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|gestocigars|(467CHF+ship36CHF+tax¥13600)/20≒¥3500|2019/3/18・arr 3/25|
|UER NOV 18|165mm x 55|19.35g(-0.31g)|香:4.2~4.5 ave4.4|残17|
レイエンダは2本買った後に20本買ったから、これで22本中4本目。当箱の3本目。残18本。
今日は金木犀が香ったので、木の方へ誘われて蕾を見た。例年以上に盛んだった蝉は前台風の後にすっかり消滅したものの、鈴虫は昨日の台風一過直後に鳴き始め、金木犀も鈴虫に倣ってほころびそうだった。
金木犀ということでモンテクリストの上品を取り出す。
リネア1935にして19.35g。これこそがレイエンダの最良の一本であると思わない人がいるだろうか。19.34のものと19.35のものがあって、どちらかを選べと言われて19.34を選ぶ人だけが「だからどうした」と言いうる。だからどうした。
外貌はやや酸っぱい匂い。空吸いすると味噌漬けの藁のようで、味の濃さが伝わってくる。
むっしりした吸い込み。これより少しでも詰まると固いと言いたくなるぎりぎりのラインで、葉巻をつまむと弾力あり、その指の感覚がドローにも通じているようである。
着火すると味はすぐに濃く甘く整う。モンテ風味のコイーバというような重厚さ。それも調子が良い時のコイーバ。茶色い葉の味わいの厚みが桁違いである。あくまでもモンテクリスト風味が厚い。その中で、夜明けのように、これもやはりモンテらしく白みがかってくるものがある。
しかし白みに襲いかかる黒みがある。夜に引き戻そうとする時間の重力がある。ものすごい煤煙の旨味、文字通り焦げたように香ばしくも澄んだ炭の味わいがし、なんなのかよく考えていると炭を擂鉢で三年間も回し続けたものらしい。それが乳化なのか幽かに油のようなねっとりした質感が出る。
むっしりとして煙の量も豊富である。
悠揚迫らぬ調子でココナッツが顔を出す。鮮明な変化にして、かつて現れていたものは消えず静まり、新たなものが顔を出しては、また消えずに静まる。静かなものたちが薄い横顔を現しつづけ、複雑というにはあまりにもおおらかに悠然と重なり、懐の深さにまだまだ余裕があるであろう貫禄をわからしめる。懐がもしやこれ以上深くなく、すでにして極上であるもこの様に止まっては、もしやつまらないかもしれない。余裕がありすぎてつまらない、それとも余裕が嘘か、すでに極上であるのに。
懐を信じて構わない。なんとも濃くミルキーな、純白のキャラメルの味がする。真っ白の乳製品のままであるのにどうして香ばしいキャラメルの味がするのか。
この葉巻の序盤から主題として芽が出ていた金木犀が大人しくもほころび始める。存分に副流煙を鼻で吸い込む。それが金木犀を満開にする手法なのである。金木犀を潰すほどの茶色と黒の香ばしい旨味が持続する。色以外の下手な物に喩えるのは気が引ける。そこへ黄金に光る蜂蜜一滴。くすんだ色が美しかったのに、ひとしずくの透明感が光り、くすみが鈍色に光り始める。
草か。この葉巻で漸く緑を見た。こんなところに緑が生えているのか。茶と黒と白と金に揉まれて緑が潜む。茶と黒と白と金と緑。モンテクリストの下級品に通じる、下級品から想像できる、延長線上の極上品にすぎない。ココナッツなど、モンテクリストの中級品の持味をも極上に昇華している。これも延長線上に過ぎない。だからこそ素晴らしいのか。でもどことなく想像を絶しているところもある。夢が現実化した際の現実はあっけなく、その現実の方が夢より強いということはないはずだが、ここには夢のような現実がある。もともと現実化しやすい夢を見ていたのであるから。そろそろ終盤である。雑味が萌した。
