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  源氏物語「葉」
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|coh-hk|$141.10/25|2012/4/21・arr 4/27|
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|重量:14.62g|香:3.0~3.2 ave3.1|残4|

 11ヶ月ぶり、九年物のフアン・ロペス、目標まであと一年、残4本。

 計量するとロブストとしては重すぎ、カット後に空吸いしてみるとあからさまなドロー難であったが、あえて着火後に掘削機を使用した。
 何回掘り進めただろう、なかなかドローは改善されず、随分掘り続けて大量の葉を排出した。掘削機(PerfecDraw)の鉤に絡め取られた葉脈なども出た。掘削機様様だが、強度のドロー難ではすんなりとはいかない。(下画像は苦戦の結果)


 味はまずまず、九年を経て、依然魅力ある銘柄に化けるでもない。
 掘削機の先端が達していた部分に火種が差し掛かると急激に辛味が爆発した。

 爆薬が落ち着くと、いずれにしてもフアンロペスらしい悲しげな味わいで、ちょうど最近試していたニカラグア物によく似ていると思う。ニカラグアが近づきうるハバナはフアンロペス辺りで、フアンロペスはハバナの端っこに位置している、こういう位置感覚が浮かぶ味わいである。豊穣感のない木質で、更には小便を引っ掛けられる木のイメージ。小便は最近のニカラグアにはなかった特質だが、ハバナの美質とも感じられない。
 掘削機の使用で味わいが変ってしまうらしいのだが、基本的なフアンロペスの味がわからなくなることは多分ないものの、急に辛くなったり、掘削苦戦中には空気が熱くなったり(葉巻を揉むことで解決するとしても、揉めば再度詰まるから、揉んでも詰まらないほどに掘削を進めることでのみ解決する)、安定感に欠けるようにもなり、また変化の妙も失せるらしい。
 着火前の掘削なら弊害は抑えられるかもしれないが、その場合排出されるのは粉だから、掘削に時間もかかるし、粉の処理が大変となる。

 熟成の楽しみは消沈し、掘削機も万能でない、後者の方は何か名案を閃かせる必要がある。使用法としては、掘削機を回転させながら抜き差しする方法と、回転させずに抜き差しする方法の二つが今のところある。
 急に辛くなったりした部分は、よく考えると面白く、葉巻の理解に繋がりそうである。
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|Atlantic Cigar|$11.88/1(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|5 1/2 x 54|重量:18.37g (-0.59g)|香:3.0~3.2 ave3.1|残0|

 一口目からどこにも嫌味がない。庭弄りをやめて、掃除のみをするようになって十年を経た庭の安定感のような。あくまでも庭であるから、外から甘い香りが漂ってきて、これなんだろう、と思うようなこともない。
 藁も香るような気がするものの、倦厭の藁というより、米のお焦げの美味しさがある。醤油焼おにぎりかもしれない。甘さは控えめに米の素材から感じるばかりだが、けっこう甘口の醤油を使っているような気もする。もっともおにぎりの表面に刷毛で塗るだけなので甘くはない。
 乾きすぎずに晴れた快さが続く。
 灰を一度落としたあと、急速に金木犀化する。見事な場面転換で、金木犀で終われば急速にして依然凡庸だったかもしれないが、金木犀の木に果物が実る。酸っぱくないが香りからして柑橘系である。
 最後は柑橘の苦味が〆る。まだ最後ではありませんが。

 よく出来ていながらも特異な魅力はほぼなくて、シンプルな味わいで、しかし葉巻に柑橘をほとんど感じたことがないこの舌が柑橘を捉えた、これまさに特異じゃないかと思いもするのだが、全体としては平凡な安定感が優っている。棒のように自宅の庭に佇みつづけていた。これはオールニカラグアの葉巻であるから、私の庭はニカラグアなのか、いつからこの庭が私の庭になったのだろう、こんな庭は持った覚えがないぞ。
 おにぎりに化かされたらしい。

Wrapper Nicaraguan Habano
Binder / Filler Nicaragua / Nicaragua
Color Colorado
Country of Origin Nicaragua
|NextCigar|$221/25 (+¥200/1)|2019/6/25・arr 7/4|
|MOL JUN 18|5 x 33|重量:5.13g|香:4.3~4.6 ave4.5|残24|

