に過ぎないようなものなのか、高みを目指して本当の背丈を覚える高さ、これぞ王のなせるわざなのかもしれない。雑魚が頑張ると昨日のシグロのような中毒を引き起すのである。ということをこの葉巻はひとりでに語っているらしい。
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|箱不明|5 1/8 × 42|cigarOne|オマケ($16)|重量:−1(10.05g)|算出:+3|香味:+3|計5点|

 夢のような調子に乗ってBHKなんかに親しんでいる所為か、これを荒く感じる。偉そうに。
 荒さは、岩を見せないほど荒いが、岩ミルクのコクが出てくると和らいで、岩の出現とともに岩肌が瑪瑙のようなまろやかな甘さに磨かれる。瑪瑙が花模様をも描く。心地よい程度に荒さを残して、時々辛味が走る。
 「シグロシリーズ」と一口に言ってもⅥの柔らかさに比べてⅠ・Ⅱはずっと荒い。口径差だけでなくかなり配合を変えているのではないかと思う。(ⅢとⅤは未経験)
 ただ、いずれも紅茶ではなくカフェオレ方向に倒れている。と思ったら、紅茶が出てきた。荒さは紅茶の方に親和性がありそうだがなぁと思った矢先。この思いが味を変えたのかもしれない。マスカテル香を犠牲に重厚な果実を蓄えたダージリンの深み。コイーバは草もあるのだが、この紅茶は夏摘か秋摘で、春摘の青さもあまりない。
 久しぶりのレギュラーコイーバに緊張しつつ、荒く始まり、序盤過ぎて流石に美味しい。旨味の強さが昨日のコイーバ似の新生ベゲロスとは比較にならない。パルタガスと双璧の旨味に、芋対栗の対決が望まれる。
 シグロは外れてばかりだから、これでも当りだと思ってしまう。恍惚へはまるで届かなくも、根元まで安定しているし。でも小さくてすぐ終ってしまう。美味しい所為か、誰の所為かわからないが、他の小さな葉巻には感じない物足りなさが残る。明日早速BHK56に着火したくなるような、今日すぐそうしたくなるような、危険な味わいである。でもBHKは荒さがなくてつまらないかもしれない。思い出すほどに恐く、コイーバ中毒が始まるような味わいだった。
 美味しい葉巻はどれも大吟醸酒が合う。できれば16度以上の重厚な大吟醸。
|箱不明|6.2 x 52|cigarOne|$12|重量:0(11.13g)|算出:+1|香味:+2|計3点|

 無バンドかと思っていたが、巻いてある。ハンターなのに。
 できるだけ寒い日に、日の出ている内に着火しようと思っていた物。
 故意らしく毬栗や渋柿しくて、確かに寒空の下で森のハンターが銜えてしっくりくるような味がする。ハンティング中に全然ハンターらしくない葉巻を銜えるハンターもいるだろうし、長閑な農村の藁っぽさも香るけれど、落葉樹の森に落ちた木実の風味があるよう。剥がれた樹皮や松ぼっくりの殻や団栗の殻などの、あまり食用にしない物の堆積の渋さがある。そこに雪解けの花。あまり綺麗な花でない。
|箱不明|4.3 x 52|cigarOne|$9|重量:0(12.98g)|算出:+4|香味:+3|計7点|

