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|gestocigars|(331.50CHF+ship36CHF)/20≒¥2000|2019/12/17・arr 12/27|
|UTL ABR 18|130mm x 49|12.55g|香:3.4~3.9 ave3.7|残19|
出会い頭の草は黒ビールに感じる草(ホップ)の感覚に近い。黒さからは想像し難いところの意表をつく。それでも練り込まれた黒焦げの味わいが見たまま現れるのと同じで、モルトの焦げをキャラメルに置き換えつつ、舌ざわり土っぽいコクが現れる。
「普通のモンテクリスト」ではないかと訝っていると、強さがすぐに来る。強さは荒れ、味わいを伴わないため、味の濃度は変らずも対照として薄くなる。
以前2本試し買いして、デュマスとマルテスが荒く、レイエンダが落ち着いていたのでレイエンダのみ箱買いしたのだが、結局こうしてデュマスも箱買いしてしまったのである。案の定というか、荒さがある。試験は成功していたわけである。周りの評判が結構美味しそうなので私の方こそ試験に失敗したかと思って、周りを信じたばかりに、私の試験を責めたばかりに、また荒さを喰らった……というほど今日の一本は荒くない。
試験時ほど荒くなく、ちゃんとモンテクリストの味もある。前はモンテクリストの味もあまり感じられなかった。ただし現在これを「凄いモンテクリスト」とは言えない。
しかし、金木犀が匂った途端、「超絶美味」の片鱗×3のようなものが現れる。不思議、不思議でもなんでもないのかもしれない、まるで舌が馬鹿になったかのようにその途端の一口、たったの一口が美事に化ける。「変化」は今まで「一口目と二口目の香味が違う」という意味だった、これまで全てそうだった。今日は一口の内で化けた。煙を含み、ほろりと転がし、そうする最中にも徐々に口の外に煙が漏れる、そうこうする20秒程度の間に、阿修羅のようなすっかり違った三つの顔を見せられ、「超絶美味」と言ってしまう。一口で三口分は変化した。それも連続の三口というより、およそ十口ぶんの距離感のある。
初めカスタードの居ない金木犀だったのが、煙を吐き終る頃にはたっぷりカスタード入りの金木犀に挿げ変っていた。というと大して凄くなさそうなのだが、この一口の間だけ何故か荒さがすっかりなりを潜めて、分厚い雲間に北極星のみが見えたような、葉巻の地軸に天国を見た思いがしたのである。天国を軸に荒さが回っていた。物凄く静かな美味しさだった。
一口は長続きしないものの、北極星に薄雲が掛かるくらいで持続し、雲が厚くよぎればまた薄雲まで回復する。夜の雲を眺め続けている気分にさせられる。鮮明な一点の星のみを見つめつつ、その周囲に幽かに気を散らす。光は目に儚く映るも巨大で、葉巻という地球の産物にして太陽を無視するかの如くである。しかし北極星は「たまたま地軸の先にあっただけ」でありながら、「たまたま彼処にあっただけ」という物体の偶然性の鏡となれば、いわば人類の手垢を塗られた偶然であることをやめず、その一点は反射し翻って目の回るような太陽の瀟洒さへ落ち着くのである。
という感じの味がします。薄らまざまざとしてこの金木犀は瀟洒です。
お供:『ノースコースト オールド・ラスプーチン ロシアンインペリアルスタウト』(要するにアメリカの9度の黒ビール)
以上が前半です。
以下後半。
前半で終われば良い気持ちなのかもしれないが、気持ちを切り替えて、夜空を見上げないようにしたい。夜空を見上げる奴は馬鹿だ。
だが、たいして付け足す事もない。そもそもこの葉巻は吸い込みが悪いのである。だから星が一つ見えたりするのである。一般的なモンテクリストの味で、それが濃醇化されてはいる。徐々に強さ荒さを制するほど味が濃くなっている。しかし煙道が細い。焦げの香ばしい風味が爆発しそうにもなる、それでも空気五分入りの風船である。パン、キャラメル、土、……今まで使ったことのない名詞はとくに出てこない。探せば見出せるのかもしれないが、そういう物を探す趣味もない。いつもより美味しいモンテクリストだった。にもかかわらず不発感が残る。爆発したとしても、目新しい言葉は出てこず、幻想の内容と感動の度合いが変るのみだと思う。要するに素晴らしいモンテ味で、モンテ嫌いな人は吸うべからずと言いたくなるところ、モンテ嫌いかどうかの最終判断として喫することをおすすめできる。モンテの粋を完備しているので、あんたがモンテだと思っていたものが此処には無かったり、あんたがモンテ以外のものだと思っていたものが此処に在ったりもするかもしれない。
最後、味わいが薄荷様に白け、モンテらしい青緑(今日は此処まで忘れていた)を見出せる。夜明けの蒼天のような。明けるとかえって土色が見え難くなるのが葉巻の風情かな。土を想像のみの産物として。そう、地球には土なんか一粒も無い。土は夜の夢。
地球が嫌いな人はひとまず葉巻を燻らせよう……夢みがちに嫌いな人は……地球を夢として好きになれるかも……すべては言葉でできている……言葉は夢しか見ない……
