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  源氏物語「葉」
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|5” x 52|Atlantic Cigar|$16.63|重量:+1(14.32g)|算出:+7|香味:+5|計13点|

 スコッチの樽で半年熟成させたという葉巻。下手なブランドがこういう熟成を行うとどぎつく化粧過多になりますが、ダビドフはどうでしょう。
 ※昔、ウィンストンチャーチルというブランドは隠れダビドフみたいだったと思うのですが、今はダビドフロゴが前面に出ています。どういう事でしょう。

 軽い稲穂の香り。稲花粉症の所為かスコッチの風味は嗅ぎ当てられない。
 着火すると香味がぎゅっと強まる。甘やかな匂い、熟成した木、スパイス、松茸が最初の一秒で一挙に濃く出る。矢のように辛味も一瞬のみ出る。
 濃厚でいて軽やか。
 何だろう、どこかで似た味わいを経験している。何かの葉巻に至極似ている。思い出せないが、モンテクリストとリットーゴメスとダビドフが混ざったような。記憶を探ることができない。
 稲穂の薄香からの変化が急峻で、着火前と着火後でここまで違うのは初めて。
 薔薇か菊か春菊か、植物が克明に迫るなか、芯はダビドフ松茸の軽やかさ。さらなる外周はしっとり熟成した甘やかな焦茶色の木の香り。
 木ではあるのだが、木が陥りがちな軽さを絶妙に重くして、尚且つ軽い。エアインチョコとしっとりスポンジをサクリと混ぜた口当たりが不思議だし、味わいもとても美味しい。
 普段葉巻から花が咲けば即金木犀と感じられてしまうのだが、これは薔薇かなにかで、薔薇とカスタードとカラメルと松茸をふんだんに使用した大人のスイーツの感覚があり、隠し味に洋酒や樽まで効いているのかもしれない。
 あざとくスコッチ(グレンファークラス21年)と合わせてみたら、不思議さに輪が掛かり、まさにマリアージュのマリオネットかなにかで、夫と妻がコラージュされて一つの人体を構成しつつあるのだ。それは重なりつつ境界あやふやで肩から頭が生えたり分裂もしつつ、いっそのこと二卵性の双子の卵味である。カスタードと薔薇が完全な黄桃に一体化したり、木が小麦のうまみを蓄えたり、スコッチの方は割と冷静だが、葉巻の方は酒を半ば完全に取り込み半ば取り巻きに従えている。酒の所為で葉巻の素性がわかりにくくはなる。
 エクアドル系ダビドフに特有の透明さは薄く、むしろ、きな粉のようなコクを思わせるところもある。それを常にさらりと水で流すような。スパイスも程よく弱い。
 美味しさたっぷり軽すぎて深夜の妄想に欠け、昼の快さだった。この昼には湿度50%の秋と春が同居している。今日が急に秋めいた日だったこともあって、おかしなメランコリーを感じる夜である。
 ダビドフはこれに比べるとどれも偏ったブレンドをしていると思えてしまう。バランスの極をみたような思いがする。完璧だからか、メランコリーだからか、少しつまらなくもある。極上の安らかさのうちにて。
  序盤中盤終盤というものがあるにはあるが常に美味しい。最後には何かの芽が生える。それが何かわからないところも乙で。
 部屋に煙臭を残さない気さえする健全な煙を感じつづけた。
 テキーラではマリアージュは起こらなかった。マリアージュとはまさに変態である。
 残4センチで死亡しつつもまだ生きている、後腐れする軽い美味しさがある。

 私はダビドフクラシックNo.2で葉巻に初感動を覚えましたが、クラシック(シグネチャー?)の次にこれに進むのが今は順当ではないかと思います。
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