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|coh-hk|$56/10(+¥3600/15)|2019/8/1・arr 8/8|
|—|6 x 52|重量:16.93g|香:2.4~3.5 ave3.0|残9|
ラッパーが妙に美しいし、きちんと丸いし、高級そうな外観はもう、ほとんど嘘くさいほどである。ドローはむっしり完璧で、トルセドールの腕を見せつけるようである。
煮詰めた草のような滑り出し。草から黄の色素が出て、やがて茶色に煮詰まっていく、それが遡行し、二口三口進めると草が緑化する。ハバナ感あり、と思うが早いか今更急激に序盤らしい胡椒の辛味が噴出し、胡椒の香りもして、かすかに花を伴う。実物を見たことも嗅いだこともないが「胡椒の花」とはこういうものだよねと妙に納得してしまう。
バンドがばかにでかいが、それが絶妙に3本の指にフィットする。ふつう指はラッパーを触ってしまうのに、バンド前面に人差指と中指、後面に親指でOK、そう、その持ち方が正しいです、というロッキーの顔が意外や真剣だ。
昔から知っていたロッキーパテルとはだいぶ違い、ハバナ感のものである。ハバナのどの銘柄を表すかとなると何も浮かんできはしない。アップマンだったろうか、トリニダッドのきな粉豆も出ているような。もっと安っぽいフォンセカだったか。
黄土色の乾いた味わいに肌理の細かいナッツ類の粉が振りかかって、どこか奥深くでは焦げ茶色に湿っていて、幽かに「新鮮な染み」、シャツにこぼしたての醤油のような味わいがし、色や香味から察すると醤油ではなく味噌かもしれない。
味はまさに薄い、だからハバナ感も薄い。しかし醤油が味噌に転化するのはハバナらしさの所為で、ニカラグアというよりも断じて薄いハバナである。薄さは昔知っていたロッキーパテルらしさかもしれない。
ハバナの風味にこの薄さが合うかというと巨大な疑問がつく。
元々奥にこげ茶色らしき何かがあったが、ようよう黄土色が樫色化し、樹齢高く木化する。花は粉っぽく味わわれる。きな粉の効能なのか、花粉を舐めるようで、きな粉も混ぜれば花粉は食べても美味しいということがわかりそうになる。その花はいまモンテ風の金木犀である。
香りはかなり濃く甘いのに、味は薄い。ダビドフクラシックを思い出そうとしてみる。薄さと花は符合する。
一体どういうふうにロッキーはニカラグアの地でこんな葉を育て、ブレンドしたのか。
ココナッツ化する。ここもモンテ、あるいはオーパスである。不敵にほくそ笑むロッキー。ちみたち高級ブランドが醸し出す香味は、実はもう平凡なものだよ、うちのはまだまだ薄いけれどさ、そりゃわざと薄くしてるんだ。濃いのがあまりすきじゃなくってね、知ってるだろ、そうさ、今は安く大きくだよ。これから密度を高めようと思っているよ、十年後かな。
もう随分時間が経つが、まだ序盤が終わったぐらい。四、五センチの灰が自然落下して、がらり味が変わる。不味くなる。と思いきや現れたる雑味すぐに収まり、元の延長に軌道を戻す。
ここまで薄いハバナはなかったろう。あるいはキューバンダビドフを思い出すべきなのだろうか。
ロッキーの野望は面白いし、葉巻も上出来だが、物足りない感覚はずっとある。アタリのハバナにはまるで及ばないが、下手なハバナよりはハバナの風味自体が良い。
中盤の中程から、滞り、雑味が掠りはじめ、味もより一層薄く消失気味になる。停滞の中、花は紫色のバイオレットが現れた。バオイレットなんて初めてかもしれない。ピコレットならこれまでにもあったと思うのだが。無論、バイオレットとピコレットは似ていて、ここはスミレと書いてはならない所である。
ヨーグルトを飲み始めたからか、葉巻に焦げの旨味を感じるようになる。浮かぶのはとうとうコイーバである。岩味こそないものの、もしやあるのかもしれない。幾多の花の微睡みにて判然としない。バイオレットは一瞬で消失したものの、花の種類豊富で、金木犀とは言い切れない香りにまみれ、花が濃霧のように目隠しを続ける。
飲物を清酒に戻しても印象は変わらない、終盤はコイーバ感である。苦みに独特のコクがある。やや薄いが、あまり気にならない薄さになっている。
根元を惜しむほどでなく、最終盤らしい辛味が出て、これはこれで終盤らしくて良いが、5センチ残して終わり。豚が出たから。
最近のパテル記事を読み返してみると、「Hamlet 25th Year」を滑らかにしたバージョンのようでもある。
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