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  源氏物語「葉」
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|EMA OCT 07|5.5 x 50|coh-hk|$198/10|重量:0|算出:+3|香味:+3|

 昨夜の一本なのだが、とろける感触が忘れられず、今夜もう一本どうしてもとろけたいところを我慢して、フォンセカを燻らせながら回顧している。

 さすがに箱を開けると美しかった。一瞬茶色のバンドが黒地に見えたほどで、コイーバのエスキシトスなんかは箱を開けた直後に不穏な空気を感じたものだった。細部を虫眼鏡で覗くよりもパッと見の印象のほうが情報量が多い事は確か。
 はじめてのERなのに吸い込み難のものに当たる不幸。少しだが、吸い込みは少したりとも硬くてはいけない。
 カカオ混じりの土のコクに揮発性の木。この土のコクはロバイナ農場の精髄だと思わずにいられないが(ロバイナ農場の葉100%なのかわからないけれど)、煙の量が少ないまま火種だけが巨大化する悪寒がし、揮発性の木が最後までコクを負かして居残る気がする。
 このままでは不味いと思い、フィラーの中の一番太い葉脈をピンセットで抜こうとしたら三センチほど抜けて切れた。途中で切れた場合吸い込みが改善されないはずだが、やや改善された。着火後に抜くとかえって雑味が増して不味くなる危険もあるが、そうもならなかった。
 完璧なドローとは言えないが、美味しくなった。

 意外にレギュラー品と変わらない香味である。ERは底上げの価格で、高みの価格ではないのか。ハズレが一本も無いならそれはそれで価値があるとは思うけれど。
 でもやっぱり、どことなくとろけるように旨いなぁ。普通のロバイナなのに、味覚では表せない脳に直接浸透する恍惚成分が仕込まれているらしい。吸い込みさえ良ければとんでもなくとろけたかもしれない。
 「ロバイナのコク」は凄く、薄くても凄い。揮発性の木などとっくの昔に草の中の一片になってしまった。飲物を黒ビール(グリーンフラッシュ社のダブルスタウト)に変えたからかもしれない。
 チョコで燻製した木粉を衣に天麩羅した草。というと草が主役のようだが、衣が主役である。衣が全然油っぽくない。そういえばバターなどの油けをまったく感じない、衣なのに。クリーミーでもなく、栗や芋もない。草も木も結局土に還るのだと思う。こんな普通の環状世界で大丈夫なのかと疑うが、何故かとろける。そういう幻灯のような土の味がする。甘さなどは始終忘れていて最終盤で甘さが乗って来て漸く甘さを思い出したのだが、甘さが要らないほどの不思議なコクなのである。味のあるフィナーレのほうがむしろ凡庸で、木犀などもフィナーレまでは一輪たりとも咲かない。
 四年で枯れ始めている気がしなくもなく、今が頃合いなのかもしれない。
 結局根本まで雑味も出ないので、フィナーレこそ美味しいともいえるし、兎に角優良品らしい。ただ全体的に力を隠したように静かだった。静けさを憎めるはずもない。

 こういうものを二万箱も作ればレギュラー品の質が落ちるのは当然だと思うけれど、そうならないような進化をキューバ側が一人でしているのなら実に有り難い。
 レギュラーのベガスロバイナを磨き抜いただけの物といってしまったらそれはそうで、これこそを求めていたのか、更に特殊な香味が欲しいのか、よくわからない。よくわからないとろけ具合が不思議な美味しさなのである。久しぶりに根本を捨てるのを惜しんだが、どことなく物足りないのは吸い込みの所為か、到着日の一本目だし、我家に落ち着いてどうなるか怪しいものではある。しかしこのとろける怪しさが+5を突き抜ける妖しい化物を秘めているような。
 どうしてだろう、普通のさらっとしたコクと香ばしさしか感じないのに。麻薬でも混入しているらしい。期待が麻薬化した可能性もある。そんなに脳天気ではないつもりだけれど。
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