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|Atlantic Cigar|$10.08/1(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|6 1/2 x 52|重量:17.41g (-0.70g)|香:3.6~4.2 ave4.0|残0|
葉っぱの味という分り難そうなものにして価格どおりの美味曲線を描くとなるとかえって異様にも思うのだが、他のロッキーパテルより明らかに一段美味しい。味が無味なミネラルの鉱物に守られているといおうか、膨らまずにそよ風低く浮遊して、厚いミネラル層を通して幽かに洩れ兆すのか、そもそも味が薄いのか、いずれにしてもその味が美味であり、薄さが美味でもある。それでいて透明な層のようなものが厚い気がする。
藁というお決まりの味も僅かにあるのだが、藁は串かつやフォンデュの要領で味を塗られ、お菓子化して素朴なつまらなさを逃れている。但し完全にお菓子化する前で止まって、ウェハース化のみ始めている。藁をもお菓子をも嫌う、こういう中庸の舌に近すぎず遠すぎず微妙な距離感を保って吸い付くのである。お菓子の美味しさは、お菓子ではない物によって確かめられる。
ウェハースを剥がすと、挟んでいたクリームなどが少しくっ付いてしまう。
ところがそのウェハースというよりもそのほのやかなクリームが、スパイスふんだんな高級ショコラそっくりに風味と形姿を整え、なんともおかしな話だが、次には名のあるショコラティエがするように2センチ角のショコラの粒の中に花のガナッシュを仕込んでいる。ショコラは酸味のないタイプで、カカオ分70%程度である。
ざっとチョコを忘れさせるように急激に花が開花し、転瞬の間にもうガナッシュは空気として、ついでにツンとくる山葵胡椒も目覚めたが、それから長く優しく満開の季節がつづきつづける。
シャンパーニュの泡のような心地よい刺激が乗り、花の下の宴が酣になると、ショコラが置かれた現実に戻る。
シャンパーニュ化した経緯に触れるに、山葵の変化後の姿なのか、絶句、全体の香気がシャンパーニュに似た為という他ないのかもしれない。気分は無酒精だったのにシャンパーニュによりたちどころに酒宴化したのである。
花の想い出を慈しませる残香が即ちまた優しい。火に起床してから延々優しいままである。眠りの中でより美化された花がより優化され、またいつの間にか目の前のショコラを忘れてまどろみ始めている。ショコラの境目が消失し、ショコラの中に閉じ込められたのか、ショコラの表が裏返ってガナッシュが辺り一面に露出したのか、そもそもショコラの在処が夢なのか、ガナッシュにはどうやら山葵胡椒はじめアジアンスパイスなどがときどき目覚ましく利いていて、乾いた醤油の染臭い味わいを嗅ぎそうな現実もスパイスのまやかしなのか完熟スパイスの夢にとどまっている。夢がどうも現実臭く、スパイスには熟れると甘くなる果実の一面が少しだけ確実にあるようである。完熟果実などの出番はなかった。
終盤は花に草が混じり始める。「フローラル・グラッシー・オーク」などと、名詞形容詞の単発羅列オンパレードの中に置いておけばさも草さえ美味しそうに見えるが、草など邪魔であることがほとんどで、ただ春が長ければ草もいつの間にか時流の風物と化し、春夢の終りを告げてくれる。夢の終りがまた長く、やや優しい。このまま秋にまで至るのかもしれない。
晩夏になると残暑厳しく雑草も萎れて辛い。まだ優しい。ついには夏バテに処方された漢方の苦みを処方され、最後の最後にシナモンがふりかかる。
終始どことなく見たことのない葉がひらひらしていたのだろう、変化はわかりやすいものの、全体が未確認のお初なお味で一貫されていた気がするような気がする。その淡く不明瞭な一貫性の芯は、常に程々にドライで程々にしっとりし、先日のラ・パリーナ・パシャのような「濃醇物」の対極の「淡麗物」として、存在しないもの特有の存在感を漂わせている。濃醇物が単細胞である一方、軽さに恰も複雑な歴史がこもって、見通しが豊かで、涼やかで、トロの長さであれば晩冬から晩夏までがある。秋は来ない。初冬は訪れない。
Wrapper Type Ecuadorian Habano Oscuro
Color Oscuro
