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  源氏物語「葉」
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|La Couronne| ($496+$36.84+¥10,700)/8=¥8,700|2020/1/17・arr 1/28|
|ATE SEP 19|6 1/8 x 55|重量:17.31g|香:4.1~4.6 ave4.5|残7|

 今年最初の購入品。高かった。
 某葉巻屋のお知らせで正体不明の一目惚れをしてしまい、あまりに高額だったため、安く売る店を探した。レマン湖の畔に二割五分引きの品を見つけたものの、いろいろな加算で結局のところ高額な物は高額である。
 写真で見る華美な箱の中身はチャーチル系に毛が生えた程度の物なのかもしれないと怯えつつ、意外や写真ほど華美に感じなかった箱を開けて着火してみると、美事、最初の千里眼、一口目で甘さ滴る。

 若々しい辛さもありながら、甘さも辛さもクリスタルの湖のように純で、果てしなく、小舟の揺れに身を任せつつろくろっ首のように舟縁から顔を覘かせたりしていると、底知れぬ底辺りに花の揺らいだのが見えたりする。湖面が細やかに揺れて花を切る。このままドボンして湖底探検に至るとあれば常套すぎる。
 そのはず、クリスタルの表面は人の侵入を阻害し、甘さ既に湖面上にあって湖面上に金縛る。硬質に切り切りした辛さは沈まず、ハバネロを立てる湖の同じ表面に、葉の形も純で、半永久に凍結しようとする眠たげな落葉が無理に解凍され目覚めた鮮度を感じ、未だ焼けず氷に篭ったままとも見える美しさである。
 辛さが丸く切れると、前後してインカの湖のスパイスが香り、一刹那の間に甘露を吸収して心地よく甘たるいスパイスとなる、と矢継ぎ早に純生クリームが相乗する。
 湖辺から香るのか、木犀は赤みのない黄色で、純生クリームをカスタードに変える卵は黄身が白い。グラス草は窒素冷凍の速さでもとより蜂蜜化とクリスタル化をして饗される。兎に角、ここまで、甜菜糖を焼いて融かしたシロップが、うっすら雪景色のように満遍なく積もったようである。温かみのある雪の甘さが不思議で、焦げを知らないようで、いつまで焼いても只管融けるだけで透明なままの甘さ。湖天は晴れて甘雪。
 この得体の知れない甘雫は次第次第「驚」に変るほど安定しているものとわかり、透明さゆえ不審な点が一切見当らず、なにかで濁るとも、濁りもみな透明な甘さを湛える。濁りも明るく透過し、粉を覚えず、形を崩さず、鮮明で、氷の中のように新鮮である。これは濁りなのか。
 灰は脆く笹くれ落ちて舟底をよごすものの、灰の美しさなどもとより不要なのであったろう。「灰」の美しさというのは、灰ではない物の美しさの喩えなのであったろう。
 もし1ポーションのフレッシュクリームがこの湖に渦巻けば架空のポポーが完全に実りそうである。
 水筒の中身は緑茶。いつもは、緑茶にしても、増して紅茶など、イガイガしさを増やすばかり(ダージリン好みなら尚更)だが。飛魚が舟に跳ね入るわけもなし、肴は疾うに論外として、今日はアルコールもいけない。香味の強い液体を純な湖に垂らせば混ぜるな危険をおかす愚の骨頂となり陶酔に自ら水を差す行為である。水を飲むのは良い。それでも、薄薄危険とは思いつつも、ちょっとした好奇心で美酒を垂らしてしまうものなのである。そろそろ好奇心を消し去っていて良い頃合いに居たのではなかったかと自戒するが、不思議な湖が存する限りまた同じ過ちを犯すだろう。アルコールの物理的な酔いも悪く余計な陶酔をもたげる。しだらない朦朧体より、正気に見る幻影が艶やかである。アルコールはその苦味が白鳥を食う烏のように目立ってしまいもする。
 重い物が浮く幻影なら知っていたが、今日は軽い物が重さを重ねるように感じる。ようやくの湖底探検に至って舟ごと湖底に沈むのか。重さの姿は消えている。
 衰え兆すも船酔いなく景色明媚なまま。
 この馥郁たる甘露は異常世界よりも白昼の妄想によく似ているのである。


 ロメオの持ち味を殺さずに最良化された、ロメオ版のBHKのようだった。ハバナではここまでの高価さを信じて良いらしい。

 思えばレマン湖の畔から取り寄せたのであった。事前にGoogleマップで探索すると、風光明媚な場所にある夢のような店舗で、どうしてもこの店で買いたいと誘われた。路地を挟んで向かいのホテルに泊まりたいとも誘われた。バーコードのところが切り取られていたり、記載悪で税関で箱を開けられたり、箱が大きすぎて緩衝材の処分が大変だったり、誰がやったのか箱がテープでミイラ化されていたため開梱に30分を要したり、数々問題もあるのだが、葉巻の品質には美しい湖を感じるばかりなので、後日さっそく2回目の注文をした。注文番号の差から単純計算すると、毎日かなりの個数を捌いている世界的に人気の店舗らしい。
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