 製造後一年経ったものが送られてきた。ネクストシガーでハバナを買う人は珍しそうだったので期待していた。三年ぐらいを期待していたが、一年でもぎりぎり十分なので、成功である。
 最近ネクストシガーは梱包も良くなっている。箱も開けられていない。文句のつけようがない。(箱を開けて虫食いなどを確認してもらった方が良いという考え方もあるけれど、一方では偽物と中身をすり替えるなどという微かな疑いが兆しかねない。)
 配送伝票の商品価格の表記も一応きちんとしているし、葉巻重量は書かれていなかったが、ここは多めに書かれてさえいなければまずまず良いという部分である。

 一度偽物を摑まされている銘柄なので、真贋チェックをしようと思い『確認サイト』()に接続するもできず。望むところである。真贋など味でわかる。

 一本取り出し、5.13g(リング付)と出た。

 本物はかくも重いのか。
 切ると、ドローが少し詰まっている。(ドローが普通なら4gかもしれないし、昔と比べるとバンド重量が2倍近くになっているし、税関申告に大きな問題はなかったはず。)途中詰まっても、これならパーフェクドローで簡単に通りそうである。

 着火前、どこをどう嗅いでも香りが少ない。箱を初めて開けた時もほぼ何も香らなかった。偽物と紛う程。
 それが着火後すぐ、コイーバに再開した。鮮明に求めていた味であり、もう八年越しである。久しぶりにして新鮮でもなければ懐かしくもない、コイーバの中でも最良の感覚。
 これより太ければ大らかに過ぎ、細ければ頼りなさ過ぎる。パナテラを吸ってもロブストを吸っても思い描かずにおれなかった別の『コイーバ像』が此処に結実している。理想を手に持ってしまっている。パナテラの欠落を埋め、ロブストの欠落を埋める老練な旨味が燃えている。
 しかし、なにが、いつ、実在の物を理想たらしめたのだろう。目の当りにして不思議に思う。昔からずっとこれが頭の中には鮮明に存在していた。(似たような話を何度か書いている気がします。)
 重厚な香ばしさの柔らかさ。まろやかでまったり広がる栗の舌触り。栗の味などしないが「コイーバ栗」が出現する。甘さは栗の素材の甘さを超えない。ごつごつしながら滑らかなミルク質の岩。香り高い辛味の刺激と嫋やかな苦味の香ばしさ。
 草花が栗の皿を彩り栗を潰さず引き立てる。
 真贋チェックの必要がない。圧倒的な本物である。
 細めのコイーバの特徴である黒い灰の色に通じるかのように苦味が乗っているが深煎珈琲やカカオ粉でこそあれ嫌味まるでなく、始終感嘆してしまうほど美味しい。一口一口まじまじとしてしまう。
 パーフェクドローは使わない方が良さそうで、美味しい時にはいじくったりほじくったりしては駄目である。
 味の乗った煙、味の乗った煙とは実におかしなものだと久しぶりに思う。一度失敗してからエスキシトスを買うのを躊躇っていた、それから今日までの期間、どれほどの無駄をしたのだろう。これさえあれば十分だというのに。終売になったら借金してでもストックしなければならない。
 ……ただ、残り24本すべてがこれより不味い可能性がある。とはいっても作曲家ならばいてもたってもいられず今夜中にコイーバを讃える歌を作り上げるところだ。

 新世界葉巻との差は歴然としてしまう。同じハバナで同格扱いされるトリニダッドのまろやかさが貧相に見える。いったいどのようにしてコイーバ用の葉は発見されたのだろう。マデイラ酒の話とか、偶然珍味が出現する話はけっこうあるし、コイーバにもそれがあって、秘密なのだろうか。

 残3センチのあたりで味が落ちる。ここでさえ異様に満足のいく煙を保つ。大きな葉巻ならば残3センチとなればほぼ死灰同然となるところ、その心配はあまりないかわりに、あっという間に此処に到達してしまう気もする。それでも、濃密な内容に、長く感じ、もうとっくに満ち足りて、これぐらいで終ってちょうど良い。じっくり味わってしまうほどにニコチン酔いも早くなるわけであるから。酔いを尻目に残2センチぽっちとなった葉巻が美しい重厚さと死灰のない味わいを復活させて逃げ去る。終了。

