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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

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|7 1/4 x 48|AtlanticCigar|$12.00|−3|−1|

 ウイスキーに花を漬けたような香り、そこに葉巻臭さが加わって、いい匂いがいい匂いと化合して臭くなっている。酒の香りというよりも二日酔の人のような香りである。着火せずに吸っているとボンボンのよう。
 着香には違いないのだろうけれど、「these superior tobaccos are patiently aged in French Oak Barrels used for a sumptuous chocolate port」と書かれている。chocolate portというのがわからないが、酒樽で寝かせたものだろうか。味もそれがすべてという感じ。薫き染める方法に甘美さを感じなければ、味は軽く、匂いの臭さが際立っている。紫色の芳香剤を置いた玄関であかの他人の握ったおにぎりを食べているような。
 微かにチョコめいたボンボンのおいしさ。灰は白い奇石のようで美しい。灰が輝いているのははじめて見た。

 箱やバンドのデザインが幻想的で、葉巻に飽きたらいいかも知れない超上級者向きのシガーかも知れないが、夢のような葉巻とはいかず。異様なものへの気持ち悪さや臭さはあるが葉巻らしい不味さはない。ハズレではない純粋な不味さははじめて。
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|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+3|+2|

 これが七本パックの中で一番美味しかった。基本味が全部出そろってしかもそれぞれ突出することなく揃っている。「ヴィルトゥオーゾ」なんて日本ではピアニストやヴァイオリニストに使っているのしか見たことないけれど、私は音楽家について少しは知っているので、誰に似ているだろう。硬くそつなくこなすのだが、柔らかさやコクもある。ヴィルトゥオーゾたるものを思い浮かべていると誰も当て嵌まらない、ピアノの先生といった風情だろうか。
 味は十分あるのにライトボディ。ほどよい焦茶色の、品の良いニカラグアモノのような風味。黄色い木の旨味もなかなか。ロッキーパテルほどではないが少し湿ったスパイスの香りがして、雑味もない。落ち着いて吸っていられるし、派手さはないが素直に美味しさが出ている。おもしろさはないのに、悪いわけがない。もっと小さくて安ければ飽きの来ない逸品として蓄えておいて安心できそう。あまりにも普通で忘れられそうだけれど。それこそ普通ではないような、細かくいえば色々な香味があるし、変化もするし、それでもそれをいわせないぐらいバランスがよくて、平均台から突き落としたくなるぐらい精妙。適当に吸いながら稼業でもしようと思っていたのだが、こんなことを書いていて稼業が疎かになるぐらい精妙。

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 これまでの7本を除いてトラノには他に以下の高級ラインもある。これまで+1ばかりだったからどうでもよいような気がしていたのだが、今回のがなかなか美味しかったので気になってきた。Decadenciaは入手済。
Exodus 1959 50 Years
Noventa
Reserve Decadencia
Reserva Selecta
Tribute 2008
|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+1|+1|

 7本中もっとも黒く、マデューロというよりもブラックで、黒にところどころ赤紫が透けているような美しい外観。
 着火せずに吸っていると大黒寺納豆のような味はあまりせず、案外穏やかである。巻きは硬く弾力も無いが吸い込みは良好。針を束ねたように空気がスッと入ってくるようなイメージ。
 味はキューバでもドミニカでもなければこんなものだよなぁという嫌な感じがする。そんな事をいうのは性格が悪いからに決まっているが、いう方だって悪者になりたくはないのかもしれない。
 これまでのトラノに比べてかなり強く、辛い。どこもかしこもなんとも硬く、片燃えの気配が一切ない律された進み方。軍隊の行進を見物している気になる。将軍の立場で。将軍はニコリともせずにこんな味の葉巻を銜えているね。
 ブラックラッパーの風味に気圧されるが、中身の木質の微かに柔らかい感じがなくはない。しかし甘味はなく、辛く、キツい。将軍は骨太の痩型。人間には違いないが、実に愛嬌がない。旨味も苦み。将軍にしかオススメできない。
 中盤、歩調が乱れて色々な味がすると思ったら片燃えし出していた。それでも少し斜めになる程度。なんとも濃密で変な風味。木も濃密になってきている。翳りのある蜂蜜のような。柔らかくもなってきているが、甘くはならず、相変わらず強い。黒いコントラストが凄い。頭が痛くなる。終盤で更に柔らかく花咲きがちになったのはかえって残念だった。軍曹だったのかもしれない。
 私には合わないけれど記憶にこびり付きそうな強烈さ。『黒い時計の旅』でも読もうかな。
|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+1|+1|

