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  源氏物語「葉」
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|6 × 52|AtlanticCigar|($99.99/20)|重量:+1|算出:+5|香味:+3|

 五本目。購入して半年以上経っている。大した月日ではないものの、全体的な趣は前回の四本目と同じものの、特別当たったのか、何故か調子の良い時のD4そっくり。
 確実に軽く、濃くもないのに、美味しさが強い。その美味しさも太鼓判の美味で、妖しいほど馥郁としている。一口目から美味しく、段々と量感を増し、半インチ進む頃にはもう爆発に近い。爆発してなお穏やかで、煙を肺まで呑み込んでみるとロッキーパテル特有の薬膳風の妖しさで全く咳き込ませない(言い過ぎだが)。えも言われぬ黄色い香りに、芋とチョコの間の子の旨味にも事欠かず、着火前の藁束っぽさを嘘に変え、額縁の木には香木の気品が漂っている。ハバナにはこんな額縁は無い。辛味も苦味も雑味もほぼ感じず、柔らかいが、柔らかいというよりも幽霊のように足が無くすぅーっとしているのである。美味の濃い幽霊で、ハバナには幽霊も居ない。
 さっきからずっと月を見ているのだが、薄い雲が過りまくって月が隠見しているのがこの葉巻に良く合う。木立の冷気の中で煙らせれば更に良いに違いない。月に必要なのは雲と木立だけで人けではない。隣の家が邪魔である。そのうち我家も邪魔になるだろう。
 時々衰えるかと心配になるが、はじめから幽霊の事、消えても良い。
 それがしばらく経っても衰えないらしいが、自宅では飽きが来る。特に序盤が美味しく、中盤で飽き易い香味に変わるのかもしれない。良くも悪くも強さは増している。もっとゆっくり強さが増せば良いけれど、まだ中盤の初頭である。実物はトロなのに、香味にはもっと細長い印象があり、それでトロがしつこさを感じさせるのかもしれない。この香味のままロンズデールやラギートになったらどんなに良いだろう。
 飽きるかと思わせながら草の爽やかさが効いてくるのが憎い。飽食した皿に胡椒をふりかけるような、あるいは青林檎のような感覚である。だが花はえも言われぬ黄色から凡庸な金木犀の色に変わってしまう。変わって悪いのでもなく、外で丁度木犀が咲いている時期に木犀を感じるぐらいだからかなり濃い木犀なのである。芋の旨味がどこかで花を黄に留めてもいるらしい。
 煙を評して「塗り重ねた油絵のようだ」といったら本当に幾度も塗り重ねている画家の拳骨を喰らうに違いないが、元々幽霊の絵なのである。だが本当は、幽霊というほどの妖しさはこの葉巻には感じない。案外平然とした煙たくもない旨さである。葉巻は元々実業家の物であり、芸術家の物ではない。
 ロッキーパテルが軽視できない銘柄である事は確か。
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