|UTL ABR 18|130mm x 49|12.55g|香:3.4~3.9 ave3.7|残19|
出会い頭の草は黒ビールに感じる草(ホップ)の感覚に近い。黒さからは想像し難いところの意表をつく。それでも練り込まれた黒焦げの味わいが見たまま現れるのと同じで、モルトの焦げをキャラメルに置き換えつつ、舌ざわり土っぽいコクが現れる。
「普通のモンテクリスト」ではないかと訝っていると、強さがすぐに来る。強さは荒れ、味わいを伴わないため、味の濃度は変らずも対照として薄くなる。
以前2本試し買いして、デュマスとマルテスが荒く、レイエンダが落ち着いていたのでレイエンダのみ箱買いしたのだが、結局こうしてデュマスも箱買いしてしまったのである。案の定というか、荒さがある。試験は成功していたわけである。周りの評判が結構美味しそうなので私の方こそ試験に失敗したかと思って、周りを信じたばかりに、私の試験を責めたばかりに、また荒さを喰らった……というほど今日の一本は荒くない。
試験時ほど荒くなく、ちゃんとモンテクリストの味もある。前はモンテクリストの味もあまり感じられなかった。ただし現在これを「凄いモンテクリスト」とは言えない。
しかし、金木犀が匂った途端、「超絶美味」の片鱗×3のようなものが現れる。不思議、不思議でもなんでもないのかもしれない、まるで舌が馬鹿になったかのようにその途端の一口、たったの一口が美事に化ける。「変化」は今まで「一口目と二口目の香味が違う」という意味だった、これまで全てそうだった。今日は一口の内で化けた。煙を含み、ほろりと転がし、そうする最中にも徐々に口の外に煙が漏れる、そうこうする20秒程度の間に、阿修羅のようなすっかり違った三つの顔を見せられ、「超絶美味」と言ってしまう。一口で三口分は変化した。それも連続の三口というより、およそ十口ぶんの距離感のある。
初めカスタードの居ない金木犀だったのが、煙を吐き終る頃にはたっぷりカスタード入りの金木犀に挿げ変っていた。というと大して凄くなさそうなのだが、この一口の間だけ何故か荒さがすっかりなりを潜めて、分厚い雲間に北極星のみが見えたような、葉巻の地軸に天国を見た思いがしたのである。天国を軸に荒さが回っていた。物凄く静かな美味しさだった。
一口は長続きしないものの、北極星に薄雲が掛かるくらいで持続し、雲が厚くよぎればまた薄雲まで回復する。夜の雲を眺め続けている気分にさせられる。鮮明な一点の星のみを見つめつつ、その周囲に幽かに気を散らす。光は目に儚く映るも巨大で、葉巻という地球の産物にして太陽を無視するかの如くである。しかし北極星は「たまたま地軸の先にあっただけ」でありながら、「たまたま彼処にあっただけ」という物体の偶然性の鏡となれば、いわば人類の手垢を塗られた偶然であることをやめず、その一点は反射し翻って目の回るような太陽の瀟洒さへ落ち着くのである。
という感じの味がします。薄らまざまざとしてこの金木犀は瀟洒です。
お供:『ノースコースト オールド・ラスプーチン ロシアンインペリアルスタウト』(要するにアメリカの9度の黒ビール)
以上が前半です。
以下後半。
前半で終われば良い気持ちなのかもしれないが、気持ちを切り替えて、夜空を見上げないようにしたい。夜空を見上げる奴は馬鹿だ。
だが、たいして付け足す事もない。そもそもこの葉巻は吸い込みが悪いのである。だから星が一つ見えたりするのである。一般的なモンテクリストの味で、それが濃醇化されてはいる。徐々に強さ荒さを制するほど味が濃くなっている。しかし煙道が細い。焦げの香ばしい風味が爆発しそうにもなる、それでも空気五分入りの風船である。パン、キャラメル、土、……今まで使ったことのない名詞はとくに出てこない。探せば見出せるのかもしれないが、そういう物を探す趣味もない。いつもより美味しいモンテクリストだった。にもかかわらず不発感が残る。爆発したとしても、目新しい言葉は出てこず、幻想の内容と感動の度合いが変るのみだと思う。要するに素晴らしいモンテ味で、モンテ嫌いな人は吸うべからずと言いたくなるところ、モンテ嫌いかどうかの最終判断として喫することをおすすめできる。モンテの粋を完備しているので、あんたがモンテだと思っていたものが此処には無かったり、あんたがモンテ以外のものだと思っていたものが此処に在ったりもするかもしれない。
最後、味わいが薄荷様に白け、モンテらしい青緑(今日は此処まで忘れていた)を見出せる。夜明けの蒼天のような。明けるとかえって土色が見え難くなるのが葉巻の風情かな。土を想像のみの産物として。そう、地球には土なんか一粒も無い。土は夜の夢。
地球が嫌いな人はひとまず葉巻を燻らせよう……夢みがちに嫌いな人は……地球を夢として好きになれるかも……すべては言葉でできている……言葉は夢しか見ない……
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