 立て続けにこればかりを欲するはずもないけれど、これが1200円程度となると、他の葉巻を買う理由があまりない。
ーー
翌日
 かなり中毒性があるらしく、今日もコイーバを燻らせたくて仕方がない。もう本当にエスキシトス一本で行けば良いのかもしれない。これから死ぬまでこればかりを欲し続ければ良いのかもしれない。
 先日のダビドフ7の、天国を思わせる、いよいよ鮮明な天国の濃さを思わせる寒気を催す妖しい風味とは対極にあって、地の味がする。地の味では4.6ptが限界だったのではないかと今は思う。しかも昨日の一本は平均4.5ptでありほとんど始終4.6ptをかすめていたのです。地の限界を地で行っていたのです。5.0ptは天国そのものですので、天国を思わせず、百年に一本出会えるというものですよ。死にますよ。平均点が低くても、出れば一発アウトですよ。

偽物記録

 一箱買った次の日に同じ店でもう一箱買い、二箱が同日に、別個に発送された。一つは横浜税関、一つは東京税関に到着した。
 前回アメリカからの荷物は横浜(川崎)でたじろいだのだが、今回は東京でたじろいだ。葉巻たちの不安な顔が浮かぶ。
 横浜からの葉書にはメアドが書かれていた(それでもFAXで対応した)が、東京からの葉書にはメアドが書かれていない。なお、東京の方は「FAXの前に電話してください」と書かれている(横浜は電話せずにFAXして良さそうである)。すると天邪鬼が顔を出すのかメールで処理してみたくなる。税関に電話した。
「メールでできませんか?」「メールの方が良いですよね」と言ってすぐにアドレスを教えてくれた。
 必要事項を打ってメール送信し、数時間後に意外にもメールを確認した旨の電話がきて、さらに一つ「個人消費ですよね?」「そうです」で終了した。
 以上は今回の主題ではなくて、タイトルもフェイクである。
 つまらない調べ物が得意ではないため、今まで葉巻重量に関して世の中がどうなっているのかわからず、ずぼらでいたのだが、今回、申告に当って、先ずコイーバ/エスキシトスの重量をきちんと調べてみた。
 手持ちのエスキシトス5本を計量した。1本目に3.92gと出た。以降は4本とも4gを微かに超える重量だった。当然、申告は3.92g x 25本で98gである。(バンドの重量を差し引くのを忘れた。)
 ここで思い立ってハバノス公式サイト?()で重量を調べたのである。(公式ではないらしい)
 「Seoane=5.01g」と書かれている。
 これほど小さい葉巻でも1本あたり1gの誤差が見られる。経験からしてもそんなところで、大きい葉巻なら3gぐらいの誤差は普通にある。
 問題はそこでない。
 計量した5本は、そういえば偽物認定している葉巻だったのだ。計量に夢中になって偽物であることをすっかり忘れていた。着火しない限り、偽物であることを忘れてしまう。
 偽物とて外観そっくりなうえ、本物として売られて、偽物である証拠もない。本物も4g前後だろうとも思う。
 到着してから、じっくり偽物と比べてみようと思う。重量や外観ではなくて、味を比べてみようと思う。味が一番面白いのである。かつて20本いずれも偽物と認定して、ダニが多かったのでビニール袋に入れて、使わないパイプ用具と共に大型タッパーに入れて常温で押し入れに放置し、放置から8年ほど経っている。一応加湿しておこう。
 思えば、どのようにして20本も消費したのかが謎である。全て不味かったはずだから、着火後すぐに消火した物ばかりだったとは思う。20回もしつこく試したのであったろうか。一本でも本物が現れることを恐れて、20回も偽物に顔面パンチを食らったのだったろうか、なんとしつこいのだろう。偽物の方が安心できるまでになっていたのか。
|NextCigar|$144/20|2019/6/24・arr 7/3|
|—|4 1/2 x 41|重量:6.77g|香:3.0~3.6 ave3.2|残19|

直射日光でカラッと乾いたようないつものダビドフの香り

スモールサイズのダビドフで当たった記憶はないのだが、そもそもそんなに量をこなしていないし、ウインストンチャーチルのレイトアワーではない方(このアーリーアワー)も知りたかったし、安いし、クラシックNo.3では小さすぎる場合も多々あるし。

