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  源氏物語「葉」
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|箱伝不明|5 1/2 × 52|Cigars of Cuba|$186/10|重量:+1(14.39g)|算出:+5|香味:+4|計10点|

 一口、甘くて旨くて懐かしい。はじめから走っていた、とでもいうような速度の地球に乗っかって、どんどん加わる。分析するとまるで朝食を思わせる「バニラ・草・パン・ジャム」なのだが、一体化した凄味、独特の深みはレシピ不明の夜のフレンチソースとしか言えない。コイーバの岩の深みとマデューロの深みとは言えるのだが、それはそのまま、連想を切断する貌がある。何だか胡散臭くて奇妙で不思議と信頼できる者であると思っていたら、彼は私だった、というような。
 熟成で味がガラリとまで変わる事はなく、濃くもならず、薄く枯れもせず、あるいはこの十本目が一番美味しいかもしれないにしても、ハズレもなく、ずっと同じ葉巻のまま安定した存在でいる。味の構成はセクレトスも一緒だが、やはりこのヘニオスの方が大らかで、面の皮の薄さを感じる。
 微かなミントが利いている。チョコ味は案外全くしないものの、チョコの濃さを爽やかに仕上げる。
 中程も過ぎると、俄に開く花が、「寒夜の月下美人」という存在しない植物として、キューバの昼と日本の大晦日付近の夜とを変梃に繋いでしまう。
 萎れる一輪とてなく咲きつづけ増えつづける。熱くて持てなくなるまで。……といえば大袈裟で、残三センチで死形を現す。死形までも美味しい。

 一箱終了。一本目から四年半、たったの十本なのに、これほど長く持っていた箱ははじめて。それはそう、一年に一本で充分の味、なんだか大晦日付近にのみ相応しい葉巻だった。クリスマスでもなく大晦日でもなくその間。その一週間に満たない時機を逸し、三年ぶりに火を点けたヘニオスだったのかもしれない(見返せば前回の記事が三年前なので)。「薄く枯れもせず」と書いたけれど、どうも軽くはなっているようである。
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