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  源氏物語「葉」
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|gestocigars|152CHF/10(24CHF/10+¥2200/10)|arr 2019/9/4|
|GAT AGO 12|5.12’ x 55|14.27g |香:3.6~4.4 ave4.2|残5|

 この熟成葉巻は購入当初からもう力強さが乏しいが、今日は力強さが改めて湧いて出てくるようなところがある。中盤で微かにその力強さを感じた途端、金木犀が噴き出し、金木犀は以後まったく枯れぬまま、金木犀に何らかの甘美を差したり引いたりし、金木犀主体として続く。力強い辛味がまた現れたり(辛味はキレが良く、いつも瞬時に消える)、洋酒や上出来な醸造酒のエステル香にも通じるアルコールを髣髴とさせる芳香が現れたり、カスタード状の滑らかさが湖底に透かし見えたり、雑味はすっかり洗い落とされ、延々美味しいものである。どことなく静けさを纏い続けているのも熟成物らしいというよりロメオらしい。そのうち湖底にポポーが実るかもしれないが、現在この葉巻に森や緑の感覚があるかというと皆無に等しい。思えば藁などの風味も感じ難く、土や木の風味こそ戦ぐものの、ひたすら静かで華やかである。絵画でいえば全面モネの花っぽく思われ優しさで覆われ、同じく顔に泥を塗るような隠れた刺激を持ち合わせている。
 この一本でまざまざと現れた「金木犀と辛味との関係」に興味が湧いてくる。焼いて甘味を増す葱のような関係があるのかもしれない。兎も角味覚上、素晴らしい煙で、辛味は終盤で頻出し間断なく連続するようになり、葱や大根に通じる辛味が黄色の花々で塗り込められ、最終盤に至ってなお抜群に美味しい(辛い大根おろしを食べた後の紙巻煙草の美味しさにも近しい)。終盤で吸い急がせるようなところもなく、忘れ得ぬ一本となりそうである。

 全然関係ないけれど、ハンマースホイの展覧会が来年年初にある。忘れないように此処にも記す。
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