忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

|6” x 55|next cigar|$64/5|重量:+2(19.49g)|算出:+7|香味:+5|計14点|

 ゴルフらしく?芝生の広がりを感じる香り一面。
 甘さの出方が面白く、軽さの中に小さくとろりとしたものがある。清流の鮎というか、清流が濁って鮎が透明に泳ぐ。マシュマロの中の小さな蜂蜜のような。またその蜂蜜ジャム自体がマシュマロのように淡い。この蜜の方にやや青草を感じ、周りの芝は枯芝色。
 前段の刷り込みなのか、本当にマシュマロそのものの味がしてくる。パウダー、化粧品。
 化粧品は煙が花めいてきた春の知らせで、秋の花かもしれないが、煙のこと、もう少し歩けば花圃が見えるというわけではなくて、もっといえば花を鼻に詰めえはしない。ところがより遠い感じのする煙こそは痛く花びらを鼻に詰めるようなものに化ける。それが葉巻、うん、それが葉巻。それがうんこ色の葉巻。だいたいうんこと書けば書くほど子供の勉強は捗るというんこ。口にうんこ咥えてうんこが湯気立ててらぁ。うんこは美味いさね。これは馬糞の味がするや。馬がシャンプーしてやんの。綺麗なおんまさんだね。ダビドフンフンって名前付けて走らせらいいんだ。後半のうんこは特にいいよ。前半もまったく伏線のうんことして見事だけどもさ、鬣が扇風機みたいに回転してうんこの花を大量に撒いてるじゃないか。も、猛烈、まだ曲線なのにラストの直線みたいだわさ。こんなおんまさん見たことないや。まるで馬の体に花びらで貼絵したみたいだよ。馬が走ってないよ、花が走ってるよ。卑怯だよ、1位だよ。空飛ぶよ。ラストの直線残して一位だよ。スパイスだよぅ。甘いよぅ。金の筒を駆け抜けるよ直線長いよダビドフなのにこってり満腹だよ花が濃すぎるねんな。まだ直線が10センチあんねん。アロハシャツのバカが馬に乗ってウイニングランしちょるんやでホンマ阿呆やなあ。まだゴールしてへんやろ。回ってら。カウボーイ、こっち来んなや。いてこましたろか。COWCOWカムカムちゃうねん。直線で何話したらええんやろ。ホンマバカにうまいで?安すぎなんちゃうか。ちゃうちゃうか。直線で落ちもせで、どうして踊りながら一位独走晒しとんやろか。呆れるわ。ちゅうちゅうちゅうっちゅう。ちうちうちう吸うたろかいな。タロー、こっちおいで。タロー、死んじゃいや、いやぁぁぁ。ゴルフ場で犬かいな。つづく。
 残五センチで動力機関から雑音、異音。うんちぃ、うんちぃ、くそっ、畜生、急速に薄まり、夢の後味と入れ替わりに現れた辛味がはっきりと心地よい目覚め。
 巨大曲線の長さが兎に角凄い。競馬を連想しなければもっと美味しかったと思う。競馬をよく知らないため関西弁に逃げた。そもそもうんこが悪いのである。
 細部を無視すれば物珍しい味こそしないクラシック寄りのダビドフで、ただ大量の花が濃く図太く猛然とつづく。
 勘ぐれば始めの芝生が悪い。ゴルフが悪い。
PR
|RAG JUN 18|166mm x 52|cigarOne|€378.85/12|重量:+1(16.38g)|算出:+4|香味:+4|計9点|