着火後しばらくは辛く強い。白胡椒系の辛味で他の香味があまり乗ってこない。えぐみはないのでつらさは感じない。葉巻が小さいから、序盤がこう長引くと、あっという間に変化なく終盤に近づきそうである。
そこへ急遽差挾まれる中盤は、花やクリーム。これらが特別濃いのではないが、強さが腰を据えている。あくまでもクラシックなダビドフの質感を保ったまま強さを求めて出来上がったもの、単純に香味のみで判断するとこうなる。

急に水のように静かになる。花が水に沈み、何の味もしなくなる不吉な無風状態が来る。早朝の湖面の静けさから、ネッシーのごとくにか花がその色を変えて現れる。美事なカットで、そこはかとない浮遊感を伴うやや青色の花の香り。花に惹かれ、湖畔の草が俄かに囁きだす。質感はするするとしているが、蛇の甲羅のような強さが依然ある。
短いので根元の葉がダメになる暇もないのだが、良き香りがフェードアウト気味になり、強さばかり残って、残2センチで消火。

強さとスムーズさを両立している。ただ、ダビドフは小さいビトラで不利が生じるようにも思った。スムーズさとか、柔らかさとか、そういうところで齟齬が生じるような。クラシックを思わせるからなおさら。感動は生まない気がするが、これで良いのではないか。
クラシックな風味で、なおかつクラシックに反する強さを求めたあべこべな時に。

箱で買うべきはやはりレイトアワーロブストしかない。レイトアワーとアーリーアワーでは全くの別物と踏んで良さそうである。アリーアワーと全く同一の葉巻を酒樽で寝かせてレイトアワー化するようには全く思えない。レイトアワーが酒樽くさければそうも思えるのだが、全くそうではないし。もし同一の葉巻なのだったら、一体どういうことなのだろう、酒樽が神がかってくる。
飲み干した酒瓶に一本入れてみようか。ウイスキー、シャンペン、清酒……色々な酒瓶に10本ぐらい入れてみようか。なんともそういうことをしてみたくなる葉巻である、というのが今回の葉巻の最初の発見である。そのためにはまず秘蔵酒を飲み干さなければならない。つまらん酒に入れてもつまらん。
|cigarOne|¥24190/24|2018/11/11・arr 11/20|
|RAG ABR 18|5 1/4 x 44|重量:9.47g|香:3.3~3.6 ave3.5|残13|

 もう売り払ってしまったが、夏夜の闇の中、祖父の家の茂った庭に出た時の、やや小便臭いような湿った雨と草の匂いがする、中に立つ小屋の木の匂いだったかもしれない。小屋の中の鉄の油の匂いも混じっていたのかもしれない。まさかこの葉からこの匂いがするとは思わなかった。今現在の気候や時間も作用しているのかもしれない。海が近くて、日の出前に起床して寝惚けつつ釣りに行ったことなどを思い出す。
 今日は昼からラトローバを燃したい気がしていたのだが、もう夜明け近い時間で、同じトリニダッドで小さいものを選んだ。
 立て続けに新世界葉巻を燻らせた後、どう感じるかの興味で、小型の物よりも、いっそ新世界に負けない物をと思ってトローバがその強大な浮力で浮かんでいたのである。今日の飲物予定が清酒だったということもある。しつこく書いているが、清酒とトリニダッドの取りに合わせは頗る良い。

