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  源氏物語「葉」
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|Atlantic Cigar|$270.75/10(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|5 1/2 x 48|重量:13.13g(-0.16g)|香:2.6~4.8 ave4.2|残9|

 「日本入荷120箱」とあり、個人輸入陣も合せれば日本に1500本は在るのではないかと思います。といいますのは現在davidoffgeneva.jpをみておりますからで、どうして見ているかというと、「ダビドフ ロブスト レアル エスペシャル ≪7≫ リミテッド エディション 2019」(以下「ダビドフ7」)の興味深い正体が書かれているからであります。

「ダビドフを象徴する4つのホワイト リング シリーズである、シグネチャー、グラン クリュ、アニベルサリオ、ミレニアム、にも使われているドミニカ産タバコ葉がすべて使われています。」

とあり、さらにそれら4つの特徴が端的にわかりやすく書かれています。

 中でも興味を持ったのは、『シグネチャー』と『アニベルサリオ』に「シダー」と書かれ、『グランクリュ』と『ミレニアム』に「オーク」と書かれている部分です。葉巻における「シダー」と「オーク」の違い、わかりますか? いつも勝手勝手に解釈していますから、ここでようやくブレンダーの頭を覗く絶好の機会が訪れたような気がしたのです。
 シダーとオークがわかれば、それを樅の木(基礎)として、「大麦」だの「フレッシュスパイス」だのの飾りもはっきりと見え始めるのではないか、香味の構造美を感じることにより、より楽しめるのではないか、などと思いもしたものです。しかし、今からそれら4つを比べるわけではなくて、4つを混ぜた一つのものを燻らせる、これほど反逆的なことがあるでしょうか。頭が楽しい頭になりそうな気がしませんか? 大袈裟なことを言いまして、これ以上の反逆など何処にでも転がっています。と言いたい気持ちもありますが、これより反逆的なことはありません。どうしてかはいずれ墓の中で話しましょう。
 そんなで、ダビドフ7はいつまでもアメリカ上空を空中旋回していましたから、家に届かないのを待ちに待って耐えきれない時、まさしく4つの味の構成を見てしまい、見ながらグランクリュを燻らせてしまいました。

「これがオークかぁ。なるほど。今までのアレがオークだったのだなぁ。ボルドーワインを夢想しながら燻らせると異様に美味いぞ、これは新たな発見だわよねぇ。たしかにミレニアムに近い銀味もあるかもしれないなぁ。するってぇとミレニアムの銀味はリコリスによってより光っているのかなぁ、どちらかといえばダークチョコレートによってだろうかなぁ」などと思ったものです。

 以上のような話ですので、この葉巻にはこの葉巻のみの珍しい葉っぱや特別高級な葉っぱは使われていないのかな、という否定的疑問も湧きます。そこで効果を発揮するのが、かつてこのダビドフ7で「99点」を取ったという、他力本願な宣伝文句です。このダビドフ7と同じ作りの初代ダビドフ7が叩き出した優秀な点数でした。いわばこの7は復刻版なのです。評論家がたまたまアタリを引いただけではないのか、とみなさま思うでしょう。それに、99点の記事を読むと、99点に至るまでにかなりの年月の熟成が必要そうです。

さて、7を計量してみましょう。先日の話もありますので。
一本包みのビニールは0.84g
葉巻はバンド込みで13.13g
予想通り葉っぱは13gを切りました。

 ラッパーの色合いはダビドフとしては濃い方で、着火前の香りはおかしいほど臭みを感じず、畳に百年モノのフィーヌブランデーを零したような、エキスを乾燥によって煮詰めたような、火を用いずに焦がしたような、甘やかで美味しげな深い匂いがします。菜の花の芳香も感じられます。久しぶりに着火前に堪能しました。
※ちょうど昨日、冷蔵便で届いた約二十年モノのフィーヌが常温部屋にてロウキャップを破って噴いてしまいました。暑さでロウも緩んだのかもしれません。コルクが飛び出て、ラベルが噴いた酒で汚れて乾いていました。調べると液面が異様に高く、噴いた後でも壜には空気がほぼ入っていない。あんなに上まで液体を詰めた壜は見たことがありません。乾いた染みを嗅ぐと、まこと今日のダビドフに似た異様にいい匂いでございました。

 サイズは、細めのロブストで、最近の葉巻全般の肥満傾向からすると随分スマートに見えます。ドローは軽すぎず、かつ終盤に至っても絶対に詰まらないような空隙が感じられ、最高です。