 鶏舎感というのはよく聞きますが、それはいつも鶏肉の旨味が伴うと思うです。豚肉かもしれんですが。葉巻の旨味なんですがね、ええ、良いんですよ。ここの鶏舎にはそれがない。それどころか、それそれ、よく嗅いでみるとあんたに魚臭さが直撃する。鶏肉が魚を喰ったんですかね? あんたは豚を喰った魚が鳥に成ったとでっしゃろか。
 一度目の灰が落ちる、急激に甘さがきますです。火を点ければ、魚舎なんかすっかり消えていますよ。しばらくなんの甘さがわからないが、 次第に完全体の花舎が目に入る。花に絡む、酪農臭を綺麗に削いだどこぞの北海道バターが濃密にして軽い。南海道ですかね、ええ、良いんですよ。
 灰は本当に落ちるです。はい。ええ、良いんですよ。灰の軽さがバターの軽さとちょうど合せ鏡になっているです。鏡の奥にバター・灰・バター・灰と像が永遠に続いていきそうですけれども、似て非なるいうでしょうか、燃焼リングは長く続かないです。鏡に殺られる精神と同じぐらい灰が脆いですから。鏡はどこかでぱったり。
 ミルフィーユのうわべですね、ラッパーの灰がひらひら勝手に舞う。そこら中、小さな灰だらけです。無能な灰皿には花びら吸引機能がないですからね。灰皿にそっと置いても、二度目、たった1センチの灰が落ちてしまった、こういう葉巻は美味しい事が多いです。脆さは、ドローの軽さに因るものでもなさそうでしてね。
 花の完全体の後、茎が残る。隣の花たちはまだ咲いているですよ。ずっと咲いて。
 これはトリニダッドという銘柄なんです、だからトリニダッドに香りがちな杉風が密かに舎を支配していて杉の好悪が評価を分ける思うです。思わないですかね? 思った方が良いですよ。ええ、良いですよ。完璧な葉巻です。
 それそれ、よく御覧なさい、この葉巻のラッパーは床屋の有平棒の継ぎ目がなかなか見えてこないです。リゲロ葉が分厚いとすると、薄い下部の葉なのかもしれませんね、リゲロの方を美味しがらせるような記述ばかり転がっていますがね、ええ、むしろこれもリゲロかもしれんです。バカタレ。
 五本五本。バンドを外して見たほうが良いですよ。隠れていた部分に鮮やかな緑色の斑点一つが見えるでしょうね? まあ誰だっていつか見えると思いますよ。緑色の斑点を火が経過した時の味はいかがなものか、ずっと気になるですね。でもいつか、知らぬ間に緑の斑点を通過していることになるです。ええ、緑ばかりかまっていられませんから。
 隣に並べてご覧なさい、並べれば大物だと思い込んでいたロブストエクストラが随分小物に見える。味わいの違いは大きさの違いに因るところぐらいしかもしかしたらわからんかもしれんですがね、懇ろに巨大化できたものに非の打ち所は無いはずですがね。つい一ヶ月前は不味かったんですがね。でやんすがね。
|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(15.73g)|算出:5|香味:+4|計10点|

 モンテクリスト・ダブルエドムンドは多分良く出来ている。ツチノコ君が時々顔を出すところなど、葉巻の文字通りの土台の部分がかほど渋くまったり肥沃であることは稀の稀で、この土の味は日本の野菜畑などから漂うものと違って、ハバナの土壌を味わっていると思い込ませるに足る。苗をドミニカに持って行っても、気候が全く同じだとしても、ハバナと同じ味は出ないのではないかと思わせるに足る。そうして土のコクがツチノコ君のように出てくる。
 モンテクリストの煙にはハバナ随一の白さがあるのに、もっとも土をも感じる。
ここまで言って、実は発酵過程等の製法のみの違いが正体なのかもしれない。明日工場長に聞いてみよう。
 真実はともかく、(嫌いな言葉だ)、この箱は全て同じように吸い込みが悪い。もし吸い込みが通ってこれが不味くなるのであったら、とんでもなく秀逸なトルセドールが居ることになる。