 安定のまめまめしさでピーナッツの殻などのように香ばしい。トリニダッドの場合、より煎る様な深みや旨みは増しても甘味はほとんど乗らない。ほとんど同時に花がまっすぐ風に乗って辷るようにトンネルを筒抜けてくる。トンネルの奥には明らかに満開の花畑が広がっている。その方向に進もうとしているのか、その方向に進まない奴があるだろうか。仮にその方向をbとしよう。逆方向は無論aではなくdである。煙が逆立ちすればそれはpやqの方向である。
 酸っぱい。なんでここで酸っぱい? こんな話初めて聞いたぞ。ばかやろう、早くb方向のトンネルを掘らんか。夢にも現実にも見た道だぞ。
 おい、dに戻ったか、まだ昼飯には早いぞ。落石でdが塞がっちまった、bだ、bだ、抜いたぞ、あとは穴を広げるだけや。おい、そん洞窟ん中で小便するなやぁ。ええ香りやろ? ま意外と悪いことないね。ほな! あかん、その辺で止めとき、切るで。おい、誰や、ブレーカー落としたの。はよ火ィ点け直せえや。
 おい、なんか焦げとるでぇ。杉チップの燻製かいな、早よ穴広げえや。そやさかいもう穴広がっとるでぇ。なんや明るい思うたわ。なんやこれ、bdpqやのうてcやないか。目明きやのに、どこ穴ほっとんの。uかいな、方向分からんくなったわ。宇宙遊泳みたいやらほいな気分やないけどぉ。cはいけんて。右左まちごうとるて。やなんか出てきたで。え、全部やないん? 穴の向こうで金木犀火事燃えとる! 吸え、吸え。この穴めっちゃいい匂いするやん。早よ穴広げえや、めっちゃいい匂いするやん。広げとうたら死ぬちゃうか、広げんでも死ぬんちゃうかあなぁ、同じことや。煙やばいで。焦げた感じが美味いから。お米んおこげみたいな旨いやつや。ほんま美味いなぁ、このまま死ぬんかなぁ。金木犀とお米とお焦げとピーナッツの殻かえなぁ、ミルク垂らしたらあかんわ、レモン垂らしたら。合うねんで? 煙やもん。
 安定で死者が生きとるんや。死者が美味しぃいつまでも息づいとるんやで。こんないいことないねんな。cやで。cのほかいらんねん。ヒーコ(コーヒー)くんなはれ。ばかいえ、清酒とけたらなんやかやや。いつまでも滞留しとんねな。そや。せやな。そやせやな。
 死に際めっちゃ美味いやん。
 bやな。
 いい仕事しとったな。穴開いたんや。
 開通ぅ〜開通ぅ〜。
 イカ痛はいいけどぉ、このイカ結構辛くていいな。
 イカすわぁ、ほっこりするわ。
 背筋伸びるんとちゃいまっか?
 トンネル狭いからなぁ、こんでも伸びた状態でっせ。
 まいっか。まいっかまいっかまいっか。大団円

 忘れていたが、前回のコロニアレスの記事を読み返すと内容は酷似している。おじいちゃんが登場するあたり。ハバナらしい美味しさをも実感した次第。ニコチン酔いというより、今や清酒が進みすぎてやや気持ち悪くなる。
|Atlantic Cigar|$8.04/1(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|6 1/2 x 52|重量:16.11g (-0.27g)|香:2.8~3.0 ave3.0|残0|

明るいラッパーカラー、普通の匂い。
これはロッキーパテルなのに曇り空に合わないかもしれない。あえて曇りの日に試してみる。今日も曇っている。
タバケロ同様、序盤は山葵の辛味が効いている。
辛くてイガイガしいばかり。
序盤を越えると蔓延る雑味が治まりやや味が乗ってくる。乗ってきても特徴は掴みにくく、完全なハバナタイプで、これなら素直にハバナを使いたい、日本ではハバナを買えるのであるから。
悪いところはほとんどない。ハバナに似せながら、当然のようにハバナより強く、トロサイズともなると終盤に差し掛かる前あたりで最早ニコチンに苦しめられる。苦しみながら終盤を味わってみる。

下記、購入店アトランティックのページからの転載なのだが、ラッパーカラーがどうも信用できない。使用葉は本家サイトにて同様の記述を確認済。

Wrapper Type Ecuadorian Habano
Color Colorado Maduro
Binder / Filler Pennsylvania / Nicaragua, Honduras
|Atlantic Cigar|$18.00/1(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|7 x 50|重量:15.79g|香:3.4〜4.2 ave4.0|残1|

 『Pasha Churchill』は二種類あり、この「Coffins LE」は一本一本箱入りで、箱の中で葉巻が杉に巻かれている。赤子をゆりかごと綿で包むような。丁重に取り出して杉を外すと、ラッパーのフットよりもさらに2センチほどフィラーが伸びて、だからか、どういう錯覚かわからないが、何故か思っていたよりも大きく見える。嗅ぐとブルゴーニュの石灰質の白ワインのような火薬香がして、他の臭気は杉がうまく吸収したらしく、あまり匂いがしない。
 フィラーがはみ出た部分を嗅ぐと藁や穀物の香り。はみ出つつもボサボサ頭(フット=足)が綺麗に切りそろえられている。

