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  源氏物語「葉」
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|5 1/2 x 52|uptowncigar|$175.95/10|重量:+1(16.56g)|算出:+7|香味:+5|計13点|

 この葉巻の七年前の記事→

 自宅八年物。
 フィルムを剥くと未だ蒸しシュウマイの香が生きている。または「蒸し干草」という矛盾のある匂い。
 保管箱の中で一番古い物かもしれない。最後の一本。
 こういう物はなかなか着火に踏み切り難いのに、キューバンダビドフの記事を読んでいたら矢鱈古い葉巻が欲しくなり……たったの八年ではあるものの結構古く感じる。個人の歴史を大仰に解釈するからか、剥いたフィルムまでもが黄ばみというより鼈甲色の貴重な品に見えている。鼈甲色の正体は葉巻の息なのだろうか。
 心地よい黴の味わいから、優しい甘さ。久しぶりに羽毛の柔らかさを感じる。
 鼻を刺す辛みの短いトンネルを抜け、雪のような花。花がトンネルの反対側の柔らかさを引き戻しもするし、トンネルが短いので、小説にある地変とは少し違う。
 桃。甘い桃。やや茶色くなった桃。仏壇と桃。仏壇の線香の渋みを消して、甘くて軽くて柔らかい深い木造。
 一度目の灰が落ちる前後、花の甘さが悠揚とする。淑やか。迫らずに凄い。
 『軽い系統のダビドフ』の魅力を再認識する。
 中程、悠揚として半ば追い風のようでもあった風味がほぼ向かい風へ変り、蜜と柔らかさまでもがやや濃く薫る。ややとしても、足りないものが一切無いのが不思議な感覚で、濃密の加減がまるで無いもののようにも思う。
 ハバナ葉特有の風味が欲しいとか、そういう考えを一切忘れている。ずっと美味しい菌糸がバランスを保っている。それもまた、白黴チーズや松茸をほとんど忘れて、ひたすらこの葉巻のみを堪能している心地というか境地に運ばれる。比喩が消える感覚というか。
 ところであからさまなバターが溶け出て、すぐさま、最後に洗われて木質の権現に終わる。しつこく燻らせれば権現に草が生えていたり。

 八年睡眠が必要であるとしたら、大変なこと、たったの八年でも大変な期間なのだが、七年半前の4本目の記事を読んでみると、あまり変っていない気がする。基調に変化はないにしても、やっぱりだいぶ変じていると思う。あからさまに深みが加わるとか、そういう要素でなく。

 最後のこの一本のみ、ラッパーが裂けずに終った。他9本は着火後に膨張してぱつんぱつんになって裂けたのですが。

 だいたい、日本人がuptowncigarなんかで葉巻を買うかな。日本へは郵送していないので、転送業者を使う等、大変苦労した覚えがある。クレジットカードの地点が日本であることにお店の人が疑問を抱いたり、税関で開封されたり、転送以外の面倒もあった。品物が到着してみると、手紙が入っていたりして、アメリカ在住の人にとってはなかなか良い店の一つなのではないかと思っています。私は商売人の手紙にはあまり感心しないほうなのですが。
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