 他の一本買いの葉巻と一緒くたに保管していたのでわからないが、かなり豚臭い葉巻。
 真夜中の雪解けの音を聞きながら、窓を開けて暖房を炊く。
 噛むほどに美味しくなるレタスのような、重厚な植物である。初めからやや華やいで、また、どれかと言われればコイーバのような、黄土の風味がある。そして辛い。
 ドローはむっしりとして完璧。農家の風味もほどほどに懐かしく、都会に出る健康優良児の羽ばたく未来を思わせる。
 タパドスよりもハバナ感が強いが、やや紙のような味わい。中盤になってむっしりとして完璧だったドローが詰まり始める。よって大したものではないし、不安定なのだが、香味に関しては、この実物を覆すような安定度の高さを読み取ってしまう。吸い込みが良かったところで満点にはならないと思うが、「白緑色のコイーバ」とでもいうような鮮やかな存在感を発現し続けそうである。
 金木犀に緑豆もやしが重なって現れる。
 一番太い葉脈を抜いたら葉脈のみならずぞろぞろと葉が一枚抜けて、スカスカになってしまう。この所為で、まるで味が変ってしまい、なんだかヒントのような香味が一つする。このヒントがしつこい。
 ベゲロスというブランド物だから、さすがに各ブランドで突発的に出す限定物の即席感覚はなくて、よくよく磨き抜いた物のように感じてしまう。なんなのだろう、ベゲロスの畑は不味そうな葉を捨てた吟醸仕様なのだろうか。新しい基礎が築かれたかのように見えてしまう。
 吸い込みのせいでなかなかひどい内容なのだが、近未来感を葉巻に感じてしまう。
 芋焼酎と合わせると芋が消えて花焼酎になる。葉巻からは芋のような豚が立ち昇る。
 抜いた葉の周辺が揉まれて落ち着いたのか、最後には甘い、若干岩味がかった金木犀が太い。新生ベゲロス、なんだか侮れない。新生。新生感が充溢している。
|箱不明|3.9 x 30|cigarOne|$6|重量:−2(3.51g)|算出:+2|香味:+2|計2点|

 一口目も二口目も三口目もメドレーのように懐かしい。小さいサイズの感覚も懐かしく、味わいも懐かしい。オヨをはっきりと想い出すという訳ではないのだが。小刻みなリズムがアップマンじみた茶色い染みの味を放出して、華奢だが変化が圧縮されている。
 舌の中央にのみ煙が乗ってくる、細身ならではの煙の動きがある。舌の脇に感じやすい雑味が遮蔽され、また、煙が少ないので鼻に上らせても刺激が少なく、煙を鼻に集中させることも容易になる。吸い込みが少し悪いのだが……。
 オヨらしいのか、特別目立つ特色がない。しかし赤十字の安定と信頼は煙のようには揺るがない。アップマンやパンチなどよりも一つだけ上の位置付けであることを納得させる風格が確かにあるような。
 驚かずにほっとする、一服のような一服。赤十字が何なのか、知らないし、この一本に関しては赤十字感はほとんどないが、染みや床屋やクリーニング屋よりもやはり赤十字の味がする。定まらない言葉ほど多感な言葉もないと考えて赤十字に逃げ込んでいる。
 あっという間に至る、終盤の金木犀が凄く甘いのも鼻が存分に成す技か。岩も青緑もない金の赤。包帯がシロップ漬けにされている。つまり何処かを怪我しているのだが、怪我の功名のようなものでしかないのである。終盤の短さも桜や紅葉より短命な金木犀にそっくり。
|MUR MAY 13|5.6 x 46|cigarOne|$94/10|重量:0(12.54g)|算出:0|香味:+1|計1点|

 昨年十二月二日の、一本買いしたこの葉巻の美味しさが、結局連続で裏切られた。重量過多が原因らしくもあるが、お菓子のない荒野が広がる。しかも荒野が狭く広がる。広く広がる荒野なのに。
 一本買いの時のお菓子王国はなんだったのだろう。残8本あり、今後が心配になる。
 重量過多に吸い込みの悪さをば敏感に感じなかったが、実は味の受け方には敏感に反映されているのかもしれない。煙の量が実は少なくて、その少なさが煙を鼻に到達させなかったのだとも思う。無理して〈鯉の滝登り〉などをしてみると、金木犀が紛々と咲いたが、そうでもしなければ花など一向に咲かなかった。煙の量がすんなり多ければ、自然そんな風に鼻に届く。先ほどの事にして、あまり記憶にないが、雑味なども出そうで出ないような、いじらしい意地悪なものだった。