|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(16.74g)|算出:−1|香味:+1|計1点|

 この頃、先日出たチェリビダッケ指揮『クープランの墓』をよく聴いていて、久しぶりに音楽で狂おしくなっている。名演という言葉の雲を下方に突き抜けたような、もう秋の領域で、特に今年は秋がしみる。どうしてか今年は無性に悲しい。今日は昼、部屋の底に森々と入る涼気を床に寝そべって全身で感じる、要するに風の態で聴いて悲しさを膨らませていた。ベランダの格子越しには花水木の赤い実があり、音楽にもそれと似た粒粒がある。可愛い実りもあるから余計に悲しい。世代交代の年齢なのか、死の距離を非常に意識した。ちなみにこの段落は非常に心地好かった今日の思い出として書いています。
 連夜そのクープランの墓が夢に出てくる。こうした感覚は七年ぶりぐらいの久しぶりで、ジャン・コレのシャブリの異様なシルキーさが夢に出て以来のこと。あれは特別美味しいワインではなかったのに、シルク感だけが妙に静かで印象深くて、液化シルクが記憶に嵌ろうとして脳の皺の上をいつまでも滑っていた。

 何が悲しいのか、風に誘われて二日連続で同じものに着火した。秋風に相応しい物としてモンテクリストのみ浮かぶ。悪しき箱にして、なんと今日は吸い込みが爽やかに通る。

 吸い込みが通れば味が悪く、片燃えも始終酷い。全てが良い状態の物は何故か無い。

 火の回し方が巧くなったのか、近年片燃えをとんと見なかったのに、何回着火し直しても延々と竹槍のように尖っていた。だからこの箱の葉巻を巻いた人に竹槍を刺す妄想をしそうになったかもしれない。寝そべったまま音楽の終演とともに昼寝してしまえばよかった。
 片燃えと味の悪さの相関は不明ながら、昨夜の一本とだいぶ変って、激しく、粗く、そればかりで味と香りは延々薄い。結局ドローもだんだん詰まってくる塩梅である。今度からこの工場の箱は取り寄せないように計らおうと思う。

 あと、今日は昼でしたので、モンテクリストは夜の葉巻なのではないかとまた思いました。昨夜の方がずっと魅力ある。

 残1
|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(17.24g)|算出:5|香味:+4|計10点|

 間もなく吹き飛ばされそうですが、今年の金木犀が咲きました。ということで葉巻の中で最も金木犀に近いと思うモンテクリストから、エスペシアレスNo.2があれば一番良いのですが、ダブルエドムンドしかないのでこれになりました。Aも秘蔵していますが、飄々と着火できるものはこれのみです。
 葉巻の中で、葉巻の中の花の中で、葉巻の中の花の中の金木犀の中でも最も金木犀に近いので、モンテクリストばかり年中燻らせていたら、今日は「今年のモンテクリストが咲きましたね」と言い間違えたかもしれない。
 久しぶりのモンテクリストの香は冷感を伴って脳髄に沁みますから、金木犀と全く同じ悲しみに似た効能があります。
 「秋の夜長」という言葉を思い出すと、ルシタニアスも恋しくなります。おかしな言葉です。

 ところが、この箱は実に吸い込みが悪く、せっかくの香味を台無しにしている。同じ箱に同じ巻き手の葉巻を入れるのをやめてほしい。
 それでも一口ごとに来る味わいは購入時よりはるかに高ぶり、もう多少の吸い込み難を許すほど高まってしまった。『吸い込みに合わせて呼吸法を変える技』を身につけろ、と思って自らいちゃもんを諌めてしまう。既に身につけたのか葉巻が美味しいだけなのかは判別不能。
 色々な葉巻に手を出してみると、結局モンテクリストにはコイーバと並んで突兀とした独特さがある。ハバナ土壌特有の味わいが濃いのに、乾いた味がすることなく底知れずしっとり湿り、何処かへ浮遊してしまうような品を持ち合せている。
 キャラメルに一番近いのもモンテクリストで、青空であれ夜空であれ空に最も近いのもモンテクリスト、白い粉を最も多く含んでいるのもモンテクリスト、ふと蕎麦を抓みながら山葵を突つく映像が浮かぶ。重厚にして軽快で爽やかささえある。紙のような新聞紙のような風味は、滅多に目覚めた事のない朝の、ゆったりした記憶まで呼び戻す。
 微妙さではコイーバにも勝っていると思う。
 この煙と窓に染み入る秋風との区別がつかなくなったら、もう何も言うことはなく、松尾芭蕉の口にこの葉巻を突っ込みたいというおおらかな気持ちになる。
 古池の句をずっと「古池」というふうにきちんと憶えていながら、句を知って以降つい最近までその映像はすっかり「古井戸」だったのである。おそらく池よりも井戸の方が蛙の飛び込む音がよく響くからで、井戸の中には池があり、池の周りに金木犀。井戸はもちろん葉巻なのである。
 口径により味がぼやけるかと思っていたし、実際に新聞紙味ということもあるし、オープンとエスペシアレスの間の子のエドムンドかと感じる部分もあるが、これはラギート並に力強くモンテ蛙が跳ねている。軽やかにぽちゃん。そして管見で空を見上げる。円くて青い。
 中盤から、金木犀も実物の木に寸分違わぬ出来となり、期待通りすぎて驚きがないほど。どうして、此方の方がちゃんと木の匂いもする。
 終盤おとろえはやく、残9センチで無味と化していがいがする。

