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  源氏物語「葉」
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|thecigar|19.40CHF/1|2020/3/17・arr 3/25|
|―|5.51’ x 56|重量:16.05g|香:3.8~4.3 ave4.1|残0|



 「オヨ・デ・モントレー リオ・セコ」……なんだか競泳が始まるような語感。

 まろやかクリーミーな香の中にややふんだんに緑色の香料(シャルトリューズ酒)が垂らされ、爽やかな膨らみをもたらしている。軽いといおうか、豊富で、少し凝縮したら重いものになるであろうような、是即ち巻が良く、煙に微塵もストレスがない。雑味もほぼなく、あるかと思えば唆る胡椒であったり、あたかも思いのまま、掌のオルゴールのメロディーのように煙が甘美な粒子を誘って筒から出てくる。
 木なのか土なのか革なのかよくわからないように鞣され、またナッツなどのハバナ感もありながら襲っては来ず、やはりオヨー独特の「赤十字感」のあるものなのだが、鞣されつつもハバナの基本要素は一貫して揺るがず、ここに余計な変化がないのは美点である。鞣して円めた木土革の筒が花やクリームを満に咲かせる。さながら景色を思い起こさせるより、あくまでも掌の筒から、筒の中のものが現れるのである。しみじみとした不思議な筒である。一方で室内の壁を取り払うようなトリップ感には欠け、またコイーバを筆頭とする重厚なハバナ葉特有の充足にも欠けている。
 緑色の香料は、原生に還り、最後、鼻に水を通すような棘を現す。
 かなり美味しくも、どうしてかオヨーは赤十字を抜け出さず、空想を妨げる。しみじみとした滲み臭さも邪魔をする。もともとオヨーが好きな人はトリップするのかもしれない。ただ、この筒に空想は要らず、どうも筒自体が空想らしいのである。それが現に掌に在るから、現物が現物なのか、余計に空想じみてもくる。
 赤十字を引きずっているのは筆者だけで、思えば赤十字の特徴である病院臭さはなく、かつて知るオヨーとは全く違う、色濃く艶やかな寒色系グラデーションの、ふくらみのある味わい、「こなれた鮮度」とでもいう、古いのか新しいのかよくわからない感覚の虜になりつつある。始終、湿ってから乾いた砂糖がこびりついていたのも忘れられない。喫煙中は少々馬鹿にする気持ちもあったのか、極端に美味しくは思えなかったのに、何度か思い出すだにだんだん極美味なものとして脳に定着する、変則的な媚薬だ。
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