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  源氏物語「葉」
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|5 3/5 x 46|cigarOne|$53/5|重量:0|算出:+5|香味:+3|

 ミントなど出現するわけがないが、どことなくミントが香り、しかもミントが甘く、甘さが緑白色をしている。葉が辛くて乾ききっているのに、ミントがしっとりとして甘い。午後三時の物憂い疲れと午前十時の爽やかな期待の活力とが入り交じる十二時半、太陽が中天にかかって方位磁針が微睡む。かりそめの昼食時で旨味やコクというものはない。自分が時計や磁石になってしまったような、魚が水の記憶を得るような香味である。要するに今を生きていない。
 中盤からその光景のままに花が咲く。

 美味しい葉巻というよりも気になる葉巻で、過去が美味しいのだから厭きない。というのも美味しい葉巻だからだが。……香味以上の何ものかをくすぐる。しかも母親が幼児をあやすように健康にくすぐる。
 この葉巻は、寝かせるというより、自分が寝ているようなものだ。そんなものを寝かせるとどうなるのか、五十本入りを買って余生とすべきかとも思う。
 終盤では落葉が荒い豆のように雑味を伴いつつ香ばしく香る。香香という名の中国人のように。
 アメリカの枯れたカントリーミュージックよりも幽かに若草を残すイギリスのトラッドフォークに近い。思うのは日本の田舎だが、日本のひね媚びたフォークとはやっぱり違う。もっとも葉巻は音楽ほど寂しくはなく、懐かしさが爽やかに蘇るばかりである。
 ふとダビドフ2008に通じる幽かな瞬間もあった。
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