 終盤はともかく、吸い込みが通って、さらにもう一年も経てばというところ、そういうものは狙ってもなかなか無いと思う。何故か無い。寝かせることしかできないし、そうではなくて、何故か無い。

 金木犀をキャラメリゼしたくありません?
|5” x 50|Atlantic Cigar|$15.11|重量:0(11.78g)|算出:+3|香味:+3|計6点|

 前回はボックスプレス・ロブスト、今回は丸型のチュボス・ロブスト。ダビドフのスライド式のチューボには思い入れがあるけれど、これは単純なスクリューキャップだった。

 スパイスを焦がすような香ばしさ、苦味も強い。ダビドフ独特の優しさでほっと包まれつつも、苦味は滲み出す。乾いた風味は弱く、旨味も少しあるので、物足りなさは感じない。
 最近始めたパンチカッターのせいか、片燃えが酷くて香味が安定しない。慣れないパンチのせいかもしれないが、どうも巻きもまた悪い。
 ダビドフ・マデューロシリーズは味気ない気がする(昔なので記憶は模糊)が、ニカラグアはマデューロの旨味不足をさらっと解消している。旨味が濃いわけではなく、さらっとしている。
 「クラシックの雰囲気を損なわない違うダビドフを吸いたい」という要求に応えるというか、クラシックとニカラグアの二択という場面が結構あるかもしれない。エスクリオやヤマサの面白さはないものの、完成度はクラシック並みに高いのかもしれない(巻きは悪い)。飽きの来ない香味なのかもしれない。
 もっともクラシックよりずっと強くて、恐る恐る燻らせていると全く花が出ない。恐れず燻煙を鼻に持ってくると急激に甘く咲く。
 ダビドフのラインナップとして、王道に座り込みそうな感じがある。
|RAG JUN 18|166mm x 52|cigarOne|€378.85/12|重量:+1(16.16g)|算出:0|香味:+2|計3点|

 届いた箱がロブストエクストラよりぐんと大きい。コイーバ 1966と同じサイズなのに、より大きく感じる。箱が到着してから加える桎梏まる三日以上真空に晒したまま、ようやく開封。
 開けてみると、おめでとう、目に艶な黄色金色の帯、匂いはそう強くなく、臭い連想系もなくて、何故か無着火状態でも甘い。