Binder / Filler Mexico / Nicaragua
|—|6 1/2 x 52|重量:17.41g (-0.70g)|香:3.6~4.2 ave4.0|残0|
葉っぱの味という分り難そうなものにして価格どおりの美味曲線を描くとなるとかえって異様にも思うのだが、他のロッキーパテルより明らかに一段美味しい。味が無味なミネラルの鉱物に守られているといおうか、膨らまずにそよ風低く浮遊して、厚いミネラル層を通して幽かに洩れ兆すのか、そもそも味が薄いのか、いずれにしてもその味が美味であり、薄さが美味でもある。それでいて透明な層のようなものが厚い気がする。
藁というお決まりの味も僅かにあるのだが、藁は串かつやフォンデュの要領で味を塗られ、お菓子化して素朴なつまらなさを逃れている。但し完全にお菓子化する前で止まって、ウェハース化のみ始めている。藁をもお菓子をも嫌う、こういう中庸の舌に近すぎず遠すぎず微妙な距離感を保って吸い付くのである。お菓子の美味しさは、お菓子ではない物によって確かめられる。
ウェハースを剥がすと、挟んでいたクリームなどが少しくっ付いてしまう。
ところがそのウェハースというよりもそのほのやかなクリームが、スパイスふんだんな高級ショコラそっくりに風味と形姿を整え、なんともおかしな話だが、次には名のあるショコラティエがするように2センチ角のショコラの粒の中に花のガナッシュを仕込んでいる。ショコラは酸味のないタイプで、カカオ分70%程度である。
ざっとチョコを忘れさせるように急激に花が開花し、転瞬の間にもうガナッシュは空気として、ついでにツンとくる山葵胡椒も目覚めたが、それから長く優しく満開の季節がつづきつづける。
シャンパーニュの泡のような心地よい刺激が乗り、花の下の宴が酣になると、ショコラが置かれた現実に戻る。
シャンパーニュ化した経緯に触れるに、山葵の変化後の姿なのか、絶句、全体の香気がシャンパーニュに似た為という他ないのかもしれない。気分は無酒精だったのにシャンパーニュによりたちどころに酒宴化したのである。
花の想い出を慈しませる残香が即ちまた優しい。火に起床してから延々優しいままである。眠りの中でより美化された花がより優化され、またいつの間にか目の前のショコラを忘れてまどろみ始めている。ショコラの境目が消失し、ショコラの中に閉じ込められたのか、ショコラの表が裏返ってガナッシュが辺り一面に露出したのか、そもそもショコラの在処が夢なのか、ガナッシュにはどうやら山葵胡椒はじめアジアンスパイスなどがときどき目覚ましく利いていて、乾いた醤油の染臭い味わいを嗅ぎそうな現実もスパイスのまやかしなのか完熟スパイスの夢にとどまっている。夢がどうも現実臭く、スパイスには熟れると甘くなる果実の一面が少しだけ確実にあるようである。完熟果実などの出番はなかった。
終盤は花に草が混じり始める。「フローラル・グラッシー・オーク」などと、名詞形容詞の単発羅列オンパレードの中に置いておけばさも草さえ美味しそうに見えるが、草など邪魔であることがほとんどで、ただ春が長ければ草もいつの間にか時流の風物と化し、春夢の終りを告げてくれる。夢の終りがまた長く、やや優しい。このまま秋にまで至るのかもしれない。
晩夏になると残暑厳しく雑草も萎れて辛い。まだ優しい。ついには夏バテに処方された漢方の苦みを処方され、最後の最後にシナモンがふりかかる。
終始どことなく見たことのない葉がひらひらしていたのだろう、変化はわかりやすいものの、全体が未確認のお初なお味で一貫されていた気がするような気がする。その淡く不明瞭な一貫性の芯は、常に程々にドライで程々にしっとりし、先日のラ・パリーナ・パシャのような「濃醇物」の対極の「淡麗物」として、存在しないもの特有の存在感を漂わせている。濃醇物が単細胞である一方、軽さに恰も複雑な歴史がこもって、見通しが豊かで、涼やかで、トロの長さであれば晩冬から晩夏までがある。秋は来ない。初冬は訪れない。
Wrapper Type Ecuadorian Habano Oscuro
Color Oscuro
Binder / Filler Mexico / Nicaragua
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