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  源氏物語「葉」
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|VEL MAY 01|235㎜ x 47|COC|($125/5)|重量:+2|算出:+5|香味:+4|

 中秋の名月の日の昼が今日ほど濁りない快晴だった事はない。いつも曇るばかりか空気も澱んでいたはずで、だから中秋の名月というのは非常にどうでもよい日だと侮っていたのだが、黄昏の反対側に実にまん丸く昇っている。ふと団子のようでもあり月に似て打ち上がる花火でもあるサンチョスを思い出した。夜に入っても月はほとんど霞もしないで、かえって朧の方が趣があったかと余計な事を考えてしまう。葉巻の煙で朧にはなる。今、隣家の瓦が月に輝いている。

 十年物で、匂いがほぼ消えているので心配だったが、着火すると極端に優しくあるばかりで、サンチョスが確実に息衝いている。味は濃い物が薄まっている様子で、薄いものが薄いのではない。それが静かで、ハバナ葉らしい枯淡の風味だと感じ、老いた淡白さはあまり感じない。この中庸が、サンチョスの序盤にしてはむしろ濃い。雑味のような苦味があるが、これはいつもサンチョパンザらしい深く煎ったゴマやゴマ団子の中華餡の風味を醸すものである。それから和風の小豆。こうしてキューバ産ながらも和中折衷であるサンチョス並の序盤を一通り堪能すると、爽やかな草に軽やかな花が咲いてくる。軽い甘さで、花よりも軽い花。薄いゴマ団子が薄いながらにしっかりと土壌を固めている。その土壌から木が生えて、花が木に染みる。非常に品質の良い軽い木。この木の落葉は拾いたくなるほど丁寧で大きい。色合いも茶から黄や赤である。落葉にコクがあり、まだ晩秋ほどがさついていない。
 花が木から分離し、落葉の上を蝶のように可愛く飛んでいる。不器用に飛んでいる。もう花は濃い。落葉混じりの土もうまい。詩人臭くなるのも嫌なので、落とし穴が欲しくなるほどである。だがあろうことか、更にモンテクリストの2008にあったようなココナッツの白い花が咲く。気持ち悪いほどまろやかな乳のようである。

 実に完璧に出来ている一本だった。終盤がおとなしく、死相が隠見し、三年早く打ち上げてしまった方がより佳かった気がしなくない。それにしても実に長い十五夜だった。変梃ながら、この葉巻は中秋の名月に確実に合う。冬を思わせるオリオン座をはや見た。


 交互に三本ずつ経験したけれど、モンテクリストAよりサンチョスの方が三回とも美味しく感じた。
 抹茶か、抹茶のリキュールと合わせてみたくなるが、そろそろ栗を思い出す。
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