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  源氏物語「葉」
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|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(13.28g)|算出:+3|香味:+2|

 灰が落ちた、その前に。
 塩の味わいが確実にある。その前に塩というものは結晶となって果実の代わりに実る事は無い。濃い蒸した木の匂い。真夏の松林のような。松林は真夏でも地面に陽が届く。そのまえに広葉樹の葉が天蓋を覆っていないからだろう。目の前の松林は天も風も抜けているのに、あまりにもの湿度の高さがあり、松脂がもだえて枝から氷柱のように滴っている。その前に、松林で拾った葉をその場で丸めて吸っているような、しかし松の葉は丸めるに適さない針型で、この林に他の種の樹木は植わっていない。
 その前に、松脂は表面こそベトついているものの、折ればポキッと折れて、中は乾いている、氷柱が乾きものででもあるかのように。その前に、この林もその前は冬だった。その前に、松林というものは一体に盆栽のようなものでなく、無数の松が凡庸に一律に直立し、赤松の赤が光を蒸して全域が夕焼を待たずに薄赤く染まっている。その前の赤く剥がれた樹皮と赤く枯れた針が地面にも堆積している。その前に、目の前の松林を歩いてもうぐるりと林の中央に立っている。もっとも、中央が何処だかわからないほどの広い松林である。その前からフアンロペスの葉巻はこういう切ないような人工的な自然の景色なのである。その前のと比べると蒸した湿度感と林立具合が違い、時に木が一本しかなかったり、0本だったりする。それぞれハズレではなく、葉巻が何本でも木が何本でもひたすら淋しいのである。その前に赤と錆と淋しいとを掛けたのかもしれない。その前から、赤というより錆朱といった方が色味が正しいかもしれなかった。その前に、風が吹いていないのに風と言ったのは、常に何処かから待つでもなく花が匂ってくるからであった。この前に待つと松とを掛けたのであった。その昔に、藤原定家がこうした待つと松とを掛ける有名な和歌をしたためていた。この前に淋しいは林なので寂しいのではなかった。そしてその前に三水のように涙のように蒸篭で蒸した松脂が蒸して滴ったのである。定家がしたため、松脂が氷柱のように滴ったのである、夏に。
 まさにその前に、着火前のこの葉巻はオーパスⅩに次いで良い匂いで、まるで塩が利いているかのような濃い匂いがする。その前に、次に蒸風呂というか、語感では蒸風呂だが、サウナの香がし、匂いの温度と湿度が高い。その前に、サウナとウナコーワとは似ていて、林にはウナコーワが必須であった。その前に、蚊は松のような針を備えているからである。その前から、まるで塩味までもが匂ってくるような濃さである。その前にこの葉巻は13.29gもあった。その前は13.28gと書いているが。その前に、松葉の針は、13.28gが思わせる吸い込みの悪さへの串刺しの不安であったのかもしれない。不安とフアンとを掛ける計量の前には風呂に入ったのである。風呂の前には死んでいた、という事は無かった。風呂の前にこれは下手な文学ではないからである。計量の後には風呂に入らなかったが。つまりその前に……
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