 七本パック中もっとも薄い色。薄いというか、白が濃い。写実家が絵に描いた葉巻のような、食べ物を絵具で塗ったような気持ち悪さがある。ラッパーは薄そうだが若々しくぴっちりと巻かれていて、伸縮性がありそう。カット時の感触も若干ゴムを切るに似ているような。内部のしっとり感が伝わってくる指触り。
 香味はスパイス寄りで、どれだけスパイスを美味しく感じさせるかといった感じがあるが、そんな感じがないほどまろやかなスパイスでもある。さりげないものほど人為的なのだからね。他のスパイシーな葉巻のスパイスとほとんど変わらないのだが、まろやかさのせいか別のスパイスも調合されているよう。まろやかといってもいがらっぽさがけっこうある。その所為かボディもなかなか強い。ボディが強いわりには旨味が薄い。スパイスが次第にバターキャンデー味を帯びてきて木から熟れた果実が落ちそうになるが、花すらなかなか咲かず、脚が棒になっている。ここで風呂に浸かるが如くクァバのディスティングイドスで味わったぐらいの甘さが出れば良いかもしれないのに。
 最終盤に至って期待させるものが何も無くなって味けも無くなってからの方が美味しいものの残り香のようで美味しかった。美味しくないものが美味しいものの残り香を燻らせるなんてなんて憎らしいのだろう。
 それにしたって切れの悪い大吟醸酒みたいで、カルロス・トラノは今のところ全部+1だな。
|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+1|+1|

 「四角いのに柔らかい」というものだった。どことなく味がビリガーに似てくるのも不思議で、もともと味の似たものがたまたまどちらも四角だったとは思わせない、逆なのである。もちろんロッキーパテル1992の四角さにも似ていて、軽さも同じぐらいだが、ただ違うのはこちらにはあまり湿り気がない。それにしても乾いた味わいもなく、木や土はなく、雨の日のスパイスという感じが漂っている。これは湿り気というよりも、家に閉じ籠っているのを嬉しがらせるような味なのである。この葉巻を晴れの日の外で銜えている人がいたらそのセンスの悪さに恥ずかしくなってしまうだろう。甘さも旨さもなく、つまらない雨もよいの香味が純粋につまらなく漂っている。傘に隠れて銜えている人がいたらセンスの良さに脱帽してしまうだろう。それにしても随分大きな傘で、雨に濡れずに生還した人のような、彼の洋服のようなぬくぬくした爽やかさがある。ラッパーの湿度からしてそうだが、ロッキーパテルだったら靴下がずぶ濡れになるはず。

 どっちみち家で銜えるのだからロッキーパテル1992の方が断然美味しい。
|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+1|+1|

 カサ・トラニョ・マデューロほどではないがこれもかなり黒く、七本中二番目に黒い。火を点けずに吸っていると変なものを煮詰めたような苦みが感じられる。序盤辛いがはじめから苦い皮を剥いた旨味が感じられる。微かに甘味を伴うスパイスが効いていて風に乗る爽快感があるのだが、風に乗ってどれだけ移動できるのかを計ると2センチほどでしかなく、かえって地に足がついてしまう。苦みは美味しい方の苦みのよう。ただし、お焦げのような生易しい香ばしいものではなく、なんだか大人の苦み。子供にとってビールが大人の苦みだとすれば大人を子供にしてしまうこの苦みはなんだろう。なんと、死の苦みか。花は咲きそうで咲かず、杉の香りも立ちそうで立たない。苦みに緘されて洩れ出ているようにも思える。
|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+1|+1|

