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  源氏物語「葉」
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|SMO JUN 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$258.40/25|重量:0|算出:+8|香味:+5|

 久しぶりに強みのあるコイーバを嗜みえた。こんなに柔らかい岩は見た事がない。岩は見る物ではなく触る物であり、柔らかい岩を触るにはコイーバの煙を舌で舐めるしかないのである。煙は舌から逃げる。ごつごつも瑪瑙のように滑らかになった巨大な茶色い岩。しかもその岩肌が風化で作られる稀有な脅威。
 この箱もはや7、8本灰にしているが、コイーバにしてこれしか当たらないのだから不幸である。この岩味があんまり美味しいだけに、実に他の物に不幸を感じる。
 微かに舌の両脇に雑味が残るものの、ほとんど二年ぶりの恍惚の香り。700本に1本の当りなのか。初めて嗜んだダビドフNo.2の煙の恍惚に、岩の強みと丸みと、モンテクリストで初めて金木犀が咲いた時の香りまでもが重畳している。羽毛こそ生えず、雑味が皆無ではないが、天鵞絨に墜落するような心地好さがある。別段美しい文章ではないものの、煙の天鵞絨に墜落するというのがまさに夢のよう。
 舌触りは「カカオ品質のチョコレート」(意味不明)なのだが、その味はあまりせず、やはり「炭」と言った方が良いのかと思う。炭が柔らかく、金管である事が嘘のようなホルンの音色のようにまろやかで、カカオ品質のトラジャ珈琲に濃いミルクを一滴のみ垂らし、酸味は徹底して抜き、苦いようで苦くない。「岩」だの「炭」だのといっても「葉」の一言には負けるが、あまり葉っぱのような気はしない。そういえばコイーバらしい草も気配だに見せない。
 甘味料不使用のもの凄く丁寧なコクに三ツ星フレンチのソースを思う。そんなソースは舐めた事がないが、百発撃っても当らない葉巻よりも三ツ星コックの方がこれに近い味を容易に再現してくれると思う。(私にはそういうレシピ的なレビューは当然書けない。)
 製造後八ヶ月だが、熟成年月をものともしないコイーバ感が溢れて、どっぷりとぬるま湯に浸かるように落ち着いている。当りは当りでもコイーバの当りなのでなかなか今生きているのが信じられないぐらいのものである。いつもはコイーバというよりもコイポ程度なのだが。
 煙の煙たるものを思い出した。コックの容喙を促しておきながら煙自慢になるが、料理で相当に当っても煙に当った時の「信じ難さ」というのはきっと得られない。
 吉野の桜は毎年美しいが(これも未見)、葉巻は二年に一回しか咲かない桜らしい。しかも満開を迎えるには葉桜や冬の枝などを悉く鑑賞し尽くさねばならないのである。まるでハリネズミの針のように丸まった春のバランスである。意味不明だが、非常に春への期待が溢れている。明るさ一辺倒のD4などとは違い、丑三の暗さと背中合わせのまったりした春昼がぼうっとしてくる。
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