 前回のspecially selectedもお菓子感はそう分厚くなかったし、ラモン=お菓子というのは間違いかもしれない。ラモンというものは、存在感があるのでもないし、ないのでもない、不味さがなく、たぶん全体的に美味しい。なのに存在の仕方に評価しえないものがある。ラモンに対して、世界全体が評価に迷っているような心地がする。私が世界ではあらねど。
|箱不明|4 4/5 x 50|cigarOne|$11|重量:0(10.72g)|算出:+3|香味:+3|計6点|

 一口目からかなり美味しい。「なんだこれ」と思う。羽目が外れそう。
 甘辛く、重軽く、芳しいのに香が出ていない。
 草花がはっきり見えてくるが、基礎が曖昧で、ニカラグア寄りのような。ニカラグアだとしてもハバナ寄りの最上級の物。
 焦茶が湿っぽくなく乾き、焦茶なのに黄土色で、金木犀並の甘味を蔵する菊の草。なんともおかしな話なのである。
 ともすると藁や農具に陥りそうだが、その豚臭さが、完全な深みとして隠れ仰せて片目を光らせている。葉巻と私の、どちらが明るく、どちらが暗いのかもわからない。お菓子にしては、渋く辛いが、苦味にしても、甘味を閉ざすことがなく、カラメル風味を残したりする。
 美味しいのに何故か味がわからず、わからない方が美味しいようなものである。飛び抜けた美味しさというより、的はずれな美味しさ。
 カスタードの風味が無いのにカスタードであったり、全体がそんな、無いもののみを有するようで、経験則が翻弄される。味というより、言葉として。新しい訳ではないし、ほとんど伝統の風格で落ち着いているのだが、個性が薄く、個性的である。これでこそラモンアロネスという感覚はある。
 カレーの香味はないが、喩えとして、黄色いビーフカレーと茶色いチキンカレーを混ぜたような。黄色がチキンで茶色がビーフなのに、両方を混ぜて、茶色いビーフと黄色いチキンを混ぜたような。相対的にはこんな事になる。ラモンが基礎の人はこんなことにはならない。が、絶対にこのような変な味ではないかとも思う。
 菊は始終なかなか濃厚で鉄分を多く含んで春菊になることがある。
 ビーフはハバナ、チキンはニカラグア、黄色はハバナ、茶色はニカラグア、しかしハバナ百パーセント。下手なハバナよりも美しいが、ニカラグア物ではない。
 色々な葉巻を思い出しうるのだが、どれにも落ち着かずにふわふわ彷徨う。当て嵌めたはずの欠片がやっぱり悉く違って合わないパズルなのである。「ファモソスの中盤」、「パルタガスの終盤」、似ているが、でも違う。しかもラモンを思い出す事がない。
 「茶色いロメオ」といっても、この茶色が個性を失わせている。といっても他にこの茶色を見いだせない。これはやはりどこかお菓子なのだが、ミントも添えず、春菊が渋い。
 もっと意味不明な事が伝わるように書ければ良いのだけれど。しかも美味しそうに。
|箱不明|6.3 x 52|cigarOne|$16|重量:+1(15.90g)|算出:−1|香味:+1|計1点|

 ほっとする、ほのぼのとした春霞の味わい。春を思わせ、甘草を思わせ、草っぽく、甘い。土も穏やかで、やはり床屋のような雰囲気がある。土が甘く暖かく湿っている。その土は、薄い木の粉を叩いたよう。
 フィギュラドにて、巻が悪い訳もなく、着火も楽で、序盤一気に太くなって段々細まるが、バンドも外しやすいし、悪い所は何もない。といいたいけれど、始終雑味が多いし、リカットするにもキャップ部分が浅いし、甘さも続かず、春遠く、花も蕾のまま、最大口径の部分で一瞬のみ大輪を思わせただけで、尻すぼみも甚だしい。
|箱不明|5.3 x 52|cigarOne|$19|重量:0(13.05g)|算出:+1|香味:+2|計3点|