 つまんでみると、非常に柔らかく弾力がある。ゴムボールのような、葉巻としてはまこと非常である。過加湿状態で蒸されたか、それでいてドローはスカスカでない。

 はみ出た部分の味わいからしてすでに美味しいのだが、少し物足りない。火がラッパーに達した時、どういう変化が起こるのか。もし変化がわからなかったらどうしようと思ったが、杞憂である。予想よりずっと分かり易く変化した。
 ラッパーが腰ベルトのようになり、急激にドローが引き締まると、煙が激減し、醸造のごとき奥深い甘味が一気に増す。微量の煙に濃く重々しくも膨らみをもって味が乗っている。重い気球が軽々しく持ち上がるような。序盤に存在した藁がどんどん消えていく。ボサボサ頭のダビドフのグランクリュ・フレッシュロールではあまり気にしていなかったので、ラッパーの役目を初めてまざまざと体感した。一瞬にして超絶美味に化けた。
 今日の昼のロッキーパデルに比べるとはるかに美味感が強い。甘納豆系の滋味深いお菓子。豆の風味を生かして殺さない餡の甘さ。
 タバコのきつさはごく薄く、味が濃い。
 ハバナ感はほとんどない、あるいはハバナ豆の芯の吟醸の部分のみを受け継いでいる。籾殻や渋皮や焦げの香ばしさが、キャラメルでなく、真白透明な吟醸であるにもかかわらず醤油や味噌、大徳寺納豆に近く、それでかなり甘い。ここまで甘いものは久しぶり。もし煙でなかったら嫌になるほどの甘味である。さらには塩っけが無く煙の柔らかさが心地よくふわふわしている。マデューロに生じるような乾いた染みの感覚がなく、芳醇な醗酵がかすかに白くしかし黒く潤っている。
 灰はポロリしない。
 で、ちゃんと金木犀が来る。ここでハバナの記憶とはっきり繋がる。ハバナに近しいものだったのだと。こう来ると、仕方なくハバナを離れたというより、よりよい美味を求めてハバナを去ったという趣がある。
 ロッキーパテルほどではないにせよ、エグミの類は少ないが、飲み物が欲しくはなる。こういう場合、紅茶など渋みの強いものはいただけない。ロッキーパテルなら紅茶でも行けただろう、丁度ダビドフの紙巻が紅茶に合うように。(ダビドフの紙巻は最近終売になりました。)
 偶然なのか、今日は飲み物としてジャン・コレのシャブリを用意している。この白ワインはこの葉巻の着火前と同じ火薬臭を発している。(ジャン・コレのシャブリは3,000円以下で買える白ワインのお買い得筆頭株です。特級もセラーに備えていますが、二級シャブリにこそこのドメーヌの妖しさがあります。初めてコレを経験した時、美味しいとは感じなかったのですが、わたしは眠りの夢でこれの絹の柔らかさに延々魘されて、悪夢としては心地良過ぎ、目覚めつつ眠りつづけました。翌朝、変な物を飲んだと悟ったのです。)
 後半は醗酵物がなりを潜める。入れ替りにハバナ感が増す。またエグミを伴う。
 エグミが消えてくれるとダビドフ化する。これはこれでまた上質なのだが、一本でアメリカとハバナとドミニカを漫遊するのだが、たぶん個性はアメリカにある。実際の使用葉のエクアドルとニカラグアがアメリカへ併合されている。漫遊して戻ってくるのがアメリカで、序盤がアメリカで、だから前半が特に良い。
 バターのしつこさ。
 バターはバターで頼もしいが、しつこさを持続させず、終盤スパイスや辛味が出て洗われる。それも雑味的な濁流でなく、丁寧な柔らかい旨味をぎりぎり維持して美味しい。
 矢継ぎ早にエグミが木に化する。「木」や「土」や「革」といったハバナの常套句をここに至るまで感じなかった。つまりはまたここでハバナに近づいたのである。

 ダビドフ7やBHK54にはこの毅然たる温和をもってしても及ばないのかもしれないが(この葉巻の標準の限界を思わせる美味しさによってダビドフやコイーバの特異さがより顕在化する)、「ファミリー」と銘打たれているママ、見事にほっこりとして美味しい温かみを深く感じる。普段感じていない当然のもの、その偉大さを感じる。母の手料理がここまで美味しかったら、と思うが、時折母はこれぐらい美しい味を醸す、極時折だが。これなら箱買いも躊躇しない。ゴールディーはこれよりも美味しいのだろうか。

