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  源氏物語「葉」
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|7.6 x 49|cigarOne|$96/5|重量:+1|算出:+5|香味:+4|

 買ったのは五本だが、『50本キャビネ入り』のものらしい。五本とも同じボックスかわからないが、キャビネものらしく綺麗な外観で、どれも若々しく見える。到着日に一本試してあまり美味しくなく、一ヶ月後の今日、二本目を試す。いい加減試すのは止めにして50本入りを買ってしまいたい。これでパンチダブルコロナを試すのは三回目。

 これは凄い。先日のサーウィンストンを髣髴とさせる初っぱなに、あれほどには重心の低くないパンチらしい柔らかさ。また杉が高鳴るような感じもあるもののその音はあれほど高くない。サーウィンストンをドンシャリ()と言っては気が引けるが、この蒲鉾に比べるとそうである。なにか、非常にミディアムである。どうやら酷似しているのは基本的なハバナ葉の味わいの品質の高さだけらしい。迫力こそ無いものの、燗でいえば人肌燗。人嫌いな人は人の代わりにこれを吸っていれば良さそうである。
 序盤早々蜂蜜の甘味を伴った花が香りからも味からも溢れている。チョコからチョコの味を抜いたようなコクが非常に滑らか。土や木や革は分けも分からずはっきりとしている。
 金木犀の黄色がエモイワレヌクリーム色になったりしている。一本にして変色し、大人びたマドレーヌを各種試供されているような。随分お菓子っぽいのだが、はっきりとした葉巻っぽさが隠し味で大人っぽさを暈染のように隈取っている。そういえば木犀は主にオレンジ色のはずだが、いつの間にか黄色と思い込んでいた。色合いは確かにマドレーヌの黄色と茶色のあわいである。そこにズブロッカのように一本の香草が生えている。吸い進めるにつれこの香草が存在感を増すらしい。雑味などほとんど無いものの、この香草が雑味を負うらしくもある。フィルターの役目をしているのか、邪魔をしているのか、よくわからない。地中海のオレンジなど全く感じない、室内楽の雰囲気である。
 ここまで書いてシガーワンの説明文と比べてみるとなるほど同じである。どの一本もがこうなるとは限らないが、これが本領なのだろう。これを基本に更に美味しくなったり不味くなったりするのだろう。猫を抱いたクララ・ハスキルの写真()を思い出す。
 飲み物を『芋焼酎 三岳』に替えたら、悪くない。三岳が良いというよりは、25度程度の酒が合うらしい。40度を超える酒だと微かであるはずの雑味が増幅する感じがする。
 残りがロブストぐらいになると、D4に似た雰囲気もあるが、D4はこれほど絨毯を感じさせはしない。絨毯といっても、眩い発色はせずに、新鮮な黄土色の絨毯である。
 酒をパルフェタムール(30度)に替えたら、このすみれ色の絨毯は実に合う。複雑なすみれ色が水を得た魚のようにチョコを得て、葉巻色の絨毯が死を得た魚の水のようにすみれ色を得る。なんと煙たい出来事だろう。

 これ()を読んで解析するに、最後に愛があれば佳かったのである。愛の宴のあとに東京に行ってしまうとは何と淫らな都市伝説だろう。
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