 未開栓のブランデーに似た、ほとんど黒い深緑色のバンドが深い。そういう浅い深緑のエナメルにクラシックな文様の金縁がなかなかで、ラグロリアクバーナの次に格好良いと思う。ラッパーは1959シリーズの次に艶がなく、焦げた黄土色。煎りすぎた小麦粉みたい。重く、巻きは堅めだが吸い込みはスッと通っている。
 カフェオレタイプのコクのある香ばしさ。ミルク感はあまりないけれど。その代わりにまろやかな香草。に、珈琲の仄かな苦み。だからどうしたという感じだが、なんと仄かさには灰の渋みが少しある。無ければ良いのに。柔らかいのを渋みが邪魔している。もっと柔らかくあってほしいものだなぁと当然思うのだが、どうしてこれを無碍にするほどのこれ以上の柔らかさがあるのだとわかるのだろう。控え目だが、木質の甘い香り。味も薄い強めのライト。スパイスもまるい。まるすぎはしないが。少し美味しいが、少ししか美味しくなく、約2センチで少し飽きてくる。それと気付かないほどだが、杉坊主が生えていた。
 消閑の具程度の煙。長閑さも消えてしまう。
 中盤、急にプッツリと香味が途切れ、音信不通の快楽が訪れ、すぐに復活するが煙草感が強くなって戻る。どうせなら戻ってこなければ良いのにと思っているものだからか、帰って来るときの顔が恥ずかしげであった。巨大で優しい煙草。少しマッチのような香り。味はかなり薄く、渋みは変わらず。小出しにしてギリギリの薄さで凌ごうという遭難者の食料事情めいたひもじい努力が見える。なんて気楽なのだろう。遭難したくなるほどで、なんだか不甲斐ないしシガナイ。
 香味は1959エクソダスシルバーよりも好きだったが、薄渋。
|6 × 50|AtlanticCigar|($39.99/7)|+1|+1|

 トロが7種入った『CARLOS TORANO VARIETY SAMPLER』から。トロサイズは普通に作るものだと思うのだが、トラノのトロの扱い方はちょっと変則的な様子。当ボックスでしか手に入らないトロもありそうだし、バラ売りでトロだけが安値で売られたりしている。ちなみに主婦じみた計算に依るとこの7本ボックスは少ししかお買得感がない。主婦ではないのでよくわからないが。
 稼ぎの悪い旦那でもないのに、こっそりとボックスを開けて二本取り出し、空いたスペースに湿度計を入れて蓋を閉めたら、ボックス内の湿度が74%だった。ただの紙箱なのにどうしてか箱の性能は良い。ただ、紙臭さはかなりのもので、すべての葉巻が紙の匂いに取り憑かれている。
 7本並ぶと微妙な色合いが少しは面白く、エクソーダスシルバーは乾いた焦茶色でもっとも普通っぽい。巻きは堅く、カット時に餅を切るような感触がある。吸い込みは丁度良い。着火すると中央部まで速やかに火が移る。
 はじめ旨辛で、辛味は治まってくる。パクチー系の香草の香りなのだがパクチーのような嫌味はない。ミディアムより少し軽い程度。薄らとした乾木の味わいにドライフラワーが咲いている。なんだか最近すべての葉巻が金木犀に感じられてしまう。甘さはなく、ほろ苦さがずっと続いている。これは良い苦さなのだが、少しイガっている。ボックス内の湿度が問題なかったので到着四日後に吸ってしまったのがいけなかったかもしれない。
 美味くもなく不味くもないのに少し美味しく少し不味い安心できる味。安心できるが優しさはなく、何処にでもいる女房感が強い。文句無しの+1。

 (価格がよくわからないので7本とも550円で算出。)

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