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  源氏物語「葉」
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|thecigar|14.90CHF/1|2020/3/17・arr 3/25|
|—|4 1/3’ x 50|重量:10.10g|香:4.2~4.5 ave4.4|残0|

荒野でスリップして尻餅をつき、尖った石もゴロゴロしているが、あまり痛くなかったような柔らかさ、後日痛みが微かに出てくるも、あの餅のような荒野が忘れられなくなる。きなこもちはきなこもちでも、餅自体がきなこ味で、粉は荒野に育つ豆類である。それは涙型のアーモンドなんかに似ている。形はまさに涙で、これが乾いた土地の滴なのである。現地では、この餅にさらに草粉をふったりする。草といっても触ると花のような黄金色を呈する珍しい草で、研究も進んでいないが、誰でもわかるように擬態とは全く違い、触れた者を去らしめずに後戻りさせ「吾在此処」として注意を引く性質である。引っこ抜いて持って帰ると、という言い方はおかしく、この草は抜くとすぐにアルコール発酵を始め、間も無くエステル香を発する。ラム酒に感じる果実香によく似ている。これだけでもたいてい驚くのだが、さらに驚くべきには、発酵すれば糖が失われるであろうのに、なぜなのか甘さが増してくる、そういう分子反応をも呈するのである。この甘さが糖でないことは明らかだが、液状に感じる甘味の露が出たあと、またまた懲りず驚くのであるが、甘味が綿飴状に膨らんで、と思うと矢継ぎ早、透明で真っ白な綿飴が、思い出深く拝借前の色に染まるのである。つまり緑色や黄金色や茶色の綿飴のアフロ、そうもはやこれは綿飴を通り越してアフロとしか言いようがなくなってくる。誰しもそうなるらしいのだが、めくるめく変化に茫然自失していると、ふと、アフロが乳化を始めるではないか。これが手の上の出来事なのだからびっくりし通しで、なんだか金木犀とかバターとか卵とか小麦粉とかでお菓子を作るようなことが、掌で起るのである、文字通り勝手に。この草だけで食うに困らないな、三食これでいいや、と思ってはいけないと現地人は言う。そういう人はどんどん痩せ細って死んでいくそうである。しかしそのように幻想の虜となってしまう旅行者も多いらしい。赤い花が見えるか?と現地人は訊ねる。探してみたがはっきり見えなかった。現地に咲く赤い花にも、これは擬態するらしいが、その赤い花を見たことがない人には見えないらしいのだ。(次の日に赤い花を見に連れて行ってもらった。「高貴な奥方の衣装」という意味の名の花で、たしかに雌蕊を取り巻く花弁が複雑な絹の羽衣のように見え、雌蕊を美人とは言えなかったものの、なんだか記憶の奥底にある、千夜一夜物語に覚える懐かしい絢爛といおうか、素朴な奢侈が印象深いのであった。)赤い花の蜜の匂いはたしかにあった! 太陽が空に溶け出した、満天黄色に変った空の下、人こそ白根、夏はきにけり、葉っぱのメリーゴーランドが、自分を軸にして回るようであった。そう思ってみると、矢継ぎ早に回る速度は緩慢と感じられて、これこそが緩慢とした日常だと思われてくる。これを日常と思ったらいけないのだと現地人は嗜める。それは虜だと。目を覚ませ、といってビンタをしようとするのを、私は笑いながら、花冠をかぶったボクサー気取りで巧みに避けていた。だが現地人の苦い爪が頬を掠ったのだ。私は頽れて地面を舐めた。ほの苦くてとても美味しい地面であった。この地面は花の粉でほとんどが作られているという。なるほど、そうこなくっちゃ、地面が涎に濡れ始めると、ますますコクを増す地面が横たわっていた。気づくのである、現地人は私を守ろうとして、殺すつもりなのだと。(だが次の日、赤い花を見に連れて行ってくれた。)朝、炭で炒った、花の土の朝食が出来たよ、と言われて起こされた。炭の風味に感激して、現地人の家族が全て偽者に思われてきたのである。彼らが朝食にても幻覚じみた昨日の続きを演じていたからである。朝で彼らの主食がわかる。どうやらアーモンド状のあのナッツが主食らしく、朝になってようやくそれをふんだんに食べたのである。炭の風味がアーモンド風の香ばしさを、永住したくなるほどに高めていた。

一昨日も変な芋の夢を見たが、今日は180度ほど違って現地にトリップした。エキゾチック点という評価点があればこちらの方が上を行っている。芋は他国産であれ日本の味に近い。安定度を予測すると、こちらの箱の方が遥かに上であると思う。さすがER、銘柄特有のインパクトは有名銘柄ほどではないものの、当然の如くグロリアクバーナの極上を走っている。喫煙中はモンテクリストとボリバーの極上物の姿も浮かぶ。旅行代としては安すぎるが、芋と違ってあまり日常向きでない。芋なら毎日食べたくなるのだが、しかし指が火傷するだけの価値はある。
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