雑味を旨味に転化するかのように、炭鉱のカナリアのごときココナッツが見事鈍色の光を発してくれる。甘さはとくにたるくなく、最序盤が一番甘く、一瞬蜂蜜の一滴に結実したとしても、序盤のあとは薄っすら透明に隠し味のように広がっている。ココナッツ本来の甘さも、味より香りがとくに甘い。金木犀とキャラメルを混ぜた甘やかな香ばしさの重厚さがとりわけ太々しく持続している。副流煙を鼻で全て吸い込みたいぐらいの、もう一歩で羽が生えるぐらいの刺激的な陶酔感である。飛ぶために重さを掻き集めているようである。
終盤の荒さも静かで。
これだけ巨大で美味となればもう身がもたない。身の逼迫が葉巻の香味に反映されてしまう。巨大さ徒然で酔いも回ってきたし、もう駄目だが、葉巻は衰えないようである。下戸は優しい酒を選ぶべしで、葉巻が美味しすぎ酒の味がほとんど関係ないほど煙が濃い。糖度の低い蒸留酒よりも醸造酒の方が適確ではありそうである。ラム(トロワリビエール2000、上品、お気に入り、マスクメロンのエステル)も試したが、山田錦の大吟醸酒のパイナップル香のほうが喉を潤し甘さを補い別途の香りを加えて麗しく逞しい。
レゼルバや特別なヒュミドールに入ったモンテクリストなどはひとつも試したことがないが、重厚なモンテクリストは此処にある。なかなか19.35gのものには出会えないかもしれないものの、4本中1本は極上で、1本は優品、2本はやや外れといったことに均せるのかもしれない。経験上のみで葉巻界を俯瞰してみると、4本14000円程度なら、これはかなりお勧めできる。ただ、「悠揚迫らぬ」というところが評価を分けるポイントかもしれない。現に、コンパクトで卑小なコイーバエスキシトスに点数上、一歩及んでいないのである(●)。それにしても、なんと美味しげな分水嶺だろう。モンブラン(リネア1935)とマッターホルン(エスキシトス)のコラージュのようである。あっちのみーずはかー……
※コイーバエスキシトスは初日の一本以降、てんで駄目なので、信頼性ではレイエンダが断然上です。
マルテスとデュマスには要熟成の感覚があったものの、レイエンダは若くして一時完成されている。
|UER NOV 18|165mm x 55|19.35g(-0.31g)|香:4.2~4.5 ave4.4|残17|
レイエンダは2本買った後に20本買ったから、これで22本中4本目。当箱の3本目。残18本。
今日は金木犀が香ったので、木の方へ誘われて蕾を見た。例年以上に盛んだった蝉は前台風の後にすっかり消滅したものの、鈴虫は昨日の台風一過直後に鳴き始め、金木犀も鈴虫に倣ってほころびそうだった。
金木犀ということでモンテクリストの上品を取り出す。
リネア1935にして19.35g。これこそがレイエンダの最良の一本であると思わない人がいるだろうか。19.34のものと19.35のものがあって、どちらかを選べと言われて19.34を選ぶ人だけが「だからどうした」と言いうる。だからどうした。
外貌はやや酸っぱい匂い。空吸いすると味噌漬けの藁のようで、味の濃さが伝わってくる。
むっしりした吸い込み。これより少しでも詰まると固いと言いたくなるぎりぎりのラインで、葉巻をつまむと弾力あり、その指の感覚がドローにも通じているようである。
着火すると味はすぐに濃く甘く整う。モンテ風味のコイーバというような重厚さ。それも調子が良い時のコイーバ。茶色い葉の味わいの厚みが桁違いである。あくまでもモンテクリスト風味が厚い。その中で、夜明けのように、これもやはりモンテらしく白みがかってくるものがある。
しかし白みに襲いかかる黒みがある。夜に引き戻そうとする時間の重力がある。ものすごい煤煙の旨味、文字通り焦げたように香ばしくも澄んだ炭の味わいがし、なんなのかよく考えていると炭を擂鉢で三年間も回し続けたものらしい。それが乳化なのか幽かに油のようなねっとりした質感が出る。
むっしりとして煙の量も豊富である。
