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  源氏物語「葉」
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|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(11.59g)|算出:+4|香味+3|計7点|

 たぶんER特有のと言って良いような吟醸感のあるものなのだが、強みが増している。これが最後の一本なので今後がわからないが、ひたすらカシミヤの優しさだったものが辛く毛羽立っている。終りまで。嫌な辛味ではないが、意外だった。
 シナモンが微かに香るような杏仁豆腐の旨味。
 やや強く、変化は薄く、吟醸感を保ちながらも最後は濃く跳ねる。濃くも吟醸感がある。
 軽さの中から濃厚に花が噴き出してくるという今までの魅力がないのは、たぶん意外な強さに圧されて煙から顔を背けがちになったからだと思う。
 オレンジ色のリングとERのリングのミテクレに惹かれて買った事を思い出して、リングをつくづく眺めながら箱を終えた。
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|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(11.54g)|算出:+6|香味+4|計10点|

 着火後ほどなく、木から花がふうわり染み出す。どうして「ふうわり」なんてしているのか、花とともにベニヤの木がバニラの木に変るのからか。バニラの実がとととと熟成して香りを高めるに連れ、花もと金のように高く翻る。木だからだろう。この木は根っこのない木で、空中から生えている。天上に根っこが突き刺さっているかもしれない。そうして天下の先っぽ、つまり私の口から天上の気から養った雲を吐き出している。ということは地球が天上じゃないか。そうなのです、私は地球の反対側から見たように逆立ちしています、こうではありません、これはドーナツ型の惑星なのです。ドーナツの内側に立てば、天上も地上もこの惑星なのです。
 バターが浮いてきます。油のように浮いていながら、ぬるま湯のように軽い。
 折角の惑星が、バターだのぬるま湯だの、でもこれは惑星の話ではなく、最初から葉巻の話です。この葉巻は、だんだん、異常さを増してきます。花の数が異常なのです。いったいどこまで濃くなるの。金木犀が桜になったみたい。見た目は桜だらけ、匂いは金木犀です。考えてもみて下さい、ドーナツの惑星の四季とはそういうものです。秋と春が合体します。
 空を仰げばドミニカのダビドフがなかなかくっきり見えています、真天井は確かにハバナです。ドーナツの内側の空には太陽が浮いてない。この葉巻の煙は多分太陽に弱くて、太陽の光には負けてしまうかもしれない。しかし長年の夜にはこの乳白色の肌ざわりの煙が月に映える。月の濃さがある。ほとんど真昼のように明るく、夜の暗さがない。ドーナツ型の惑星では月はドーナツの真ん中にふうわり止まっています。真天井のハバナは月に遮られて見えはしません。月から香ってくるのです。

 このドーナツは今年が食べ頃、ついつい手を伸ばし、もう残一本になった。
|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(----g)|算出:+2|香味+2|

 着火前に嗅いでいると葉巻的なものではあるが川魚臭を強く意識した。

 完全な木質で軽いのは変わらないのだが、購入当初のような、とぼけた味気なさはない。そのかわり変化の凄さも感じ難い。
 まだ二ヶ月半しか経たず、もう9本目である。
 白ワインは完全に負けて味がわからなくなってしまう。似た味どうしで双方とも魅力が半減するのかもしれない。『ニュートン・ナパ・カウンティ・アンフィルタード・シャルドネ』という、アルコール度が15度もある強くてとても美味しい白ワインなのだが。ただ……葉巻が花に変わってくるとなんともちぐはぐながら共演するようになる。されども依然殺し合いの競演のよう。ワインは単独でけっこう小便くさい樽香があるし、葉巻も木質で花が咲く為に小便に近い。ともに小便を覆してあまりあるほど魅力があるのだが、互いに高級っぽさのみを消去し合うような感じがしてならず、勿体ない。どちらかといえばワインが勿体ない。この葉巻はまだ自宅に10本以上あるし、ワインは同じ物を二度買うなら別の知らないワインを買ってしまう為、希少価値が私の中では段違いにワインの方が上なのである。
 始終安定した木質と甘い花があるはずで、ワインを殺す事でのみ雑味を感じるようである。
 今回は組み合わせが悪く、別々で愉しみたい。
|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(----g)|算出:+6|香味+4|