Wrapper Type Ecuadorian Habano
Color Colorado
Binder / Filler Ecuador / Nicaragua
Blender Bill Paley


|Atlantic Cigar|$7.59/1(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|5 x 50|重量:11.88g (-0.27g)|香:3.1~3.7 ave3.5|残0|

 梅雨に惹かれて随分久しぶりにロッキーパテルを、4種一本ずつ、高価な順に『プラチナム』『ハムレット・リベレイション』『ハムレット・25thイヤー』『ハムレット・タバケロ』、タバケロのみロブスト、他はトロを購入。

 ハムレットシリーズ、このシリーズはバンドの後ろ側バックル部分の『H』が格好良い。とくにタバケロは赤いHと緑地に金唐草の色合いも素敵で高級ブランドにありそうである。

 着火前の香はフルーティーな黒酢で、このような饐えた匂いは初めて。
 値段からすれば躊躇なく着火できるはずが、バックルや黒酢や待望の雨天やで、これを高級品として扱ってしまうこと5分ぐらい。

 序盤は山葵の辛さが鼻を突く。タバコは強いが味は濃くない。予期通り曇り空の下に合う、どこか痩せたような風味がすぅっと真っ直ぐ漂う。紙巻のダビドフマグナムにも似た雑味のない純粋な感覚で、強さをその綺麗さで隠している。
 温かみのある藁の風味が続くも、この藁は燦々として育ち刈り取られ束ねられたというよりも、玉露のように甘味が出るわけでもないが、やはり雲の覆いが感じられ、藁も薄味に湿り、スパイスが小雨のように淡く降りかかり、刈り取られる事なく咲いた藁の花にも露が含まれている。病的というよりも、食欲を増進させる風味、薬膳を思わせる。太陽の葉巻はラッパーも明るく、この雨の葉巻は「コロラド」となっているがラッパーもかなり暗い。芯まで暗くはないものの。
 精進料理にしてはやや贅沢で、花が増え、マデューロ風の熟した甘味が饗されるのだが、一瞬後、なんとその皿には野菜が開かれるのである。セロリ、青梗菜、人参。此処がこの一本の最高値で、最も芳醇であるところにおいても味が濃くしつこくならない。野菜の一瞬前、イチゴジャムを予期したが、素晴らしい肩透かしを食らった。
 精進でも風味は弥増しに、寺の奢侈が続く。変化の仕方に巧緻を感じる。
 金木犀には正露丸をとり合せている。
 藁の黄色に生気が戻り、露を含んだ青草に戻る。
 えぐみも依然なく綺麗なまま。
 香りがコクと化して喉にこびりつきはじめる。青草は再び麦化し、炊いた麦藁となる。しめの穀物、見事である。
 色々の変化も、麦やスパイスが主体というか、それらの変げで、特異な風味を見せるまでに陰刻深いながら、正露丸等が美味であるはずもない。けれど、かつて購入したロッキーパテルのすべてと傾向として似ているらしく思うし、1992ほど湿度が高くないにしても、雲の低い日が似合うというのは時として貴重に思う。
 正露丸は痛快だし、野菜は極めて美味だった。

Country of Origin Nicaragua
Wrapper Type Honduran Habano
Color Colorado
Binder / Filler Nicaragua / Nicaragua, Honduras