 ゴタゴタ言ってないで早く着火しろ、と自分で思いますところ、思うに、ゴタゴタ言っているうちに着火の機会を逃してしまう人が世の中にはいらっしゃるのではないでしょうか。私はというと、たいてい記事の一文字目で既に着火しています。一口目、火種が整わないうちから、懐かしいような懐かしくないような不思議な感覚で、不思議さがひたすら美味しく感じられます。もはや箱で買って良かったと思ってしまっています。辛さと強さと柔らかさと軽さとが「とととと」と見事に同居し拮抗して、懐かしくも真新しい香味を醸し出しています。たとえば最近、電球を懐かしがる人もいるかもしれませんが、電球というのはLEDが出来るまでもなく昔から、エジソンの発明当初から懐かしいものでした。乾いた風味を見いだせば湿った風味が乾きを湿らせてしまうし、薄茶と濃茶が分離しているのに融合している、なになのでしょうか、「4つを混ぜた」みたいな文言に影響されすぎでしょう。何も知らずに吸ったら、「マズイ」とは言わないまでも、こうまで美味しく思ったか、わかりません。難癖の一つも付けていたかと思います。だって、湿るとはいえ、一瞬は乾いた風味が感じられるのですから。乾いた風味というのは、乾いた藁だとか、そういうつまらないモノです。一瞬だけではありません。この葉巻は、思った通りの味になる、乾きに気づいてはいけません、美味しいと思えば美味しく、マズイと思えばマズイ、この葉巻が不思議というより、人間の意識と味覚との関係が少しばかり不思議なのかもしれません。

 いや、実際に、一時的に不味くなったのだろう。意識がそこまで味を変えるとは思えません。

 2センチも進むと菜の花の本領で、ふくよかで粉っぽいような、やさしい蜜の甘さが膨らみます。しょぼい口の中で膨らみますが、辺り一面菜の花畑の幻覚が見えもするでしょう。金木犀のしつこさはひとまずありませんが、当然その気配濃厚となり、いよいよ初秋濃厚となるも、金木犀を菜の花が優しい餅で包んでいます。ここに杉には無いオークの風味が風格をもって絡まり、あるいは大黒柱となって支えるほどにそのコクを存在させ、なおかつ杉も香るという。
 面白杉る。そのまま高まり、はやくもブレンドの絶頂を見る。高杉晋作の面影が浮かぶ。
 それから始めて草の緑が現れる。ルビンの壺のようなめくるめく怒涛に威を加えるものとして。
 怒涛を治めるのは甘さのみを増し残した菜の花の優しさである。依然、金木犀の餡も優しく、初めて燃やした日のダビドフNo.2を髣髴とさせる、たぶん優にあの日の香味を超える甘美な煙だが、あの日ほどの感動は持ち得ない。葉巻慣れしてしまったので。そのように持ち得ないと思いつつ、思いを覆すようなところがある。寒気がする。
 「これはひさびさにやばい葉巻だ」と思ってしまう。
 No.2の最良の部分のみを色濃くしている。ぞっとする。
 リコリスをそれと知らないが、リコリスらしき風味が現れる。何処からか、微かな酸味が明滅してくすぐられる。リコリスを知っている方が美味しいということもあれば、知らない方が美味しいということもある。いずれにしても味蕾時点での風味は同じはずで、味蕾時点というものがどこまで存在するのか、ほぼ存在しないとは思いながら。
 オロブランコのごとき高級葉を使用しているという情報はないものの、最高級の妙技を見る思いでいっぱいである。
 もう4つは要らない。全ての粋が此処に現れ、なおも数段高い尖塔へ昇華されている。しかし改めて尖塔の基礎部分も凄いのだろうと思う。時事的にいうと、八村累くんのご両親がテレビに出ないようなもので、今日は到着したばかりの一本目であるため、今後の活躍はわからない。

 終盤は著しく失速した。それまでは長くぶれず好調で、絶巓状態が複雑で長かった。もし終盤も伸びれば天国に至る。

 使用葉はドミニカンオールスターでありながら、ラッパーのみエクアドルを使用しているところが嗅ぎ分けのポイントか。

ラッパー:ハバノ エクアドル(エクアドル)
バインダー:オロール セコ(ドミニカ共和国)
フィラー:ピロート セコ、ピロート ヴィスース、サン ヴィセンテ セコ、サン ヴィセンテ ヴィスース、オロール セコ(ドミニカ共和国)
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