悠揚迫らぬ調子でココナッツが顔を出す。鮮明な変化にして、かつて現れていたものは消えず静まり、新たなものが顔を出しては、また消えずに静まる。静かなものたちが薄い横顔を現しつづけ、複雑というにはあまりにもおおらかに悠然と重なり、懐の深さにまだまだ余裕があるであろう貫禄をわからしめる。懐がもしやこれ以上深くなく、すでにして極上であるもこの様に止まっては、もしやつまらないかもしれない。余裕がありすぎてつまらない、それとも余裕が嘘か、すでに極上であるのに。
懐を信じて構わない。なんとも濃くミルキーな、純白のキャラメルの味がする。真っ白の乳製品のままであるのにどうして香ばしいキャラメルの味がするのか。
この葉巻の序盤から主題として芽が出ていた金木犀が大人しくもほころび始める。存分に副流煙を鼻で吸い込む。それが金木犀を満開にする手法なのである。金木犀を潰すほどの茶色と黒の香ばしい旨味が持続する。色以外の下手な物に喩えるのは気が引ける。そこへ黄金に光る蜂蜜一滴。くすんだ色が美しかったのに、ひとしずくの透明感が光り、くすみが鈍色に光り始める。
草か。この葉巻で漸く緑を見た。こんなところに緑が生えているのか。茶と黒と白と金に揉まれて緑が潜む。茶と黒と白と金と緑。モンテクリストの下級品に通じる、下級品から想像できる、延長線上の極上品にすぎない。ココナッツなど、モンテクリストの中級品の持味をも極上に昇華している。これも延長線上に過ぎない。だからこそ素晴らしいのか。でもどことなく想像を絶しているところもある。夢が現実化した際の現実はあっけなく、その現実の方が夢より強いということはないはずだが、ここには夢のような現実がある。もともと現実化しやすい夢を見ていたのであるから。そろそろ終盤である。雑味が萌した。
雑味を旨味に転化するかのように、炭鉱のカナリアのごときココナッツが見事鈍色の光を発してくれる。甘さはとくにたるくなく、最序盤が一番甘く、一瞬蜂蜜の一滴に結実したとしても、序盤のあとは薄っすら透明に隠し味のように広がっている。ココナッツ本来の甘さも、味より香りがとくに甘い。金木犀とキャラメルを混ぜた甘やかな香ばしさの重厚さがとりわけ太々しく持続している。副流煙を鼻で全て吸い込みたいぐらいの、もう一歩で羽が生えるぐらいの刺激的な陶酔感である。飛ぶために重さを掻き集めているようである。
終盤の荒さも静かで。
これだけ巨大で美味となればもう身がもたない。身の逼迫が葉巻の香味に反映されてしまう。巨大さ徒然で酔いも回ってきたし、もう駄目だが、葉巻は衰えないようである。下戸は優しい酒を選ぶべしで、葉巻が美味しすぎ酒の味がほとんど関係ないほど煙が濃い。糖度の低い蒸留酒よりも醸造酒の方が適確ではありそうである。ラム(トロワリビエール2000、上品、お気に入り、マスクメロンのエステル)も試したが、山田錦の大吟醸酒のパイナップル香のほうが喉を潤し甘さを補い別途の香りを加えて麗しく逞しい。
レゼルバや特別なヒュミドールに入ったモンテクリストなどはひとつも試したことがないが、重厚なモンテクリストは此処にある。なかなか19.35gのものには出会えないかもしれないものの、4本中1本は極上で、1本は優品、2本はやや外れといったことに均せるのかもしれない。経験上のみで葉巻界を俯瞰してみると、4本14000円程度なら、これはかなりお勧めできる。ただ、「悠揚迫らぬ」というところが評価を分けるポイントかもしれない。現に、コンパクトで卑小なコイーバエスキシトスに点数上、一歩及んでいないのである(●)。それにしても、なんと美味しげな分水嶺だろう。モンブラン(リネア1935)とマッターホルン(エスキシトス)のコラージュのようである。あっちのみーずはかー……
※コイーバエスキシトスは初日の一本以降、てんで駄目なので、信頼性ではレイエンダが断然上です。
マルテスとデュマスには要熟成の感覚があったものの、レイエンダは若くして一時完成されている。
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