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  源氏物語「葉」
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|6 1/10 x 52|cigarOne|$13|重量:0( 13.72g)|算出:+4|香味:+3|

 5ミリほどの口径に切ったが、吸い込みは良い。
 一口で「旨いハバナだ」と思った。ピーナッツペーストの最高級品でも舐めたかのような滑らかさのある葉の香ばしさ。酸味や着火時の焦げや諸々の雑味や不完全感がまったくなかった。今までで一番美味しい一口目である。
 その香ばしさと入れ替わるように優しい柔らかい花がすぐさまカスタードのように薫ってくる。此処できつい草が目立ったりせず、全体がなんだか「マイルド」である。葉の香ばしさも消えてはしまわず、今度は全体を引き締めつつも大らかに全体を覆っているのである。頑固で強面のNo.2の印象だったからかなり意外な進行である。
 地元の人でも近寄り難い古臭くて黴臭いような洋食屋に入ったら中身は全然違ってとんでもなく美味しかったというふうな感じである。そういう店はテレビや漫画でしか見ないけれど。
 ……序盤こそ葉巻の最大値だったが、段々と日常の庶務のような感覚になってくる。変化の巾が薄いのか不味い方へ変化したのかわからないが、何か日常の特定のアレに似ている。アレがなんなのか思い出せない。似ているというか、それそのものなのに思い出せないとはどういう事だろう、それそのものだから思い出せないのか。こういう場合、比喩の方が簡単である。
 序盤の意外さがいつまでも続くか、或いは着火前の期待どおりの頑固な荒さが出てくればもっと良かったのかもしれない。優しいまま、雑味も出ないのである。普通に考えればこれは非常に美味しい。どうして序盤のみに高評価を与えるのか、その方が不思議なのである。でもなんだか、種のバレた手品をずっと見ているような気持ち悪さがある。
 最終盤ではロッテの黄色いフルーツガムのような風味も加わる(まだ製造しているのだろうか)。この思い出になると心地よく荒い辛みが加わる。
 最々終盤に至って、ずっとライトボディだったものが見事に心地よいフルボィに変わっている。それも強すぎず、アレを見事に克明に体現し始める。アレがなんなのか、依然わからないが、ふと一般的な人間の口臭ではないかと感知した。臭い口臭ではないが、あるいはすこうし大蒜を昨夜食べたのかもしれない。第一のアレと第二のあれとが同じかどうか早くもまるで忘れてしまったけれど(アレはもっと草っぽい口臭だった気がする)、思えば葉巻にはこういう口臭的要素が昔からあった気がする。あるいはそれがこの葉巻にどことなく練りすぎた練り物のようなのんべんだらりとした気持ち悪さを加味しているのかもしれない。それでも、練りすぎても練りすぎないマイルドな葉の香ばしさなのだが。
 落ち着いているが、変化がないわけではなく、根元まで色々と衰えなかった。序盤の美味は終わる頃にはほとんど忘れてしまったが。
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