 序盤辛くない。序盤辛くないのが珍しい。トリニダッドでも珍しい。
 乾いた汗のような不味い風味があるのだが、それでもよく熟した甘みが奥ゆかしく湿ってもいる。乾いた汗のような不味い風味がある。奥ゆかしい甘みもあるが、乾いた汗のような不味い風味が続く。続いて欲しくないものが続く。
 2センチほどで、乾いた汗のような不味い風味があるのだが、薔薇が咲きそうになる。やや緑色の香。緑色が薔薇であるのは少し苦く渋い雑味に刺されるからか。薔薇が咲きそうになっているのだが、乾いた汗のような不味い風味がある。
 ややクリームが加わり、オーソドックスな赤薔薇がクリーム色の薔薇だとわかり始める。オーソドックスなる言葉の所為で、不味さから靴下を連想しないよう気をつけ始める。クリーム色の薔薇が咲き誇りはせず、此処にも乾いた汗のような乾いた不味い風味がある。
 一息に薔薇が退行して別の花が浮び始め、ふと、こびりつきそうな靴下もほぼ居なくなり、先ず緑が濃くなり花の正体を隠す。緑色の靴下珈琲にクリープを入れ匙で回したような渦巻きが見え、緑か青緑か、どうしてかトリニダッドなのにモンテクリストの風味を感じる。青薔薇色の空に金木犀が曇る。青薔薇色の空という遠景に金木犀の近景が映えれば良いのに、近景が曇って、遠景は遠景らしく覚束ない。
 花の芳しさ増す。緑も増す。花の色は緑に潰される。これは葉巻としては珍しい景色で、この景色がどうなるのか非常に気になっている。非常は本当に非常で、頭が痛くなるほどいま集中力を上げている。花はますます芳しい、しかし正体不明、緑はやや退行。緑が花に塗られたかと思いきや、緑の鉄分が迸る。ゼラニウム。
 この景色には、思えばずっと、幽かに何処かの蜂蜜のような、よく熟した枯葉の甘みが奥ゆかしく湿ってもいる。何処の蜂蜜だろう、蜂蜜は花だから、元の木阿弥のような気がしてならない。
 花の幽霊か。茎の幽霊か。
 此処まで清酒を併せていたが、一転しようとワインを抜栓しておると、コルクスクリューの隙に火種が消失する。消失までの間が短すぎる気がしたが、再着火するとシケモクどころか予想以上に色伊吹を返し、いま初めて美味しく、美味しく、美味しく、それでも幽霊に手を伸べて空を切る。
 葉巻の所為でワインの香味がよくわからないのだが、どうやら久しぶりにドンピシャ好みのワインらしい(?)。(Chateau Larmande 2010)
 葉巻がワインを高め、高まったワインが葉巻を少し高めたのかもしれない。
 幽霊に手を伸べて空を切る。花芳しく、クリーミーでありながら、ゼラニウムが効いている。
 ハバナ葉は土や革より明らかに木質で、やや杉を煮る。今になって杉が出始めたのかもしれない。少し酸っぱくなる。焦がし杉の味わい。
 中盤なのか終盤なのか葉巻が大きいのでよくわからないのだが、ますますわかりにくい香気が強まってきて、「樹齢四百年の杉盆栽」という存在しない物を手に取るような感覚を喜ぶ。
 この変テコな杉盆栽は樹皮やや厳しく、それでも爽やかな杉で、杉なのにゼラニウムや木犀や何やかやの花を可笑しく付けている。わらってしまう。
 モンテクリスト風の青緑はとっくに消えている。全貌はトリニダッドの形に纏まりつつはある。
 赤ワイン美味しい。なんだこれ。深く記憶に根ざしながら、浮遊する美味しさ、葉巻の所為で美味しさも不味さもわからない奥ゆかしさがある。
 ワインの奥ゆかしさには美人が隠れ、葉巻の奥ゆかしさには醜女どころか誰も居ない神々しい厳しさを感じ始める。神社に参ったような風味がし始めた。華厳の神社にして、足取りはやや軽い。
 この葉巻は、まさに全盛を序盤でもなく中盤でもなく最終盤にとっておくものなのだろう。最終盤への太く太く長い長い階段を登り詰めつつある。したがって登った先は槍の先っぽのように短くなる、どういうことになるのだろうか。
 ますます近づいていることは確かなのである。ゼラニウムの鉄と血が近づいている。
 登った先に厳かな社殿なく、狭い頂上はこじんまり地蔵、地蔵の背中の階段を下り、見知った杉の列を脇に下り、帰りはヨイヨイ急速に下り、ああカブトムシ、ああカブトガニ。ゼラニウムの自宅のベランダにどこでもドア。
 吸っていて苦はまるでなく、終りには辛味が呆れるほど元気で、かえってココまでの優しさを感じ、新鮮で、花や茎の正体はよくわからないままながらに靄は晴れてヨイトコサ。ヨイトコサの序盤。ヨイトコサの序盤にしてよくわからないが大団円。踊り手はまだ少しの汗。変な映画を見た時の心地を思い出した。そんな映画を見たことはないのかもしれない。見ていなくても、確かに変な映画と変な映画のコラージュ物である。
 難しい香味だった。明日は目覚めて頭が痛いだろう。人に読ませるべきでない頭の痛い文章が出来上がっただろう。全てを真空保管のせいにして、次に期待できなくない味わいだった。

