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  源氏物語「葉」
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|cigarOne|121.60/20CHF+¥120≒¥790/1|2020/2/16・arr 2/23|
|MSU AGO 19|3.5’ x 50|重量:8.41g|香:4.4~4.5 ave4.5|残6|

 D6では過去最高のカット感、同ドロー。
 風味よく柴ついた甘味、土から鮮度高く掘り出される土臭くもほの爽やかな里芋、爽やかさを悲しくも増長する花をはこぶ風、鋭くオブラートを纏って吹き込むおろし金の辛み、温かさを増すふかし芋、桜色の藤の花の温気、春鍋の胡椒、柚状の柑橘の酸味なき皮の趣、夏を飛び越えた金木犀、巻きが良ければかくも様々な風物がよぎるものかと感嘆する。巻きが良いだけでこうなるのか、D6然とした、凄まじい安定がある。あらゆるD6の思わせぶりな趣がただ此処に結実している。
 すき焼きの麩に小さな花びらを散らす、麩は淡白で、まだ砂糖醤油をあまり含まず、持ち味として軽い。花が軽さの美を高める、麩は人をけっして藁を食う馬とはしない。花がどんどん舞い上がるほどに土を隠すものの、艶やかさの下支えは屹と安定している。それも、土が木と化するほどの量の花だ。どうしてか、胡椒はダビドフクラシックの終盤に似た出方をしている、より強烈な花胡椒。強烈にして軽妙、含み香に何が有るのかわからないが、そもそも何も無いのか、既述のほかに。既述も十分怪しみに足り、「卵」を「苺」に寄せていく化学調味料の配合実験のごとき記述しかなし得ないもどかしさこそD6なのだ。いわばD6を記述できないのだが、これがD6でないとすれば、さらに驚きである。
 苺としては全く不甲斐ない、大抵甘味の足りないばかりの苺に似てはいる。しかしこの苺の甘味はそれで十分よい。時折ふっと苺の蔕がよぎり、それがたった一度であるのもよい。苺に嵌られた胡麻は無い、それではや最後、ナッツの渋皮にして旨味あふれる風味が大展開される。苺を林檎と言ってもよい。思いたければ、多量の果実をも含み、しかしナッツを掻き分けて現れたるは、所詮、最高級の芋という事である。芋こそ誉にふさわしい。ごつごつした芋の品評会のテーブルに、誰が生産者か、芋とは風態の異なる葉巻が一本置いてある。挙句、こんな風態めが農林水産大臣賞を受賞したという、2020年の芋品評会の伝説である。なんでも、一口含むだに、米とは思えぬことで有名なあの大吟醸酒も顔負けの、芋と思える花香果実香が評者の顔を覆って小一時間は離れなかったという。
 残りの6本はどんなに環境良く育ててもここまでの物にはならないと思え。終盤まであっという間の短章の甘美。根元、なんとも芋に金木犀が甘やか。某巨の胡椒を忘れるな。重厚にして極端に軽く、指が焦げるだけの価値がある。
 これは巻の良さだけによるものなのか? また、短いから、悪い所を見せずに終るのだろうか。ほとんど、シガリロ時代の昵懇の風味もに加え、プレミアムシガーで初当りを引いた時の感激をも再燃し、さらにこの箱に積った鬱憤を晴らすが如き高みをも低く低くじっくりと飛翔している。鷹匠が繰り出す鷹の低空飛行のように完全に制御された、羽のはえた小虎。風に煽られる様子が一切なく終る。
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