 先日「新型注射針型の下町発注云々」とひとりごちていたけれど、『PerfecDraw』なる武器の存在を知る。知らぬ間に知らぬ処で葉巻ドリル(掘り機)が誕生していたのである。ドロー難のおそろしさを叩き込まれているため、すぐさま欲しくなり、金に糸目は付けぬ昂揚でひと先ず日本の市場を探した。アマゾンで18000円と出て、意気は消沈したのである。
 アメリカで探した方が早い。
 糸目を切るというのは、送料ぐらい銭形平次宜しく投げてやろうということ。
 ブックマーク内の店を隈無く調べると1店のみながら売っていた。使ったことのない店であったが、日本発送可という点でブックマークされているはずである。
 早速、念のため、
「パーフェクドローは日本に発送できますか? 送料はいくらになりますか?」とメールした。
「日本へ発送できるよ。一本ならメール便で送料15ドルで行けるよ。欲しかったら言ってね」と快い返信を受ける。
 乱暴なメール便であれ送料15ドルならば文句なく平次である。商品本体に金属製らしきキャップが付いているようであるし、そう簡単に飛脚らが曲げられそうな物でもない。英語に若干違和感を覚えたが、
「ではすぐに顧客登録して注文します」と返した。
 急ぎ顧客登録して注文を試みたところ、違和感の正体が判明したのである。なんとPerfecDrawはポチりえず、購入者はメールでやりとりしなければならないのである。「欲しかったら言ってね」とはこういうことである。事前に販売ページをよく読んでいなかった。
 すぐに次のメールを打った。
「ポチることできなかた商品であたですね。どすれば買えるでか」
すると
「そうなのよ。でも私はあなたを助けることができます。顧客情報に住所とクレカを追加してね。あなたに代わって私が注文します」と来た。
 顧客登録時にそれら情報は登録済みであったから、
「登録しました。助太刀平次ありがとう」と返した。
 これで終わると思っていた。しかしドロー難に勝るとも劣らぬおそるべき試練が待っていたのである。私は購入を断念しようとした。私が私を捨てるべきほどの試練であった。
「完璧よ! 最後に、CVV codeが必要よ。あなたはそれを私に見せることができて?」
 ゾッとした。まさに試練の口調で、高飛車な口調で、言い放たれたのである。冒頭に「完璧よ!」という言語を持ってくるところが凄まじい。完璧なら終りではないか。なのにまだ先があるのか。
 英語のニュウァンスを捉えることが思いのほか得意だったという新たな発見があった、この事を諺でなんというのだったか、相変わらず諺は苦手である。
「CVVが必要なら最初に言っておくれよ、さすれば顧客登録からせぬものを、徐に追い詰めるやり方が気にくわん」とは言わず、
「You're trusted」
と私は言った。私ならぬ私が、打ち勝ってはならぬ試練に打ち勝ちえた。

 荷物の発送を待ち転瞬クレカ情報を削除した。削除したところでもう悪の壺中かもしれないが、実店舗もありそうだしポリスも捕まえやすいので低い高飛車な女もそう悪さはすまい。変なことをされたらカード会社も味方になるべし、などと佳き解釈をする。で一安心、終了したかと思った。
 低い高飛車な娘のせいでもはやビビリ症という後遺症を患っていた。注文書が送られてきてびっくり仰天、大いにびっくり。
「送料45ドル」
 送料15ドルと言ったではないか。
 すかさず抗議しようと思った。何も思ってはならないのである。メールが二つ送られてきていて、もう一つを読むと
「送料はギフトカードで30ドルマイナスにしてあるから気をつけてみてみてネ」と優しく書いてあるのだった。
 注文書の左下の隅の部分に小さく隠すように「30ドルマイナス」の文字あり、他はすべて右側に太く書かれていた。

 ……到着まで2週間近くかかった。終了。

購入店:Neptune Cigars
価 格:$29.95
送 料:$15.00

・・・

 到着後、エクスカリバー・マデューロで初使用した。ほんの少しのドロー難だったので、あまり深くしつこくは掘削しなかったのだが、大してドローは変わらなかった。ほんの少しのドロー難だったからだろうか、葉巻がデカ物だったからだろうか、掘削が浅かったからだろうか。
 デカ物の大きさに比べて、掘削した土砂の量が頼りない気がした。葉っぱがごっそり掘り出されるというより、粉薬少々という感じで、石臼で挽れたような葉がちょびっと排出されるのである。この微量粉を蕎麦粉に混ぜて蕎麦打ちでもしようかなと思ったほどである。

 小さい葉巻に効果覿面であるのは間違いなさそうである。
 大きな葉巻でも執拗にほじくれば効果は出そうである。
 とりわけ強力なドロー難の物に対して効果を発揮しやすいかもしれない。

 一番太い葉脈を引き抜き切った時の芋掘りの快楽にはまるで及ばないが、こうした失敗率の高い苦行後の快楽より、PerfecDrawの微塵粉に安定の快楽を求める向きもあるかもしれない。

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