 アップマンだからこれも「染」かと思って、要らない「染」をかえって探してしまうのだが、たとえ染といえるところがあってもこれは染臭くない、なんだか美味しいようでもある。
 急峻な変化。黒豆茶のような風味と花が一度機に来るというか、此処で黒豆茶が現れるのは欠点と言って差し支えないかもしれない。香を花が持って行ってしまって、黒豆茶からは香が立たずに茶殻ばかりが生気なく残存しているのである。茶を呑んでいないのに。これほど急峻な変化を久しぶりに体感した。良さと悪さが渾然と一息に来たものだから、七転八起を七転八倒のごとく体感も大仰なのである。一起一転にすぎない。しばらくはこのどっちつかずの状態が二起二転、三起三転とつづく。微妙に香味は変化しているようである。特別美味しくはないが、なんだか面白い。
 染には必ず金木犀が染付いている。かといって金木犀が芬芬と匂ったりはしない。簞笥の木目に染付いた花である。その古びた家具が何故か白木の白さを帯び始めると、金色が煤けた茶色を弾き返して光りだす。かといってまっ白まっ金金にはならず、この白や金と黒や茶の併存に、黒柿材()を少しばかり思い出す。黒柿ほどに白と黒が分離していないのは、黒というより茶色だからか。葉巻なのだから茶色で良いのである。もっとも葉巻としてはこれは黒い方である。
 不気味なほど旨味が薄い時刻が多々あって、この柿材は穴ぼこだらけで使い物にはならない。穴に、柿渋のような茶殻のような雑味も多い。
 最後は雑味を誤魔化すようにして心地よいハーシュノイズが来る。
 なんだか不味くはないけれど、全体に旨味が足りなかった。雑味以外の要素を水割りにしてしまったような。

 モンテのエドムンドと同形。
|箱不明|6.2 x 52|cigarOne|$26|重量:+1(14.88g)|算出:+2|香味:+3|計6点|

 モンテアネハのように滑らかに落ち着いたり枯れた感じが出たりはあまりしていないが、辛い荒野の、似た味がする。モンテやロメオという別個の物を同じ条件で寝かせたというより、アネハドスという共通の物を寝かせたような香味。
 ……シナモンや胡椒から香を抜いたような刺激が荒野香と相俟ってなんともアネハドスであるがまましばらく……
 変化があまりないせいか、アネハドスらしさが濃いせいか、最早後半になる。
 リカット。
 もっと早めに、というより初めから吸口を広げた方がよかったようである。ピラミデならではのリカットだけれど、ピラミデの度にいつもそう思う。味はそう変らないが、葉巻から寝不足感が消える。
 終盤で花が色濃く咲いてくると、大吟醸酒(常きげん『常』)の吟醸香がことのほか濃密なマリアージュを呈した。一切れのパイナップルが十切れのパイナップルを重く凝縮したかのように、金木犀の蜜が滴る。この金木犀は不思議で、まるで外気からは匂わず、本当に此処にある蜜のようだった。酒の香が金木犀になり、葉巻の煙がパイナップルの蜜になる。

 ロメオ特有の、特徴を見つけにくい代りに嫌味をも見つけにくい香味だったが、アネハドスブレンドの特徴をばあまり好きになれなかった。あるいは純粋にアネハドスを楽しみたければロメオを選ぶべきというべきか。(そんなブレンドがあるのかはわからないが)
 後になって回想してみるとたまらなく美味しい物だったような気もしてくる。正月のような昼日中に着火しなければもっと毎夜のように落ち着いて楽しめたかとも思う。こういうものこそは浮ついた気分で着火してはいけない。正月は清浄なようでいてやはりどこかが浮かれている。去年今年貫く棒のごときもの
 正月だからこそ回想が美味しげになるのかもしれないが。

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