 やはり完全に木が主体。しかもかなりの薄味。しばらくは何も無い……。
 およそ中間で突然、もの凄い香の花が。純粋な木質と相俟って嗅いだ事のない種類の金木犀が嘗てないほど大量にしかも超絶的に軽やかに華やぐ。同時に出た甘味は恰も砂糖の幽霊のようである。つまり舌には何も甘さを感じない。……
 少し葉のコクが出てきてほんのりと香ばしくなり、砂糖の幽霊も若干べっ甲のようになるが、極端な華やかさは持続する。本当に極端で、葉っぱを燃してこんな事になるなんて、当人にもなかなか信じられない。これはおそらく鼻の誤解なのだ。誤解だとわかっているのに、ずっと続くのである。
 さらに薄らとまろやかカスタードが出てくる。このような変化の中にあると普段は煩いカスタードも雲の色味のように際やかである。
 二日置いただけで変わったのか、初日にハズレを引いたのかは不明だが、とにかくなかなかお目にかかれないような美味なる物に早々に当った。
 ダビドフ・クラシックとの近似を感じるほど軽い。ダビドフにある松茸はなく始終木ばかりだけれど、金木犀にしてもダビドフNo.2を初めて薫らせた時を彷彿とさせる。またラッパーはライトカラーだがかなりキラキラしている。「パリの夕暮れ」など消し飛んで、日本の日曜大工に花が咲く。大体私は大工でも何でもなく今は日曜日でも午前二時(雨)なのだが、木材を売る店には花屋が併設されている事が多い気がする。
|OGA JUN 11|4.9 x 50|coh-hk|$260/25|重量:0(11.70g)|算出:0|香味+1|

 乾いて褪せた植物に、少しつんとした緑が刺さる。朝からの黄砂で、一日中つらく、夕暮れの砂埃が寂しいが、砂埃を眼鏡を掛けて見るような美味しさがある。刺激物の香がするのに刺激がない。しかしあまり美味しくはない。
 ごく稀に「美味しくなったか?」と思えるような瞬間があるのだったが、ほぼ常に木に支配されていた。これは樹皮のない木、杉や檜でもなく完全にベニヤのような木で、革でも土でもない、完膚なきまでにただの木である。其処に少し花や草が香るような。ERらしいオブラートの質感もあるが、ベニヤを弱めようが強めようが美味しくはないのである。
 一年ぐらい前からこのERだけは絶対に欲しいと思っていて(何故欲しいと思ったのかは不明)、漸く20%引きで買った(但し数ヶ月前の1ドル80円の頃と変わらぬ)。
 しかし到着日の一本目であるにしても「ケ・ドルセーとはこの程度のものなのか」という不甲斐無い結果に終る。嘗て一本しか試した事がない為、ケ・ドルセーの特徴もわからず、「ケ・ドルセーとはベニヤの事か」と思ってしまいかねない。大体平凡な想像として「パリの夕暮れ」を思いたいのだったが。というのも元々フランス向けに作られた上、バンドが橙色だからなのである。
 coh-hkによくある事で、350gの煙草税を取られた(一本あたり14g)。250g(多くとも275g)で送ってほしいところだが、私は重量に関してcoh-hkに注文をつけた事はない。最近ダビドフを扱い始めたし、たいてい何処よりも安く、品質はおそらく悪からず、質問の回答も早く(過去三回たわいない質問をした事がある)、偽物は無く、クリスマスなどには突然トリプルジェットライターやコイーバのボールペンを送ってくれたりする。なおこれはアフィリエイトではありません。むしろ煙草税に関しての遠回しの辛さの表明なのです。何故か1200円の差で涙が出る。
|5 1/2 x 42|cigarOne|$9|0|+1|

 主立った香味は違うけれど、荒さはフォンセカの荒さに似ている。フォンセカの軽やかな印象はまったくなく、優しくない。ミディアム以上の強さを感じる。「木・土・革」を選べば革で、落葉めいた味わいもある。葉の燻製のような。葉で葉を燻製したものを焼いている。それが微かに草めいている。
 古風なものを古風なまま、そういうリノベーションした団地の一室の外から裸電球の橙色を眺めているような。終盤では荒さが和らいで肌寒くなった風に木犀が乗ってくる。
 特別美味しいものではなかった。ケ・ドルセーの履歴を見るとパリ風の本物指向を感じなくはないけれど、本物過ぎて洗練度合いが落ちた安物の風合いがある。これぞキューバといってもこれぞフランスといってもそうなのかもしれない。黄昏の雰囲気がある。
 薄味という先入観があったけれど、けっこう強い。味は濃くないが、咽への強さがある。6ドルだと思ったら9ドルだった。

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