 トリニダッドは10本入りではなくて12本入りなので、計算ミスに違いないものの、ややお得感がある。
|6 3/32超 x 43|NextCigar|$112/10|重量:0(??g)|算出:+2|香味:+2|計4点|

ごつごつしていると前回書いて、今日で2本目、やはりドローの悪い物にあたる。
「フレッシュシガーを全世界に同時にお届けするためにトルセドールを総動員しました」という事があるかないか、つまらない妄想をするのは私の頭のつまらなさだが、これがそういう妄想を引き出す物であることは確かなのであった。総動員といって、下手まで駆り出して巻いた物のような気がしてしまう。
こんなわけないだろ。
あるのか?
別の理由があるのか?
とてもおもしろい理由を考えながら笑いながら眠ることにしよう。
昨昼、初めてのパンチカッターが届いたので、主に使用していこうと思います。これまでの記事は全てフラットカットです。思い出して見ると、いつの間にか、ギロチンに指を入れてみたり、という事をしなくなっていた。ギロチンに指を入れなくなったらベテランの証かもしれない……(でも今は指を丸く刳り貫きそうになっています)
|6 3/32超 x 43|NextCigar|$112/10|重量:0(11.70g)|算出:+6|香味:+4|計10点|

 安かった。フットがアンカットのため、一本一本をビニールに入れられないバンドルらしいバンドルで、ダビドフ異例の裸ん坊。フレッシュシガーとして売り出されたはずだが、もう在庫整理(?)に供された古い物、二年熟成ぐらいだろうか。
 巻きは普通のグランクリュよりもごつごつしているように見える。並べて見比べていないけれど、ダビドフでは見た事がないぐらい、先っぽ以外の部分もごつごつしている。

 言われた通りフットを毟ってから着火すべきだったようで、着火に少し手間取ったが、毟る作業に手間取るより、燃す作業の方がおもしろいかもしれない。
 煙は軽さより柔らかさが強い。甘さと何かの存在が味気なさを齎さずに全体を膨らませ、柔らかさの中に白胡椒が効いている。軽い系統のダビドフは木の風味と言って差し支えない風味だと思うのだが、えぐみは少しも無くて、木は薄れ、松茸や黴や埃の方により近い。それを吸うに、閉め切った扉を開けた時のように、温気に漂う家財の椎茸ぬるく、煙自体に夏の密室=物置部屋を思わせるところがある。今日も夏みたいな天気なのでコントラストが溶けているが、今が冬なら、口の中で抜群の夏が膨らむ気がする。
 金木犀が緑色の香草とともに吹き出し始め、だんだん強く、ピークでは感動するほどに強まる。
 ピーク以降は、とくにおもしろいところはない。

 序盤から中盤にかけてーー花に菌が覆われてしまう前ーーの、ダビドフたる風味が明瞭な部分にて、「クラシック」と「グランクリュ」の違いを何か決定的な言葉で表してみたいと思っていたものの、それで二つには何か風味の違いが感じられはしたものの、「クラシック=軽」、「グランクリュ=柔」といった曖昧な言葉に結局終る。柔らかさが風味の違いと直結していたことは確かで、それはいつも一緒くたにしている埃と黴の違いのようなものだったのだが、他に巧い表現があるはずなのだった。
記事1行目の一番右側の合計点は、最大16点(好み+を除く)ですが、
16点を叩き出すには、条件三つをクリアする必要があります。

1 六百円以下
2 重量18.01g以上
3 香味点5

大体13点が限界のようです。

最低はマイナス17点です。

忍者ブログ [PR]